<a href="https://nichidaibunrigojokai.swiki.jp/index.php?cmd=related&page=%E9%81%93%E5%BE%B3%E6%95%99%E8%82%B2%E3%81%AE%E7%90%86%E8%AB%96%E3%81%A8%E6%96%B9%E6%B3%95%28%E9%95%B7%E8%B0%B7%E5%B7%9D%E5%8D%83%E6%81%B5%E7%BE%8E%29">道徳教育の理論と方法(長谷川千恵美)</a> の編集
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> 道徳教育の理論と方法(長谷川千恵美)
道徳教育の理論と方法(長谷川千恵美)
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*令和七年度(2025年度) [#h81d5434] #style(class=submenuheader){{
''■[[道徳教育の理論と方法]]'' #contents |BGCOLOR(#555):COLOR(White):200|520|c |BGCOLOR(#fc2):COLOR(Black):''分類''|''教員選択(高等学校一種)''| |区分|[[教職課程>教職コース/教職課程]]科目| |履修形態|一般科目だが、学科ごとにどの日程のを履修すべきか決められている。(多少、融通が利く)| |履修条件|二年生以上| |単位数|2| |講師|[[長谷川千恵美]]| |学位等|学士(教育学)| *概要 [#Gaiyou] 現在の道徳教育は、特別の教科道徳(道徳科)を要として学校の教育活動全体で行われている。 本授業では、道徳教育の基礎理論と指導法について理解すると共に、道徳授業の実践力を身につけるために、 教材の吟味分析、学習指導案の作成と指導方法の検討等を行う。 対面授業を基本とするが、状況によってはオンデマンド型授業に一部変更調整する場合もある。 #br 一般科目だが、学科ごとにどの日程のものを履修するか決められている。講師にお伺いを立てれば融通が利く。 また、この授業では班活動を多く行う。 評価は毎授業配られるミニレポートと1000字~1200程度のレポート(中間と期末)である。ミニレポートとレポートが80%、授業参画度が20%。 ミニレポートは出席確認を兼ねるが、三十分以上遅刻すると出席扱いにならない。 教科書は文部科学省の[[『中学校学習指導要領解説(平成 29 年告示)特別の教科 道徳編』(教育出版 2018)>https://www.mext.go.jp/content/220221-mxt_kyoiku02-100002180_004.pdf]] 文部科学省HPでも公開されているが、授業で使用するので必ず書籍版を購入せよとのこと。(ぶっちゃけなくてもなんとかなる。) #br この科目は文理学部(学士(教育学))のディプロマポリシーDP4,DP8及びカリキュラムポリシーCP4,CP8に対応している。 *講師の印象 [#Inshou] 電子機器の使用に慣れていない。 *令和七年度(2025年度) [#h81d5434] #style(class=submenuheader){{ **前期 }} #style(class=submenu){{ |BGCOLOR(#555):COLOR(White):200|520|c |BGCOLOR(#fc2):COLOR(Black):授業形態|対面授業| |日程/教室|火曜日 二限目/3410教室(三号館四階十番教室)| }} #style(class=submenuheader){{ **後期 [#abd9c7e3] }} #style(class=submenu){{ |BGCOLOR(#555):COLOR(White):200|520|c |BGCOLOR(#fc2):COLOR(Black):授業形態|対面授業| |日程/教室|火曜日 二限目/131教室(一号館三階一番教室)| 毎授業配られるミニレポートには授業で出た単語を盛り込む良い。 ***第一講目の内容 [#uf9def88] 授業の説明と、道徳とは何なのかについて。 >''基礎知識'' -道徳 「人間がそれに従って行為すべき正当な原理(道)と、その原理に従って行為できるように育成された人間の習慣(徳)」 (日本語大辞典より) -道徳的価値 「人間がよりよく生きるために必要なものであり、人間としての在り方や生き方の礎となるもの」 (中学校学習指導要領解説 特別の教科 道徳編 p.14より) ⇒道徳は人間が社会の一員としてよりよく生きるために形成してきた文化。人間は道徳的価値を内面化しながら道徳性を発達させていく。 >''学習指導要領(中学校)との関係'' -①道徳教育の目標(第 1 章 総則) 「学校における道徳教育は...(中略)、自立した人間として他者とともによりよく生きるための基盤としての道徳性を養うことを目標とする。」 -②道徳科の目標(第 3 章 特別の教科 道徳) 「(中略)...よりよく生きるための基盤となる道徳性を養うため、道徳的諸価値についての理解を基に、自己を見つめ、 物事を広い視野から多面的・多角的に考え、人間としての生き方についての考えを深める学習を通して、道徳的な判断力、心情、実践意欲と態度を育てる。」 -③道徳教育の内容 道徳的価値観を形成する上で必要な価値を、道徳教育の内容として構造化。 4つの視点を持つ。(中学校の場合は合計22の内容項目がある) ***第二講目の内容 [#m935ef1d] #region(道徳・倫理の由来と語意) ''道徳・倫理の由来と語意'' >''道徳'' |字|解字|意味|h |道|辶(行く)と首(かしら,先導する者)|人として守るべきこと・規範| |德(徳)|彳(行く)と悳(=𢛳)(祭壇に上る→正しい心)|修養によって身につけた優れた品性や人格(明鏡より)| -意味 --%%%広辞苑%%% 人のふみ行うべき道。 ある社会で、その成員の社会に対する、あるいは成員相互間の行為の善悪を判断する基準として、一般に承認されている規範の総体。 法律のような外面的強制力を伴うものでなく、個人の内面的な原理。 今日では、自然や文化財や技術品など、事物に対する人間のあるべき態度もこれに含まれる。 --%%%日本国語大辞典%%% 人間がそれに従って行為すべき正当な原理(道)と、その原理に従って行為できるように育成された人間の習慣(徳)。 はじめ慣習、風習、習俗の中に現われるが、人間の批判的な自覚の高まりとともに、 慣習や習俗を批判し反省しながら、慣習から分化した精神的規範や基準として現われる >''倫理'' 倫理は、あるべき規範をガイドライン、綱領、指針として明文化し、強制力をともなう場合も多い。 個人的な努力だけでは解決しない問題を社会で共有して解決する。(例:放送倫理) |字|解字|意味|h |倫|亻(人)と侖(竹簡を集めて整える)|なかま・人間同士の関わり合い・秩序| |理|王(筋の入った宝石)と里(四角く切り取られた土地)|ものごとの筋道・磨く・ただす| -意味 --%%%広辞苑%%% 人倫のみち。実際道徳の規範となる原理。道徳。倫理学の略。 --%%%日本国語大辞典%%% 人倫の道。社会生活で人の守るべき道理。人が行動する際、規範となるもの。 >''西洋の思想「Moral」と「Ethics」の伝来'' 道徳と倫理(倫理学)はそれぞれ英語のMoralとEthicsを明治初期に和訳したものである。 元々の起源はギリシャ語。 |>|CENTER:語源|h |nomos ノモス|ethos エートス| |習慣 掟などの規範|習慣 習俗 性格| ※ethosはやがて以下のような意味合いに変わる。 ①生まれ育ち住み慣れた場所・土地で自然発生的に形成された習慣、約束事などの規範。 ②それらを通して内面化された性格、性質、人柄。 #br 日本では5~6世紀頃、大陸との交流により儒教が伝来し、官僚は『論語』をはじめとする儒教(儒教道徳)を学問として学んだ。 近世・江戸時代には儒教は幕藩体制を支える学問、庶民の規範として学ばれた。 ⇒「道」「徳」「倫」は古代中国の儒教経典(四書五経)に多出。和訳に用いられる。 #br 明治以降の近代化過程においてmoral、ethicsの邦訳として儒教書にある修身(学)、道徳(学)、倫理(学)、倫常の学などをあてたが、 明治十年代中頃には、「道徳」、「倫理」という訳語が定着化する。また、小学校令(明治23)に、道徳教育という言葉が始めて明記された。 #br 辞書的には、MoralとEthicsの語源は習慣や習俗という意味で共通しており、道徳、倫理も同じような意味で扱われているが、 欧米とは歴史や文化も違う日本でそれらをどのように解釈し邦訳、定義づけされてきたのかは十分明らかにされていない。 概して言えば、道徳は人としての生き方や在り方(being)を追求して実践する、倫理は個人や社会の行動規範を追求するという面での違いが指摘できる。 このような道徳・倫理を学問的に探究するものとして倫理学、道徳哲学がある。 #br 近年、エシカルシンキング(倫理的思考)ということばが使われるようになった。環境や人、社会への影響を考慮して行動しようとする考えのことである。 これは自ら行動するという実践につながるもので、厳密には道徳・倫理の課題ととらえられる。 道徳教育を学ぶにあって、道徳・倫理の意味合いや関係性を考えてみることで、道徳教育の意義や役割を再確認できるのではないだろうか。 #endregion #region(法と道徳) ''法と道徳'' ||対象|目的|h |道徳|善悪という観点からみた人間の行為|人格の完成| |法|反社会的であるかどうかという観点からみた人間の行為|社会秩序と平和のために&br;「万人の万人に対する闘争」(ホッブス)の危険を、正義にかなう方法で排除すること⇒社会契約説| |道徳|法|h |自然法(natural law)&br;人間の理性によって認識される法&br;人間の本性から生じる法|実定法=成文法&br;人間が定めた法・法規範| |①非成文化規範&br;②個人の内面を規律→内的規範&br;自己の良心に対する義務&br;③良心の呵責,反省,後悔|①成文化された規範(権利と義務)&br;②外的行為を規律&br;③国家権力による強制&br;制裁→罰(刑事・民事)(罪刑法定主義)&br;社会的課題や価値観などで法制化・改正| |*法を動かす原則|*道徳を間接的に実現&br;現代法=憲法・法律・政令・条例・規定・規則・条約・宣言など| #endregion #region(宗教と道徳) ''宗教と道徳'' 人智を超えた存在への信仰や儀礼、それらを共有する組織・共同体⇒心のよりどころ,生きる意味 >宗教の性質 -開祖,教義・経典 儀式作法 戒律やタブーなど規範の共有 ◆近代以前のヨーロッパキリスト教や日本仏教 ⇒道徳教育の役割 ◆キリスト教の十戒・仏教の五戒など ⇒共通した規範 ◆イスラム教の聖典コーランやヒンズー教のカースト制度 ⇒内部のみで共有される規範 #br 宗教的規範には、人間の本来的な道徳的要求から生まれたものもあるが、すべての人々に適用され受容されるわけではない。 ⇒普遍的ではない。つまり宗教と道徳は似て非なるもの。 -二重構造 信仰の相違・排他性⇒異端・対立・廃除 宗教的権力と政治・国家権力の結合⇒迫害・虐殺・戦争 政教分離の原則=信教の自由・宗教的中立 ⇒信仰は個人の問題であり、政治は一切干渉してはならない。 ⇒政教分離、宗教と教育(道徳教育)の関係は国によって違う。 >''日本の場合'' 教育基本法第15条(宗教教育)・日本国憲法第20条 1.宗教に関する( 寛容 )の態度、宗教に関する( 一般的な教養 )及び宗教の社会生活における地位は、教育上尊重されなければならない。 2.国及び地方公共団体が設置する学校は、特定の宗教のための宗教教育その他宗教的活動をしてはならない。 #endregion >''[コラム]:アウティングと道徳・法'' アウティングとは、本人の秘密を本人の了解を得ずに公にすることを意味する。 近年の日本においては、性的指向や性自認などセクシャリティにまつわる秘密を本人の同意なく公にすることをいう場合が多い。 #br その契機となったのは一ツ橋大学の事件である(2015)。 学生Aは学生Bに交際を求めたが、BはAがゲイであることを知り、Aを含む友人たちのグループラインで伝えた。 そのことでAは強い精神的苦痛を受けて自死。両親はBと大学に損害賠償請求を行った。 判決では遺族の請求は棄却されたが、 アウティングは「人格権ないしはプライバシー権などを著しく侵害するもので、許されない行為」であり不法行為であると言及した。(⇒「アウティング禁止条例」) #br このようなアウティングは、反省して謝ればよいというような問題では終わらず、人格を傷つけ、命にかかわる問題にもつながりかねない。 厚労省はアウティングをパワハラの対象とし防止措置を義務づけている(パワハラ防止法)。また場合によっては法的対応(民事)も要求される。 ***第三講目の内容 [#mbe1addd] 道徳とは、ある社会における人間の行為の善悪を判断する基準、一般に承認されている規範の総体。 または、それに照らした正しい行為や習慣(そこから形成される性格、人格) ⇒「善」を問い、「善」の実現を志向するもの。善さ。 #br -非道徳的なよさ(非道徳的判断) 物事の性質や品質、特定の基準を前提に判断される。 -道徳的なよさ(道徳的判断) 「私」だけの欲望や利益、快楽を条件とする判断ではなく、「私と他者との相互性」において判断されるもの。 ★誰にとっても諒解、納得できる性質のもの⇒共通性、普遍妥当性への要求 ★【善い】⇒他の「よい」とは交換不可能・独自性 #hr #region(道徳は教えられるか) ''道徳は教えられるか'' ソクラテス(前 469-399)の問い *徳は知識や技術のように教えることはできるのか *有徳な人物でも自分の子を立派に育てられない(例:アテナイの有徳の政治家ペリクレスのエピソード ⇒不正ばかり働く不肖の息子) *そもそも徳とは何か(徳そのものの性質)、より善く生きるとは #br >アリストテレスの実践的3段論法 徳目主義の克服に期待される。 -大前提(原則) =道徳的判断の大前提としての道徳の原理・原則の認識(知識) -小前提(状況の認識) =自分や他者の置かれている状況について認識 -結論(行為の決定) =大前提と小前提をつきあわせ、原則にかなった行為を判断選択する。原則同士の対立 心理的葛藤が起こることも。 ⇒ [相手を想い遣る心](元徳)を拠り所にして判断し、行為を決定 |道徳の原則|「(道徳の)道に当たるもの」「するべき」| |状況の認識|問題状況の認識 経験・学習| |行為の決定|「(道徳の)徳に当たるもの」教えられない| >【資料1】 古代ギリシャでは、人やもの固有の卓越性、優秀性をアレテー(徳)と呼び、勇気、節制、正義、知恵、敬虔などの徳が重視されていた。 前5世紀、直接民主制が発展したアテナイでは、アレテー(徳)は、国家社会の一員としての 政治的・社会的能力、民会や法廷で皆を説得できる弁論術や知識を意味するものになる。 そのような能力を身につけ政治的成功を得たいポリス市民に答えたのがソフィスト(職業教師)であり、 自らを知者、徳の教師と名乗った。彼らは善悪の判断は人それぞれ違っており絶対的真理は存在しないという相対主義の立場をとり、 財産や地位、権力を手に入れることが正しく、善い生き方と考えた。 さらにペロポネソス戦争(前 431-404)による社会的混乱の中で、詭弁により大衆を巧みに扇動する政治(衆愚政治)か行われるようになり、 ポリスの伝統的規範や法が軽視される風潮が生まれた。このような風潮を危惧し、「徳」を探求したのがソクラテス(前 469-399)である。 ソクラテスは、知者と自称するソフィスト達に対して、徳そのものが何であるかを知らずに市民に迎合しているだけだと論駁した。 そして善い生き方とは、人間固有の卓越性である理性を十分に働かせ、魂が優れたものになるように魂に配慮することであると考えた。 そのためには自分の無知を自覚し、何が本当に正しいのか、善いことなのか、正しい知恵を持つことが大切であると主張した(知を求め愛する=philosophy )。 ソクラテスは書物を残さず、市民との対話(問答)を通して、 徳とは何か、徳は教えることができるのか、徳と幸福はどういう関係にあるのか等々探究し続けたのである。 >プラトン『ゴルギアス』(中澤務訳 光文社 2022 より) 政治家カリクレス: …いいですか、正しく生きようとする者は、自分の欲望をできるだけ大きくなるがままにしなければなりません。 欲望をおさえつけてはならないのです。最大限に肥大化した欲望に、十分に奉仕しなければなりません。 勇気と賢さによってね。…ところが、そのようなことは、思うに、大衆どもにできるようなことではありません。 …自分たちはといえば、快楽で満ち足りることができないものだから、節度やら正義やらをほめたたえるわけですが、 結局それも自分たちに意気地がないからなのですよ。…ソクラテスさん。あなたは真実を追求するという。ですがね、これが真実なのですよ。 つまり、贅沢をして、放埓にふるまい、そしてなにものにも束縛されないこと。 それを実現するためのしっかりとした後ろ盾を持つなら、それこそが徳であり、しあわせなのです。 それ以外のあの飾り物、つまり人間たちが自然に反して取り決めたことなんて、無意味で、何の価値もないのです。 #br ソクラテス:まったく、堂々としたものだね、カリクレス君。なにひとつ包みかくそうとしない、きみのその話しぶりは。… ペロポネソス戦争敗北から5年後、ソクラテス70歳の時、不敬神、青年を堕落させた罪で告訴され、死刑となり自ら毒盃を仰ぐ。 弟子プラトンは、ソクラテスとソフィスト、市民、政治家たちとの対話を蘇らせる著作活動に取り組み、自身の哲学を構築していった。 #endregion #region(徳目主義) ''徳目主義'' -徳目 慣習的道徳(善さ)を分類して細分化したもので、道徳の原理・原則を表すことば。価値語。 -徳目主義 徳目を一つひとつ教えていけば道徳性が育つという考え。徳目をあらわす教材を読ませ、 あらかじめ決められた答えや結論(正解)に子どもを導こうとする指導の在り方。 戦前日本の道徳教育(修身科)においては徳目主義的な指導が行われていたが、戦後はその問題の克服が目指されて今日にいたる。 「徳目主義」のどこに問題があるのか、理解しておく必要がある。 #br [[「蜘蛛の糸」(芥川龍之介 1918)>https://www.aozora.gr.jp/cards/000879/files/92_14545.html]]を例として考える。 〇文学作品として読む場合:自由な解釈、読みができる。 〇道徳教材として読む場合:「反省・節度」という徳目に縛れる。予定調和で終わる。 #endregion ***第四講目の内容 [#v1167869] #region(道徳教育の歴史) ''道徳教育の歴史'' >近代以前 -古代 自然信仰(アニミズム、八百万の神)神道・神社神道 儒教(5世紀~) 四書五経 治世の学 *儒教道徳(五倫五常) |五倫|父子の親、君臣の義、夫婦の別、長幼の序、朋友の信| |五常|仁・義・礼・智・信| 仏教(6世紀~)=大乗仏教 因果応報 八正道 五戒 →神仏習合 主君への忠誠、御恩と奉公 -中世 武士や庶民に儒教、仏教の教えが広がる。 *言い伝え・口承 説話(十訓抄 御伽草子) 寺院は武士や庶民の教育機関⇒儒学、仏教、読み書き、兵学、文芸 -近世江戸時代 身分階層に応じた教育が行われ、儒教道徳(論語その他)を学ぶ。 ・昌平坂学問所(幕府、朱子学) ・私塾(漢学 洋楽 和学) |藩校(武家) |幕府と藩の主従関係と「家」を中心とする忠孝の道徳や礼法その他| |寺子屋(庶民)・郷学(武家、庶民)|日常生活や職業に必要な道徳| *印刷技術、識字率の向上による知識、技術、道徳(規範)の共有 *仏教が世俗化 >近代以降 ・王政復古 ・神仏分離令(1868) ・国家神道⇒従来の神社神道と区別して国が管理 -1872~「学制」期 立身出世・富国強兵 実学 *修身科:「修身斉家治国平天下」(儒教経典『大学』) 下等小学 1,2 学年 修身口授(ぎょうぎのさとし) 欧米倫理書の翻訳書の説諭 道徳教育の目的、内容は曖昧 -1879~ 教育令期 *「教学聖旨」内示(天皇侍講の元田永孚が起草)⇒儒教道徳(仁義忠孝)を教育の根本に置く。 背景…欧化路線の弊害=品行風俗の乱れ 自由民権運動 |>|徳育論争|h |伊藤博文「教育議」&br;欧米的な市民道徳による開化|元田永孚「教育議附議」&br;伝統的儒教道徳による国教の樹立| -1880 修身が筆頭教科となる(修身読書習字算術…) -1886~ 小学校令期 (1900→尋常小学4年義務教育 1907→6年に延長) -1889.2 大日本帝国憲法公布(「万世一系ノ天皇之ヲ統治ス」(1 条) -1890.10 「教育ニ関スル勅語」発布(元田永孚、井上毅起草) 小学校令改正⇒ 「小学校ハ児童身体ノ発達ニ留意シテ道徳教育及国民教育ノ基礎並其生活ニ必須ナル普通ノ知識技能ヲ授クル…」 -1908.10 戊辰詔書(国運を発展させるために国民道徳を強化) 大正期(1912-1926)には、欧米の教育を導入⇒大正自由教育・児童中心主義の教育 師範学校付属小、私立学校では児童の自発性や経験を重視する教育が試みられる。 -1939.5 「青少年学徒ニ賜ハリタル勅語」(青少年が国に対する大任を果たすために努めるべき徳目を示す) -1941.4~ 国民学校令期(小学校を国民学校と改称 初等科・高等科 義務教育年限を8年に延長) 国民科(修身・国語・国史及び地理科)/理数科/体錬科および芸能科/実業科(高等科のみ) 教育の目的⇒「皇国ノ道ニ則リテ…国民ノ基礎的練成ヲ為ス」(第1条) 修身の目的⇒「教育ニ関スル勅語ノ趣旨ニ基キテ国民道徳ノ実践ヲ指導シ、児童ノ徳性ヲ養ヒ皇国ノ道義的使命ヲ自覚セシムル」(同施行規則第3条) #endregion #region(教育に関する勅語) ''教育に関する勅語'' 明治二十三年(1890)十月三十日発布 勅語とは法令ではなく天皇の意志表明のこと。 [[【本文と口語訳】>https://www.meijijingu.or.jp/about/3-4.php]] |>|教育勅語の特質|h |前段|天皇の徳と臣民の忠義の一体的関係| |中段|臣民が守るべき徳目を列挙(家族 個人 社会国家)| |後段|徳目は皇祖皇宗の遺訓| |全般|儒教主義的な道徳観| #endregion #region(修身科) ''修身科'' -修身科設置(明治5~)当初:目標、内容ともに曖昧であったが教育勅語発布に伴い明確化される。 ⇒勅語の謄本を全国の学校に下賜し、修身科で教育勅語の徳目を教え、学校儀式で勅語を取扱う。 教育勅語「奉読式」(「小学校祝日大祭日儀式規定」明治24~) *内村鑑三の不敬事件 教職員殉死 御真影(天皇・皇后の肖像写真)への最敬礼 校長による勅語奉 唱歌斉唱(君が代、紀元節、天長節その他) 昭和期→奉安殿(教育勅語と御真影を保管)への最敬礼 教育勅語、歴代天皇名の暗唱 #br -明治25~:検定教科書作成⇒教育勅語や「小学校教則大綱」(明治 24)に示された徳目に従って編集 徳目を説明するための例話や格言、挿絵を掲載 徳目の解説・暗記=徳目主義 >修身科の評価 |明治初期|学科試験+行状点| |明治26年~|通信簿に「操行査定欄」(人物評価)| |明治33年~|修身科の学業成績(道徳知識)+操行査定を義務づける(甲乙丙など)| 中学校(男子)では、落第、懲戒、生徒管理⇒評価の信頼性の問題 >他教科における修身 |体操|兵式体操(男子) 1925 中学校以上の男子に陸軍現役将校配属 軍事教練の強化| |国語・音楽(唱歌)|明治中期以降、軍国美談や徳目唱歌・軍歌(例:軍旗 軍犬利根 三勇士(爆弾三銃士) 水平の母 特別特攻隊 戦友)| *国民学校「体鍛科」(体操・武道) ⇒「身体ヲ鍛錬シ精神ヲ練磨シテ潤達剛健ナル心身ヲ育成シ 献身奉公ノ実践力ヲ培フ…強靭ナル体力ト旺盛なる精神力トガ国力発展ノ根幹ニシテ特ニ国防ニ必要ナル所以ヲ自覚セシムヘシ」集団規律の重視 *国民学校「国民科」⇒教科書「国史」…「皇国の歴史的使命ヲ自覚セシムル…」冒頭に「神勅」掲載 #endregion ***第五講目の内容 [#u98090e1] #region(道徳教育の歴史(敗戦後)) ''道徳教育の歴史(敗戦後)'' |全面主義|学校全体で道徳教育を行う。| |特設主義|特別に道徳科を置く。| >''「道徳の時間」設置の経緯'' -1945 敗戦 「修身、日本歴史及ビ地理停止ニ関スル件」(GHQ4大指令の第 4)→授業停止&教科書回収、修身は再開されず廃止 「軍国主義的、極端な超国家主義イデオロギー」の普及を禁止、廃除(神道指令) -1946 米国教育使節団来日,教育刷新委員会設置,日本国憲法公布 文部省( 公民科 )構想(修身と公民を統合した新教科)⇒CIE(GHQ 民間情報教育局)の意向で実現せず -1947 教育基本法・学校教育法 学習指導要領一般編(試案) ⇒道徳教育は新教科( 社会科 )の中で行う(公民科の理念を継承)。経験主義の理念・問題解決学習重視 -1948 教育勅語が国会で失効決議。擁護派と否定派が衝突。 -1950 朝鮮戦争→米対日政策の転換。反共の防波堤→警察予備隊設置(1954~自衛隊)へ 第二次米国教育使節団報告書⇒道徳は社会科だけでなく全教育課程で行うべき(全面主義) 文部大臣の天野貞祐が教育課程審議会に修身教育の復活を提案諮問する。→審議会の反対で実現せず(1951.1 道徳教育振興に関する答申) -1951 サンフランシスコ講和条約と日米安全保障条約 天野貞祐「国民実践要領」(40の徳目)の制定を示す。→世論の反発により撤回(1953年に退任後私人として発行) -1953 池田・ロバートソン会談 …「愛国心と自衛のため自発的精神の育成」 -1957 松永文部大臣「道徳教育強化のための時間特設について」教育課程審議会に諮問 -1958 教育課程審議会答申「小学校・中学校の教育課程の改善について」 ⇒全面主義の方針は変更せず、その徹底を図るために新たに『道徳』の時間を設け、教科としては取り扱わないことを提言 争点:教科にするか否か、生活指導か道徳指導か道徳か、社会科との関係 ↳基礎学力低下→生活単元学習から系統学習へ。→社会科から道徳を分離。社会科は系統学習重視へ。 学校教育法施行規則改正 小・中学校学習指導要領改訂(告示) 「道徳の時間」(小・中学校・週1回)2学期より実施(昭和36年より全面実施) -''1958(昭和33年)'' |>|【1958(昭和 33) 道徳教育の目標と方針等の概要(中学校学習指導要領)】|h |道徳教育の方針|学校の教育活動全体を通して、道徳性を高める指導を行う。(全面主義道徳)| |道徳教育の目標|教育基本法および学校教育法に定められた教育の根本精神に基づく。| |道徳の時間の目標|各教科等と密接な関連を保ちながら&br;「生徒の望ましい道徳的習慣,心情,判断力を養い,社会における個人のあり方についての自覚を主体的に深め,道徳的実践力の向上を図る」| |道徳の時間の指導|学級担任の教師が担当。&br;内容は、「教師も生徒もいっしょになって理想的な人間のあり方を追求しながら,&br;われわれはいかに生きるべきかを,ともに考え,ともに語り合い,その実行に努めるための共通の(以下省略)」| -1958 「道徳の時間」設置(特設) 道徳教育の設置過程への批判,修身教育復活への懸念,指導の難しさと指導理念の無理解 -1963 教育課程審議会答申「学校における道徳教育の充実方策について」 -1965 文部省通達「道徳の読み物資料について」道徳の副読本を作成(教科書ではない)して授業で使用 -1986 臨時教育審議会第2次答申⇒人間形成の基盤としての道徳教育の充実 ◯受験競争 ◯青少年の非行,いじめ,不登校 ◯社会全体の規範意識の変化・家庭や地域の教育機能の低下 -1998 中央教育審議会答申「幼児期からの心の教育のあり方について」→「心の教育」 第1章 未来に向けてもう一度我々の足元を見直そう (1)「生きる力」を身に付け、新しい時代を切り拓く積極的な心を育てよう (2)正義感・倫理観や思いやりの心など豊かな人間性をはぐくもう (3)社会全体のモラルの低下を問い直そう 第2章 もう一度家庭を見直そう 第3章 地域社会の力を生かそう 第4章 心を育てる場として学校を見直そう -1998 学習指導要領改訂 ゆとりの中で生きる力を育てる 知・徳・体 心に響く道徳教育 -2000 教育改革国民会議「教育を変える17の提言」⇒学校は道徳を教えることをためらうな(教科化提言)←実現せず -2002 文部科学省「心のノート」(補助教材)を全国小中学校に無償配布 イラスト/写真/文章/書き込み欄/問いかけ -2006 教育基本法改正 教育の目的を達成するための目標のひとつとして、道徳教育に関する規定を明記。「知育・徳育・体育」 第2条―1.幅広い知識と教養を身に付け、真理を求める態度を養い、( 豊かな情操と道徳心 )を培うとともに、( 健やかな体 )を養うこと。 -2007 教育再生会議第2次答申⇒道徳の教科化提言 *グローバル化,知識基盤社会,技術革新に伴う現代的課題 *道徳授業の形式化・形骸化 *いじめ,犯罪の低年齢化 -2008 改訂学習指導要領(「生きる力」の理念の共有) -2013 教育再生実行会議 第1次提言「いじめ問題等への対応について」 「道徳教育の重要性を改めて認識し、その抜本的な充実を図るとともに新たな枠組みによって教科化し、人間の強さ・弱さを見つめながら、理性によって自らをコントロールし、より良く生きるための基盤となる力を育てることが求められます」 …「子どもが命の尊さを知り、自己肯定感を高め、他者への理解や思いやり、規範意識、自主性や責任感などの人間性・社会性を育むよう、国は、道徳教育を充実する。 そのため、道徳の教材を抜本的に充実するとともに、道徳の特性を踏まえた新たな枠組みにより教科化し、指導内容を充実し、効果的な指導方法を明確化する」 道徳教育の充実に関する懇談会最終報告「特別の教科 道徳」設置を提言 -2014 文部科学省『私たちの道徳』(心のノートの全面改訂版)web公表⇒4月、小中学校に無償配布 中央教育審議会答申「道徳に係る教育課程の改善等について」 -2015 小・中学校学習指導要領一部改訂(学校教育法施行規則改正)⇒「特別の教科 道徳」(道徳科)設置 -2016 幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領の改善及び必要な方策等について -2017 小・中学校学習指導要領全面改訂⇒2018(小)2019(中)より全面実施 #endregion #region(道徳教育の現状) ''道徳教育の現状'' >''従来の道徳授業(「道徳の時間」)→心情主義'' -授業 読み物資料の登場人物の心情理解のみに偏った形式的な指導 発達段階を十分踏まえず、児童生徒にわかりきったことを言わせたり書かせたりする。 -実効性 実際の道徳的行為や習慣につながりにくい。 いじめのような現実的問題に対応できていないのでは -教育現場の問題 学校間や教師間での授業の質の格差 指導法への不安・道徳授業軽視(多忙)・忌避感 >''「特別の教科 道徳科」への改訂の基本方針'' 道徳教育の特質を踏まえた抜本的改善 〇道徳教育の目標、道徳科の目標をわかりやすいものにする。 〇検定教科書導入 〇発達段階を重視した、多様で効果的な指導方法の改善⇒問題解決的、体験的な学習の充実 〇児童生徒のよさを伸ばし、成長をうながすための評価を充実させる。 #br 「特定の価値観を押し付けたり、主体性をもたず言われるままに行動するよう指導したりすることは、道徳教育が目指す方向の対極にあるものと言わなければならない」 #br 「多様な価値観の、時に対立がある場合を含めて、誠実にそれらの価値に向き合い、道徳としての問題を考え続ける姿勢こそ道徳教育で養うべき基本的資質である」 #br 「これからの時代においては、社会を構成する主体である一人一人が、高い倫理観をもち、人間としての生き方や社会の在り方について、多様な価値観の存在を認識しつつ、 自ら考え、他者と対話し協働しながら、よりよい方向を模索し続けるために必要な資質・ 能力を備えることが求められている。子供たちのこうした資質・能力を育成するために、道徳教育はますます重要になっていると考えられる」 >なぜ「特別の教科」なのか? 「教科と共通する側面」と「人格全体に係る側面」の両側面から総合的な充実を図るから。 |教科と共通する側面|学習指導要領の内容に基づき、体系的な指導により道徳的価値に関わる知識、技術を学び教養を身につける。| |人格全体に係る側面|自ら考え、道徳的行為を行うことができるようになるための道徳性の育成数値による評価は適さない。| →数字による評価が難しい。 >''道徳教育の現代的課題【いじめ防止】'' 中学校学習指導要領(第1章 総則 第4)にいじめ防止の文言明記 「…道徳教育の指導内容が、生徒の日常生活に生かされるようにすること、その際、いじめの防止や安全の確保等にも資することとなるよう留意すること」 #br 「いじめ防止対策推進法」2013 (目的)第1条: この法律は、いじめが、いじめを受けた児童等の教育を受ける権利を著しく侵害し、その心身の健全な成長及び人格の形成に重大な影響を与えるのみならず、その生命又は身体に重大な危険を生じさせるおそれがあるものであることに鑑み、児童等の尊厳を保持するため、いじめの防止等(いじめの防止、いじめの早期発見及びいじめへの対処をいう。以下同じ。)のための対策に関し、基本理念を定め、…(以下略)」 #br -基本的な考え方 1.いじめはすべての児童に関係する。 2.いじめの与える影響、いじめ問題に対する理解の必要性 3.上記のことを国、学校、社会全体が共有し、いじめを克服していく責任がある。 #br -道徳教育(道徳授業)に何ができるか、何をすべきか? ◆人権学習と関連させた指導 ◆いじめと関連する道徳的諸価値の学習の充実 ◆スローガンで終わらせない 実効性につながる指導 ⇒いじめに関する正しい知識、情報を共有し、問題解決的、体験的な学習を行う。 >''道徳教育の現代的課題【情報モラル 生命倫理 SDGs】'' 中学校学習指導要領(第3章「特別の教科 道徳」第3の2ー(6) 「生徒の発達の段階や特性等を考慮し,第2に示す内容との関連を踏まえつつ, 情報モラルに関する指導を充実すること。また,例えば,科学技術の発展と生命倫理との関係や社会の持続可能な発展などの現代的課題の取扱いにも留意し,身近な社会的課題を自分との関係において考え,その解決に向けて取り組もうとする意欲や態度を育てるよう努めること。なお,多様な見方や考え方のできる事柄 について,特定の見方や考え方に偏った指導を行うことのないようにすること」 ※「例えば」から「努めること」の内容は新たに明記されたもの。 #endregion ***第六講目の内容 [#f6a15920] #region(道徳教育の目標) ''道徳教育の目標'' 道徳教育や体験活動、多様な表現や鑑賞の活動等を通して、豊かな心や創造性の涵養を目指した教育の充実に努めること。 中学校学習指導要領 第1章総則第1の2(2)より ※教育基本法第2条―1「豊かな情操と道徳心」を受けたもの 学校における道徳教育は,特別の教科である道徳(以下「道徳科」という。)を要として学校の教育活動全体を通じて行うものであり, 道徳科はもとより,各教科,総合的な学習の時間及び特別活動のそれぞれの特質に応じて,生徒の発達の段階を考慮して,適切な指導を行うこと。 道徳教育は,教育基本法及び学校教育法に定められた教育の根本精神に基づき,人間としての生き方を考え,主体的な判断の下に行動し, 自立した人間として他者と共によりよく生きるための基盤となる道徳性を養うことを目標とすること。 道徳教育は、道徳科を要として学校の教育活動全体を通じて行う。 道徳科:中核的な役割 ↑〈補充・深化・統合〉 各教科・総合的な学習の時間・特別活動+日常の指導 *各教科等には固有の目標や指導内容があり、道徳に係る指導を目標とはしないが、道徳的価値に関わる指導が可能な場面(内容)、指導すべき場面もある。 各教科等、道徳科の特質や関連性を考慮して指導することによって学校教育全体を通じての道徳教育が充実する。 >道徳教育の在り方 -■発達の段階を考慮する ①発達の段階(児童期~青年期)の特質に関する一般的理解⇒それぞれの段階に相応しい指導目標、内容、方法 ②道徳性は他律から自律へと向かう(ピアジェ 1896-1980) ③発達の個人差に対する理解と配慮 ⇒中学校段階は心身の発達が著しく、道徳性の発達、物事に対する見方や感じ方も多様で個人差がある。 一般的な発達の特質を理解しながら、一人ひとりの実態や個性を理解して指導にあたる。 #br -■教育基本法および学校教育法に定められた教育の根本精神に基づく |教育基本法|前文・第1条(教育の目的)第2条(教育の目標1~5)から第18条| |学校教育法|教育基本法の目的を実現するための義務教育の目標(第21条1~10)その他| #br -■道徳性を養うことを目標とする --道徳性とは,「人間としての本来的な在り方やよりよい生き方を目指して行われる道徳的行為を可能にする人格的特性」であり, 人格の基盤をなすものである。それはまた,人間らしいよさであり,道徳的諸価値が一人一人の内面において統合されたものといえる。 --道徳性、とりわけ内省しつつ物事の本質を考える力や何事にも主体性をもって誠実に向き合う意志や態度、豊かな情操などは、 「豊かな心」だけでなく、「確かな学力」や「健やかな体」の基盤ともなり、「生きる力」を育むために極めて重要なもの」 --様々な課題や問題を解決し、よりよく生きていくための資質・能力 >道徳性の諸様相 中学校学習指導要領 第3章 特別の教科 道徳 ― 第1 目標 第1章総則の第1の2の⑵に示す道徳教育の目標に基づき,よりよく生きるための基盤となる道徳性を養うため, (道徳的諸価値)についての理解を基に,自己を見つめ,物事を広い視野から(多面的・多角的)に考え, 人間としての生き方についての考えを深める学習を通して,道徳的な (判断力),(心情),(実践意欲と態度)を育てる。 →道徳的判断(知性の働き)・道徳的心情(感情の働き)・道徳的実践意欲(意志の働き) #br ◆捉え方 -〇特に序列や段階があるということではない。一人一人の生徒が道徳的価値を自覚し、人間としての生き方について深く考え、 日常生活や今後で会うであろう様々な場面及び状況において、道徳的価値を実現するための適切な行為を主体的に選択し、実践することができるような内面的資質。 -〇それぞれが独立した特性ではなく、相互に深く関連しながら個人の生き方や人間の文化的活動、社会生活を根底で支えている。 -〇これらが全体として密接な関連をもつように指導する。 #endregion #region(道徳性の発達に関する諸学説について) ''道徳性の発達に関する諸学説について'' 道徳性については、まず学習指導要領解説書における説明内容を理解する必要がある。 しかし一方、道徳性のとらえ方には諸説あり、道徳教育の理念や実践に影響を与えてきたともいえる。 また国や社会文化による違いがあり、道徳教育の制度や指導方法は一つではない。それらに眼を向けて相対化する視点を持つことによって、 子どもの成長を見守る視野を広げ、道徳教育の実践に資することができる。以下、道徳性の発達に関する諸学説を概観する。 ルソー(1712-1778)は、「弱いもの」として生まれる人間の発達の可能性と教育の必要性を見出し、近代的な教育思想へと導いた(『エミール』1762)。 また生物学者ポルトマン(1897-1982) は、人間は「生理的早産」で生まれ、その未熟性と弱さゆえに養育や世話が不可欠であり、 「学習」を通して成長発達していくという学説を展開した(『人間はどこまで動物か』1961)。 このような発達上の特質を持つ人間は、発達の可能性に働きかけて人間形成を助けていく営みを必要とするゆえに、 さまざまな教育やしつけといわれる営みが行われてきたのである。 その後心理学の発達により道徳性が注目されるようになった。例えばフロイト(1856–1939年)は、 従来の哲学が説明してきた良心、理性というものの限界性に眼を向けて心のメカニズムを明らかにし、人間の悩みや不安、道徳性を新しい視点でとらえようとした。 つまり、人間の意識はエス(無意識的な欲動)と自我(最も本来的な主体)、超自我(親を手本とした良心、道徳的判断)の構造から成り、 自我はエスと超自我の間を絶えず揺れ動くと考えた。 ピアジェ(1896-1980)は、子どもの道徳性は、自発的な集団遊びの中での子ども同志の協同の経験を通して、 相互の責任や尊敬、自分達が作ったルール(公平性やその意味)を自ら受け入れるようになること、 つまり他律(拘束)から自律(協同)へと発達することを明らかにした。この学説は教育界に大きな影響を与えた(『子どもの道徳的判断』1930)。 さらにコールバーグ(1927-1987)は、ピアジェの学説を継承しつつも、道徳性の根拠を判断能力に求め、道徳性発達段階論(幼児期~青年期:3水準6段階)を提唱した。 人間はライフサイクルにおける様々な役割取得の中で価値葛藤を経験しながら道徳的判断を獲得するという理論もとづき、モラルジレンマ授業を提唱実践した。 この授業実践は 1970~80 年代の道徳教育に大きな影響を及ぼし、日本の道徳教育にも一定の影響を与えてきた。 また、デュルケム(1858-1917)は、道徳教育の役割は、未熟な子ども達に社会規範や行動様式を教え込み身につけさせることであるとし、 公教育としての道徳教育の必要性を提起した。道徳性の主要素として、「規律の精神」「社会集団への愛着」「意志の自律性」を挙げ、 指導方法は宗教的権威ではなく、個人の尊重に基づいた合理的、普遍的倫理によるべきとした。 この政教分離の原則は現在のフランスの教育を特徴づけるものとなっている。 #br >コラム:道徳と脳研究、生命科学(Moral and brain research,life science) ★道徳は、古くから哲学や倫理学、心理学、社会学をはじめ様々な学問領域からのアプローチがなされてきた。 さらに、近年の脳研究の発展により、道徳性と前頭葉[大脳新皮質]の関係が解明されつつある。 たとえば、前頭葉[大脳新皮質]は人間らしさ(理性、思考、判断、行動、意欲、自己抑制、社会性、創造性など)の司令塔として働いている。 ただし、特定の倫理規範のみで人間の行動は決定されるのでなく、前頭葉各部位の大小(損傷も含む)など脳の構造の個人差が 道徳感情や行為の個人差につながることも指摘されている。 また、脳下垂体から分泌されるオキシトシン(ホルモン)は、共感や信頼、社会性と関係があり、 幼児期からの親子の身体的な触れ合い、運動、遊びや触れ合いとオキシトシンの分泌は相関するようだ。 道徳性の発達の基礎には、乳幼児期からの親子のきずな[愛着]が大事であるという心理学の見解を裏付けるものとして興味深い。 #br さらに、生命科学(Life Science)の進展により、学校教育にいても、人間、科学技術と自然の関係を問い直し、生命倫理、環境倫理など 新たな課題を対象とするようになった。森岡は、生命の本質を ①連なりの本性 ②自己利益の本性(生命への欲望) ③ささえの本性 としてとらえ、そこから生命と道徳・倫理の課題を提起している。 このように、哲学、心理学から脳科学、生命科学まで、道徳・倫理へのアプローチがさまざまに進展する中で、 今後の道徳教育には、より深い人間理解、人間へのまなざしが求められる。 情報やものがあふれ、便利で豊かな時代になった21世紀社会においては、人間のよりよい生の在り方が一層問われるのではないだろうか。 #endregion ***第七講目の内容 [#ec85133b] #region(道徳教育の内容・指導計画) ''道徳教育の内容・指導計画'' >内容の捉え方 *教師と生徒が人間としてのよりよい生き方を求め、共に考え、共に語り合い、その実行に努めるための共通の課題。 生徒自らが道徳性を養うための手がかり。目標とする姿を表すものではない。 -4つの視点 --A 主として自分自身に関すること --B 主として人との関わりに関すること --C 主として集団や社会との関わりに関すること --D 主として生命や自然、崇高なものとの関わりに関すること >内容の取扱い方 内容項目を関連的、発展的に捉えて指導する。 -◆関連性 --例:【遵法精神、公徳心】×【自主、自律、自由と責任】 法やきまりを守ることや公徳心は、人に強制されるのではなく主体的な判断に基づいて実践することで責任ある行動につながる。 --例:【友情、信頼】←→【公正、公平、 社会正義】 対立や葛藤があるもの。 -◆発展性 小学生から中学生への発達段階の特性に従って、発展的に指導する。 学校や生徒の実態に応じて重点的に指導する。(中学校:3学年間を見通した指導) |【規則の尊重】|小学校1,2年(低学年)|約束やきまりを守り、みんなが使うものを大切にする。| |~|小学校3,4年(中学年)|約束や社会のきまりの意義を理解し、それらを守ること。| |~|小学校5,6年(高学年)|法やきまりの意義を理解した上で進んでそれらを守り、自他の権利を大切にし,義務を果たすこと。| |【遵法精神、公徳心】|中学校|法やきまりの意義を理解し、それらを進んで守るとともに、そのよりよい在り方について考え、&br;自他の権利を大切にし、義務を果たして、規律ある安定した社会の実現に努めること。| >「内容項目の指導の観点」 内容項目の概要、指導の要点を記載を踏まえて指導する。 *教師自身が、道徳的価値に対する理解、見方や感じ方を深める。 *内容項目を生徒の実態をもとに把握しなおし、指導の課題を具体的にとらえる。 *到達目標ではなく「道徳性を育んでいくための手がかり」⇒実態に応じた指導を心がける。 ⇒内容項目については、大人でもこれらすべてを実行することは不可能といえる。 これらは「教師と生徒が人間としてのよりよい生き方を求め、共に考え、共に語り合い、その実行に努めるための共通の課題」であることを踏まえ、 生徒が自分の成長を実感したり、課題や目標を見つけたりするなど、学びを深められるように工夫する。 >道徳科の年間指導計画 全体計画に基づき、学年毎の基本方針を示し、各学年の年間にわたる指導計画を作成⇒35単位時間 --各教科、特別活動、総合的な学習の時間との関連を考慮して作成する。 --内容項目は各学年において全てとりあげる --3学年を見通した計画的・発展的な指導、重点的な指導、内容項目間の関連を密にした指導 --一つの内容項目を複数時間で扱う指導 >特別活動と道徳科の関連 特別活動は、「なすことによって学ぶ」(Learning by Doing)活動。【学級活動 生徒会活動 学校行事】 さまざまな経験を通して社会性を養う活動であり、道徳教育の目標との共通点が多く含まれる。 -特別活動の目標 「集団や社会の形成者としての見方・考え方を働かせ、様々な集団活動に自主的、実践的に取り組み、 互いのよさや可能性を発揮しながら集団や自己の生活上の課題を解決することを通して、次のとおり資質・能力を育成することを目指す。」(以下略) 道徳教育および道徳科の指導計画(全体計画・年間指導計画)は、 校長の指導方針の下に、道徳教育推進教師を中心として全教師が協力して作成する。 &uploader(1d19cc82a66e2e806589f0faf0a5be3d5389162f_nichidaibunrigojokai_3,nolink,200%,); #endregion ***第八講目の内容 [#f773fd2a] #region(道徳授業と教材) ''道徳授業と教材'' >指導の基本方針 よりよく生きるための基盤となる道徳性を養うため,道徳的諸価値についての理解を基に, 自己を見つめ,物事を広い視野から多面的・多角的に考え,人間としての生き方についての考えを深める学習を通して, 道徳的な判断力,心情,実践意欲と態度を育てる。 [[中学校学習指導要領の76頁>https://www.mext.go.jp/content/220221-mxt_kyoiku02-100002180_004.pdf]]より >道徳科の教材の役割 *道徳的諸価値についての理解や考えを深め、道徳的課題について学びあうための共通素材。 教材そのものを学ぶのではない。(教科との違い) *教材を媒体とする間接体験を通して、道徳性の発達を促す。 >教材の種類 *道徳科の検定教科書(8社)⇒内容項目に対応した編集 *教育委員会が採択 読み物資料(感動資料、葛藤資料、知見資料)、伝記、コラム、エッセイその他多様 *検定教科書以外⇒書籍・雑誌,新聞記事,映像資料,インターネットの情報,自作資料,『私たちの道徳』(『心のノート』の全面改訂版) *多様な教材の開発と活用⇒生徒が問題意識をもって多面的・多角的に考えたり、感動を覚えたりするような充実した教材の開発と活用、自作資料や郷土資料の開発と活用 道徳科の特質(目標や学習の特質)を踏まえて指導方針を明確にし、多様な指導方法を工夫する。 >三つの学習形態 これらは固定的ではない。例えば一つの読み物資料でも多様なアプローチを工夫できる。 -%%%読み物資料の登場人物への自我関与を中心とする学習%%% 登場人物の心情や考え、判断や行動を自分との関わりで多面的・多角的に考え、自己をみつめ、振り返ることを通して道徳的価値の理解を深めていく。 -%%%問題解決的な学習%%% 生徒一人一人が生きる上で出会う様々な道徳的な問題や課題を多面的・多角的に考え、主体的に判断し、解決するために必要な資質・能力を養う。 →問題解決的な学習を目的として作成された教材の活用 →既存の教材の中に道徳的課題を見出し、解決方法を考える。 -%%%道徳的行為に関する体験的な学習%%% 実体験を想起し、道徳教材とかかわらせて価値理解を深める。体験活動を基に話し合う。 疑似体験的な表現活動により価値理解を深め、道徳的課題を解決する資質・能力を養う。 →役割演技(ロールプレイ),アサーション,モラルスキル >''学習指導案とは'' 指導のねらいを達成するために学習指導の構想を一定の形式にまとめた学習指導計画案 道徳科の年間指導計画をもとに作成 -1.指導者の道徳的価値に対する見方、感じ方、考え方が豊かになる。 -2.資料の活用、発問、指導方法などを考えることによって、指導の流れが見通せる。 -3.授業の振り返りができ、その後の指導に生かすことができる。 -4.学校の共通財産 ・誰がみても理解できるような構成、記述を工夫し、保存蓄積する。公開授業などで使用する時も、わかりやすい記述を心がける。 >道徳学習指導案の構成内容 特に決まった形式はないが、以下のような構成が一般的。指導内容や教材の特質に応じて工夫する。 1〜3は年間指導計画に沿って記入 -1.主題名 -2.ねらい -3.教材 -4.主題設定の理由 指導観⇒ねらいや指導内容についての指導者のとらえ方、基本的な考えや願い 生徒観⇒生徒の学習状況や実態 教材観⇒使用する教材の特質、取り上げた理由、活用方法など -5.学習指導過程 ねらいとする価値についての指導の手順を示す。 |>|>|>|過程の例(空欄を埋める形で手順を示す。)|h ||学習活動 主な発問|予想される生徒の反応|指導上の留意点| |導入|||| |展開|||| |終末|||| -6.その他 事前・事後指導,各教科等との関連,板書計画(ICTの活用),評価の観点 家庭や地域との連携 教職員の参加協力 重点的指導(複数時間の場合は、全体的な指導構想と本時の位置づけを記述する) >道徳学習指導案作成の手順 -1.指導のねらいを検討する。 年間指導計画のねらいを確認し、指導内容や意図を明確化する。 生徒にとってねらいに含まれる道徳的価値がなぜ大切なのか、学習の意義を明確にしておく。 -2.指導の要点を明確にする。 *解説書「内容項目の指導の観点」を参考に、ねらいとする価値(内容項目)のとらえ方を把握し、指導の要点を明確にする。 *生徒の実態や状況を把握して、指導の要点を明確にする。(生徒に深く考え、学んでほしいこと) -3.教材を吟味する。 生徒に考えさせたい道徳的価値に関わる事項がどのように含まれているか、教材の中にある道徳的課題を読み取り検討する。 -4.学習指導過程を構想する。 *授業全体の展開を考える。 |導入|学習課題についての意識化| |展開(前段)|資料提示⇒資料をもとに話し合う(道徳的価値への気づき・理解)&br;多様な見方や考え方を引き出し、道徳的価値を追求する。| |展開(後段)|資料を離れ、道徳的価値を自分自身とかかわらせて考える。&br;⇒みつめる・広げる・深める (自己理解・他者理解)| |終末|学習の整理:道徳的価値に対する気づきや学び、思いをまとめる。&br;自己の課題の発見(実践意欲へとつなげる)| 生徒の実態、指導内容に応じて創意工夫する 評価の観点を設定する(生徒に対する評価、授業に対する評価) -5.道徳科の特質を生かした指導の工夫(学習指導過程、指導方法など) 教材(資料)提示,発問,言語活動,役割演技,板書・ICT,教師の説話 |>|発問の種類|h |基本発問|ねらいを達成するために必要な発問。中心発問にいたるまでの小さな発問。| |中心発問|ねらいとする価値に迫るための発問⇒主人公の行動や気持ちの変化に焦点を当てる。| |補助発問|話し合いや考えを深めるための発問| ⇒教材をよく吟味しておくことで、発問を工夫することができる。 #endregion ***第九講目の内容 [#p9fda2f7] #region(学習指導案の作成と授業の進め方) ''学習指導案の作成と授業の進め方'' *道徳的心情を養う授業(道徳的心情は、道徳的判断や行動の動機として働く) *登場人物の気持ちを考えたり、共感的に理解したりしながら価値理解を深めていく 自我関与させながら、自己を見つめ、振り返る⇒自己のよりよい生き方へとつなぐ >''教材吟味・分析'' 生徒に考えさせたい道徳的価値に関わる事項がどのように含まれ ているか、教材の中にある道徳的課題を読み取り、検討する。 【手順】 -1.指導のねらい、要点を押さえる⇒「内容項目の指導の観点」 -2. --①あらすじを把握する⇒ 登場人物・状況・出来事 --②主人公の気持の変容を押さえる。(場面ごとの会話や行動から) -3.それぞれの場面から、考えさせたいこと、感じとらせたいことを考え、発問を検討する。 >■資料吟味の意義 ①生徒に何を学びとらせたいのか、資料(教材)のねらいを把握できる。 ②資料のどこに焦点を当てたら、ねらいとする価値に迫ることができるかを明確にできる。 ③どの場面でどのように考え、感じ取らせるか、発問の意味、構成を考え、授業の流れをつかめる。 >■学習指導過程 ― 指導方法の工夫 *教材(資料)提示 *発問⇒発問構成を工夫する(中心発問を十分掘り下げられるように) *言語活動⇒ねらいとする価値に対する理解、いろいろな見方や感じ方を深められるように工夫する。 *役割演技 *板書⇒場面や心情把握(書き取りに時間をかけすぎない) *教師の説話 #endregion ***第十講目の内容 [#t117e976] #region(問題解決的な学習) ''問題解決的な学習'' >学習指導要領における考え方 -平成十年 生きる力 ⇒基礎・基本を確実に身に付け,いかに社会が変化しようと,自ら課題を見つけ自ら学び,自ら考え,主体的に判断し,行動し,よりよく問題を解決する資質や能力,自らを律しつつ,他人とともに協調し,他人を思いやる心や感動する心などの豊かな人間性,たくましく生きるための健康や体力など。 (平成8年中央教育審議会答申「21世紀を展望した我が国の教育の在り方について」 -平成二十年 生きる力の理念の共有・具体化 【確かな学力・豊かな心・健やかな体】の学力モデル⇒知識・技能/思考力・判断力・表現力等/学ぶ意欲 グローバル化・価値観の多様化 科学技術の進展・情報化 -平成二十九年 教育課程全体を通して育成を目指す資質能力を三つの柱で整理 >21世紀を生き抜く資質・能力(汎用的能力・21世紀型能力) (学びを人生や社会に生かそうとする「学びに向かう力・人間性等」)*総則より |ア|何を理解しているか,何ができるか(生きて働く「知 識・技能」)」| |イ|理解していること・できることをどう使うか(未知の状況にも対応できる「思考力・判断力・表現力等」)」&br;⇒習得した知識や技能を活用、探究、問題を解決する力| |ウ|どのように社会・世界と関わり,よりよい人生を送るか| ア~ウの資質・能力を育成するために必要な授業改善(学びの質を向上させるための)の視点 「主体的・対話的で深い学び」(アクティブ・ラーニング) ↓ 考え議論する道徳 心情把握型・読む道徳から、考え議論する道徳へ。道徳授業の質的改善を目指す。(問題解決的な学習・体験的な学習) >''道徳科における「問題解決的な学習」'' 「生徒一人一人が生きる上で出会う様々な道徳上の問題や課題を多面的・多角的に考え、主体的に判断し実行し、よりよく生きていくための資質や能力を養う学習」 何が問題か どうすればよいか、自分だったらどうするか 他者と協働してよりよい解決を考える。 >学習指導案作成 ①教材吟味 生徒に考えさせたい道徳的価値に関わる事柄がどのように含まれているかを検討する。 *発問に対する生徒の考えや感じ方に柔軟に対応できるように、教師自身が教材をていねいに読みこみ、価値理解を深め、多面的・多角的にとらえて吟味する。 *教師自身が教材にまっすぐ向き合う(「当たり前」や先入観に縛られない) 個人としての視点・指導者の視点・生徒の視点 #bf ②道徳学習指導案の構成と学習指導過程(基本形) 1.主題名 2.ねらい 3.教材 4.主題設定の理由(指導観・生徒観・教材観) 5.学習指導過程 6.その他 教師の姿勢としてこうあるべきという理想を押し付けるのでなく、道徳的価値の大切さを考えられるようにする。 現代家族の多様性の理解・プライバシーの尊重 >指導方法の工夫 -資料(教材)提示、板書(マグネット プリント ICT の活用) -発問:教材の内容の確認(主人公の状況や立場など) 道徳的価値に対する見方や考え方、話し合いを深める/多面的、多角的に考える。⇒基本発問・中心発問・補助発問 ワークシートの活用,指名,挙手 -言語活動(考えを深め、判断し、表現する活動) 話し合い(聴き合い),書く活動,発表 -他教科等との関連を図る -一人一人が安心して意見交流できる学級内の人間関係、学習・言語環境を整える。 生徒の発達段階や実態(個人差)を踏まえて工夫する。 #endregion ***第十一講目の内容 [#fbe487fe] #region(教材吟味・研究) ''教材吟味・研究'' 学習指導過程は、教材やテーマ、生徒の思考過程に合わせて柔軟に構想する。 発問は、ねらいや考えさせたいこと、生徒の実態に応じて選ぶ。 教師は、ファシリテーター(促進者)としてサポートする。 |>|>|問題解決的な学習の授業展開・発問例|h |導入|*教材や日常生活から道徳的問題をみつける。&br;*自分たちのこれまでの経験や具体的事例と結びつけて道徳的価値の一般的な意味を問う。&br;*道徳的価値の本当の意味を考える。|○○(例:誠実)とは何だろう。&br;(主人公は)は何に悩んでいるのか。| |展開:前段|*道徳的な問題状況を分析|何が、なぜ問題なのか(問題の前提となる価値観を明確化)&br;対立する考え(価値)を見出す 何に悩んでいるのか| |~|*解決策を構想する|どうしたらよいか、複数の可能性を考える⇒マトリックス・ランキングの活用&br;どうしたら互いに納得できるか(納得解・合意形成) 自分だったらどうするか| |展開:後段|*解決策を吟味する。|解決策の理由と結果を考える。&br;自分がそうされてもいいか、誰にでも適用できるか、皆が幸せになれるか(可逆性、普遍性、互恵性)&br;最善の解決策はどれか 身近な道徳的問題でシュミレーションしてみる(体験的な学習の活用)| |終末|*まとめ(解決策の選択や決定・諸価値の理解の深化・課題発見)|授業を振り返って感想を述べ合う⇒今日の授業でどのようなことを考えたか&br;導入で提示した根本的な問い対して、最終的な考えを整理・確認⇒○○(例:誠実)とは何だろう。&br;今日の学びを今後どのように生かすことができるか| #endregion ***第十二講目の内容 [#k6e622c2] #region(道徳的行為に関する体験的な学習) ''道徳的行為に関する体験的な学習'' *実体験や具体的な道徳的行為の場面を想起して追体験し、道徳的価値への理解、自己理解、他者理解を深める。 疑似体験的な表現活動により価値理解を深め、道徳的課題を解決する資質・能力を養う。 ⇒役割演技、アサーションなど *特別活動における実践や体験活動を道徳科での話し合いに生かし、考えを深める。(⇒実践意欲、態度へ) >''役割演技(ロールプレイ)'' ヤコブ・L・モレノ(Jacob Levy Moreno、1889-1974)が考案した心理療法(サイコドラマ=心理劇)。 日本では、1951年に臨床心理学者外林大作がロールプレイを導入して以来、医療や教育、産業など諸分野で実践されるようになる。 学校教育では、「道徳の時間」が特設された際に導入され、現在にいたっている。 近年はソーシャルスキル、モラルスキルトレーニングとして役割演技を導入することもある。 %%%道徳的行為を疑似体験することにより、道徳的価値に対する理解や考えを深め、さまざまな課題や問題を主体的に解決するための資質、能力を養う。%%% -方法 ①教材中の中心的場面、状況でそれぞれの人物の言動を演じる。(役割を交代して演じる)即興的、あるいはシナリオに沿って演じる。 ②演じてみて実感したことを話し合い、共有する。観客(観衆役)は、客観的に感情を共有する。 ⇒相手や自分自身の感じ方や考え方に気づきやすく、心情理解が深まる。 ⇒望ましい行為や問題解決への関心、意欲を高める。 留意点:活動自体を目的化しない。役割演技の意義が理解でき、学びにつながる授業展開が重要。 >''アサーション''(アサーティブネス Assertiveness アサーション assertion) *自他を尊重した自己表現もしくは自己主張のこと。 *自分の気持ちや意見を、相手の権利を侵害することなく、 素直に、誠実に、対等に表現すること。 *起源⇒行動療法(1950~)、認知行動療法のひとつ。1980 年代に日本に紹介され、アサーション・トレーニングが 企業研修、市民講座、職員研修等で活用されるようになり、近年では学校教育にも導入されている(道徳授業等)。 アメリカの公民権運動においても、非暴力による自己主張するコミュニケーションとして普及した。 #br 意義:自尊感情を育て、相手を尊重する人権感覚を養う。よりよいコミュニケーション、人間関係を築く。 方法:道徳科で行う場合、教材と連携させて実施する。(いじめ、問題解決的な学習、役割演技等 *まず教師自身がアサーションを知り、自分のコミュニケーションの傾向や課題に気づくことで、 生徒とのコミュニケーションによりよい変化が期待できる。(課題⇒教員研修の充実、大学での導入) *表面的なスキル習得が目的ではない。ビジネススキル、コミュニケーションスキルとの違い、学校で行うことの意義を理解して、創意工夫する。 アサーティブなコミュニケーション:「私」を主語にして、自分に気持ちに焦点をあてた話し方。 #endregion ***第十三講目の内容 [#z44e580e] #region(道徳科の指導の工夫と改善) ''道徳科の指導の工夫と改善'' |道徳教育の目標|よりよく生きるための基盤としての道徳性を養うため| |学習活動|道徳的諸価値についての理解を基に自己を見つめ、物事を広い視野から多面的・多角的に考え、&br;人間としての生き方についての考えを深める学習を通して| |道徳科独自の目標|道徳的な判断力、心情、実践意欲と態度を育てる。| 考え、議論する道徳⇛答えが一つではない道徳的な課題を、自分自身の問題ととらえ、向き合う。 「主体的・対話的で深い学び」の実現 |主体的な学び|問題意識を持ち、道徳的価値を自分自身と関わらせて向き合う。&br;⇒道徳的価値にかかわる生徒の実態を把握する(興味関心、課題や問題)&br;「自らを振り返って成長を実感したり、課題や目標を見つけたりできるよう工夫する」| |対話的な学び|生徒同志、生徒と教師、地域の人、先人の生き方との対話(先哲)、自分との対話&br;⇒「多様な感じ方や考え方に接する中で自分の考えを深め、判断し、表現する力を育むために、自分の考えをもとに討論したり、書いたりするなどの言語活動を工夫する。」&br;「共に考える教師の姿勢」(傾聴、カウンセリングマインド、ファシリテーション)| |深い学び|「様々な場面,状況において,道徳的価値を実現するための問題を把握し,適切な行為を主体的に選択し,実践できるような資質・能力を育てる学習」(中教審 2016)&br;道徳的価値に関わる事象への見方や考え方を働かせて、道徳的価値を実現しようする実践力つながる学習の工夫| >指導方法の工夫 -教材提示、板書(マグネット PP ICT の活用) -発問(基本発問,中心発問,補助発問)― ワークシートの活用 指名 挙手 -言語活動(考えを深め、判断し、表現する活動)話し合い(聴き合い) ペア グループ 書く活動 発表 -他教科等との関連を図る -一人一人が安心して意見を交流しあえる学級内の人間関係、学習・言語環境を整える。 -生徒の発達段階や実態(個人差)を踏まえて工夫する。 #endregion ***第十四講目の内容 [#y3d9c001] #region(道徳教育における評価) ''道徳教育における評価'' >学校における学習評価の意義・考え方:評価と指導の一体化 〇教師にとっては、 指導の改善充実のためのもの 〇児童生徒にとっては、 自己の成長を実感でき、意欲の向上につなげていくもの 生徒のよい点や進歩の状況などを積極的に評価し、学習したことの意義や価値を実感できるようにすること。(中学校学習指導要領 第 1 章総則) 学校教育全体を通じて行う道徳教育における評価もこの考え方を踏襲 ⇒教師と生徒の人格的な触れ合いに基づく共感的理解をもとに、生徒一人一人の人間的な成長を見守り,よりよく生きようとする努力を認め評価し、勇気づける。 >''道徳教育における評価'' 生徒の( 学習状況や成長の様子 )を( 総合的 )に把握し、指導に生かすように努める必要がある。 ただし、数値などによる評価は行わないものとする。(中学校学習指導要領 第3章 特別の教科道徳) 【基本的な考え方】 -①個人内評価として記述式で行う。(数値による評価ではない) 「他者との比較ではなく生徒一人一人のもつよい点や可能性などの多様な側面、進歩の様子などを把握し、 年間や学期にわたって生徒がどれだけ成長したかという視点から評価する」(解説書(教科書)) *道徳性を評価するのではない。教科では観点別に学習状況を評価するが、 観点別評価は生徒の人格そのものに働きかけて道徳性を養うことを目標とする道徳科の評価としては妥当ではない。 #br -②個々の内容項目ごとではなく、大くくりなまとまりを踏まえて評価する。 内容項目は道徳性を養うための手がかりであり、教科における個々の達成目標と同一ではない。 一定の時間的なまとまり(年間、学期)の中で、学習状況や成長の様子を継続的に見取っていく。 #br -③道徳科の目標に明記された学習活動に着目して、学びや成長を評価する。 一面的な見方から多面的・多角的な見方へと発展しているか、道徳的価値の理解を自分との関わりの中で深められているか #br -④組織的・計画的、多面的に評価する。⇒妥当性・信憑性の確保 評価の方法や視点等についての共通理解、評価事例や情報の共有。 校長、教頭、外部教師の参加・教師相互の協力(授業を交代で行う、専門教科を生かした授業) #br -⑤発達障害のある生徒、外国にルーツをもつ生徒に対する配慮。 -⑥調査書(内申書)には記載せず、入学者選抜の合否判定に活用しない。 >【評価における配慮と指導の工夫】(生徒理解に基づく指導と評価) *個人差への配慮⇒発言、話し合い、書くことや文章表現が苦手な生徒 外国籍の生徒 *発達障害のある生徒に対しては学習上の「困難さ」の状況を把握し、指導を工夫する。 対人関係、社会生活…相手の気持ちを理解することや共感が難しい 暗黙のルールが理解できない。 話を最後まで聴けない 衝動的、行動をコントロールできない。 ・資料提示の工夫 学習活動の可視化・役割演技・動作化 ・学級の人間関係、学習環境を整える(学級経営の充実) ・教師自身がコミュニケーション力を高め、親和的な学級をつくる。 >【評価方法の工夫】 学習の過程や成果などの記録をファイル化し、成長の様子を見取る。 生徒の発言や行動、記述したものをエピソード(挿話)の形で記録して蓄積する。(エピソード評価) 生徒の自己評価、相互評価を生かす。 自己評価:自己を見つめる 自分のよさや成長の実感、課題への気づき 相互評価:話し合いやグループワークを通した気づきや学び ティームティーチング、教師が交代で授業を行う。→複数の眼による多面的な評価 >授業自体の評価 -道徳科の目標・特質を生かしているか -発問は指導のねらいに基づいて適切だったか -生徒の発言を傾聴し、適切に指導に生かせたか -教材、教具、板書(ICT)の活用は適切だったか -生徒の実態や発達の段階にふさわしかったか -配慮を要する生徒に適切に対応していたか >''道徳科の評価方法'' ⇒様々な評価方法を道徳科の目標や特質を踏まえて活用する。 -①観察法(行動観察):言動を観察して記録する。 ・留意点…表面的な言動だけでなく、その背景にある内面の理解を心がける。 教師の先入観や主観に左右されないよう観点を明確にする。(例⇒チェックリストの作成) -②面接法(聞き取り、インタビュー):聞き取りや会話を通して評価する。 授業だけでは把握しきれない子どもの意見や考えを理解する。書くことが苦手な子どもに対しても有効。 -③質問紙法(アンケート):意識や行動に対する情報を収集(授業に対する感想や意見、生徒自身の自己評価等) 短時間で収集できる/学級全体の様子や一定の傾向把握できる/観察法、面接法では見取りにくい内面や意欲を把握できる。 -④エピソード記録 個々の生徒のよい点、変化や成長した点、気づいたこと(発言や行動、記述したもの等)に関するエピソード(挿話)を記録し、蓄積して活用する。 -⑤道徳ノート・ワークシート・作文・感想文:生徒が記述した文章をもとに「学び」を把握する。(フィードバックする) 教師⇒学習のプロセスを把握し、指導のねらいにどこまで迫れたかを理解する。 生徒⇒感じたことや考えたことを整理。 学習の振り返り。 留意点…国語力、語彙力、文章力、文字数ではなく、個別の学びの様子を見取る。 ⇒発言は得意だが書くのは苦手 話し合いは苦手でも仲間の発言に耳を傾けて考えることができる。 記述内容に行動が伴わない⇒日常の言動や学習への取り組み方などを加味して記述内容を評価 -⑥ポートフォリオ評価:学習の記録や成果物、作品を個人ごとにファイル化し集積したものをもとに評価する。 数値化しにくい学習状況や成長プロセスを評価⇒ワークシート 道徳ノート 作文・感想文 プレゼン資料等 *教師⇒成長の過程や課題等を記して生徒や保護者に伝える。学期末・学期末 *生徒⇒自身が授業の記録を蓄積することによって、自己評価の資料とする(⇒教師の評価に生かす) -⑦パフォーマンス評価 ・ペーパーテストでは評価しきれない思考や技能等を評価。⇒記述、表現、話し合い、作品、実技等を通して評価 ・知識や技能を活用する課題(パフォーマンス課題)への取り組みを通して評価する方法の総称。 ルーブリック rubric(学習の達成状況を評価するための指標・表)を作成して評価する。 評価項目(何を身につけるか)と評価基準(どの程度身についているか、どういう段階にあるか)*マトリックス 生徒自身の自己評価としても活用できる。 客観的で公平な評価が期待できる。 道徳科の場合、ワークシートや道徳ノートなどの記述、役割演技やそれをもとにした話し合い(発言)などを通して評価する。 新しい評価方法でもあり、導入にあたっては評価の妥当性や信頼性についての検証が課題。 #endregion ***第十五講目の内容 [#tf4dd39f] 振り返りと諸外国の動向について。 |国|対応する教科・科目・領域等の名称、法令上の位置付け|担当教員|h |イギリス|「市民性」(Citizenship)…ナショナル・カリキュラムの教科・領域&br;PSHE(人格・社会性・健康・経済教育)…学校裁量 宗教有り|専任教員| |フランス|「公民・道徳」(小学校)&br;「公民」(中等教育)社会科系教科の一科目(必修)&br;市民性教育(自由・平等・博愛)、教科とは別に、学校全体で横断的に行う。宗教禁|~| |ドイツ|州によって名称異なる⇒ 「倫理」、「哲学」、「価値と規範」その他&br;…「宗教科」(必修)の代替科目とする州が多い。宗派別|~| |アメリカ|州によって異なる⇒連邦政府の推進によって、人格(品性)教育 (Character Education)が普及。 宗教禁&br;…教科等の設置は定めず、教育活動全体を通して行う。&br;「大事な価値は教え込むべし」|民間・学校専任の学校カウンセラーが実施する例がある。| |韓国|「正しい生活」(1-2 学年)、「道徳」(3-9学年)、「生活と倫理」(10-12学年)、「倫理と思想」(10-12学年)&br;…教科群の中の1教科1科目 宗派禁人性&br;(人格)教育をすべての教育活動で行う。|小学校(1-6学年)は学級担任、中学校以降は専任教員| |中国|「品徳と生活」(1-2学年)、「品徳と社会」(3-6学年)、「思想品徳」(7-9学年)「思想政治」(10-12学年)&br;…教科(必修) 宗教禁|~| |シンガポール|「公民・道徳」(Civics and Moral Education; CME)&br;を「人格・市民性教育」に改訂(Character and Citizenship Education;CCE 2014~)中核価値&br;…教科(必修) 宗教なし|~| }} *コメント [#comment] #pcomment(,reply,20,)