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> 教育課程論(栗原幸正)
教育課程論(栗原幸正)
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***第十二講目の内容 [#h88ef5ef] 前回、講義はないと先生が言っていたが、WEB講義はあるらしい。教室出席の必要はなし。 また、レポート課題が出された。提出期限は12月21日正午。 >''レポートの内容'' 本講義の内容を参考にして下記の課題(テーマ)について、300字程度でLMSのテキストボックスに入力する。 (授業資料には200字程度と書かれているが、提出場所には300字程度と書かれている。300字を目安にするのが安牌か。) この入力をもって、出席と見做される。提出期限は12月21日(日)の正午。 尚、本課題は本レポートとなり、100点換算となる。 #br 「現在、中・高等学校においては、特別支援教育的視点での生徒指導が必要と言われています。 では、中・高等学校で特に特別支援教育的視点が必要とされているのはなぜでしょうか。 自分の中・高等学校での経験を加味して、その理由を記述しなさい。」 #region(レポートの例) ''レポートの例'' 小学校から中学校へ環境が変わると共に心理や身体の変化が顕著になり、思い悩むことが増える。また、中学校から高等学校へ進むと、受験勉強という困難が現れる。これらの試練は成長の糧となる一方で重篤な状態に至らせる可能性がある。少年院では発達障害や知的障害を持った少年が多く在籍しており、その原因の一つに育児放棄や虐待といった小児期逆境体験が指摘されている。 私も様々な悩みを持ち、答えが出ない日々がその年頃には確かにあった。その悩みは必ずしも人に相談することが出来るものではなく、多くは一人で立ち向かうことになる。特に近頃は電子空間での遣り取りや人生モデルの喪失などとは無縁ではいられない。 先に述べた通り、強いストレスを与える環境や体験は人体の機能不全を齎す。故にそのセーフティネットとして中・高等学校で特に特別支援教育的視点が必要であると言わざるを得ない。 #endregion #hr #region(特別支援教育) ''特別支援教育'' 現在、価値観の多様化に伴い、教育界では不確定要素が増大している。 加えて、社会情勢の変化も起こっている。 (個人主義化・業績主義の導入・離婚率の上昇・メディア依存・SNSの脅威・人生モデルの喪失...等々) このようなことから学校へのニーズが不確定かつ多様になっている。また、児童生徒指導の課題も増加。 →教育的ニーズがある児童生徒すべてが特別支援教育の対象 #br アセスメント(情報の収集と分析)が重要。特別支援の70%はこれ。 しかし、闇雲に情報を集めるだけでは駄目。場合によっては悪い結果に繋がる。 • 個別情報への個別反応は状況を悪化させる場合がある。 • 単独でのアセスメントは事実誤認と感情移入を許してしまう。 • 初期対応に連携が存在しないと、最後まで整合性が取れなくなる。 • 全体構造が把握できない見切り発車は、危険が一杯。早期発見、早期対応は重要だが、焦りは絶対に禁物。 #br 故に多角的で多様な日常的アセスメントが必要。 • 事が起きてからでは遅い。 • 多方面からの機動的な日常的な情報収集(そのための戦略)が重要。情報収集方法の吟味(多様な方法論の習得)も大切。 • 情報は担任が整理・分析した上で、学校長への報告・連絡・相談してから次の段階に進む。 >''アセスメントの4次元構造'' 時間の許す限り丁寧に。 -木(1次元):個人の特性や学力・生育履歴・家庭環境・課題性の視点 --正確な事実確認(課題が発生した場合) いつ・誰と・何で・何を・どのようにしたか、そのあとどうしたか。 そして、それについてどう思うか(複数で聴取・個別聴取が原則)。 --起した課題より、本人の困り感は何かに焦点を当てる(叱責は後回し。これからの指導に生かすように) 発達特性の偏り・家庭環境の課題や変化・生育環境の影響・人間関係のつまづき 等の有無を探る。 -森(2次元):集団の特性(学力状況・人間関係・全体の柔らかさ)の視点 --人間関係の状況 友人関係・部活(クラブ)関係・係り関係・恋愛関係・学童関係塾関係など。 --学力状況 本人が課題の解消に向かう際の理解力・対応力に影響。 --全体的風土(組織内にある何とも言えない空気) プラス面=柔らかさ・素直さ・男女の仲良さ・ポジティブ・笑顔→→→課題解決に向けての力になる。 マイナス=他者攻撃的・個人主義・ニヒリズム→→→課題解決を阻止する要因となる事がある。 -大地(3次元):組織文化(学校や地域独自の文化)の状況の視点 --学校文化 小学校(学級担任制が形作る文化=個別性・主体的・課題対応収斂的) 中学校(教科担任制が形作る文化=全体性・他律的・課題対応拡散的) --教員文化 形成要因(学校伝統継承・学校経営・学校組織・世代構成・教員特性) --保護者文化及び状況 学校(教員)不信? 精神的課題性? 責任感? 対話可能? --地域文化 学校協力的・組織性・キーパーソン(自治会長等)の存在 -時間(4次元):現在だけでなく、過去・未来も対象に見ていく視点 現在の課題に目を奪われる傾向がある。(問題行動,体調不良,保護者の苦情) --過去が影響しているかも 生育歴・家庭環境・発達検査有無・入学時状況 等 --未来が要因かも 進学就労希望先が不透明、漠然とした将来不安(本人・保護者)、対応が可能な機関が見当たらない。 アセスメントが終了したら、プランニング(計画)を始める。「十分なアセスメント情報の分析」→「学年や支援チーム等での検討」 >''検討の際の留意点'' 「子どもや保護者が悪いから課題が発生するので矯正したい」では駄目。 ・課題が発生した要因は何が考えられるか。 ・困っているのは誰で。どのように解決したいのか。 ・ゴールは何か。そのためにどのように取り組むか。 #br 方向性が決まったら、報告・連絡・相談を所属長にする。 >''プランニング実施の際の留意点'' -必ずケース会議を開催 個別検討や個別対応を排除する。 -出席者は当事者意識のあるメンバー限定 当事者意識のない構成員は会議を無意味化させる。 -対応の方向性の共有化 方向性が決まったら各担当の専門性に任せる。それが信頼の輪を生み出す。 -ファシリテーター(中立的な立場で議論を促進する舵取り役) 誰かがたてた案の検討ではなく、話し合って方策を導き出す事が重要。ファシリテーターの存在は不可欠である。 >''プランニングのゴールの設定'' -誰がどのように対応していくかを明確化 担任の負担が大きいため、複数対応と対応の分散化を検討する。 -焦りは禁物。しかし早期対応は必須 何もしない時間経過は不信や状況の悪化を増幅し、さらに児童生徒をより深みに導いていくことになる。 -情報が常に一箇所に集まり、共有できるようにする 指導ホワイトボード・指導ノート等を個人情報保護に最大限留意して活用する。 毎日のミーティング(会議)励行等の労力と時間が多くかかる実現不可能な取り組みはなるべく避ける。継続性と効率性が重要。 -対応期限とゴールを決め、再ケース会議を対応前から設定する 取り組みの評価期間を設定し、方策を状況に応じて柔軟に改善していく勇気が必要。 実際の対応に際しては、ティーチング方式からメンタリング方式への転換が必要。ティーチング方式には光と影がある。 >''ティーチング方式(教師→生徒)'' -光 教員文化に適合する価値観を教え込む形式となるため、教員にとってやりやすく、効果的に短時間で指導することが可能。 また、一般的に指導としての形で受け入れられている。 -影 規範意識や道徳性・生活習慣を刷り込む方向性は価値観多様な現在では障壁が多く、保護者や児童生徒集団とのトラブルをさらに生み出す虞がある。 しつけ的要素が強くなり、叱責・皮肉・脅かし・将来への不安高揚等の手段が用いられ、する側もされる側も後味の悪いものとなる。 そして、その状況から逃げるために、教員側の提案を一時的受け入れてしまう事にもなりかねない。 >''メンタリング'' 支援的助言者(メンター)⇔被支援的助言者(メンティ) #br 教員が理想とする児童生徒のあり方になるよう、規範意識や道徳意識をしつけるのではなく、 困り感のある児童生徒本人や保護者・関係する教員に、その困り感をまず自覚させる。 ↓ 困り感を整理し、当事者のキャパシティに沿って、何をしていくべきかに自ら気づかせる。 ↓ 指導者、支援者、理解者として、当事者にゴールまで寄り添っていく。またそのことにより、メンター自身も専門性を高めていく。 特別支援的活動には、3つの連携対応は不可欠である。 -学校内連携 学年(必須だが小学校では一番難しいかも。) 校内支援チーム(特別支援関係・児童生徒指導関係など) 養護教諭・SC(スクールカウンセラー)・心の教育相談員とも連携する。 -学校外連携 青少年教育相談室・特別支援巡回相談チーム・こどもセンター・家庭児童相談室・各養護学校相談部・県教育相談センター・県中央児童相談所 などと連携する。 -地域連携 PTA・民生委員・主任児童相談員・地域青少年育成会等だが、気をつけないと、 対象団体の組織作りに利用されたり、個人情報の流出を招くことがある。何しろ、素人の方の集団である。 #endregion
''■[[教育課程論]]'' #contents |BGCOLOR(#555):COLOR(White):200|520|c |BGCOLOR(#fc2):COLOR(Black):''分類''|''教員''| |区分|[[教職課程>教職コース/教職課程]]科目/一般(人数過多の場合は抽選)| |履修条件|二年生以上| |単位数|2| |講師|[[栗原幸正]]| |学位等|学士(教育学)| *概要 [#Gaiyou] 授業者([[栗原幸正]])の公立学校の教諭並びに管理職・指導主事の経験を元にした具体的な事例を通した授業が行われる。 成績割合は、試験(30%)、小レポート(40%)、テスト(10%)、提出物の回数と記述の丁寧さ(20%)である。 出席確認を行う。また、毎回 簡易レポートをCanvas LMSで求められるが、&color(Red){通例、期限は正午まで};である。 定期試験を受けないまたは提出しないという場合は成績不可。 &color(Red){事前に欠席の連絡をした場合は後々に課題を提出しても評価されるが、連絡をしなかった場合は評価対象外である。}; 教科書は文部科学省の『小学校学習指導要領解説 総則編 (小学校学習指導要領解説 総則編)』(東洋館出版 2018年)である。 購入した方が良いが、買わなくても大丈夫だろう。因みに数百円程度である。 #br この科目は文理学部(学士(教育学))のディプロマポリシーDP3,DP5及びカリキュラムポリシーCP3,CP5に対応している。 *講師の印象 [#Inshou] 話が面白い。 *令和七年度(2025年度) [#h81d5434] 後期に2講座が開かれている。 #style(class=submenuheader){{ **後期 [#gda6fecd] }} #style(class=submenu){{ |BGCOLOR(#555):COLOR(White):200|520|c |BGCOLOR(#fc2):COLOR(Black):授業形態|対面授業| |日程/教室|月曜日 三限目/3406教室(三号館四階六番教室)&br;月曜日 四限目/3508教室(三号館五階八番教室)| ***第一講目の内容 [#l9f07937] 説明会と学校崩壊についての授業。 #region(学校崩壊) ''学校崩壊'' >''当該校(梅田小学校)のアセスメント:学校崩壊の原因'' ・ 子供不在・授業力不在の研究発表会⋯⋯子供を相手にするのではなく、研究授業で校外から訪れる教員を相手にした授業。 ・ 誤った学校運営と同僚性の崩壊⋯⋯校長が一部の教員を優遇(同僚性崩壊)。 ・ 新型インフルエンザと膨張した50周年式典⋯⋯50周年式典へ異常に金を掛けた。 ・ 特別支援教育の不在 複数の学級崩壊・PTA崩壊・学校体制破綻 完全なる学校不信→クレーム三昧 >''当該校のカリキュラム・マネジメント戦略:学校の復興へ'' -教職員の同僚性の確立→モチベーションのUP --オープンカフェ風味のしゃべり場を設置。教員同士の仲を改善。 -地域・PTAへの積極的参画作戦、教育活動の可視化促進 --日常的授業参観の促進 --学校は再生しているという風評を創る。 -特別支援的な学校組織への変更 --研究者の招聘(筑波大教授) --研究主任等を校長が任命 地域からの支持が重要。生徒の非行や学級内の問題で学校側が折れそうになった時に助けてくれる。 特にPTAには地域や保護者からの苦情等が学校へ届くのを和らげる働きがある。 #endregion ***第二講目の内容 [#o3c2345a] 前回の続きと教育課程(CM=カリキュラム・マネジメント)について。 #region(梅田小学校の再生) ''梅田小学校の再生'' 教務主任の教諭が、教育課程を柔軟に運営して地域の商店街を巻き込んだ単元を創る。 ・校内で商店街を再現して、子どもたちが店主となる ・商店街調査→チラシやユニホーム、売り方工夫を検討 ・授業参観日に実施して大盛況 →さらなる商店街・地域とのコラボ授業に発展する →他学年の若手の先生に授業が飛び火する火種となる #br 五年間にわたる教員たちの風評改善の戦い、ラストは市民会館大ホールを使った2,500人規模の学校発表会の実施 〇機能する学校(当たり前の授業、丁寧な特別支援) 〇連携する保護者・地域(PTA復活、盛り上がる地域行事) 〇やりがいを感じる教育活動(熱く燃える教員集団) 〇学びのある授業の推進 >''まとめ'' • 顔の見える関係性の確立 • 学校の実情の共通理解 • メディアにはないポジティブな教育観の共有 • 互酬性の確立 • 継続への期待の増幅 • 地域への愛着や尊敬 →地縁的児童生徒指導の具現化。授業とともに児童指導あり(授業研究の重要性) #endregion #region(教育課程) ''教育課程'' 教育課程とは「学校教育の目的や目標を達成するために、教育の内容児童・生徒の心身の発達に応じ、授業時数との関連において総合的に組織した各学校の教育計画」。つまり、学校経営計画(教育目標・学校像・継続カリキュラム・重点カリキュラム)や学校組織(職員組織・校務分掌)や授業時数と教育計画の総体。 >''教育課程の関連法規'' ・日本国憲法(最高法規) ・教育基本法(教育の目的、理念、基本、行政) ・学校教育法(義務教育、各種学校規定、特別支援教育) ・学校教育法施行令(義務教育、認可、届出、指定に関する規定) ・学校教育法施行規則(具体的教育課程の規程) ・地方教育行政の組織及び運営に関する法律(教育委員会の規程) これを各学校ごとにまとめたものを学校要覧と呼ぶ。各校で5月は完成を目指す。しかし、大物の学校は12月に完成ということもある。 >''教育課程の変遷'' -%%%昭和22年学習指導要領(戦後)%%% 社会科創設・家庭科男女共修 -%%%昭和26年学習指導要領%%% 自由研究廃止・保健体育科(中学校) -%%%昭和33年学習指導要領%%% 系統性重視・道徳の創設・強制力UP -%%%昭和43年学習指導要領%%% スプートニックショック→現代化カリキュラム -%%%昭和52年学習指導要領%%% ゆとりカリキュラム -%%%平成元年学習指導要領%%% 新学力観・生活科創設・道徳教育の充実 -%%%平成10年学習指導要領%%% 総合的な学習の時間創設・生きる力・学校5日制 -%%%平成20年学習指導要領%%% 脱ゆとり教育・生きる力・外国語活動(小学校) -%%%平成29年告示学習指導要領%%% 【小中学校】 ・社会に開かれた教育課程 ・主体的・対話的で深い学び ・特別な教科「道徳」 ・小学校高学年に「外国語」 ・プログラミング学習 【高等学校】 ・探求 ・「歴史総合」「地理総合」「公共」を新設 #endregion ***第三講目の内容 [#cba5c9ea] 前回の「教育課程」についての授業の続き。内容は前回のものを確認せよ。 ***第四講目の内容 [#xbb7f996] #region(学校要覧) ''学校要覧'' 学校要覧とは「学校教育の目的や目標を達成するために、教育の内容児童・生徒の心身の発達に応じ、授業時数との関連において総合的に組織した学校の教育計画」。 つまり、教育課程を具体的に示した一覧表(冊子)。 日本大学でいうところの学生生活のハンドブックと履修のガイドを合わせたようなもので、校外に広く示されるものである。 大体、教育実習に行くと最初に手渡される。中身は学校経営計画・学校組織・教育時数と教育計画・「安全、防災、いじめ、アレルギー等の計画」。 >''学校教育目標(日本全国ほぼ同じ)'' 『未来をひらく○○の子』遊ぶ 学ぶ 助け合う ○遊ぶ(体):健康で笑顔のある関係性 (体力・健康・協力・決断:自己肯定) ○学ぶ(知):学び・考える関係性 (疑問・発見・解決・創造:自己変革) ○助け合う(徳):思いやりのある豊かな関係性 (挨拶・信頼・相談・寛容:他者理解) >''学校経営計画'' 学校教育目標よりも大切。学校長が作る。 ○日本国憲法や教育基本法等の上位法規と整合性が取れていること。 ○網羅的内容になるが、具体的に記述すること。 ○学校の教職員が、何を目的とするかが明確になっていること。 しかし、多くの学校の学校要覧では、学校教育のすべてに頑張るという情意的で抽象度の高い内容。 多くの学校長は、様々な理由で、前任者の学校経営計画を引き継ぐことになる。 #endregion ***第五講目の内容 [#k68caf0c] #region(時間割) ''時間割'' 小学校の教科別年間授業時数(1年生以外)を35週で割ると、割り切れないところがある。 これは文部科学省が外国語活動(英語)と総合的な学習の時間を教科として採用した時に授業総時間数は変わらずとした為である。 元々は割り切れたが、授業総時間数が変わらない以上、どこかを減らすしかない。その結果が教科別年間授業時数に現れている。 学校は学期ごとの実施数を変えることで対応。(学期によって時間割が異なる。小学校のみ。) >''例'' ※記載される数値は仮のもの 「一週間の内に国語は7時間」(一年を通して時間割は固定) ↓ 外国語活動(英語)と総合的な学習の時間が追加 ↓ 「一週間の内に国語は5.5時間」 一学期は3時間、二学期は2時間....というように学期毎に時間割を変えることで年間の実施数が5.5時間になるよう、調整。 日課表は各地区・各校の状況に応じて七変化する。(教職員の研修や出張への対応のためや文部科学省や県の研究委託のため) また、日課表以外に本鈴・予鈴の回数も学校によって変わる。 更にいえば、休み時間の配分も変えられる。 とある体育科の研究校だった小学校では休み時間を増やすことで子どもの体力増強に繋がるという考えから、20分以上の休み時間を設けた。 (ところが、20分を超えると、疲弊による注意力散漫で子どもが怪我をすることが増えた。) #endregion #region(職員構成) ''職員構成'' >''職員配置の流れ'' ・配置希望票の提出→要望多数・一任多数 ・3月に県の職員課からの配当通知 ・校長、教頭で検討し、3月中に1年担任発表 ・4月1日に全職員配置を発表 想定内事態だが大変 児童生徒数の変化による学級数の変化や校長・教頭の異動 >''職員配置の留意点'' -チーム力を発揮できる関係性 -校務分掌との整合性 -勤務年数や異動希望 -外部業務とのバランス →そして最後に個々が自律性と同僚性を発揮できるか! #endregion ***第六講目の内容 [#ob7e4682] #region(校務分掌) ''校務分掌'' 校務分掌とは簡単に言えば、教職員の業務分担。 しかし、児童生徒の係分担とは異なり、学校状況に影響し、教育に影響し、引いては子や大人の人生に影響する。 校長からの指名される業務(総括教諭・教育相談・校内研究・教務 等)や校内輪番制の業務、特別業務対応(外部研究員や事務局)、グループ内合議制の業務などなどがある。 #br 校務分掌が決まると人生が決まると言われる。横浜市などは一度入ったら退職まで固定。 特に小学校では以下の分野はロードマップが決まりやすい。 (安全関係・校内研究・教科書関係・給食関係 ・外国語担当・特別支援教育・視聴覚、ICT・教務関係・地域連携関係) 研修・出張・会議の出席が決まり、特別委員会にも所属(即入居)することになる。 |グループ|>|業務内容|h |A|カリキュラム|校内研究(研究主任が指名されます)&br;道徳教育等の○○教育の実践支援| |~|児童指導|児童の指導(いじめ対応を含む)やお世話(中学の生徒指導とは完全に異なります。)&br;警察との連携| |~|地域連携|自治会や民生委員等との地域連携窓口(とても大変)校内研究(研究主任が指名されます)| |B|児童支援|教育相談コーディネーター(校長より指名されます)&br;支援体制確立のため、スッタフ管理と外部連携| |~|安全|各種安全(通学路・防災・防火・不審者)計画の策定と訓練や安全授業等の実施| |~|保健|養護教諭は児童支援と連携しつつ、黙々と保険業務を推進| |~|>|各種連携| |C|特別活動全般|(運動会・クラブ・委員会活動・水泳指導(プール管理を含む)・清掃活動)| |~|給食|栄養士と教員・市職員が連携して、給食提供・給食指導・給食費・アレルギー・給食試食会・食育の推進を行う。&br;給食調理場の管理運営は栄養士に任される。| |~|>|図書| |~|>|作品展や美術展担当| |D|教務・教育課程|(日課表・年間計画・時間割・教室等割り当て・学習評価・学校行事)| |~|学籍|(指導要録管理・転出入・児童名簿・出席簿。)| |~|教科書|(児童用教科書と教師用教科書・使用教材)| |~|視聴覚|(緊急メールやHP)| 昔は学校に警察を入れたらそれこそ学校教育の終わりだと考えられていたが、今は警察との連携は欠かせない。 現在は薬物や売春に対応。 #br >''養護教諭の業務'' 諸検査(心臓検診・内科検診・結核検診・聴力検査・視力検査・尿検査......)・保健データ管理 面談(健康・アレルギー等)・不登校対応・クレーム緩衝作業・保護者対応 保健教育 救急措置 校外学習引率 薬品管理 SC対応 保険対応 救急車同乗 水質等検査 校医連携 職員健康診断 研修会等参加 学年外職員取りまとめ 監査 >''栄養士の業務'' ・栄養士と教員、市職員との連携 ・給食調理場の管理運営 ・給食提供 ・給食指導 ・給食費の経理 ・アレルギー対応 ・給食試食会 ・食育の推進 #endregion //-カリキュラム //-児童指導 //児童の指導(虐め対応)や //-地域連帯 //自治会や民生委員等との地域連帯 //→警察とも連帯。現在は薬物や売春に対応。 ***第七講目の内容 [#h2328dff] #region(カリキュラム・マネジメント) ''カリキュラム・マネジメント'' カリキュラム・マネジメントは元々研究対象領域を示す概念。 |筑波大学系(教育課程経営)|九州大学系(カリキュラム・マネジメント)|h |狭義のカリキュラム観|広義のカリキュラム観|h |学校経営案&br;学年経営案&br;学級経営案年間指導計画&br;シラバス&br;学校要覧&br;個別の指導計画&br;評価規準|教育活動の総体&br;学校文化&br;風土形成| ※初めてカリキュラム・マネジメントを使用したのは千葉大学。 #br ところが文部科学省は改訂の基本的な考え方として3学力育成をカリキュラム・マネジメントの究極目標に定めた。 その上、学習指導要領にカリキュラム・マネジメントを実行していく事が明記されたので、教育委員会や各学校はやらない訳には行かなくなった。 >%%%3学力%%% 未来社会を切り拓くための資質・能力の育成。その際、社会と共有し、連携する「社会に開かれた教育課程」を重視。 知識及び技能・思考力、判断力、表現力等の育成を維持した上で、知識の理解の質をさらに高め、確かな学力を育成。 道徳教育の充実や体験活動の重視、体育・健康に関する指導の充実 により、豊かな心や健やかな体を育成。 そのために、カリキュラム・マネジメントが能力育成の手段となった。「何ができるようになるか」を明確化→「~ができる。」という表記に。 また、能力育成に不可欠な「主体的・対話的で深い学び」の創造も、カリキュラム・マネジメントの領域に組み込まれた。授業改善の活性化・教育実践の若手教員への引継。 さらに下記のような事を申し添えるのでまたまた現場混乱。 -小中学校は、これまでと全く異なる指導方法を導入する必要はない。 -指導体制の充実や、運動部活動ガイドラインの策定による業務改善 -既に行われている優れた教育実践の教材、指導案などを集約・共有化 #br いつしか、カリキュラム・マネジメント(CM)は万能薬に変身。 相関関係がある取り組みが因果関係がある取り組みとして具現化されるお家芸発揮 (例:「早寝早起き朝ご飯」学力が高い子たちには早寝早起き朝ご飯を励行している子が多い→「早寝早起き朝ご飯を励行すれば学力向上」に変換) つまり、カリキュラム・マネジメントをすれば学校教育は確実に良くなる。 そこに研究者の自説が百花繚乱。飛びつく教育行政や学校。どれも合っているけれど、それだけで良いのだろうか。 >''研究者の自説'' -カリキュラム・マネジメントは校内研ワークショップだ -カリキュラム・マネジメントは授業スタンダードだ -カリキュラム・マネジメントは学校評価とPDCAだ -カリキュラム・マネジメントは教育ビジョン作りだ -カリキュラム・マネジメントはサービスラーニングだ -カリキュラム・マネジメントは学びの共同体だ -カリキュラム・マネジメントは総合的な学習だ 学会も揺れている。現場の混乱は独立行政法人教職員支援機構のカリキュラム・マネジメント研修者の目的意識の多様性からも読み取れる。 >''カリキュラム・マネジメントの階層'' ①校長:学校経営レベル=各層のCMを調整、時にはトップダウンの教育方針とその具現化も必要 ②副校長・教頭:人事・経理・渉外レベル=教員の授業づくりを後方支援 ③総括教諭:校務分掌レベル=授業づくりをチームでサポート ④教務主任:教育課程レベル=教育課程を柔軟マネジメント ⑤研究主任:校内研究レベル=校内研究で学校を牽引する ⑥特別支援教育担当:ケアリングレベル=授業づくりに向けての教員・児童生徒のケア ⑦学年主任:学年経営レベル=学年の授業づくりマネジメント ⑧教員:学級経営レベル=学級の授業づくりマネジメント >''カリキュラム・マネジメントに際して考慮していくべき七つの基本'' ①なすことによって教職員がマネジメントについて学び合う事 ②校務分掌を改革し,学校経営をチームとして協働させる事 ③カリマネをすること自体や,ペーパー作成を目的にしない事 ④管理職は教員の育成を密やかに思い続ける事 ⑤PよりDの具体を大切にする事 ⑥校長は具体的にどんな授業,特別活動を目指すかを教員に示す事 ⑦&color(Red){校内研究の改革及び充実を主軸におく事}; 校内研究・授業研究がカリキュラム・マネジメントを評価する。(学習指導要領に沿った、きめ細やかな日常的児童生徒指導は生かされているか...など) カリキュラム・マネジメントにおいては校内研究推進担当者の役割は重要。 質の高い授業づくりのためにカリキュラム・マネジメントする対象は広い。 #endregion ***第八講目の内容(作成中) [#b89c847a] #region(学校長とは) ''学校長とは'' >''学校長になるには(大凡)'' 教頭・校長への昇任試験あり。 -たたき上げコース 一般教員→学年主任→主幹教諭(チームリーダー)→教頭→校長 -バイパスコース 一般教員→指導主事→教頭→校長 ↓ 文部教官教員→(一般教員・主幹教諭)→教頭→校長 -ハイパーコース 一般教員→指導主事→行政課長・部長→校長←民間企業(役職持ち) 学校で校長を滅多に見ないのは校長会が原因。 //校長経験者が大学に行くと、そのまま教授になれる。(とても煙たがられる) #endregion ***第九講目の内容 [#eea13975] //茅ヶ崎市立香川小学校 #region(学習評価) ''学習評価'' 教師は他人の子供を勝手に評価できる。寧ろ、評価しないのは違法。 >''法的根拠'' -学校教育法施行規則 第五十七条 小学校において、各学年の課程の修了又は卒業を認めるに当たつては、児童の平素の成績を評価して、これを定めなければならない。 -小学校学習指導要領 総則編 第4 指導計画の作成等に当たって配慮すべき事項(11) 児童のよい点や進歩の状況などを積極的に評価するとともに,指導の過程や成果を評価し, 指導の改善を行い学習意欲の向上に生かすようにすること。 >''学習評価は注文が多い。''(→適切な場面・教師評価・相互評価・自己評価) ○小学校学習指導要領解説 総則編 ・評価は知識・技能・思考力・判断力・表現力育成に重要 ・評価と指導の一体化(子どもの評価で指導を改善) ・児童の実態に即した多様な学習・主体的学習・意欲喚起 ・学習の成果と併せて過程を重視 ・子ども一人一人の成長を見取る ・学習を振り返って、新たな学習に向かう評価 ・評価場面や方法を工夫せよ >''評価の目的'' -指導要録作成 ・文部科学省通知(書式は教育委員会で統一) ・学籍1枚(20年間保存) ・指導資料1枚(5年間保存) ・抄本(進学先に成学籍と指導資料の概略を送付) -通知表(家庭への知らせ・あゆみ・通信簿)発行 ・学校長の判断で作成・配付(出さなくてもよい・・・) -調査書作成(学校教育法施行規則第78条) ・公立校または私立校に受験等をする際の資料 >''評価するために学校や教員が作るモノ'' -指導計画 いつどこで、どのように評価するかの一覧表。実際には教科書指導書準拠(無理!!) -評価規準 各学校で検討・作製。評価の目安。記述文章。この規準で決めやすいように評価基準設定校も存在。 -ルーブリック 評価規準を数値化できるように、3段階程度にわけて記述規準を示したモノ。 |>|学習評価の方法|h |相対評価(集団に準拠した評価)|成績を偏差値に換算して評価。母体が少ない場合、正規分布しない。絶対評価を加味した相対評価として平成12年まで使用| |絶対評価・到達度評価|絶対評価は個人目標、到達度評価は学年目標を規準に評価。→評価項目が多く、評価作業が膨大| |個人内評価|個別な事項(総合所見に文章で示す)| >''目標に準拠した評価(平成12年以降)'' -学習指導要領の内容習得を確実にする。 --学習指導の改善→指導と評価の一体化 --人数が少なくても客観的評価可能 --小中高の円滑な接続 --個に応じた指導も可能 -観点別学習状況評価 資質・能力の育成に向かって「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「学びに向かう力・人間性」それぞれ3段階評価 A:十分満足できる B:概ね満足できる C:努力を要する #endregion ***第十講目の内容 [#n1730bd5] #region(学習評価演習) ''学習評価演習'' 以下を踏まえて架空の生徒の学習評価を行う。 >''評価の仕方'' -%%%①観点別学習状況評価%%% 資質・能力の育成に向かって(3観点をそれぞれ3段階評価) 3観点:「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「学びに向かう力・人間性」 3段階:「A:十分満足できる」「B:概ね満足できる」「C:努力を要する」 -%%%②評定%%% 小学校は3段階(1・2年はない) 中学校は5段階 -%%%③評価規準(のりじゅん)%%% 各校で毎年修正。児童の学習状況を見極めてABCで評価。 例:「数字を書いたり計算しようとしている。」 >''学習評価の課題'' ・教師の先入観 ・評価規準(のりじゅん)、評価基準(もとじゅん)の曖昧さ ・4観点以外の能力はどう評価するの ・BはACを凌駕する傾向 #endregion ***第十一講目の内容 [#e72e3c54] 課題(本レポート)、紙媒体で次回提出。来週は講義なし、猶予は2週間。 >''レポートの条件'' 〇A4用紙1枚程度(裏面可)。 〇Canvas LMSにある書式をダウンロードして、ワードを使用し、字の大きさは11ポイント、字体は明朝体。また紙の余白は左右2cmで設定。 〇用紙上部の「学籍番号」「学科名」「氏名」等を記載。次回授業開始時に提出。 〇なぜそう考えたかの根拠を重視して、100点満点で評価される。 >''レポートの内容'' 「特別な教科 道徳」は教育現場に何をもたらすのだろうか ◆記述内容は次の3つ ①「特別な教科 道徳」への改訂で、学校で起こると予想されることを具体的に記述 ②なぜそれが起こるかの根拠 ③「特別な教科 道徳」について思ったこと、考えたこと #hr #region(道徳教育) ''道徳教育'' >''変遷'' 昭和20年12月にGHQ「修身、日本歴史及び地理の停止に関する件」指令 道徳教育は学校の教育活動全体を通じて行うことを基本として実施 昭和28年8月に教育課程審議会答申で社会科の中での道徳教育の役割を強調 #hr |道徳の時間の特設|h |1958年(昭和33年:小・中)および1960年(昭和35年:高)の学習指導要領告示により、小・中学校では道徳教育の徹底を図るため、週1単位時間の「道徳の時間」が特設。| |目標と内容の明確化|h |1968年~1970年(昭和43年~45年)の改訂では、道徳教育および道徳の時間の目標が明確化。&br;その後、1977年~1978年(昭和52年~53年)に内容項目の再構成された他、1989年(平成元年)には内容項目を4つの視点から再構成が行われた。| |教材の導入と位置づけの強化|h |2002年(平成14年)に、道徳の時間をはじめ様々な場面で活用できる教材として「心のノート」が作成・配布された。&br;2008年~2009年(平成20年~21年)の改訂では、道徳の時間が道徳教育の「要」であることが明確化。&br;2014年(平成26年)には「心のノート」が全面改訂され、児童生徒が自ら考え行動することを狙いとした「私たちの道徳」が作成・配布。| |「特別の教科 道徳」への移行|h |2015年(平成27年3月)の小・中学校学習指導要領の一部改訂により、道徳教育のさらなる充実のため、道徳の時間が「特別の教科 道徳」として位置付けられた。&br;この改訂は、中央教育審議会による「特別教科化、検定教科書の導入」の答申 などを受け、小学校では2018年度(平成30年度)、中学校では2019年度(平成31年度)より全面実施。&br;これにより、多様で効果的な指導方法への改善や検定教科書の導入、成長を促すための評価の充実が図られた。| >''学習指導要領'' -道徳教育(第1章第1の2) 学校における道徳教育は,道徳の時間を要として学校の教育活動全体を通じて行うものであり,道徳の時間はもとより,各教科,外国語活動,総合的な学習の時間及び特別活動のそれぞれの特質に応じて,児童の発達の段階を考慮して,適切な指導を行わなければならない。(中略) -道徳教育の目標(第1章第1の2の中段) 道徳教育は,教育基本法及び学校教育法に定められた教育の根本精神に基づき,人間尊重の精神と生命に対する畏敬の念を家庭,学校,その他社会における具体的な生活の中に生かし,豊かな心をもち,伝統と文化を尊重し,それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛し,個性豊かな文化の創造を図るとともに,公共の精神を尊び,民主的な社会及び国家の発展に努め,他国を尊重し,国際社会の平和と発展や環境の保全に貢献し未来を拓く主体性のある日本人を育成するため,その基盤としての道徳性を養うことを目標とする。 -行動目標(第3章道徳の第一) 道徳の時間、各教科、外国語活動、総合的な学習の時間及び特別活動でも、道徳性の育成を図り、「道徳の時間」で 補充・深化・統合し、道徳的実践力を育成。 >''道徳教育に不可欠な関係性と連携'' ①良好な人間関係や学級 ・教師や集団との関わりの中で深化 ・教師は、学び合うという立ち位置が大切 ②家庭や地域との連携 ③集団宿泊活動等の体験の重視 ・集団宿泊活動 ・ボランティア活動 ・自然体験活動 >''道徳教育を通してつけたい力'' 自立心、自律性、生命尊重の心を育みながら ①基本的な生活習慣 ②社会生活上の決まり ③善悪の判断 (低学年) ④集団や社会のきまり ⑤協力と助け合い(中学年) ⑥法と決まりの理解 ⑦支え合う態度 ⑧役割と責任 ⑨国家・社会の一員(高学年) >''道徳教育の現状'' 道徳の授業を十分実施できていると思う教員は小学校で3人に1人、中学校では4人に1人。 学年が上がるにつれて道徳の授業を楽しい・ためになると感じている割合が低下。 -''[量的課題]'' 歴史的経緯に影響され、いまだに道徳教育の目標や位置づけに戸惑いがある。 他教科等に時間を費やされ、他の教科に振り替えるなどしていることがあるのではないか。 →年間35時間単位で時間が確実に確保されるという量的確保が必要 -''[質的課題]'' 教員をはじめとする教員集団全体でその重要性が十分に理解されず、効果的な指導方法も普及されていない。 地域間、学校間、教師間の差が大きく、道徳教育に関する理解や道徳の時間の指導方法にばらつきが大きい。 授業方法が、読み物の登場人物の心情を理解させるだけなどの面に偏ったものになりがちである。 学年が上がるにつれて、道徳の時間に対する児童生徒の関心が低くなっている状況がみられる。 →子供たちが道徳的価値を理解し、これまでに培ってきたその自覚を深めるという質的転換が必要 道徳教育の課題に対して「特別な教科 道徳」が登場 教育再生実行会議提言や中央教育審議会答申を踏まえ、学習指導要領を一部改訂し、「道徳の時間」は、小学校は週1時間を確保、「特別の教科 道徳」として位置付け、平成30年3月27日に告示。 学習指導が担当することが望ましいと考えられることや数値などによる評価はなじまないと考えられること、そして、教科制にはいい側面があることを踏まえて、「特別の教科」という新たな枠組みを創設、位置付ける。 >''要点'' -検定教科書を導入 -内容について、いじめの問題への対応や情報モラル、生命尊重、伝統と文化、国際理解等、現代的な課題を踏まえた内容の充実を図る。 「個性伸長」、「相互理解、寛容」、「公正、公平、社会正義」、「国際理解、国際親善」、「よりよく生きる喜び」の内容項目を小学校に追加 -問題解決的・体験的学習を取り入れ、指導方法を工夫 -数値評価ではなく、記述式での評価。成長の様子や成果を把握。 ※単元や題材ごとにではなく、1単位時間にもまたがって評価を行うことが可能。 >''「私たちの道徳」'' 「私たちの道徳」は「心のノート」を全面改訂したものであり、児童生徒が道徳的価値について自ら考え、行動できるようになることをねらいとして作成した道徳教育用教材。 学習指導要領に示すごとの内容項目ごとの「読み物部分」と「書き込み部分」で構成。 児童生徒の発達の段階を踏まえ、偉人等の名言、偉人や著名人の生き方に関する内容を多く取り上げるとともに、いじめの問題への対応や我が国の伝統と文化、情報モラルに関する内容などの充実を図る。 #endregion ***第十二講目の内容 [#h88ef5ef] 前回、講義はないと先生が言っていたが、WEB講義はあるらしい。教室出席の必要はなし。 また、レポート課題が出された。提出期限は12月21日正午。 >''レポートの内容'' 本講義の内容を参考にして下記の課題(テーマ)について、300字程度でLMSのテキストボックスに入力する。 (授業資料には200字程度と書かれているが、提出場所には300字程度と書かれている。300字を目安にするのが安牌か。) この入力をもって、出席と見做される。提出期限は12月21日(日)の正午。 尚、本課題は本レポートとなり、100点換算となる。 #br 「現在、中・高等学校においては、特別支援教育的視点での生徒指導が必要と言われています。 では、中・高等学校で特に特別支援教育的視点が必要とされているのはなぜでしょうか。 自分の中・高等学校での経験を加味して、その理由を記述しなさい。」 #region(レポートの例) ''レポートの例'' 小学校から中学校へ環境が変わると共に心理や身体の変化が顕著になり、思い悩むことが増える。また、中学校から高等学校へ進むと、受験勉強という困難が現れる。これらの試練は成長の糧となる一方で重篤な状態に至らせる可能性がある。少年院では発達障害や知的障害を持った少年が多く在籍しており、その原因の一つに育児放棄や虐待といった小児期逆境体験が指摘されている。 私も様々な悩みを持ち、答えが出ない日々がその年頃には確かにあった。その悩みは必ずしも人に相談することが出来るものではなく、多くは一人で立ち向かうことになる。特に近頃は電子空間での遣り取りや人生モデルの喪失などとは無縁ではいられない。 先に述べた通り、強いストレスを与える環境や体験は人体の機能不全を齎す。故にそのセーフティネットとして中・高等学校で特に特別支援教育的視点が必要であると言わざるを得ない。 #endregion #hr #region(特別支援教育) ''特別支援教育'' 現在、価値観の多様化に伴い、教育界では不確定要素が増大している。 加えて、社会情勢の変化も起こっている。 (個人主義化・業績主義の導入・離婚率の上昇・メディア依存・SNSの脅威・人生モデルの喪失...等々) このようなことから学校へのニーズが不確定かつ多様になっている。また、児童生徒指導の課題も増加。 →教育的ニーズがある児童生徒すべてが特別支援教育の対象 #br アセスメント(情報の収集と分析)が重要。特別支援の70%はこれ。 しかし、闇雲に情報を集めるだけでは駄目。場合によっては悪い結果に繋がる。 • 個別情報への個別反応は状況を悪化させる場合がある。 • 単独でのアセスメントは事実誤認と感情移入を許してしまう。 • 初期対応に連携が存在しないと、最後まで整合性が取れなくなる。 • 全体構造が把握できない見切り発車は、危険が一杯。早期発見、早期対応は重要だが、焦りは絶対に禁物。 #br 故に多角的で多様な日常的アセスメントが必要。 • 事が起きてからでは遅い。 • 多方面からの機動的な日常的な情報収集(そのための戦略)が重要。情報収集方法の吟味(多様な方法論の習得)も大切。 • 情報は担任が整理・分析した上で、学校長への報告・連絡・相談してから次の段階に進む。 >''アセスメントの4次元構造'' 時間の許す限り丁寧に。 -木(1次元):個人の特性や学力・生育履歴・家庭環境・課題性の視点 --正確な事実確認(課題が発生した場合) いつ・誰と・何で・何を・どのようにしたか、そのあとどうしたか。 そして、それについてどう思うか(複数で聴取・個別聴取が原則)。 --起した課題より、本人の困り感は何かに焦点を当てる(叱責は後回し。これからの指導に生かすように) 発達特性の偏り・家庭環境の課題や変化・生育環境の影響・人間関係のつまづき 等の有無を探る。 -森(2次元):集団の特性(学力状況・人間関係・全体の柔らかさ)の視点 --人間関係の状況 友人関係・部活(クラブ)関係・係り関係・恋愛関係・学童関係塾関係など。 --学力状況 本人が課題の解消に向かう際の理解力・対応力に影響。 --全体的風土(組織内にある何とも言えない空気) プラス面=柔らかさ・素直さ・男女の仲良さ・ポジティブ・笑顔→→→課題解決に向けての力になる。 マイナス=他者攻撃的・個人主義・ニヒリズム→→→課題解決を阻止する要因となる事がある。 -大地(3次元):組織文化(学校や地域独自の文化)の状況の視点 --学校文化 小学校(学級担任制が形作る文化=個別性・主体的・課題対応収斂的) 中学校(教科担任制が形作る文化=全体性・他律的・課題対応拡散的) --教員文化 形成要因(学校伝統継承・学校経営・学校組織・世代構成・教員特性) --保護者文化及び状況 学校(教員)不信? 精神的課題性? 責任感? 対話可能? --地域文化 学校協力的・組織性・キーパーソン(自治会長等)の存在 -時間(4次元):現在だけでなく、過去・未来も対象に見ていく視点 現在の課題に目を奪われる傾向がある。(問題行動,体調不良,保護者の苦情) --過去が影響しているかも 生育歴・家庭環境・発達検査有無・入学時状況 等 --未来が要因かも 進学就労希望先が不透明、漠然とした将来不安(本人・保護者)、対応が可能な機関が見当たらない。 アセスメントが終了したら、プランニング(計画)を始める。「十分なアセスメント情報の分析」→「学年や支援チーム等での検討」 >''検討の際の留意点'' 「子どもや保護者が悪いから課題が発生するので矯正したい」では駄目。 ・課題が発生した要因は何が考えられるか。 ・困っているのは誰で。どのように解決したいのか。 ・ゴールは何か。そのためにどのように取り組むか。 #br 方向性が決まったら、報告・連絡・相談を所属長にする。 >''プランニング実施の際の留意点'' -必ずケース会議を開催 個別検討や個別対応を排除する。 -出席者は当事者意識のあるメンバー限定 当事者意識のない構成員は会議を無意味化させる。 -対応の方向性の共有化 方向性が決まったら各担当の専門性に任せる。それが信頼の輪を生み出す。 -ファシリテーター(中立的な立場で議論を促進する舵取り役) 誰かがたてた案の検討ではなく、話し合って方策を導き出す事が重要。ファシリテーターの存在は不可欠である。 >''プランニングのゴールの設定'' -誰がどのように対応していくかを明確化 担任の負担が大きいため、複数対応と対応の分散化を検討する。 -焦りは禁物。しかし早期対応は必須 何もしない時間経過は不信や状況の悪化を増幅し、さらに児童生徒をより深みに導いていくことになる。 -情報が常に一箇所に集まり、共有できるようにする 指導ホワイトボード・指導ノート等を個人情報保護に最大限留意して活用する。 毎日のミーティング(会議)励行等の労力と時間が多くかかる実現不可能な取り組みはなるべく避ける。継続性と効率性が重要。 -対応期限とゴールを決め、再ケース会議を対応前から設定する 取り組みの評価期間を設定し、方策を状況に応じて柔軟に改善していく勇気が必要。 実際の対応に際しては、ティーチング方式からメンタリング方式への転換が必要。ティーチング方式には光と影がある。 >''ティーチング方式(教師→生徒)'' -光 教員文化に適合する価値観を教え込む形式となるため、教員にとってやりやすく、効果的に短時間で指導することが可能。 また、一般的に指導としての形で受け入れられている。 -影 規範意識や道徳性・生活習慣を刷り込む方向性は価値観多様な現在では障壁が多く、保護者や児童生徒集団とのトラブルをさらに生み出す虞がある。 しつけ的要素が強くなり、叱責・皮肉・脅かし・将来への不安高揚等の手段が用いられ、する側もされる側も後味の悪いものとなる。 そして、その状況から逃げるために、教員側の提案を一時的受け入れてしまう事にもなりかねない。 >''メンタリング'' 支援的助言者(メンター)⇔被支援的助言者(メンティ) #br 教員が理想とする児童生徒のあり方になるよう、規範意識や道徳意識をしつけるのではなく、 困り感のある児童生徒本人や保護者・関係する教員に、その困り感をまず自覚させる。 ↓ 困り感を整理し、当事者のキャパシティに沿って、何をしていくべきかに自ら気づかせる。 ↓ 指導者、支援者、理解者として、当事者にゴールまで寄り添っていく。またそのことにより、メンター自身も専門性を高めていく。 特別支援的活動には、3つの連携対応は不可欠である。 -学校内連携 学年(必須だが小学校では一番難しいかも。) 校内支援チーム(特別支援関係・児童生徒指導関係など) 養護教諭・SC(スクールカウンセラー)・心の教育相談員とも連携する。 -学校外連携 青少年教育相談室・特別支援巡回相談チーム・こどもセンター・家庭児童相談室・各養護学校相談部・県教育相談センター・県中央児童相談所 などと連携する。 -地域連携 PTA・民生委員・主任児童相談員・地域青少年育成会等だが、気をつけないと、 対象団体の組織作りに利用されたり、個人情報の流出を招くことがある。何しろ、素人の方の集団である。 #endregion ***第十三講目の内容 [#y05da7d4] 以降、紙媒体の提出物が増える。配点が高いので落とさないように。 ***第十四講目の内容 [#ocf563e8] ***第十五講目の内容 [#dacd6399] }} *コメント [#comment] #pcomment(,reply,20,)