Top > 社会言語学(田中ゆかり)


''■[[日本語学講義]]''
 ■現代日本語学講義1|社会言語学(田中ゆかり)
 ■現代日本語学講義2|[[日本語の意味と語彙(井上優)]]
 ■文献日本語学講義|[[日本語学史(鈴木功眞)]]
#contents
|BGCOLOR(#555):COLOR(White):200|520|c
|BGCOLOR(#fc2):COLOR(Black):''分類''|''選択必修(国文学科)&br;国語科教員(国文学科)必修/日本語教育必修''|
|区分|[[国文学科]]科目|
|履修形態|一般(人数過多の場合は抽選)|
|履修条件|二年生以上&br;&color(Red){第1回開講前までにLMS登録を完了して第1回授業に参加し、課題を締め切りまでに提出。};&br;履修条件を満たしても人数調整で受講が拒まれる場合がある。|
|単位数|2|
|講師|[[田中ゆかり]]|
|学位等|学士(文学)|
*概要 [#Gaiyou]
現代日本語学講義は[[教職課程>教職コース/教職課程]]の国語科教員(国文学科)を選んでいる場合の必修科目。
また、[[日本語教育課程>日本語教育コース/日本語教育課程]]の必修科目でもある。
令和7年度に現代日本語学講義1から社会言語学へ改称された。
#br
この科目では、「方言」を視座として、近代以降の日本語社会のありようを捉えることを目的とする。
教科書なし。
最終課題のレポート(50%)、各回課題の提出・内容、討議への参加(50%)
#br
教室サイズを上限に人数調整を行う。
履修希望者は、第1回開始までにLMSに登録を行い、第1回授業に参加のこと。
第1回開講前までにLMS登録を完了し、第1回課題を締め切りまでに提出した人が人数調整の対象となる。
人数調整を行う場合は、第1回小課題の内容を参照する。
#br
この科目は文理学部(学士(文学))のDP及びCP1,2に対応している。
*講師の印象 [#Inshou]
*令和八年度(2026年度) [#h81d5434]
#style(class=submenuheader){{
**前期 [#da0c7453]
}}
#style(class=submenu){{
|BGCOLOR(#555):COLOR(White):200|520|c
|BGCOLOR(#fc2):COLOR(Black):授業形態|対面授業|
|日程/教室|水曜日 四限目/3308教室(三号館三階八番教室)|
***第一講目の内容 [#t3c366bf]
授業の説明。これから学ぶ内容について少し。
&color(Red){出席し、第一講目の課題を必ず出すように(履修条件)};
#region(バーチャル方言)
''バーチャル方言''
バーチャル方言:編集・改変された偽物の方言

>''メディア・ドラマと方言''
メディアの発展と共に拡散の方法が変化。
ドラマではセリフの尻を上げることで御当地っぽさを演出(例:「私、ナースになる↑」)
実際には使われない。→バーチャル方言
ドラマでは方言指導の人員を招くことがある。

>''観光・萌えと方言''
(無料の)観光資源として活用。
方言萌えというジャンル。青年向け漫画。
#youtube(https://www.youtube.com/watch?v=yp_TLUBjrz0)
#endregion
***第二講目の内容 [#r0f5e813]
北海道民は明らかに方言を使っているのに標準語を話していると言い張るのは何故か。
北海道は「(日本各地からの)移民の街」→「北海道共通語」が自然発生
//[[出身地鑑定!!方言チャート>https://hougen.sanseido-publ.co.jp/hougen/index.php]]を
#region(方言)
''方言''
方言・共通語・標準語は近代に生まれた概念
|~地域方言(Regional Dialect)|その地域で使われる言語変種|
|~社会方言(Social Dialect/Sociolect)|社会的属性に基づく方言。民族,階層,年齢,性,職 などなど|
「方言」とは話者の属性に基づく特徴を持つ言語変種
#br
「在来の土地の言葉」亀井孝也 編(1996)
→どの地域にも方言が存在
音韻・文法・語彙といった体系を持つ。
標準語や共通語と同じ音韻・文法・語彙も方言
俚言:方言の内、非標準語形をとる語彙
#br
>''方言か言語か''
「琉球方言が琉球語とも呼ばれるのはアウスバウ的な理由でアブスタント的な理由である」(ダニエル=ロング 2015)
→近代的思想
|~アブスタント&br;(Abstand:‘Language by Distance’)|他の言語との言語的距離(差異)によって、「一つの言語」と意識されている言語変種(例:バスク語)|
|~アウスバウ&br;(Ausbau:‘Language by Extension’)|政治的や文化的理由によって、「一つの言語」として意識されている言語変種(例:カタルーニャ語)|

>''方言区画''
各地の方言を言語的特徴の類似度の観点から分類する考え方
言語的特徴の音韻・抑揚(アクセント)・語彙・文法など、どの部分を重視するかによって区画の様相は異なる。
//言語外のかつての近世期の藩境界や近代以前

|>|>|「方言区画」(東條操 1954)|h
|琉球方言|>|奄美方言|
|~|>|沖縄方言|
|~|>|先島方言|
|本土方言|東部方言|北海道方言|
|~|~|東北方言|
|~|~|関東方言|
|~|~|八丈島方言|
|~|~|東海東山方言|
|~|西部方言|近畿方言|
|~|~|北陸方言|
|~|~|中国方言|
|~|~|雲伯方言|
|~|~|四国方言|
|~|九州方言|肥筑方言|
|~|~|豊日方言|
|~|~|薩隅方言|

>''定義''
亀井孝也 編(1996)
-標準語の定義
「文法・語彙・音韻の多面にわたって規範的統一性を有し、公文書、文学、教育、新聞、放送、などに用いられる言語。外国人への教育対象となる言語」
-共通語の定義
「言語・方言が異にする2つ以上の集団の成員間でのコミュニケーションに使われる言語」
//国際共通語 全国共通語 民族共通語 地域共通語

「国家」として定められた「標準語」はないので、日本語には「標準語がない」という考え方もある。
//NHKのアナウンサーが原稿を読み上げる日本語
また、標準語のイデオロギー色を払拭するために共通語と言い換えたという考え方もある。
//全国共通語は単に共通語
>''標準語のイデオロギー色''
統一国家のイメージとして、一つの国家の具現化として、一つの「国語(標準語)」を必要とした。
標準語政策=方言撲滅運動
→方言は恥ずかしいもの
#endregion
#region(言語形成期)
''言語形成期''

>''方言は何で決まるか(「言語形成期」仮説)''
北村甫(1952)による。
|~生育地|言語形成期を過ごした地域|
|~言語形成期|言語の基盤が形成される時期|
東京の児童が戦時疎開で地方に行った際に方言話者になったかどうか調査が行われた。(現在では実施不可能)
//東京の児童が戦時疎開で地方に行った際に方言話者に何歳まで
白河の方言(無アクセント、音韻論的機能なし)と東京の言葉を比較。
抑揚(アクセント)に着目しているのは意識的に切り替えるのが難しい上に、気づきにくく変わりやすいから。
(自然な)言語獲得の臨界期は15歳ぐらいか?

#br
何故、仮説のままなのか?
・1953年にテレビ本放送が始まり、共通語を行き渡らせた。
・同一地域間の年齢差のある子供の集団移住と言語獲得という実験は出来ない。
#endregion
***第三講目の内容 [#z029f7c6]
#region(方言スティグマの時代)
''方言スティグマの時代''
スティグマ:特定の属性に否定的な「烙印」を押して不当に扱う差別行為
|年代|時代|動向|h
|近代〜1970年代|方言スティグマの時代|共通語化(教育・テレビ)&br;→共通語が陳腐化(共通語は誰でも使える言語で価値が感じられない。)|
|1980年代|方言に価値を見出す時代|共通語を身に付けた人々が社会へ&br;「方言」の文化財化・方言アーカイブ事業|
|1990年代|方言活用の多様化時代|「方言」のアクセサリー化・インターネットと打ち言葉の普及|
|2000年代|「方言コスプレ」の時代||
標準語政策⇔方言撲滅運動
→方言コンプレックス
#endregion
#region(学校教育における「方言」)
''学校教育における「方言」''
-1910(明治43)
「小学校作法教授要綱第7 言語対応」「下品ナル言語及方言・訛語ハ之ヲ避クベシ」
-1933(昭和8)年
「中学校作法要綱 第5章 言語対応」「努めて標準語を用ひ、方言・訛語・卑語は避けざるべからず」
-1954(昭和29)年
「国語審議会標準語部会報告」「方言とは別途に標準的発音を普及することが望ましい」

>''方言札''
 「標準語励行のために沖縄各地の学校で用いられていた罰札」「明治四十年ごろから行われ、昭和期に入り盛んになった」
 (『最新版 沖縄コンパクト辞典』琉球新報社,2003)
 
 「始業式の朝、クラス全員に罰札というものが配られ、教師が『これからは学校内で汚い米沢弁を使ってはいけない』と告げた。
 『もし、友だちが米沢弁を使っているのを聞いたら、その友だちの首にこの罰札をさげよう。」
 (井上ひさし,1981『聖母の道化師』中央公論社)

方言札のような指導は1970年代に入るかどうかの頃まで行われた。(ネサヨ運動)
#endregion
#region(新聞記事にみる「方言矯正」的考え方)
''新聞記事にみる「方言矯正」的考え方''
-1959年7月12日読売新聞
「読売教育賞に輝く業績 テレビ教育 方言減り学力向上」
-1960年7月14日毎日新聞家庭面
「山形で母親が標準語運動 消える粗雑な「方言」 二重の言葉づかいから子供を解放」
-1965年4月13日読売新聞夕刊娯楽面
「レコードで正しい日本語のしつけ 児童向けに楽しく ビクターから発売 方言の矯正も付く」
-1964年5月13日毎日新聞夕刊
「少年工員が同僚殺す 集団就職 方言笑われ、不仲」
-1965年8月27日読売新聞
「方言をからかわれ、兄の婚約者絞殺 カッとなった予備校生」
-1961年7月19日東京新聞「声」
「正しい国語を使おう」
-1979年11月9日読売新聞「気流」
「方言を笑わないで子供心に思いやりを」
-1999年7月4日読売新聞日曜版「ほっとぱーく PART1」
[投書]「方言バカにしないで」

#br
>''「方言スティグマの時代」の終わり''
1980年代は関連記事・投書なし
1990年代は2例のみ
//#br
//1980年代以降(バブル経済期)
#endregion
***第四講目の内容 [#jc763961]
高度経済成長期の方言コンプレックスは、集団就職・進学率向上・上京青年や勤労少年の時代の到来を背景とした
東京を頂点とするヒエラルキーの意識に起因するか。
#region(方言がカワイイに至るまで)
''方言がカワイイに至るまで''
//『ALWAYS 三丁目の夕陽』(2005 年、東宝、原作:西岸良平『三丁目の夕陽』(小学館))
//「言い直すことはないっ! お国のことばは大切にするこった」 ←現代から捉え直したファンタジー

>''1970年代:ポスト高度経済成長期''
//日本国有鉄道(現在のJR各社)「ディスカバー・ジャパン」キャンペーンを開始(1970年10月)
//「日本を発見し、自分自身を再発見する」「美しい日本と私」
-「人気を呼んだ流行語の方言」(1971年3月8日毎日新聞夕刊「ズームイン」)
-「方言ナショナリズム 心の交流支える 統一論は「標準語帝国主義」」(1971年6月18日読売新聞文化面(京極純一))
-「誇張した方言はつつしもう」(兵庫県多紀郡・男性・教員47歳)(1976年10月19日サンケイ新聞「私の意見」)

>''1980年代:『ジャパンアズナンバーワン』の時代''
「地方の時代」「個性の時代」⇔「自ら考え自ら行う地域づくり事業(ふるさと創生事業)」(1988~89年)
「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(男女雇用機会均等法)」(1985年制定、86年4月施行)

1970年代には方言へ肯定的な意見が出始めた。「価値」が見出され、その地方の出身者でもないのにその訛りを使う人々が現れた。
→方言コマーシャル
「東京人のオリエンタリズム的な視点だ」「国語を混乱させる」という批判が寄せられる。
1980年代からは地方振興に使える無料の資源として扱われ始める。また、方言が流行語になった。
標準語しか使えない⇨詰まらない⇨方言を使う(方言コスプレ)
#br
テレビの影響を受ける若者の中で積極的方言話者が増加。
また、若者の中で、判断逡巡派(「分からない」と回答する人々)は方言育ち共通語話者(方言スティグマの層)よりも多い。
#endregion
***第五講目の内容 [#u9bf140c]
&color(Red){リアルタイムのオンラインで実施する。};出欠確認については授業内で案内する。
3308教室はオンライン受講時も使用できる。端末持参で参加。
出欠確認としてクイズの答えをグーグルフォームで送る。
#hr
ズーズー弁は寒さの為に口を開けず、母音が曖昧 →嘘
//「方言と共通語」教材
//言語系の内容はしっかり含まれている。
#region(「方言」に価値を見出す時代)
''「方言」に価値を見出す時代''
|~1990年代|ネットと「方言」&br;沖縄と「方言」|
|~2000年代|「方言」は着脱可能なものへ&br;危機言語と「方言」&br;災害と「方言」|

>''伝統的方言アーカイヴ(1980年代末〜)''
共通語完了と方言の文化財化
→エスタブリッシュ(確立する)された。
-『全国方言辞典』(全3巻 1989年小学館)
-『現代日本語方言辞典』(全9巻 1992-1994年 明治書院)
-日本語音声における韻律特徴の実態とその教育に関する総合的研究文部省科学研究費(1989-1993 年度)
-[[NHK「ふるさと日本のことば」(2000年度放送)>https://www2.nhk.or.jp/archives/movies/?id=D0009042051_00000]]

>''1990年代の記事に見える世相''
・「映画や演劇・TVに方言生かした作品続々 東北弁から琉球語まで」(1990年2月1日朝日新聞夕刊)
・「方言が大手を振ってメディアを歩く 多様化社会を反映」(1992年5月8日朝日新聞夕刊)
・「「大阪弁で放送しまっせ」 NHKラジオ第1で方言考える第1弾」(1992年4月9日朝日新聞)
#br
標準語をばら撒いていたNHKが方言を放送し始める。
「方言」活用の多様化・多様性の象徴としての「方言」

>''「方言」は着脱可能なものへ''
-方言の「アクセサリー化」(小林隆2004 「アクセサリーとしての現代方言」『社会言語科学7(1)』)
共通語が普段着、方言がアクセサリー
アイデンティティー・情的表現ツールとしての「方言」
体系から文末詞・人称などのパーツ遣いへ
 
-「方言コスプレ」(田中ゆかり2007 「「方言コスプレ」にみる「方言おもちゃ化」の時代」『文学』8(6))
リアル方言になんらかの編集・加工が施された「ヴァーチャル方言」を用いてキャラやムードを演出する。「着脱する方言」
「ヨソの方言」だけでなく、「地元の方言」もコスプレ資源
ヴァーチャル言の着脱は、意識的とは限らない。

>''沖縄文化と「方言」への関心の高まり''
-「「りんけんパンド」いま脚光 沖縄独特の旋律・歌詞 民謡方言で」 (1990年2月5日朝日新聞夕刊)
-「[南からの風] 沖縄復帰20周年 (2) 注目される方言、音楽(連載)」 (1992年5月13日読売新聞)
-「ロックバンド、ザ・ブームの「島唄」が大ヒット素朴な民謡が沖縄人気に乗る」(1993年10月29日読売新聞夕刊)
-「沖縄伝統の盆踊り 「エイサー」、東京で人気 若い女性が情熱 踊り手に他県人も」 (1995年8月10日読売新聞夕刊)
-「アムロに歌ってほしい 沖縄サミットのイメージソング 小室さん語る」(2000年2月3日読売新聞)
-「デビュー10年を迎えた3人組、ビギン 洋楽と島唄を一体化させたい」 (2000年8月11日読売新聞夕刊)

>''何故、沖縄文化は注目されたのか''
1972年に沖縄復帰。20年経った1990年代にジワジワ沖縄文化が広がり始める。
NHKは周年ごとに沖縄を題材としたドラマを作る。(「ちゅらさん」など)

>''「方言萌え」の時代へ''
・「方言 サークル勧誘にも一役 (ウチらのはやりモン)」(2003年5月4日朝日新聞)
・「テレビでも「日本語ブーム」 今月から5番組、コントや方言で独自色」(朝日新聞夕刊2005年10月13日)
・「[土曜ナビ] “ばり”かっこいい“でら”かわいい・・・方言、若者大好きだべ」 (2005年10月22日読売新聞夕刊)
・「女子高生“方言”ブーム 遊び感覚で温かみ求め=YJP」 (2005年10月27日読売新聞夕刊)
・「(文豪書簡) 個人指導は夜に 方言に萌える人へ 島田雅彦」(2005年9月10日 朝日新聞be週末e4)

>''ネット普及率と「方言」記事数の推移''
1995年のインターネット元年に急上昇、
2001年のネット世帯別普及率50%超(総務省),2005~06年女子高生方言ブームを経て最高潮になる。
//,2007年ネット世帯別普及率90%超(総務省)で
その後、流行りは廃れつつあったが、2011年3月11日の東日本大震災で再び関心を持たれる。

>''ネットと「方言」で「売る」時代''
-「[ペコのてっぺんまでもうちょい] U字工事 栃木弁、永遠のルーキー (寄稿)」 (2006年6月26日読売新聞夕刊)
-「元日第4部 ふるさと新聞2009 全国ゆるキャラ特集」(2009年1月1日読売新聞)
-「NHKの山形弁番組が全国へ 「おもしゃいなー」地元で人気、あす深夜放送」(2009年4月2日読売新聞夕刊)
-「方言「売り」の時代 お国言葉連呼の歌、山形弁「なまドル」」(2010年3月15日朝日新聞)
-「対話で解決沖縄ヒーロー 「琉神マブヤー」大人気 映画化、東京で放送も 【西部】」(2011年10月28日読売新聞夕刊)
-「地方発、全国へジャンプ アイドル、ネットで視聴簡単 ヒーロー、方言多用で人気」(2012年1月7日朝日新聞夕刊)
-「[[小林市PR トレビア~ン>https://www.youtube.com/watch?v=jrAS3MDxCeA]] 「2度見たくなる」再生140万回【西部】」 (2015年9月26日朝日新間)

>''危機言語の保存・継承・活性化事業''
-危機的な状況にある言語・方言サミット(文化庁)
-危機的な状況にある言語・方言に関する研究協議会(文化庁)
-被災地における方言の活性化支援(文化庁)

>''「方言」と災害''
-東日本大震災
「「がんばっぺ」 「まげねど」 ヘルメットの声援」(2011年3月29日読売新聞夕刊)
「ボランティア必携? 方言パンフ 気仙沼の発音解説すし「スス」・知事 「ツズ」」 (2011年10月5日朝日新聞)
「んでば回すべっちゃー 石巻でラジオ体操」 (2012年7月23日読売新聞夕刊)
「ネットで残す古里の言葉 宮城沿岸 被災者の励みに東北大センター」 (2013年2月2日読売新聞タ刊)
-コロナ

>''まとめ''
80年代末から00年代にかけて方言活用の多様化が進んだ。
90年代中頃にインターネット社会が到来し、ネット+「方言」という活用の選択肢が追加された。
2000年代以降は、「方言萌え」の時代を迎え、「方言」の「癒し」「紐帯」機能や、「方言」を用いる「演出的用法」に注目が集まる。
ユネスコ 「危機言語」指定されたことにより、「方言」の保存・継承についての世界的理解が進みつつある。
「危機言語」指定を受けていても受けていなくても、リアル方言は全て危機言語化しており、「方言」のヴァーチャル(仮想)化が進んでいる。
#endregion
***第六講目の内容 [#yd0c01ec]
課題は、地域ブロックを数が多い順に並べるのが望ましい。

//偽方言ヒロイン 方言コスプレ
//被災地への応援は方言ですべきか
#region(「方言」と「打ち言葉」の相性)
''「方言」と「打ち言葉」の相性''
>''「会話以外の伝達手段として何を選ぶのか」という研究''
[[平成13(2001)年度国語に関する世論調査>http://www.bunka.go.jp/tokei_hakusho_shuppan/tokeichosa/kokugo_yoronchosa/h13/]]より
|属性|手段|h
|1960年代より前の生まれ(年齢が高い)|手紙,葉書|
|1960年代より前の生まれ(年齢が低い)|携帯メール|
1960年代生まれから、書き言葉よりも打ち言葉が優勢(傾向)

|>|打ち言葉の特徴|影響・需要|h
|非対面・非同期|自己装いを促進|言葉でコスプレしやすい。|
|文字・記号類を使用&br;(書き言葉的)|パラ言語(副言語。口調など)・非言語情報(動作や身振り)が欠ける。|情的表現を補填したい。|
|文章は短く、インターバル(間隔)も短い&br;(話し言葉的)|初期:手紙・葉書的文体&br;話し言葉的文体へ|話すように打ちたい。|
⇨話し言葉の親密コードである方言で打ちたい。

>''パソコン通信時代(1980年代~1990年代前半)''
電話回線などを用いて、独立したホスト(サービス)に接続し、情報の共有を楽しむ。
当時は使うのに技術力が必要で、ハイティーンから中年の男性がコアユーザーだった。(それでも現代と同じ現象が起こった。)

>''「方言で打ちたい」と「方言で盛りたい」''
「方言で打ちたい」が企業を動かす。
(例:関西弁が自然に変換できる日本語ソフトの作成)
#br
そして「方言で打ちたい」 から「方言で盛りたい」へ(「可愛い方言」の登場)
山のように「かわいい方言本」が出現
#br
⇨土地と結びついていた筈の方言は、土地から切り離された仮想方言へ

方言文末詞は由来する地域方言とは無関係に使われている。
([[田中ゆかり]](2014)「ヴァーチャル方言の用法」『話し言葉と書き言葉の接点』ひつじ書房 より)

>''方言スタンプ(LINE)''
方言に面白みを求めつつ、「打ち言葉」に不足する情的表現を補填

//>SNSで加速する「方言萌え」
#endregion
//#hr
***第七講目の内容 [#h6888022]
&color(Red){午後2:30からオンライン授業(Zoom)};
#hr
#region(LINEスタンプ考察)
''LINEスタンプ考察''
LINEスタンプストアは経済市場
⇨件数の多さは需要(経済的価値)の多さ
共通語と言語的距離がある地域の方言のスタンプが多い傾向
「商品」としての「方言」であり、ヒット件数の多寡は経済的価値とパラレル
//あいさつ・ツッコミ・激励等の定型表現
//程度副詞・文末表現・応答詞
//(名字ハンコ)
//ことば

//ご当地の名産・名物・名所・有名人
//コンテンツ由来の方言キャラ
//かわいい動物絵柄
//かわいい女子キャラ (地域差有)
//おじいさん&おばあさんキャラ (地域差有)
//方言ステレオタイプに合致する人物・表情(地域差有)
//ゆるい/シュールな絵柄
//分かりにくい便言には「共通語訳」 「英訳」 イラスト等で「翻訳」
//モチーフ・絵柄
>''方言スタンプに採用される「方言」は限定的''
+日本語社会においてよく知られているだろうと想像される「メジャー方言」
+全国共通語との言語的距離の遠い「濃厚方言」
+自治体などによる地元PRのための「ジモ方言」
+何らかの理由で注目を集めた「ワケあり方言」

>''方言スタンプに採用される「ことば」も限定的''
+よく知られているだろう言葉
+一見一聴では理解しにくい言葉
+文末表現やあいさつ等の短い定型表現

スタンプに用いられる「ことば」は、体系としての方言ではなく、
切り出された耳目を引くための「パーツ方言」
場面やキブンやムードの演出的効果のために投入される「方言」
#endregion
#region(ヴァーチャル方言と方言ステレオタイプ)
''ヴァーチャル方言と方言ステレオタイプ''
「素のことば」としてのリアル方言とは別水準のヴァーチャル方言が存在する
|>|>|~方言|
|~リアル方言|>|~ヴァーチャル方言|
|~|~ジモ方言|~ニセ方言(なんちゃって方言)|

|~リアル方言|生活の中で用いられる話者の生育地や社会的属性と結びついた「本当の方言」|
|~ヴァーチャル方言|「リアル方言」を何らかの水準において編集・加工したもの&br;「編集・加工」は意識的な場合もあるが、必ずしも意識的なケースばかりではない。|
ヴァーチャル度(リアル方言からの乖離度)やステレオタイプ度(役割語度)を考える。
//ヴァーチャル方言の中でも特定のイメージとのみくっ付くものがある。
ヴァーチャル方言の中には特定の方言ステレオタイプの結びつきの強いものがある

>''方言ステレオタイプ''
+「方言」の単語やいいまわしなどなどの具体的な「ことば」
+「方言」に対して抱く「方言イメージ」
+「方言」を使用する人々に対して抱く「方言話者イメージ」
+「方言」が使用されている地域に対する「地域イメージ」

どのようにして我々は方言ステレオタイプを身につけたのか?
⇨テレビや小説などから5才頃には身につける。
#br
方言ステレオタイプとの結びつきの強いヴァーチャル方言の典型は「ヴァーチャル関西弁」で、
「ステレオタイプ度」「役割語度」が高い。
//意識調査の結果から、
特定のイメージの喚起力の強い(方言ステレオタイプとの結びつきの強い)ヴァーチャル方言は限られている。

#br
「ヴァーチャル関西弁」について調査する。

//なぜ、ハイジが大阪弁だと笑えるのか
//・「アルプスの少女ハイジ」のような主人公格の純真なキャラクターに、「大阪弁」は似合わないと感じるから
//「○○弁」 「△△方言」には、キャラクターと結びついた「方言ステレオタイプ」が存在する

>''「関西弁キャラ」事例から分かること''
+タイプ
ある一定のタイプに収斂している。
イメージの交換装置としての「方言」
+設定
関西生育者であるケースもあるが、必ずしもそうではない(外国人や人外の生物が関西弁を使う。)
「地域用法」と「キャラ用法」
+位置づけ
ほとんどがサブキャラ
物語の筋を運ぶヒーロー・ヒロインは「共通語キャラ」
主人公格の場合は、舞台が「関西」で従来のヒーロー・ヒロインとは異なる造形

>''「関西弁」七つのステレオタイプ 金水敏(2003)''
①冗談好き、笑わせ好き、おしゃべり好き
②けち、守銭奴、拝金主義者
③ 食通、くいしんぼう
④派手好き
⑤好色、下品
⑥ど根性
⑦やくざ、暴力団、こわい

関西弁キャラクターはトリックスター(秩序を乱す者)
//どのようなイメージがあるのかの調査
//・おもしろい: 「大阪」
//・かわいい: 「京都」
//・かっこいい: 「東京」 (全国調査のみ)と「大阪」
//(首都圏大学生調査のみ)
//・温かい:「沖縄」
//・素朴:「東北地方(「青森」)」
//・怖い: 「大阪」、「広島」
//・男らしい: 「九州 (「福岡」 「熊本」 「鹿児島」)」
//・女らしい:「京都」
#endregion

>''課題''
2000年以降に公開された創作物とそれに登場する「方言キャラ」を一体選ぶ。
※授業で紹介したものは禁止
「第7回課題提出用」のGoogleフォームから提出する。
提出は6/4まで
***第八講目の内容 [#vf780bc8]
&color(Red){課題研究(対面授業なし)};
#hr
課題で使われている単語の解説
|~延べ数|要は合計|
|~異なり数|同じものを取り除いた合計。つまり種類の合計|
|~回答度数|回答の数|
|~ランキング|多い順に並べたもの|
***第九講目の内容 [#g52f64fe]
#region(ヴァーチャル方言の用法)
''ヴァーチャル方言の用法''
|~地域方言|在来の土地の言葉&br;話者の生育地と結びついた言葉|
|~ヴァーチャル方言|上記から解放された用法|

>''演出的言語行動''
意識的か無意識的か問わない(問えない)。
ヴァーチャル方言は土地に縛られない。
リアルとヴァーチャルはグラデーション

#br
ヴァーチャル方言には、地域用法とキャラ用法があり、
後者の内、ステレオタイプ度が強いものを役割語と言う。
|>|用法|例|h
|~地域用法|特定の「地域」イメージを喚起する用法|仮想の地元方言⋯自分がどこの生まれか伝える為に遣う方言(地元キャラの演出)|
|~キャラ用法|「地域」以外の特定のイメージ(ステレオタイプ)に紐づき、「キャラ」を喚起する用法|「なんでやねん」→面白さ(役割語)|

>''ジモ方言(仮想の地元方言)''
知識としては知っていて地元色を強調したいときには使うが、普段はあまり使わない(老人が遣うような)言葉。
本方言(地元方言)を元にしている。
|>|地域別の親密コード|h
|~非首都圏の生育者|本方言を元にしたジモ方言|
|~首都圏の生育者|ニセ方言|

>''役割語''
ある特定の言葉づかい(語彙・語法・言い回し・イントネーション等)を聞くと特定の人物像を思い浮かべることができるとき、
あるいはある特定の人物像を提示されると、その人物がいかにも使いそうな言葉づかいを思い浮かべることができるとき、
その言葉づかいを「役割語」と呼ぶ。(金水敏2003)

>''役割語化プロセス''
大衆的コンテンツでイメージが拡がり、
その後、そのイメージを帯びた二次的コンテンツが生産される。(イメージの再生産)

#br

>''「方言コスプレ」の拡張と展開''
-1980年代:「共通語化の完了」
--「方言」の価値の上昇
--親密コードの「方言」の代替ツールとしての「ヨソの方言」
-1990年代半ば:「打ちことば」の登場
--「話すように打ちたい」
--「方言の見える化」「方言コスプレの見える化」
--耳目を引く「デコる」表現としての「方言」 ※記号、絵文字、「方言」
--「ことばのコスプレ」の常態化
-2010年代:SNSの登場
--SNS などを通じ年代・性別などを超えた幅広い層に「ことばのコスプレ」拡張 ※「方言スタンプ」
--「役割・場面別キャラ」~「アカウント別キャラ」というフレームの定着

//:ヴァーチャル方言研究|
方言コスプレは、場面・使用層が限定的で遊びや演出の要素が強い(=付け足し的言語行動)
として、従来の方言研究では、方言の枠外の現象とされていた。
#endregion
***第十講目の内容 [#j7b8ef3a]
#region(方言コンテンツ)
''方言コンテンツ''
北海道や広島などは地方文学が盛ん。(特に広島は戦争を題材にしたものが多い。)
(東北を除いて)方言コンテンツ量の多い地域は強い方言ステレオタイプを持つ。
#br
直接接触(面会など)よりも間接接触(テレビや小説によって知ることなど)の方
がイメージの形成に寄与する。
#br
記憶に残る方言キャラクターを調べたところ、大阪弁>高知弁>九州弁>東北弁であった。
(九州弁と東北弁は地域ブロックとしてランクイン)
大阪が他を凌駕し、高知弁キャラクターは坂本龍馬の影響を受けているということが分かった。
#br
-イメージを形成するコンテンツ
--現代物のテレビドラマ
--放送期間が長い。
--シリーズ物で何回もリバイバル(再上映)
--公開時に評判になる。

#br
|コンテンツ|共通点|相違点|h
|朝ドラ|国民の関心が高く、影響が大きい。&br;アーカイブが多い。|舞台が現代|
|大河ドラマ|~|舞台が昔|
方言コンテンツ量の多い地域と主要な舞台は一致する。
⇨「経済の論理」は無視できない。
#endregion
***第十一講目の内容 [#k74b17a2]
外部講師による講義(ワークショップ形式)
今回の講師は、NHK朝ドラ・大河で「土佐ことば」指導を担当した俳優の西村雄正氏。
#br
受講者以外の方の参加も可能。
参加希望の方は6月30月12:00までにQRコードから参加登録をすること。
受講者ではない場合、QRコードは大学で入手する必要がある。
#br
課題を本日中に出すように
&color(Red){課題を本日中に出すように};
***第十二講目の内容 [#kac1e79b]
***第十三講目の内容 [#p362fd9e]
***第十四講目の内容 [#ce3911bb]
***第十五講目の内容 [#n11cb0f9]
}}
*コメント [#comment]
#pcomment(,reply,20,)


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