■日本語学講義
「現代日本語学講義2」が改称され、「日本語の意味と語彙」という名前になった。
「ことばの意味」について考える研究領域には「意味論」「語用論」「語彙論」の3つがある。 この講義では、現代日本語を素材として「意味論」「語用論」「語彙論」について概観するとともに、 「ことばの意味」について考える方法について、実際の研究例をもとに解説する。
毎回、授業の内容をふまえて考えたことをまとめる課題を出す。 成績割合は期末レポート(40%)、授業参画度(60%)である。 教科書は使用しない。
この科目は新カリキュラム(令和2年度以降入学者)では、 文理学部(学士(文学))のディプロマポリシーDP1,2及びカリキュラムポリシーCP1,2に対応している。
前期のみ開講。
意味論・語用論 コンテクスト(context、文脈)から切り離して考えることができる側面を扱うのが「意味論(semantics)」 コンテクストから切り離して考えることができない側面を扱うのが「語用論(pragmatics)」
意味は人の頭の中にしかない。どう表すかに着目。
意味論の問題:「ほす(干す)」と「かわかす(乾かす)」 明鏡国語辞典第3版を参照 かわかす 日光・日・風などに当てて、ぬれた物や湿った物の水分を取り除く。 「ぬれた服をストーブでかわかす」「涼風に当たって汗をかわかす」 ほす ①水分を取り除くために、物を日光・風・火などのあたる場所に置く。特に、日に当てて乾かす。 「物干し場に洗濯物をほす」「本を日にほす」「ほした魚」 ②その中にある水などをすっかりなくす。からにする。 「池の水をほす」「杯をほす」「飲みほす」 ⇧②の用法は「池・田」「杯」に限られる。これらは水がないと存在価値がないもの。 「水分を抜く=存在価値をなくす」という意味拡張。 ③意図的に仕事や役割を与えないでおく。「役をほされる」 ⇧③の用法は、「仕事・役割」を「水分=生命活動を支えるもの」にたとえたもの。
意味論の問題:「ほす(干す)」と「かわかす(乾かす)」 明鏡国語辞典第3版を参照
語用論の問題:「いいです」の解釈(井上 2024) 応答表現「いいです」は、 ①許可・承諾(してもいい)を表す場合と、 ②断り・遠慮(しなくてもいい)を表す場合がある。(二義的、ambiguous) 「いいです」はよく「あいまい」と言われるが、実際は「いいです」が「許可・承諾」か「断り・遠慮」かは明確。 (ambiguous だが vague ではない。)
語用論の問題:「いいです」の解釈(井上 2024) 応答表現「いいです」は、 ①許可・承諾(してもいい)を表す場合と、 ②断り・遠慮(しなくてもいい)を表す場合がある。(二義的、ambiguous)
「いいです」はよく「あいまい」と言われるが、実際は「いいです」が「許可・承諾」か「断り・遠慮」かは明確。 (ambiguous だが vague ではない。)
表情や身振り以外にも「いいです」の意味を判断する手がかりがある。
「いいです」の解釈の手がかり 終助詞・イントネーション 許可・受諾いいですよ↑断り・遠慮いいですよ(非上昇) 来るはずの聞き手に念押し来てよ↑話し手は来てほしいと思っているが、聞き手は消極的来てよ(非上昇) 「話し手利益」と「聞き手利益」 例1A:ちょっと中を見学したいんですが。[お願い]B:いいですよ。[許可・承諾]例2店員:レジ袋はどうされますか?[申し出]客:いいです。[断り・遠慮]
「いいです」の解釈の手がかり
最近は「いいです」にかわって「大丈夫です」が用いられることが多い。 「いいです」「けっこうです」よりも「大丈夫です」のほうが「私の側では問題ない=お気遣いなく・ご心配なく」という気持ちが明確に感じられるから。 ⇧不適切な日本語とは言えない。
コメントはありません。 Comments/日本語の意味と語彙(井上優)?
コメントはありません。 Comments/日本語の意味と語彙(井上優)?