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> 政治学(上岡敦)
政治学(上岡敦)
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***第十二講目の内容 [#xa5d6fbc] #region(政治制度とその帰結) ''政治制度とその帰結'' >政治制度と政治過程 制度を「社会におけるゲームのルール」と考えるならば、政治制度は「政治におけるゲームのルール」 →ルールに基づいて様々な政治過程が展開される。 #br これまでの授業では、各制度の特徴や、その帰結(制度がもたらす効果、結果)を検討 例:大統領制は権力の分立を招き、議院内閣制は権力の融合を促進する。 #br 今回は、制度の組み合わせがどのような帰結(政治過程)を導くのかを検討 政治過程(社会の多様な政治的要求が政党や国家機構を通じて政策として実現されていく一連の過程)には非公式制度(文化,慣習等)も影響。 >選挙制度と政党システム ・デュヴェルジェの法則 (Duverger's Law) ①「比例代表制は、多党制的で、強固で、自立的でかつ安定した政党システムを促進する。」 ②「二回投票による多数決制は、多党制的で、柔軟性があり、非自立的でかつ比較的安定した政党システムを促進する。」 ③「単純多数一回投票制は、主要な独立した政党間の権力の交代をもった二党制を助長することになる。」 →小選挙区は二党制になりやすく、比例代表制は多党制になりやすい |機械効果|最多得票を獲得した一人しか当選できないため、小政党は候補者を擁立しなくなる。| |心理効果|有権者は、自分の1票を死票にしたくないため、当選しそうな候補者に投票する。| >選挙制度と政党組織 ・集権的な政党組織 党首や政党のイメージ、人気に頼って議員が選挙に当選する場合、選挙後も政党の指示に従う必要がある。 →次の選挙で公認を得られない可能性があるため 執行部の決定した方針に議員が反対できる可能性は少ない。 →政党の政策方針は執行部の意向で決まる。 ⇒党執行部の権限が強い政党組織になる。 #br ・分権的な政党組織 イメージ、人気に頼らずに議員が選挙に当選する場合、選挙後になくとも選挙で当選できるため党首や政党の指示に従う必要がない。 →公認が得られ執行部の決定した方針に対して、議員が反対する可能性が高い→政党の政策方針に議員の考えが反映されやすくなる。 ⇒党執行部の権限が弱い政党組織になる。 >執政制度と選挙制度 ・議院内閣制と有権者の投票行動議院 内閣制:議席の過半数を獲得した政党の党首が首相になる。 有権者がある政党の候補者に投票する→議員になってほしい候補を選ぶ。=候補者の所属する政党の党首を首相に選ぶ。 政党、党首に対するイメージ、評価を基準に投票先を選ぶ傾向が高い。 選挙における政党、党首の影響は大きくなる可能性が高い。 →政党組織が集権的になる可能性がある。 #br ・大統領制と有権者の投票行動 議会の選挙と大統領選挙が別々に行われるため、有権者は議会選挙においては、政権選択という誘因が働かない。 →候補者個人に対する評価を基準に投票先を選ぶ傾向が高い。また、選挙における政党、党首の影響は小さくなる可能性が高い。 →政党組織が分権的になる可能性がある。 > 執政制度と政党組織 -議院内閣制と政党組織 --集権的な政党組織の場合→党執行部の権限が強い。 与党の党首である首相の考えがそのまま決定、実行される→首相は強いリーダーシップを発揮できる。 --分権的な政党組織の場合→党執行部の権限が弱い。 与党の党首である首相の考えがそのまま決定、実行されない可能性が高い。 →首相は強いリーダーシップを発揮しづらい。 -大統領制と政党組織 --一体性の高い政党組織の場合 大統領の支持勢力が多数派の場合、大統領のリーダーシップはより強固なものとなり、政策実施の効率性が非常に高いものとなる。 大統領の支持勢力が少数派の場合、大統領の実行したい政策が必ずしも実行されるとは限らず、大統領と議会が妥協する可能性は低い。 →政治が停滞する可能性が高い。 --一体性の低い政党組織の場合 大統領の支持勢力が少数派であっても、反対派を切り崩すことが可能なため、政策によって大統領は多数派の支持を確保することができる。 →政治の停滞を回避することができる。 >> 執政のリーダーシップの源泉 選挙での公認権、当選後の人事権、選挙資金などがどの程度党執行部によって管理されているのか 有権者がどの程度まで政党を基準とした投票を行っているのか...などなど >議会制度と選挙制度 -小選挙区制を採用する場合 選挙において国民は2つの選択肢から1つを選択することになる。 →選挙の段階で選択肢が決まる。 ⇒議会には多数派に支持された政策を実施することが期待される。(効率性が求められる。) -比例代表制を採用する場合 選挙の段階では、国民の考えの分布が示される。 ⇒議会において、合意の形成が期待される。(応答性が期待される。) >執政制度・議会制度・選挙制度の相互作用 |>|さまざまな政治制度|h |選挙制度|多数代表か比例代表か、いかなる政党システムか、どのような代表を選ぶのか| |執政制度|議院内閣制か大統領制か、行政権と立法権との関係、国民と執政の関係をどのようにするのか| |議会制度|アリーナ議会か変換議会か、議会にどのような役割を求めるのか| |政党制度|二党制か多党制か、集権的な組織か分権的な組織か| いかなる制度の組み合わせがどのような政治的帰結に結びつくのかを考える。 議会を中心にして、様々な政治制度の相互作用を考える。 →政治の中心を議会とするのか、政府を中心に強いリーダーシップを政治に求めるのか #hr #br ・変換議会 法律、政策を作ることが目的となるため、その時々の国民の意思を反映させることが求められる。 →応答性の追求 望ましい選挙制度:国民の多様な考えを反映しやすい比例代表制 →選挙の際に、選択肢の数が多い多党制が望ましい。 変換型議会では、選挙で示された民意にそって、議会で利益を調整し、政策を作り上げていく。 #br ・アリーナ議会 議会での審議を通し、政府が作成した法律案、政策案の実施を確実に行うことが求められる。 →効率性の追求 望ましい選挙制度:集権的な与党の下で、迅速に政策を決定できる多数派の形成が可能な小選挙区制 →選挙の段階で政策の方向性が決定される二党制が望ましい。 アリーナ議会では、選挙で選ばれた多数派の政策を効率よく実行していく。 ||変換議会|アリーナ議会|h |立法の主体|議会|政府| |議会の意味|応答性|実効性| |議会機能の中心|立法機能|審議機能&br;行政府監視機能| |政府との関係|対抗|従属| |(望ましい)選挙制度|比例代表制|多数代表制| |(望ましい)政党システム|多党制|二党制| |議会制度|権力行為である立法行為がどのように行われるのかを規定するルールの集合体| |選挙制度|権力を獲得する政治勢力を選出するためのルールの集合体| →選挙制度を通じて権力を獲得する政治勢力の権力行使のあり方を規定するのが、議会制度 >権力の集中か権力の分散か 議院内閣制に対する2つの見方 有権者にとって選挙の意義:政権を選択するのか、自分たちの代理人を選択するのか -権力の融合(多数派支配:majaritarian_control) 立法権と行政権を内閣の下で融合させ、内閣による立法を促進する。 →政策責任が明確になり、選挙における政権選択が可能になる。 内閣を支持する多数派が固定されるので、政権は安定 ⇔時々の多数派に支持される政策が効率的に実施されるが、少数派の意向は尊重されにくい。 ⇒政策の応答性は高いが、包括性は低く、政策の連続性が低い。 -権力の分散(比例的影響: proportional influence) 与野党が政権運営や政策形成に関与することが可能 →少数派も政策決定に関与できるが政策責任が不明確になる。 政策毎に内閣を支持する多数派が変わる可能性があるので、政権は不安定 ⇔その都度、多数派を形成する必要があるため、政策形成は非効率的だが、多様な利益が反映 ⇒政策の応答性は低いが、包括性が高く、政策の連続性が高い(現状維持的傾向が高い) #endregion
''■[[政治学]]'' |BGCOLOR(#555):COLOR(White):200|520|c |BGCOLOR(#fc2):COLOR(Black):''分類''|''選択''| |区分|総合教育科目| |履修形態|完全抽選| |履修条件|CHIPSの抽選に当たる。| |単位数|2| |講師|[[上岡敦]]| |学位等|学士| *概要 [#Gaiyou] 本科目はCHIPSによる抽選を行うため、履修予定者は必ず手続きを行うこと。 NU-AppsGのアカウント(@g.nihon-u.ac.jp)が必須となる。未取得の場合は、授業開始までに必ず取得しておくこと。 授業で取り上げるテーマや事例は社会的状況や受講者の理解度に応じて授業計画を変更する場合がある。 #br 講義は資料を読みながら講師の説明を聞く形式。教科書・参考書は不要。 シラバスには受講者にとって負担の大きいものになるとあるが、大学に入れる程度の知識量があれば大丈夫。 試験100%で、リアクションペーパーなどの提出は任意。ただし場合によっては、提出物の内容など、授業への参加意欲を考慮する。 試験の内容は一問一答と記述。 #br この科目は文理学部のDP及びCPの2、3、4に対応している。 //授業時の音声の録画や映像の撮影等は禁止とし、違反した場合は単位の取得を認めない。 *講師の印象 [#Inshou] 誤字が多い。([[憲法]]よりかは少ない。) //、[[政治学]]では打って変わって全くない。///そんなことなかった *令和七年度(2025年度) [#h81d5434] 前期と後期にそれぞれ開かれている。 &color(Red){授業中に試験を実施しない。(実施日と実施場所が伝えられるので、それに従うこと。)}; 授業ではスライドの撮影や音声の録音等は禁止されています。 編集者は振り返りの一助になるだけの記述に限って書き込みしてください。 #style(class=submenuheader){{ **前期 }} #style(class=submenu){{ |BGCOLOR(#555):COLOR(White):200|520|c |BGCOLOR(#fc2):COLOR(Black):授業形態|対面授業/遠隔授業| |日程/教室|火曜日 五限目/3505教室(三号館五階五番教室)| ***第一講目の内容 [#q6340da5] #region(政治) ''政治'' >政治と経済 「政治とは価値の権威的配分である。」(Easton:1953) ◆価値 社会を構成している個人や集団にとって重要な意味を持つものであり、 誰かがそれを手に入れると、他の人が手に入れる機会や量が減ってしまうもの。 ◆権威的配分 価値あるものを、何かしらの決まりに基づいて誰かが分け与えること。 #br 「市場経済とは財の効率的配分」(ミクロ経済学) 米とサンマの交換→自由で自発的な財の交換によって市場の参加者の満足度が最大化する。(満足したところで取引を止める。) #br 農民と漁師の住む村にりんご農家がいて、りんごが病気で壊滅被害を受けた。 →村でそれぞれの負担を決めて、りんご農家を助ける→村人全員を決定に従わせる。 >政治の役割 人間は一人では生きていけない→社会を形成する 社会はさまざまな人間が集まっている集団→異なる意見や価値観が対立する 社会においては価値をめぐって様々な要求や利害の対立が起きる →政治は対立を調整し、社会を維持、形成していくために必要 ある現象が政治的な問題になるかどうかは時代によっても変化する →知識を覚えたり、情報を知るだけでは政治を理解することは難しい 変化する時代にあっても、我々一人一人は政治の担い手であり、当事者としての責任がある →政治の主体として様々な選択をするための判断力を身につけることが必要 ⇒日々行われている政治に目を向け、政治を見る力を養わなければならない >社会科学 政治学とは、政治を研究対象とする社会科学の1つ。 社会科学とは、社会を対象として、研究を行う学問の総称 社会の決まり(運営法など),社会で営まれる生産・消費活動,社会を作る色々な組織とそこで起きる現象など、社会のあらゆる「要素」が対象。 #br 少子高齢化、生活格差の拡大、行政の非効率と不正、地方経済の低迷、 世界的には環境破壊と資源の枯渇、民族紛争、貧困などの問題をいかに解決するのかを考えることも役割 >様々な政治学の分野 日本の政治学の分野は主に 「政治思想・政治哲学」,「政治史」,「国際政治学・国際関係論」,「行政学・地方自治」,「現代政治学」に分けられる。 (アメリカの場合は「政治理論」,「アメリカ政治」,「国際関係」,「公共政策」,「比較政治」) -政治思想と政治哲学 |政治思想|自由や平等、民主主義などについて誰がどのように考えてきたのかを考察する。| |政治哲学|良い政治とは何か、あるべき政治の姿を考察する。| -政治史 近代以降を対象とし、各国の政治、あるいは政治と関係のある諸部門がどのように発展したのか、 政治的重要事件がいかに生じたのかあるいはなぜ生じたのか、ある制度はなぜ導入されたのか等を考察する。 →日本政治史、西洋政治史等に細分化される -国際政治学・国際関係論 国家間の紛争がなぜ起きるのか、安全保障政策をどうするか、国家間の外交はどのように行われているのかを考察する。 -行政学・地方自治 公務員制度や行政機構はどのようになっているのか、地方公共団体の構造はどうなっているのか、社会問題解決のための政策等について考察する。 -政治理論と現代政治学の違い 政治理論は「平等」や「正義」などのように規範的かつ理論的な問題を扱うのに対し、 現代政治学は主として経験的な問題を扱う。 例:政治参加が民主主義にとって善か悪かを論じるのではなく、人々がどのような形で政治に参加するのか、若年層と高齢層との参加の違いについて論じる。 -国際関係論と現代政治学の違い 国際関係論は、政治システム(国家)間の相互作用に目を向けるのに対し、現代政治学は政治システム(国家)内の相互作用に関心を向ける。 例えば、現代政治学は、国家間の戦争をテーマとはせずに、政党同士の対立に目を向けたり、 軍事介入や安全保障政策に関心を持つ有権者がどのような政党を支持しているのかに注目する。 #endregion ***第二講目の内容 [#f045322e] #region(学問としての政治学) ''学問としての政治学'' >政治学の起源 政治とは何かと同様に政治学とはどのような学問であるのかという問いも究極的な問題 [[政治学]]とは「政治現象を対象とする学問」と単純化して考えてみる。 プラトン『国家論』、アリストテレス『政治学』などなど→政治学の歴史は2000年以上 政治学という学間は科学といえるのか? >社会科学の内生的問題 「合理的認識」:ある事実が発生する原因を合理的に説明できること 原因→結果という流れ(因果関係)を明らかにすることが重要 ⇨科学とは「認識対象の合理的・客観的分析と、その分析に基づく普遍的法則性の発見」 科学とは「世界の一部を対象領域とする経験的に論証できる系統的な合理的認識」(広辞苑) 自然科学が対象とする自然現象は、自然現象を観察する主体である人間の特性とは無関係に存在 ある花を綺麗と思う、思わないに関係なく、種を播いて水を与えれば花が咲く。 社会科学が対象とする社会現象は、認識主体の特性により社会現象の把握の仕方に相違が生じる可能性がある。 ある選挙における投票率が70%の場合、70%という数字をどう評価するか・・・ 政治意識が低い? 誰かに強制されている? >政治学が抱える困難性 社会科学のうち、特に政治学には固有の困難性がある。 政治現象は国家だけではなく、集団に発生する現象ではあるが、国家の権力作用が重要 →国家の権力作用を客観的、批判的に分析できる自由が許容されていない社会では、政治学の発展は困難 マキャベリ『君主論』、ホップズ『リヴァイアサン』、ロックの『統治二論』、ルソー『社会契約論』...等 →絶対性に懐疑が生じた時期、あるいは政治的な自由が許容された時代に発表されている。 >政治現象における非合理的要素とイデオロギー 政治現象は権力と不可分の関係 人間の根源的な欲望である権力欲 政治現象は非合理的感情と密接に関連しているが、 政治現象を分析する主体である人間も非合理的感情を持っているため、政治現象を客観的・合理的に分析することは困難 同時に人間は価値観を有しているため、価値観を抑制した客観的判断を曇らせる可能性がある。 >''マックス・ウェーバー (Max Weber)'' 『職業としての学問』(1919) |~「価値自由」(Wertfreiheit)|実践的価値判断を排除すること| |~存在(Sein)|現にあるもの| |~当為(Sollen)|かくあるべきもの| 科学とは、実践的な価値判断を一切排除して存在の解明に専念しなければならない。 政治学が研究対象とすべきは現実の生の政治現象 →一般的な人々よりも政治に関心を持たなければならないが、実践的価値判断をしてはならない。 理念型(Idealtypus):社会現象の論理的な典型をあらわす概念 理念型を用いて、現実の具体的現象を分析するというウェーバーの社会科学方法論 →アメリカにおける政治学の科学化運動に多大の影響を与える。 >''カール・マルクス (Karl Marx)'' 歴史的発展の推進力は物質的生産力の発展である(史的唯物論) 一定の生産関係の下で生産力を発揮させている生産様式が、すべての人間社会の土台をなす下部構造 上部構造:法的・政治的・道徳的・宗教的な諸制度や思想、意識 生産関係は形成されると固定的になるが、発展に応じて生産関係と生産力との間に矛盾が生じる。 →限界を超えた時、新たな発展段階に応じた関係が形成される。 #br 原始共産主義社会 → 奴隷社会 → 封建社会 → 資本主義社会 → 社会主義社会 → 共産主義社会 マルクス主義では、思想や意識は常に下部構造によって規定されていて、「価値自由」はありえない >''カール・マンハイム (Karl Mannheim)'' 知識の「存在被拘束性」:それぞれの置かれている階級利害に拘束された知識をもつにすぎないという考え //レジュメでは「存在非拘束性」とあるが、誤り 「相互に対立しあう見方や理論は、数のうえからいっても無限ではなく、 したがって恣意的なものではなく、むしろ相互に補いあうものだ、ということを、 われわれは今日ますます明確に意識することができる。この理由によってこそ、 科学としての政治学は、初めて本当に可能となる」 > 伝統的政治学と科学的(現代)政治学 ◆伝統的政治学の方法論 ・哲学的方法論 望ましい政治とは何か、あるべき政治とは何かなど、命題設定から立証の方法に至る迄、研究者の価値観や世界観に規定される。 ・歴史的な方法論 過去の政治的出来事を研究し、叙述していき、そこになんらかの政治的意義を見出そうとするもの →歴史的研究は、過去の政治現象を研究することこそが政治研究の基本であるという考え ・法学の(制度的)方法論 法現象や手続きといった憲法を頂点とする法律的裏付けに基づく政治制度政治制度を研究するもの #br ◆科学的政治学の隆盛 ・ベントレー(Arthur Fisher Bentley)『統治過程論』(The Process of Government) 1908 伝統的政治学を「政治制度の最も外形的な特徴についての形式的研究」であり、「死んだ学問」と批判 ・ウォーラス (Graham Wallas) 『政治における人間性』(Human Nature in Politics) 1908 「人間の政治行動は必ずしも合理的ではないので実際の人間性を把握せずに制度のみを研究するのは有害」 >シカゴ学派 メリアム(Charles Edward Merriam)を中心としたグループ 比較政治学のアーモンド(Gabriel Abraham Almond)やノーベル経済学賞受賞者のサイモン(Herbert Alexander Simon)等、著名な政治学研究者を数多く輩出 「政治学研究の現状」(The Present State of the Study of Politics)(1921年) 統計学の手法や心理学の分析技法の応用、さらに地理学、人類学、生物学、[[社会学]]、社会心理学との連携を主張 社会科学評議会(Social Science Research Council) の設立に尽力し、初代会長に就任 >行動論政治学と脱行動論革命 行動論革命:政治の科学化を目指す運動 [[心理学]]における「行動主義」(Behaviorism)との違いを明確化するため、「行動論」(Behavioralism)という言葉を使用 1925年アメリカ政治学会における会長演説にて、政治行動が政治学研究の不可避の対象となることを指摘 政治現象を分析する際の基本的分析単位を個人の行動に求める行動論政治学が開花したのは1950年以降 #br ◆イーストンによる行動論政治学の特徴(1967) ・社会行動における規則的なものを追求し、知見を理論的に一般化すべきである。 ・理論は、原則として関連行動への引証によってなされる検証手続きに服すべきである。 ・行動の観察・記録・分析のための緻密な方法や技術が開発され、使用されるべきである。 ・データの記録と発見の陳述の紋密生を期するために、数量化と測定の論理的手続きが必要である。 ・価値判断と経験的説明は異なる。両者は分析的に区別されるべきである。尤も、行動論者は、両者を混同しない限り、どちらの命題を述べても構わない。 ・研究は体系的でなければならない、理論に導かれない調査研究は無益であり、データに支えられない理論は不毛である。 ・知識の応用は重要だが、これに先立って、社会行動の理解と説明に関する基礎理論の開発が重要である。 ・社会科学は人間状況の全体とかかわる。社会諸科学の相互関連の意識と自覚的な統合が重要である。 #hr #br 脱行動論革命:行動論への批判として、政治学に価値の問題を取り戻す必要性を示した主張 #br ◆イーストン(David Easton)「政治学における新しい革命」(1969) ・実質は技術よりも優先されるべきであり、政治研究の技法の精緻化よりも現代の緊急な社会問題の解決に有意であることのほうが優先されなければならない。 ・行動論政治学には経験的保守主義のイデオロギーが内在している。 ・行動論は抽象化と分析においては優れているが、現実の政治問題との接点を失い、結果的に現代社会の直面している危急の問題を隠蔽している。 ・科学は価値中立的ではありえず、価値の問題は政治研究の不可欠の部分である。 ・研究者は文明のもつ人間的な諸価値を守る歴史的責任を負っている。 ・知るということは行動する責任をもつことであり、知識人はその知識を生かす特殊な任務を有している。 ・知識人が自らの知識を生かす任務を有しているならば、その知識人によって構成される学界や大学はその時代の抗争とは無縁の存在ではありえない。 #br 1960年代後半のアメリカ国内の政治状況を背景として、社会的問題への解決策を行動論 政治学は提示することができなかった。 →政治学において価値の研究の復権が主張される >政治学の現在 科学的な手法に基づく、仮説検証型および因果推論型の研究(いわゆるPolitical Science)が中心ではあるものの、 規範的研究や制度研究の重要性も認識されており、双方の知見の活用が重要と考えられてはいるが、一定の断絶があるのも事実 #endregion ***第三講目の内容 [#f02c46d3] #region(政治と権力) ''政治と権力'' >政治と権力 政治は人々の価値をめぐる対立を調整する役割 →決定に不満がある人も強制的に従わなければならない。 ⇒権力という強制力を用いて、政治は対立を調整する。 #br 権力という面から政治をみると、権力をめぐる争いとも考えられる。 権力の形成、行使、維持こそ政治現象特有の特徴という見方も存在する。 M.ウェーバー 「政治とは、国家の枠の中、つまり国家に含まれた人間相互集団の間で行われる場合であり、 国家相互の間であれ、要するに権力の分け前にあずかり、権力の配分関係に影響を及ぼそうとする努力である」 >政治権力と社会権力 権力は政治にしか存在しないのか→人間集団には権力現象が存在する。 (例:学校、会社→会社の方針に従えなければ、辞職あるいは解雇される。) #br 国家は警察によって国民を拘束したり、命を奪うことが可能 違う国の国民になることはできても、ある国の国民であることを辞めることはできない。 >権力の定義 -M.ウェーバー 「権力とはある社会関係の中において、抵抗を排除してでも、自己の意志を貫徹しうるおのおの可能性を意味する」 -D.イーストン 「ある個人ないし集団が、自らの目的の方向へと他者の行為を決定できるような関係」 -R.ダール 「さもなければBがなさなかったような事柄を、Bになさしめる度合に応じて、AはBに対して権力を持つ」(行為の変更) >権力関係論 ・実体概念 権力を実体のあるものとして理解する考え方 (例:「権力を握る」、「権力を失う」といった表現) 権力を人間あるいは人間集団が所有できるものとしてとらえる。 →権力資源と権力を混同する場合がある。 権力資源:権力を生み出すような価値(例:健康、富、知識、技能、社会的地位(尊敬)、愛情、徳義) ※軍隊・警察はもっとも強力な権力資源 H.D.ラズウェルの権力の定義 「ある行為の型に違反すれば、その結果、重大な価値剥奪が期待されうるような関係」 例えば、「健康」という「価値」を持っているAが、「富」という「価値」を持っているBに対して、富を差し出すことを期待し、 健康と安全に対する重大な価値剥奪、制裁で脅かすことにより、Bの富を略奪するような場合 #br ・関係概念 権力を支配者と被支配者との関係性として理解する考え方 権力を具体的な状況における人間 (人間集団)の相互作用関係においてとらえる。 →被支配者、つまり命令を聞く人間がいなければ支配者は存在できないため、権力関係は存在しないという考え方 ⇒権力者の権力の行使の度合いは、服従する側の反応によって強弱が変わるというように考える。 >ゼロサム概念と非ゼロサム概念 ・零和(ゼロサム) 概念 一方の権力行使が、他方の権利や価値の剥奪に関係すると考える権力の捉え方 →権力者の獲得する価値と、服従者が奪われる価値の総和がゼロになる。 例:国王が課税をして得た資金の総和は、国民が失った資金の総和と等しくなる。 #br ・非零和(ノンゼロサム) 概念 権力は社会の支配者側のみに存在するのではなく、関係者全員の価値の実現のために存在するという捉え方 →権力を行使することで、損失以上の価値を生み出すことができるため、価値の総和はゼロにはならない。 例:政府が国民の行動を制限する場合、国民は一定の自由が制約される代わりに、秩序と安寧が実現された社会を得られる。 H.アーレント 「権力とは人間の単に行為する能力ではなく、他人と協力して行為する能力に対応するものである。 権力は決して個人の所有物ではなく、集団に属し、集団が存続する限りにおいてのみ存続する。」 |>|服従の類型|h |盲従|政治的上下関係が人間的上下関係として意識され、支配者に対する盲目的信頼や尊敬に基づく服従| |信従|支配者の提供する服従の倫理的根拠を是認した服従| |賛従|支配者の決定内容に対する同意に基礎を置く服従| |欲従|支配者に服従することで何らかの反対給付が期待される服従| |忍従|支配者に服従しないと、何らかの制裁を受ける可能性があるため、恐怖から服従する。| |被操縦|服従している自覚はないが、結果として服従している。| >支配の類型 |正統性|一定の権力支配が社会的に妥当なものとして容認される場合の根拠| |権威|他人からの指示を、その内容を吟味することなく、しかも進んで受容させることができるもの| -伝統的支配 伝統的に伝えられた規則(伝統、習慣、先例)により支配者が決定され、 伝統を通じて賦与された固有の品位によって服従させることで成立する支配 被支配が伝統を神聖なものとして受け入れ、伝統的な手続によって支配している状態 支配者の独創的な判断での支配は困難 -カリスマ的支配 支配者の持つ超自然的、超人間的、非日常的な特殊な能力を、被支配者が認めることによって成立する支配 支配者は被支配に対してカリスマ性を示し続けなければ、支配は続かない。 -合法的支配 正しい手続で、あらかじめ制定された法によって選出された支配者が、 法に従って行う支配秩序や制度、地位などの「合法性」を被支配者が承認することで服従する。 合法的支配は、手続が正しいものであることが求められる。 >権力の捉え方(S. ルークスの分類) 権力が行使されたかどうか、をどのように確認(観察)することができるのか -一次元的権力観 意思決定過程における、対立や紛争に着目する。 →何か問題が起きた際に、誰がどのようにして解決したのかに着目する考え(例:ダールの権力) -二次元的権力観(例:バラック&バグラッツ) 権力には意思決定過程に現れるようなものの他に、争点が公的な場に登場しないよう隠蔽するような権力作用が存在するという見方 非決定権力:問題を争点化させないようにする権力、ある問題を取りあげないようにさせる権力 -三次元的権力観 権力は紛争や対立の中にだけあるのではなく、二次元的権力観のように隠蔽するものでもない。 →あらゆる意味において紛争や苦情が発生しないようにすること(例:洗脳) >地域権力構造論争 -F.ハンター(1953:原著)鈴木広訳『コミュニティの権力構造』(1998) 恒星社厚生閣. アトランタ市において誰が権力を持っているのかを声価法によって調査 声価法:地域事情に詳しい人に、誰が権力者なのかを聞き、指摘数の多寡で権力分布をみる方法 →大企業経営者が権力構造の頂点に位置し、一般市民は影響力を持たない(エリート主義) -R.A. ダール (1961:原著)河村望・高橋和宏監訳(1988) 『統治するのはだれか』行人社. ニューヘイブン市において誰が権力を持っているのか争点法による調査 争点法:都市再開発、教育、政党候補者指名といった争点ごとに、権力分布を調査 →政策領域ごとに、権力者が異なることを明らかにした(多元主義) >フーコーの権力論 現代社会における権力のあり方に関して、規律権力(権力の内面化)に注目して議論を展開(例:パノプティコン) 見える権力から、見られる権力への変化 #endregion ***第四講目の内容 [#k6ef9c6e] #region(民主主義) ''民主主義'' > 民主主義とはなにか 民主主義とはなんなのか、どのように定義がなされるのか 自分の考えている民主主義は隣の人の民主主義と同じなのか 自分と相手の考え方が違う場合、相手は悪いのか →民主主義をめぐって人々は対立することになる。 例:日本におけるいくつかの政党は民主主義の実現という同じ目的を持ちながらも選挙で対立する。 >> 安保法制をめぐるデそに見る民主主義 憲法に規定された手続きによって安全保障関連法案を成立させようとした安倍政権 国会前に集まってデモを行った人々は「民主主義を守れ」、「憲法を守れ」と主張 本当に民主主義は守られていないのか? →民主主義が守られているからこそ、警察に守られながら政府の批判ができる。 憲法や法律に規定された手続によって選挙が行われ、 国民から選ばれた国会議員によって政府が形成されるという手続は民主主義に違反しているのか? >民主主義の捉え方 ・民主主義(democracy) という魔法の言葉 民主主義に反対する人はいないが、概念をめぐっては対立が存在する。 #br ・イデオロギーとしての民主主義 イデオロギー:社会が実現するべき、一連の価値の体系や信念の体系、思想としての民主主義 平等の実現や自由の追求→イデオロギーとしての民主主義 #br イデオロギー:~主義、〜イズム(ism)(例:社会主義(socialism)、自由主義(liberalism) ) ⇔民主主義とは言うけれどデモクラシズムとは言わない→democracy #br ・民主主義(democracy)の語源 ギリシャ語「多数者」(dēmos) 「支配」(kratia) →デーモクラティア(dēmokratia)→デモクラシー(democracy) 本来の意味からすれば、民主主義は「多数者の支配」を意味する。 民主主義を思想やイデオロギーとして捉えるよりも、社会構造あるいは制度として捉えることで、 内容ではなく民主主義の形を考えることができる →民主主義をめぐる対立を避けることが可能(民主制や民主政) >民主主義は多数決なのか 異なるイデオロギーに基づいて異なる政策を掲げて政党が対立する→民主主義だからこそ可能 民主主義は差異を前提としている→両極端の主義や主張が同時に存在し得る。 多数者は正しいのか→多数者が理解できることは正しいという考え方が背景に存在 現在の少数者は多数者への代替的な選択肢であり、いつでも多数派になり得る存在 >民主主義と競合性 民主主義国と呼ばれる国においては自由選挙が実施され、複数の政党が存在する。 ある国が民主化したかどうかは、一党支配から複数政党による競合へ変化したかどうかという点でも評価できる。 決定のシステム、社会構造ないし制度としての民主主義 →自由な選挙が行われ、複数の政党が競合可能な状態 ⇒異なる選択肢が存在し、競合することで民主主義は機能する。 |>|民主主義論の展開「3つの民主主義」|h |古代ギリシアにおける民主主義|自己統治の過程に市民が積極的に関与する。&br;→統治者は被治者でなければならない。&br;⇒すべての市民がすべての決定作成に参加する。| |近代国民国家における民主主義|すべての人々の意見が一致することを前提&br;→選挙での代表選出と議会における決定作成の重視| |現代における民主主義|異なるイデオロギーに基づく複数政党の選挙での競合&br;選挙結果に民意が反映、議会にも民意(選挙結果)が反映されるという考え方が前提| >競合的民主主義論(競合的エリート民主主義) シュンペーター(Joseph Alois Schumpeter.1942. Capitalism, Socialism, and Democracy.) 「民主主義的方法とは、政治的決定に到達するための1つの制度的装置であって、 人民の意志を具現するために集めらるべき代表者を選出することによって 人民自らが問題の決定をなし、それによって公益を実現せんとするもの」 ↕ 「民主主義的方法とは政治的決定に到達するために、 個々人が人民の投票を獲得するための競争的闘争を行うことにより決定力を得るような制度的装置」 >近代民主主義への批判 すべての人々が一致しうるか、あるいは合理的な議論の説得力をもって一致させうるような一義的に規定された公益は存在しない。 |~近代民主主義の目的|1.人々に政治的問題の決定権を帰属させること| |~|2.人々の代表を選出すること| |~現代民主主義の目的|1.人々の代表者を選出すること| |~|2.選出された代表に政治的問題に関する決定権を帰属させる| 現代民主主義→代表選出の過程に大衆を参加させることで、民主主義を実現しようという発想 ⇒民主主義におけるリーダーシップを重視 > ポリアーキー論(Robert A.Dahl.1971. Polyarchy: Participation and opposition.) ポリアーキー:ダールによる自由民主主義体制をさす概念 政治体制は自由と平等という2つの原理を満たすことで自由民主主義となる。 |~公的異議申し立て|政府への批判と権力への挑戦がどこまで許されるか(自由)&br;→市民に表現の自由などが保障され、政権に対抗する活動が実行できるかどうか| |~包括性|競争を伴う政治参加がどれだけ多くの人に認められるか(平等)&br;→選挙など公的な意思決定の過程に市民がどれだけ参加できているのかどうか| >> ポリアーキーの条件 -政府の政策決定についての決定権は、憲法上、選出された公職者に与えられる。 -公職者は公正で自由な選挙によって任命され、また平和裏に排除される。 -すべての成人は選挙権をもつ。 -すべての成人は被選挙権をもつ。 -市民は、表現の自由をもつ。 -市民は、情報へのアクセス権をもつ。 -市民は、政党や利益集団などの政治集団を設立し、またそれらに加入する権利をもつ。 >参加民主主義論 ペイトマン(Carole Pateman. 1970. Participation and Democratic Theory.) ダールによる政治体制の位置付けをペイトマンは批判。 競合的エリート民主主義→有権者は選挙の投票でしか、政治に参加することができない。 →国民主権と言われながらも、国民は政治の中心たりえない。 ⇒政策決定者の選択に多数者が参加するよりも、政策決定への多数者の参加を主張 >民主主義の2つのモデル(Arend Lijphart 2014. Patterns of Democracy.) レイプハルト(Arend Lijphart) による民主主義の類型 |~多数代表型民主主義&br;(majoritarian model of democracy)|社会の多数派の意思が、効率的に実現されることに重点をおいて政治の運営がなされる民主主義&br;「民主主義の本質は過半数に統治の主権が渡ること」という考え方&br;同質的な社会における民主主義| |~合意形成型民主主義&br;(consensus model of democracy)|社会のさまざまな勢力の間に合意が形成、維持、拡大されることに重点をおいて政治の運営がなされる民主主義&br;「選挙は市民が代表を選択する機会であるが、選ばれた代表はできるだけ広く社会の諸集団を代表するべきである」という考え方&br;非同質的な社会における民主主義| >政府・政党の次元の変数 |単独過半数による内閣への執行権の集中|⇔|広範な多党連立内閣による執行権の共有| |執政府長が圧倒的な権力をもつ執政府と立法府との関係|⇔|均衡した執政府と立法府との関係| |二党制|⇔|多党制| |単純多数制|⇔|比例代表制| |集団間の自由な競争による多元主義的な利益媒介システム|⇔|妥協と協調を目指した「コーポラティズム」的な利益媒介システム ※コーポラティズム:職能セクターを代表する団体と政府が密接な協議を行いながら調整を行うようなシステム //アメリカ合衆国は比例代表制の多数決制度を採用している。 >連邦制次元の5つの変数 |単一かつ中央集権的な政府|⇔|連邦制・地方分権的な政府| |一院制議会への立法権の集中|⇔|異なる選挙基盤から選出される二院制議会への立法権の分割| |相対多数による改正可能な軟性憲法|⇔|特別多数によってのみ改正可能な硬性憲法| |立法活動に関して立法府が最終権限をもつシステム|⇔|立法の合憲性に関して最高裁判所ないし憲法教判所の違憲審査に最終権限があるシステム| |政府に依存した中央銀行|⇔|政府から独立した中央銀行| |>|>|>|多数代表型と合意形成型の特徴|h ||変数名|多数代表型民主主義|合意形成型民主主義|h |政府・政党次元|執政部|単独過半数内閣|連立内閣| |~|執政部と議会の関係|執政部の優越|執政部・議会の対抗| |~|政党制|二大政党制|多党制| |~|選挙制度|多数代表制(小選挙区制)|比例代表制| |~|利益媒介制度|利益集団多元主義|コーポラティズム| |連邦制次元|中央・地方関係|単一政府・中央集権|連邦制・地方分権| |~|議会|一院制|二院制| |~|憲法|軟性憲法|硬性憲法| |~|違憲審査制|なし|あり| |~|中央銀行|政府に依存|政府から独立| >民主主義の行方「一国民主主義の限界」 ある国が民主主義かどうか→民主主義は国家内部でのみ実現されうるのか? ⇒民主主義には国家という領域の制約が存在? 国家であれば必ずしも民主主義が実現されるわけではない。 >民主主義の行方「グローバル化と民主主義」 グローバル化の進展→ヒト・モノ・カネが自由に移動できる社会 ⇒国家という領域の希薄化 |~eデモクラシー論(電子民主主義)|インターネット社会における民主主義⇒インターネット空間に民主主義は存在しうるのか| |~グローバルデモクラシー|国家を超えた空間における民主主義→難民、金融危機等の問題は、1つの国だけでは対処できない問題| > 国家の役割の再確認 グローバル化の進展による弊害→SARS、鳥インフルエンザ、COVID-19等の感染症問題、テロ ⇒国家が国境を管理して対応しなければならない グローバル化が進展したがゆえに、国家という枠組みの機能が改めて認識され重要視されることに >> カウンターデモクラシー論 (counter-democracy:対抗民主主義) ロザンヴァロン・ピエール『対抗民主主義:不信の時代の政治』(2006年) 政府に対する「監視・否定・審判」という不信を民意として選挙以外の政治参加によって反映させることで、民主主義を再定義しようとする概念 対抗という訳語が当てられるが、不信を表明することによって代表制を補完しようとする概念 #br 選挙以外の政治参加にはデモや国民(住民)投票などが想定されるが、 議会制民主主義において議会外の異議申し立てにどのような正統性があるのかという問題について明確な回答は未提示 #br 不信の表明はSNSを通じた動員といったように新たな手段が用いられている点に、 従来の議会制民主主義とは異なる、人々の意思を表明する可能性を見出している。 #endregion ***第五講目の内容 [#m3a329c8] #region(政治システムと政治体制) ''政治システムと政治体制'' >政治システム 政治を考えていく際に、国家という存在は切っても切り離せない。 とはいえ、国家以外にも政治の場は存在する。(例:国家内における地方、国家を超えた地域) 様々なレベルの政治を分析する際に有用な枠組みが「政治システム」(Political System) >政治システム論 ・イーストン 『政治システム』(1953)や『政治分析の基礎』(1965) 特定の国や地域のための分析枠組みではなく、あらゆる形の政治システムを分析するための枠組み #br イーストンは政治学は科学として発展すべきという考えから、科学は一般化と比較を行うことで発達するという点を重視 →あらゆる政治システムを対象として、経験的一般化理論を構築する試み ⇒比較の基準としての政治システム >政治システムと環境 社会=最も包括的な社会システム 社会システムは、それぞれの行動全体から特定の側面だけが抽出される。 政治システムは、他の社会的相互作用から区別される政治的相互作用がみられる。 政治的相互作用とは、社会に対する諸価値の権威的配分が強く志向されたもの。 #br 政治システムは環境から影響を受けて何らかの反応を示すもの。 その相互作用はインプット、アウトプットと呼ばれる。 #br 環境の変化は、要求と支持という2つの形でシステムにインプットされる。 システムにとって要求や支持はストレス →対応できていればシステムは存続し、対応しない、できない場合は存続の危機となる。 支持の対象:権威、体制、政治的共同体 支持が一定まで低下すると、システムの構造や過程を変革したり、構成員に支持を植え付けようとしたり、支持を高めようとする。 アウトプットは、「諸価値の権威的配分、あるいは拘束的決定、およびそれらを実行するための行為に限定される」 (例:法令、行政決定、行政行為、命令、規則、その他の政治的権威が発表する政策) #br インプットは、環境の変化をまとめてシステムに伝達する。 アウトプットは、システムで生じる事象を環境に伝達する。 →政治システムはフィードバックと反応という2つの能力をもつ。 インプットがシステム内を通過すると「何かがなされ」最終段階でアウトプットがされる。 アウトプットは政治システムが次になすべきことへとフィードバックされる。 #br 政治システムは受動的ではなく、目標設定、自己変革、創造的適応が可能なシステムであり 予測能力、評価能力をもち、システムの環境における攪乱の影響を阻止すべく建設的に行動できる人間が構成員となっている。 >政治システム論の発展 政治システム論は様々な人々によって精緻化が試みられる。 アーモンド (G.A. Almond) とパウエル (G.B. Powell, Jr.) 「従来の政府や国民、国家と呼ばれていたものが政治システムに置き換わった」と主張 →政治を分析する方法が変化したことを意味している。 人類学や[[社会学]]で発展してきた構造-機能アプローチを援用して、政治システムの比較構造機能分析を行う。 |>|政治システムが遂行する機能|h |プロセス機能|政策の形成と実施に直接関係する機能&br;マスメディアや、圧力団体、政党、議会、政府、官僚機構、裁判所などが担う。| |システム機能|政策形成や実施には直接関わらないが政治過程全体を支えるもの&br;家族や学校などの社会における各集団や、政党、行政組織の活動を通じて特定の政治的態度や政治文化を形成、発展、強化させる。| |政策機能|政治システムの出力として社会、経済、文化に影響を及ぼす機能| イーストンは抽象的なモデルを構築したが、アーモンドたちは各国の政治システムを比較するための概念や枠組みを構築しようした。 > 政治体制 政治体制とは「政治権力が社会内で広範な服従を確保し、安定した支配を持続するとき、それを形作る制度や政治組織の総体」(山口定) (例:民主制、独裁...などなど) 政治体制は国家を基本単位とする。 国レベルでは独裁、地方レベルでは民主制というような例はない。 →政治体制は政治システムや政府、政治制度といったものとは異なる概念(つまり、政治制度と政治体制は別、政治体制は国について言う。) 政治システム論では政治体制はシステムの構成要素の1つ >> 政治体制の構成要素 1:体制を支える正統性原理 2:政治的展開を主導する政治的エリート 3:国民の政治意思の表出と政策の形成にかかわると制度と機構 4:軍隊と警察からなる物理的矯正の役割と構造 5:政治システムあるいは国家による社会の編成化の仕組み >政治体制の類型 デュヴェルジェ (Maurice Duverger) 「あらゆる政治体制は、ある社会集団の内部の、統治者の存在とその組織が提起する問題の各々に対してなされた解答の総体である」 ・どのように統治者が選択されるのか ・統治者の構造はどのようになっているのか ・統治者の権力にはどのような制限があるのか という基準で分類 「一つは被治者の自由のために統治者の権威を弱める自由主義的傾向につながる」こと 「もう一つはこれとは逆に被治者の犠牲において統治者を強める独裁主義的傾向と結びつく」 →政治体制を民主主義体制と独裁体制に分けたものとして理解可能 民主主義も非民主主義も細分化が可能 > 民主主義体制と非民主主義体制 民主主義体制論のうち、比較政治体制論として代表的なものはポリアーキー論やレイプハルトの民主主義モデルなど >> リンス (Juan José Linz) による分類 民主主義体制と非民主主義体制に分類するだけではなく、非民主主義体制をさらに類型化 >>> リンスの民主主義体制の定義 「結社、報道、通信の基本的自由権の行使を通じて、 定期的に非暴力手段で支配要求を正当化するための指導者間の自由競争が行われ、 それによって、政治的選好の自由な形成がなされるシステム」 →より多くの市民が選挙に参加する権利をもち、定期的な自由選挙の実施が必要条件 >リンスの非民主主義体制の定義 ・全体主義体制(Authoritarian Regime) 1. 一元的ではあるが一枚岩ではない権力中枢があること。 どれほど組織ないし集団の多元性が存在していても、こうした多元性は、その正当性がこの中枢から引き出され、 大体において中枢によって調停され、概して既存社会のダイナミックスの副産物というより、政治的な創造である。 2. 排他的で自律的な、しかも多少なりとも知的に洗練されたイデオロギーがあること。 支配集団ないし指導者と指導者に奉仕する政党は、このイデオロギーと同一化し、これを政策の基盤として利用したり、操作して政策を正当化する。 このイデオロギーにはいくつかの境界線があり、それを超えると非公認にとどまらず異端となる。 このイデオロギーは、特定の綱領や正当な政治行動の境界を確定するだけでなく、究極的な目標や歴史的な目的意識、現実社会の解釈をもっともらしく規定する。 3. 政治的、集団的な社会活動に対する市民の参加と積極的な動員が奨励され、報酬で報いられ、単一政党と多くの一枚岩的な第二次集団を通して誘導される。 消極的な服従や無関心、「教区民」や「臣民」の役割の撤退といった、多くの権威主義体制に見られる特徴を支配者たちは望ましくないものと考えている。 リンスは上記の3つが基本的な特徴であって、それ以外に特徴があったとしても、上記の3 つに集約されると主張したナチズム、ファシズムが代表例 #br ・権威主義体制(Totalitrian Regime) 1964年、民主主義体制でもなく全体主義でもない政治システムを権威主義体制として分類 「権威主義体制とは、政治的自由はなく、自由で公正な選挙は実施されておらず、 一人あるいは一党の支配が安定的に継続し、国民の意思による政権の交代が不可能であるが、 国家による社会や国民への支配は全体主義ほどには徹底していない政治体制のこと」 >主な構成要素 ⇨限定された多元主義、イデオロギーとメンタリティ、政治的動員 #br 権威主義体制には様々な類型が見られるため、 ファシズムやナショナリズムと結びついた権威主義体制、 西欧型の近代化を主張するような権威主義体制、 民族的な伝統を重視する権威主義体制などもありえる。 #br 限定された多元主義と参加の程度という2次元で類型化を行った。 |~限定された多元主義の軸|どのような団体や集団が、どのように参加を許されたり、排除されたりするのか| |~参加の程度の軸|全体主義路線にそった動員の拒否、動員の失敗など| 時が経つにつれて国内で政変が起こり得る。 >政治体制論の広がり 民主主義、全体主義、権威主義にくわえてポスト全体主義とスルタン主義を追加し、5類型に整理 |主義|国家|説明|h |ポスト全体主義|ソ連を想定|初期のポスト全体主義、凍結されたポスト全体主義、成熟したポスト全体主義も含む。&br;全体主義と比べて批判が許される。全体主義とは似ているが、権力者の力に違いがある。| |スルタン主義体制|チャウシェスク支配下のルーマニア&br;金日成支配下の北朝鮮&br;マルコス支配下のフィリピンなど|支配者の単なる個人的な道具として行政や軍が発達するような場合に見られる。&br;体制の支配者による公私混同がみられ、一族による権力保持と王朝的な色彩を帯びた世襲の傾向が強くみられる。| #endregion ***第六講目の内容 [#s5340e9c] #region(政党) ''政党'' >政党とは何か(政党のさまざまな定義) E.パーク 「政党とは、全員が同意しているある特定の原理に基づき、共同の努力によって国家的利益推進するために集まった人びとの集合体である」(サルトーリ) E.E.シャットシュナイダー 「政党とは第一に、権力を獲得しようとする組織化された企図である」(1942) L.D.エプスタイン 「政党とは所与のラベルの下で政府の公職保持者を当選させようとしているすべての政治集団のことである」(1967) Q.サルトーリ 「政党とは、選挙に際して提出される公式のラベルによって身元が確認され、選挙(自由選挙であれ、制限選挙であれ)を通じて候補者を公職に就けさせることができるすべての政治集団である」(1976) →政党とは政治権力の獲得を目的とした1つの集団 利益集団は権力の獲得は目指さず、あくまでも私的な利益を追求する集団 ⇒利益集団は選挙に候補者を擁立しない。 日本では、日本経済団体連合会(経団連)、日本医師会などが利益集団に該当する。 |>|政党の機能|h |利益表出|社会に存在するさまざまな問題を政治的問題とし取り上げる機能| |利益集約|表出された利益(利害)を調整(集約)して、様々な政策にまとめあげる機能| |政治的リクルートメント|政治家の育成を通じて政治的指導者を補充したり、選出する機能| |政治的社会化|日常の政治活動や議会での討論や国民に情報を提供する政治教育を行い、国民の政治に対する考えを形成する機能| |>|政治家にとっての政党|h |政治家の目標|再選(当選)・昇進・政策の実現| |選挙での当選|個人では組織力や資金力が足りないため、同志を集めて当選しやすい環境を作る。| |~昇進|議会内での役職配分や、政府内での役職配分| |~政策の実現|自分の選挙区に有利な公共事業などの法律案を通そうとすると、予算がなくなる。→政党内で調整する。| >政党組織論(さまざまな政党の分類) ・政党の発展経緯に基づく分類 |>|Mウェーバー (1919)|h |貴族政党|貴族により構成される政党、支持者は貴族の官職任命権を目当てに従う。| |名望家政党|教養と財産を持った名望家を中心とする政党| |近代組織政党|大衆の支持を獲得するための、統一性と規律を備えた政党| |>|M.デュベルジェ (1951)|h |幹部政党|地方の有力者が代表を送り出したり、自身が議員として活動する中で議会内での議員の集団として成立した政党&br;→ウェーバーの名望家政党とほぼ同じ| |大衆政党|社会主義や宗教など何らかの価値観を実現するための議会外大衆組織が基盤となり、大衆が議員たちを指導するような組織構造の政党| #br ・政党の選挙戦略による分類 |種類|説明|例|h |包括政党(catch-all party)|特定の有権者ではなく、&br;あらゆる階層の有権者の支持を獲得することを目標とする政党(A.Panevianco (1988))|自民党は1970年代以降、包括政党化| |単一争点政党(single-issue party)|特定の争点に絞って支持者を広げる戦略を取る政党|緑の党| ・その他の分類 |~カルテル政党(カッツ&メア(1995))|政党の資金源を国家財政に依存しているような政党&br;→政党は社会の代理人ではなく、国家の代理人になってしまった。| |>|野党の機能|h |行政監視機能|与党が法や倫理に反するような権力行使をしていないかどうか&br;少数派の不利益になることをしていないかどうか&br;⇒適切な権力行使がなされているかの監視| |争点明示機能|政策の目的は正しいのか、達成しようとする方法は正しいのか&br;⇒政治的な目的や課題にまつわることを争点化して有権者に問う。| |代表性の補足機能|選挙によって示されない人々の利益、考え、問題をどのように解決するのか&br;⇒選挙だけでは表出できない人々の利益を表出、集約する。| > 民主政治とオポジション オポジション力:潜在的政権政党としての能力、機能、パフォーマンス →政権担当能力 野党という意味でのopposutionとは異なる概念 →責任野党(the Opposution) >> イギリス政治における野党 野党第一党の党首はThe Leader of the Oppositionと呼ばれ、特別な扱い。 >日本の政党組織 90年代以降、さまざまな政党が誕生、消滅を繰り返している。 |~自民党|幹部政党|国家議員によって構成される党中央、地方議員などによって構成される地方組織、その他一般党員| |~共産党(日本共産党)|大衆政党|選挙や日常活動において、党員も含めて政党として一体となって活動| |~公明党|大衆政党型|支援団体である創価学会を基盤とした強固な政党組織| #br 自由民主党の党組織のイメージは、(中から順に)党中央>地方組織>党員という入れ子状の円。 日本共産党・公明党の党組織のイメージは、(上から順に)執行部>一般議員>党員というピラミッド。 #endregion ***第七講目の内容 [#lf87e2b2] #region(政党システム) ''政党システム'' >政党システム論 ◇政党システムとは何か システム(日本語では系):システムを構成する諸要素の相互作用(例えば、大学も1つのシステム) 政党システム→「政党間の相互作用」※政党システムは政党制とも表記される。 >政党システムの類型 ・デュヴェルジェの分類 政党の数による分類 ⇨一党制、二党制、多党制 #br ・サルトーリの分類 政党間競争のあり方(政党の数、勢力比、イデオロギー距離)による分類 政党システムが競合的か、非競合的か→自由に競争ができるのか、できないのか 政権交代の可能性がどの程度あるのか→政権交代の可能性がまったくない、低い、高い 政権の形態はどのようなものになりやすいのか→単独政権か、連立政権か |制度|説明|例|h |一党制|制度(法律)上、1つの政党しか存在が認められない政党システム(非競合的)|旧ソ連、ナチス・ドイツなどの独裁国家における政党システム| |ヘゲモニー政党制|複数の政党が存在しているが、政党間の平等な競合が許されず、&br;常に特定の1つの政党が政権を担当するような政党システム(非競合的)|冷戦期のポーランド、中国、北朝鮮| |一党優位政党制|政党間の対等な競争が許されており、政権交代の可能性があるにもかかわらず、&br;特定の政党が常に政権を担当するような政党システム(競合的)|55年体制下の日本、1947年~1977年のインド国民会議| |二党制|主要な政党が2つあり、どちらかが政権を獲得する、&br;あるいは政権交代が起きているような政党システム(競合的)|アメリカ、イギリス、ニュージーランド| |穏健な多党制|イデオロギー距離の小さい3~5程度の政党が競合するが、&br;政党間対立が穏やかであるため単独政権ができにくく、&br;連立政権が形成されやすいような政党システム(競合的)|ドイツ、オランダ、ベルギー| |分極的多党制|イデオロギー距離が大きく、政党間対立が激しいため単独政権ができにくく、&br;必然的に連立政権になるような政党システム(競合的)|ワイマール期のドイツ| |原子的政党制|主要な政党が1つもないなど、他の政党システムに該当しないような政党システム|発展途上国など政治的混乱が起きているような国、&br;終戦直後の日本| >イデオロギーをめぐる政党間競争モデル A.ダウンズ(Anthony Downs)『民主主義の経済理論』(1957):経済学の枠組みを用いた政治分析 政党の行動原理:公益の追求などではなく得票最大化→政権獲得 ⇒政党の政治イデオロギーは有権者の選好の変化にあわせて徐々に修正、変更されていく。 有権者の選好分布:ある国の政治システム、特に政党の数、民主主義的政治の安定性、新党の出現などの基本的な決定要因 >日本の政党政治 ・政党助成法上の政党の定義 「政治資金規正法上の政治団体であって、次の(1)(2)のいずれかに該当するもの」 「(1)所属国会議員が5人以上」 「(2)所属国会議員が1人以上、かつ、次のいずれかの選挙における全国を通じた得票率が2% //以上のもの。 //前回の衆議院議員総選挙 (小選挙区選挙又は比例代表選挙)、前回の参議院議員通常選挙(比例代表選挙又は選挙区選挙)、 //前々回の参議院議員通常選挙(比例代表選挙又は選挙区選挙)」 ・政治資金規正法上の政治団体の定義 1「政治上の主義者しくは施策を推進し、支持し、又はこれに反対すること」 2「特定の公職の候補者を推薦し、支持し、又はこれに反対すること」 #br 各政党への金額は、毎回1月1日を基準日として算出し、年4回(4月・7月・10月・12月)に分けて交付される。 (衆議院議員総選挙又は参院議員通常選挙が行われた場合は、選挙後に選挙基準日が設けられ、以降の交付額は改めて算定される。) #br 半分は政党の所属議員数の割合に応じて配分される議員数割 もう半分は直近の国政選挙の得票率(衆議院総選挙と過去2回の参議院通常選挙)に応じて各政党に配分される得票数割 政党交付金=議員数割(50%)+得票数割(50%) >中選挙制下の政党政治 55年体制:1955年に成立した自民党と社会党による日本の政治体制(一党優位政党制) 自民党と社会党の議席だけで70%を占めていた→1と2分の1政党制とも呼ばれる。 >中選挙区制と政党政治 20%程度の得票で当選可能なため、小政党でも当選しやすい。 →政権獲得を目指さなくとも、確実な議席が見込める→野党の多党化を招く。 #br 政権交代がない代わりに、派閥間の争いによる擬似政権交代 →「党中党」としての派閥、複数の党の集合体としての自民党 政権を獲得するためには、1つに選挙区に複数の候補者の擁立が必要 →政党内の統制が取りにくい。 >小選挙区制と政党政治 1つの選挙区から1人しか当選できない、政党に所属することで、様々な点が優遇される。 →どの候補者をどの選挙区から立候補させるかは執行部が決める。 →執行部の権限が強化され、政党内の統制が取りやすい→派閥の弱体化 >政党組織論からみる自民党 結成時から大勢力(結党時衆議院議員数299、議席率64%) 1955年の結党から1993年まで政権を担当したが、党勢は一貫して低落傾向 >選挙戦略の変化 1950年代までは、農村部への補助金交付を通じて、農村を中心に支持を獲得 1960年代以降、地方への公共事業への補助金交付、保険・年金等の社会保障の拡充政策を展開 →農村を基盤とする政党から包括政党へと移行することで、都市部の支持も獲得 #endregion ***第八講目の内容 [#rc506916] #region(選挙制度) ''選挙制度'' >選挙と民主主義のかかわり ・多数者の意思に基づく支配の実現 選挙によって多数派の意思が示される。 #br ・正統性(legitimacy)の付与と政治責任の追求 主権者である国民によって選ばれているという、民主主義の手続きを経たことが、政治指導者の決定を受け入れる理由、根拠となる。 #br ・民主主義における決定作成基盤の形成 民主主義においては、選挙によって選ばれた政党や政治家が決定を行う主体となる。 ※民主主義の条件:公正で自由な競争に基づく選挙が行われているかどうか |>|>|近代選挙の原則|h |原則|説明|条文|h |普通選挙|国籍と年齢以外に有権者資格に制限を設けないことを要請|15条3項| |平等選挙|1人1票の原則と、1票の価値の平等を要請|14条、44条| |秘密選挙|誰がどの候補者・政党に投票したのかわからないようにすることで自由意思に基づいた投票を可能とさせることを要請|15条4項前段| |直接選挙|有権者が直接代表を選ぶことを要請|15条1項| |自由選挙|外部からの干渉を受けることなく投票権を行使する、しないを決定できるよう要請|15条後段| >選挙区制 |~小選挙区制|1つの選挙区から1人の議員を選出する制度| |~大選挙区制|1つの選挙区から複数名の議員を選出する制度| 小選挙区と大選挙区の違いは選挙区の面積や人口の違いではない。 >議席決定方法(代表制) ・多数代表制:獲得票数の多い順に当選者を決める方式で、相対多数制と絶対多数制に類型化される。 |~相対多数制|最多得票者が当選| |~絶対多数制|過半数の得票者が当選(例:フランスの下院議員選挙)| 多数代表制は死票(当選者以外に投票された票)が多く、社会的多数派の意思を過大に扱う。 →選挙の段階で、意見の調整が行われる。 #br ・比例代表制:得票数に応じて議席を配分する方式 死票が少なく、社会における意見分布がそのまま反映されやすい。→意見の調整は議会が行う。 |>|>|選挙区制と代表制の組み合わせ|h |~ |~小選挙区制|~大選挙区制| |~多数代表制|小選挙区制|中選挙区制・大選挙区制| |~比例代表制|なし|比例代表制| 選挙制度は概ね上記のいずれかの組み合わせに分類できる。 >日本の選挙制度とその変遷 ・中選挙区制(1947年~1995年までの衆議院の選挙制度) 1つの選挙区から2~6名を選出する選挙制度 ※政治学の分類上の名称は大選挙区単記非移譲式投票制(SNTV:single non-transferable vote) 約130の選挙区から500名以上の議員を選出 →政権を獲得するためには、1つの選挙区に複数の候補者を擁立しなければならない。 ⇒同じ政党同士の候補者が争う必要があり、選挙費用がかかる。(例:有権者へのサービス合戦) #br ・小選挙区比例代表並立制(衆議院: 1996年からの制度) 小選挙区制と全国を11ブロックに分けた比例代表制を組み合わせた選挙制度で重複立候補が可能 #br ・選挙区選挙と比例代表制の組み合わせ(参議院:1983年からの制度) 都道府県を単位とする大選挙区制と全国を選挙区とする比例代表制からなる。 ※定数が1の選挙区は小選挙区制と同じ。 ※鳥取・島根、徳島・高知は合区選挙区(2つの県を合わせて1つの選挙区としている) ※2019年選挙より比例代表に特定枠が導入される。 >小選挙区比例代表並立制導入の経緯 -田中金脈問題 『文藝春秋』に掲載された立花隆「田中角栄研究―その金脈と人脈」によって、明らかにされた田中角栄のスキャンダル -リクルート事件 川崎市の助役に、リクルート・コスモス社の上場前の未公開株が譲渡されたことが発覚した事件 その後、与野党の国会議員など多くの人物にも譲渡されていたことが発覚した -ユートピア研究会 自民党の当選1回議員10人が結成した勉強会 1人あたり年間平均約1億2000万円の政治活動費がかかることを公表した。 最高額は鳩山由紀夫の1億9千万円 > 政治改革の歴史 一連の政治とカネをめぐる問題→政治不信の高まり #br ・政治改革大綱 リクルート事件発覚後、自民党内の政治改革委員会(委員長:後藤田正晴)が発表した政治改革案 政治倫理、政治資金、選挙制度、国会活性化、党改革、地方分権の六つの分野に渡る広範な課題を提起。 ※特に選挙制度の抜本的改革として、中選挙区制の廃止と小選挙区制導入の方向性を示す。 #br ・改革の方向性 第八次選挙制度審議会は「政治家個人ではなく、政党、政策本位の選挙とし、政権交代の可能性を高めるような選挙制度改革」を目指すべきとして、 選挙制度は小選挙区比例代表並立制を採用し、政治資金制度については、政治資金の調達を政党中心にし、 公開性を高め、規制の実効性を確保する措置を採ることを要求する答申を海部内閣に提出 >> 選挙制度審議会 首相の諮問機関で、選挙および投票制度、選挙区割および議員定数を定める基準とその具体案、政党および政治資金の制度などを首相に答申する。 >日本の比例代表制における議席の決定方式 ・拘束名簿式(衆議院) 予め政党が当選させたい候補者の順番を決めて名簿に載せておく。→投票用紙には政党の名前を書く。 #br ・非拘束名簿式(参議院) 当選させたい順番が決まっていない名簿を使用する。 投票用紙には候補者の名前か政党の名前を書く。 2019年選挙より[[特定枠>https://www.pref.tochigi.lg.jp/senkyo/r01sangi/qanda/qanda09.html]]が導入される。 >比例代表の当選者確定方法 ・拘束名簿式 政党の総得票数に基き、ドント方式により各政党の当選人の数を決め、予め決められている名簿の順位の上位者から当選 #br ・非拘束名簿式 政党名の得票数と候補者名の得票数を合わせた総得票数に基づいてドント方式により、 各政党の当選人の数を決め、政党内で個人得票数の多い候補者から当選 >ドント式 ドント式とは、各政党が獲得した票を1から順に割っていき、その商の大きい順に定数を満たすまで配分する方式 衆議院、参議院ともに比例代表区の議席配分にはドント式を用いる。 -例 |定数:6|÷1|÷2|÷3|÷4|÷5|h |あ党:8000票|&color(Red){8000};|&color(Red){4000};|&color(Red){2667};|1600|1600| |い党:6000票|&color(Red){6000};|&color(Red){3000};|2000|1500|1200| |う党:4000票|&color(Red){4000};|2000|1333|1000|800| >選挙をめぐる諸問題「投票率80%は高いのか」 ・投票率という言葉の罠 数字だけではなく、その国の制度(義務投票など)がどうなっているかが重要 #br ・若者の投票率はなぜ低いのか 政治家の最大の目標は選挙で当選すること →投票に行かない人たち、票にはならない人たちの利益はあまり考えない。 #br 18歳の有権者の数 約240万人(全体の2%) →選挙に大きな影響は与えられない。 ⇒被選挙権も引き下げなければあまり意味がない。 >選挙をめぐる諸問題「1票の較差とは」 選挙において有権者の持つ1票の重みの不平等のこと #br ・較差の基準 選挙区の人口(有権者以外の子ども等も含む)を基準に計算 同じ職員定数の最も人口の多い選挙区を最も人口の少ない選挙区で割った数値で示される値 例:2011年衆議院総選挙での1票の較差 東京第1区(493811人)÷宮城5区(231660人)=1:2.1 →東京1区で当選するためには、宮城5区の約2倍の得票数が必要 ⇒1人が持っている1票の価値が違うことを問題視 ※選挙をやり直すと約650億円~800億円かかる。 #br ・較差を考える前に 選ばれた議員は何の代表なのか? 第43条「両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。」⇨国民代表 #br ・国民代表 選挙で選ばれた以上は、議員は国民全体の代表として、選挙区の有権者の指示に従うのではなく、 国民全体の利益のために、全国民の代表として政治的に自由な活動が保障されるという考え方 活動に関する政治責任は、次の選挙で問われることになる。 E.パークによるブリストル演説 「議会は一つの利益、つまり全体の利益を持った一つの国民の審議的な集会であり、 地方の目的や地方の偏見ではなく、全体の一般的知性から生じた一般的な善が指針とならなければならない。 諸君は確かに代表を選出するが、一旦諸君が彼を選出した瞬間から、彼はブリストルの成員ではなく王国の議会の成員となるのである」 #br ・地域代表 選ばれた地域(選挙区)の代表として、選挙区の有権者の意思に拘束されるため、自由に活動できない。 →地域の代表として活動しなければならない。 ⇒地元の利益を最優先とした活動が中心となる。 >較差を考えるために ・アメリカの上院議員の選出方法 各州に2名の割り当て カリフォルニア州(3725万3956人)÷ワイオミング州(56万3626人)=1:66 →上院議員は州の代表なので、較差が何倍であっても問題はない。 #br ・格差の計算方法 平均は考えなくて良いのか? 最大と最小という両極端の数値だけ比べて問題ないのか? #br ・ルーズモア・ハンビー指数(LH指数) 選挙区定数の配分がどの程度人口に比例しているかを表す指標 各選挙区の人口比と議席比の乖離を絶対値として算出し、全選挙区の数値を足して%で表示する。 指標の値は0から100の範囲をとり、0に近いほど配分された定数と人口との乖離が少ないことになる。 LH指数が10%の場合、全国平均で10%の議席が適正に配分されていないことを示す。 較差がない場合0%、人口の少ない選挙区に全ての議席が配分されている場合は100%になる →1票の較差が存在しない場合は0、議席が不均衡に少数の選挙区に集中しているほど100に近づく。 > マイノリティと選挙制度 ・女性の政治参加 政治的代表の観点からみると女性はマイノリティ(少数派) 世界中の全議会の議席数のうち、女性議員は約20%しかいない。 #br ・クォータ制 候補者や議員数、閣僚などの政府の要職など政治的決定に重要な公的地位の一定割合を女性が占めるように定める制度 >> 例 法律等で候補者の一定割合を女性にすることを義務付ける。 議席の一部を女性議席として指定する。(指定議席) 女性候補のみ立候補できる選挙区を指定する。 ※2018年5月18日「政治分野における男女共同参画推進法」(候補者男女均等法)が成立 政党や政治団体に、選挙の際の男女の候補者数を同数とするように求める内容 あくまでも努力義務であって、罰則はなし。 >政治資金 ・民主主義にかかるコスト 政党の組織化や選挙運動にはお金が必要 →政治資金は「民主主義の燃料」 #br ・政党交付金 国民1人あたり250円が、所属議員数と選挙での得票数に応じて、政治活動費用として政党に助成 政治家が資金集めにのみ集中しないようにするため、政治改革によって導入される。 2017年度の政党交付金の総額は317億7740万円、2018年度は318億7400万円 > 政治資金規正法 政治資金の授受に関して規制している法律→支出に関してはほとんど規制がない。 >> 第1条(目的) この法律は、議会制民主政治の下における政党その他の政治団体の機能の重要性及び公職の候補者の責務の重要性にかんがみ、 政治団体及び公職の候補者により行われる政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われるようにするため、 政治団体の届出、政治団体に係る政治資金の収支の公開並びに政治団体及び公職の候補者に係る政治資金の授受の規正その他の措置を講ずることにより、 政治活動の公明と公正を確保し、もつて民主政治の健全な発達に寄与することを目的とする。 #br >> 第2条(基本理念) 1 この法律は、政治資金が民主政治の健全な発達を希求して拠出される国民の浄財であることにかんがみ、 その収支の状況を明らかにすることを旨とし、これに対する判断は国民にゆだね、 いやしくも政治資金の拠出に関する国民の自発的意思を抑制することのないように、適切に運用されなければならない。 #br 2 政治団体は、その責任を自覚し、その政治資金の収受に当たっては、 いやしくも国民の疑惑を招くことのないように、この法律に基づいて公明正大に行わなければならない。 #endregion ***第九講目の内容 [#a061163e] #region(多数決は正しいのか?) ''多数決は正しいのか?'' -例 Aさん、Bさん、Cさんの3人から代表を選ぶ。 1人1票、1~3位の順番をつけて投票する。 ||9票|8票|7票|h |1位|Aさん|Cさん|Bさん| |2位|Bさん|Aさん|Cさん| |3位|Cさん|Bさん|Aさん| 多数決ではAが9票で代表に選ばれるが、よく考えると、Aさん<Cさん:8+7=15、 Cさん<Aさん:9となり実は、AさんよりCさんの方が良いと思っている人の方が多い。 #hr -コンドルセのパラドクス 2人づつの組み合わせで投票をするとどうなるのか。 #br A<C 9:15 C<B 8:16 B<A 7:17 #br A<C<B<A<C<B⋯⋯ #br ・・・・結局誰が一番か決められないため決定ができない。 強制的に選択肢を 2 つにしてしまうと・・・?→細かくルールを決めておかなければ混乱が起きる。 個人の選好を集団の意思に集計する手続きの前に、何らかの形で選択肢を2つに制限しておかなければ、多数決の結果は安定しない可能性が高い。 ⇒これが正しい、完璧な制度というものは存在しない。 #hr -オストロゴスキーのパラドクス 選挙の投票先を支持する政党で選ぶのか、政策で選ぶのか。 |有権者|消費税|憲法改正|子育て支援|支持政党|h |A|自民|自民|立民|自民| |B|自民|立民|自民|自民| |C|立民|自民|自民|自民| |D|立民|立民|立民|立民| |E|立民|立民|立民|立民| |多数決の結果|立民|立民|立民|自民| #endregion #region(投票参加と投票行動) ''投票参加と投票行動'' > 投票の意義(なぜ投票に行くのか) 18歳選挙権が施行され、主権者教育も実施されている。 投票の重要性は知ってはいるけれど、実際に投票に行くまでには障害が多い。 >> 直近の選挙の投票状況 第50回衆議院議員総選挙(2024年10月27日)の投票率 53.85% 第26回参議院選挙(2022年7月10日)の投票率 52.05% →有権者の半分は投票していない。 投票所に着いたとして、誰、どの政党に投票すればよいのか? >人々はなぜ投票するのか ライカー(William H. Riker)とオードシュック (Peter C. Ordeshook)による期待効用モデル R=P×B+D−C(R>0の場合のみ人々は投票に行く。) |~P(probability)|自分が投じる1票が選挙結果に与える確率についての主観的判断| |~R(reward)|投票することによる見返り| |~B(benefit)|自分の支持する候補者が当選した場合に自分が得られる利益と支持しない候補者が当選した場合の利益の差| |~C(cost)|投票にかかるコスト| |~D(duty)|投票しなければいけないという義務感| > 有権者はどのようにして投票先を決めるのか 有権者の行動に関する研究分野:政治参加論、投票行動論 |>|有権者の投票行動に関する3つのモデル|h |[[社会学]]モデル(コロンビア・モデル)|自分の属性(職業、年齢、学歴、収入、宗教、人種、所属団体など)に基づいて投票先を決める。&br;コロンビア大学のラザーズフェルドを中心としたグループによって実施された調査に基づく。| |[[心理学]]モデル(ミシガン・モデル)|政党帰属意識などの心理的要因に基づいて投票先を決める。| |[[経済学]]モデル(業績投票モデル)|投票先の決定には現政権への業績に対する評価が大きく関係する。&br;判断のための情報収集のコストも不要で、何となくの感覚でも決定できる。&br;業績投票は過去を判断、社会学、心理学モデルは未来を判断して投票しているともいえる。&br;→現政権の業績が良い時には与党に投票し、業績が悪い時は野党に投票する。| -政党帰属意識:自らが好み、親近感をもつ政党に関する意識 →日本における政党支持とは全く違う概念であり、近似概念ではない。 応援するスポーツチームが親子で同じになるという場合に近い? |>|有権者の投票先を決定する心理的要因|h |候補者イメージなどの候補者要因|短期的要因| |争点態度などの政策要因|~| |政党帰属意識などの政党要因|長期的要因| 自己アイデンティティと政党帰属意識が近似しやすいアメリカの事情によって、政党要因。が有力と考えられた 政党帰属意識>イメージ・争点態度→投票行動 >日本の有権者の投票行動 政策に基づく投票明るい選挙推進協会による第49回衆議院総選挙における意識調査選挙区での投票に際して、有権者が考慮した要因 |1位|候補者の属する党の政策や活動を考えて|49.6%| |2位|候補者の政策や主張を考えて|48%| |3位|候補者の人柄を考えて|24.4%| |4位|地元の利益を考えて|24.2%| →半数の有権者が政党もしくは候補者、あるいは両方の政策に基づいて投票先を決定している。 各党の政策を調査、比較し、自分と最も近い政策に投票することもできるが・・・ 様々な理由で多くの有権者はそのような行動はとらない。 政策で投票先を決定しているといっても厳密に行っているとは限らない政党のイメージから政策を想像して投票する可能性が高い。 >争点投票 2005年9月11日実施の第44回衆議院議員総選挙通称「郵政解散」と呼ばれるように小泉純一郎首相が「郵政民営化の是非を国民に聞いてみたい」と解散 →選挙の争点が郵政民営化に絞られる。 争点が限定されていれば、有権者は自身の考えと政党、候補者の政策を比較して投票先を決定しやすい。 政府が取り組むべき政策課題は多様であり、1つ1つをめぐって選挙で国民に問うことは難しい。 加えて、有権者がその他の政策課題も争点として重要だと考えてしまえば、争点投票は起こりにくい。 首相の設定した争点を有権者がそのまま受け入れ、各政党や候補者の争点に関する主張もはっきりしているという条件下でしか争点投票は成立しない。 >業績投票 郵政選挙以降、衆議院総選挙では争点が必ずしもはっきりとはせず、参議院選挙は3年に1度必ず行われるため、特定の争点を設定しにくい。 政党の離合集散の激しい状況では選挙毎に政党が変わるため、政党の主張の判断が難しい。 →内閣への業績評価で判断をしやすい。 #br 政党間の対立構図が明確ではなく、争点も明確ではない。 →消去法によって業績投票が促されやすい。 >経済投票 明るい選挙推進協会による第49回衆議院総選挙における意識調査(複数回答) |>|有権者が考慮した問題(政策課題)|h |1位|「医療・介護」(52.5%)| |2位|「景気対策」(52.2%)| |3位|「コロナ対応」| |4位|「年金」(39.1%)| |5位|「子育て・教育」(35.3%)| |その他|「外交・防衛」(18.0%)| |~|「憲法改正」(11.9%)| →社会保障、経済問題はどの選挙でもおおむね有権者の関心が高いが、外交・安全保障に関わる政策課題は重視されにくい。 #br 首相が任意に解散できるのであれば、景気の良い時期に解散 任意に解散ができなくても、選挙がある年に財政出動を行って、一時的に景気を回復させる。 経済成長率が高い時や失業率が低いといったような経済指標が良い時の選挙では与党が有利 経済指標が悪い場合は野党が有利という傾向がみられるのであれば、その国の有権者は経済環境を基準に投票先を決定している。 →経済投票 >実際の投票 実際には、投票行動モデルのいずれかと一致する結果にはならない。 政策、争点、業績が複雑に絡み合って選挙は展開される。 >郵政解散時の小泉首相の記者会見での発言 「本日、衆議院を解散いたしました。それは、私が改革の本丸と位置づけてきました、郵政民営化法案が参議院で否決されました。 言わば、国会は郵政民営化は必要ないという判断を下したわけであります。 私は、今年の通常国会冒頭におきましても、施政方針演説で郵政民営化の必要性を説いてまいりました。 そして、今国会でこの郵政民営化法案を成立させると言ってまいりました。 しかし、 残念ながらこの法案は否決され廃案となりました。国会の結論が、郵政民営化は必要ないという判断を下された。 私は本当に国民の皆さんが、この郵政民営化は必要ないのか、国民の皆さんに聞いてみたいと思います。 言わば、今回の解散は郵政解散であります。郵政民営化に賛成してくれるのか、反対するのか、これをはっきりと国民の皆様に問いたいと思います。 ・・・・・・言わば、はっきりと改革政党になった自民党が、民営化に反対の民主党と闘って、国民はどういう審判を下すか聞いてみたいと思います。 だから解散をしました。」 #endregion ***第十講目の内容 [#cd72ec51] #region(執政制度) ''執政制度'' >政治制度研究の変遷 大統領制の違いと議院内閣制の制度の記述(説明)や、一方の長所が他方の短所であるという議論から、 執政制度がいかなる政治的帰結を導くのかという議論へ >執政制度とは 「民主主義の政治体制において行政部門の活動を統括するトップリーダー、すなわち執政長官をどのように選出し、 立法部門である議会や国民とどのような関係の下に置くかについての諸ルール」(建林・曽我・待鳥2008) 執政制度を規定する基本的なルール 執政長官が①どのように(誰に)選ばれるのか、②どのように(誰に)解任されるのか -執政制度を決める2つのルール |>||>|解任(責任のルール)| |>||議会による解任(議会に対する責任)|原則として不可能(固定任期)| |選出のルール|議会による選任|議院内閣制|自律内閣制| |~|国民(有権者による選任)|首相公選制|大統領制| >執政制度の類型(執政の選出と解任) ◇大統領制 大統領と議会はそれぞれ国民から直接選ばれる→二元代表制 大統領の任期は固定、基本的に任期中は解任されることはない。 大統領は議会を解散することはできない。 大統領は辞めさせられる可能性がないため、自分の考えに従って強いリーダシップを発揮し、効率的に政策を実現できる。 #br ◇議院内閣制 国民は議会議員を選ぶのみで、首相は議会によって選ばれる→一元代表制 議会の解散や不信任決議案の可能性があり、首相が頻繁に変わる可能性があるため、議会を無視して首相が強いリーダシップを発揮することは難しい。 議院内閣制の方が政治責任の所在が明確になっていて、政治責任を簡単に追求することができる仕組み ||自律内閣制|首相公選制|h |地域|カナダの一部の州|イスラエル| |選出|首相は議会によって選ばれる。|首相は国民によって選ばれる。| |解任|首相の任期は固定。&br;議会は首相を解任できない。|議会において不信任決議案が可決された場合、首相は解任される。&br;首相と議会多数派の政党が異なる場合は政治が混乱しやすい。| >半大統領制(フランスの場合) 大統領と首相がどちらも執政長官 ⇔韓国は大統領のみが執政長官 #hr -執政の選出 大統領と議会はそれぞれ国民から直接選ばれる。 大統領の任期は固定、基本的に任期中は解任されることがない。 首相は大統領によって指名され、議会の承認を受けなければならない。 -執政の解任 首相は議会によってのみ罷免される場合と大統領、議会によって罷免される場合の2通り >議会(立法権)との関係 ・大統領制(アメリカの場合) 法律案は議員のみが提出できる→立法権は議会にしかない。 法律案の審議は議員だけで進める。 大統領は議会に教書を送ることができる。 大統領は拒否権を持っており、議会で可決された法案の施行を拒否することができる。 ⇨行政と立法の峻別 #br ・議院内閣制 法律案は内閣、議員が提出できる。→立法権は内閣、議会両方にある。 法律案の審議は政府と議員で進める。 >行政府と立法府との対立 ・分割政府(divided government) 大統領制において、執政と議会が違う党派(政党)によって 多数を占められている状態 →行政権と立法権が対立している。 #br ・分裂議会 議院内閣制において、上院の多数派と下院の多数派が異なる状態 立法権内部で対立している→議会が分裂している。 #br ・保革共存政権(Cohabitation) フランスにおいて、大統領の所属政党と議会多数派が異なっている状況 →首相は議会による承認を必要とするため、大統領と首相の所属政党が異なる。 >直接民主主義と間接民主主義の違い 国民と執政の関係をどのようなものにするのかという考え方の違い #br ・直接民主主義 執政、議会ともに国民と直接結びつくべきという考え方 執政が国民の期待通りの役割を果たさない場合は、国民が執政の責任を追求し、執政を解任 議会が国民の期待通りの役割を果たさない場合は、国民が議会の責任を負うことで、議会を解任 |100|100|c |CENTER:執政|CENTER:議会| |CENTER:委任・委任⇧|CENTER:⇩責任| |>|CENTER:国民| #br ・間接民主主義 執政の行った決定が誤っていたり、悪い結果となったりした場合の責任追及の仕掛けとして、議会の存在を理解 議会は国民が選んでいるが、議会が国民の名によって決定を行い、決定の結果に問題がある時は、 国民の決定ではなく、議会が行った決定であるとして非難する。 |100|100|c |>|CENTER:執政| |CENTER:委任⇧|CENTER:⇩責任| |>|CENTER:議会| |CENTER:選出⇧|CENTER:⇩責任| |>|CENTER:国民| >まとめ ・大統領制 大統領一人が国民から正統性を与えられている。 任期中は解任の可能性がなく、自らの意思、考えに従って強いリーダーシップを発揮し、効率的に意思を実現することが可能 →独裁的な大統領が誕生する危険性あり #br 議院内閣制 議会の解散や内閣不信任決議案の可能性が常にあり、頻繁に選挙が行われたり、首相や内閣が替わったりする可能性が潜在的に存在 →議会における手続を軽視して、効率的な決定作成を行うのは困難 効率的な意思決定よりも、政治の質を保証しようという考え方 |>|>|>|>|>|>|大統領制と議院内閣制の相違点|h |統治形態|執政|選出|解任|決定作成|特徴|考え方|h |大統領制|大統領|国民|任期固定|非集団的|効率的な政治意思の実現|直接民主主義| |議院内閣制|首相|>|議会|集団的|政治の質の保障|間接民主主義| >55年体制下の首相の権限と補佐体制 -解散権(憲法7条、69条、) 内閣不信任案が可決した時や信任決議案の否決時(69条)に、国事行為(7条)として国会を解散 2022年4月時点で解散は25回(うち不信任可決による解散は4回) →首相が任意に解散可能 -人事権(68条) 任意に大臣を罷免できるものの55年体制下では困難 政治改革・選挙制度改革を通じ、派閥の影響力低下 →派閥の影響の規模 -指揮監督権 55年体制下では首相の指揮監督権は「閣議にかけて決定した方針」のみに限定 事務次官会議による閣議の議題調整 事務次官等会議 閣議の前日に、各省の事務次官等が集まり、各省庁から提出が予定されている案件を事前に調整する会議 各省大臣による分担管理原則(内閣法3条) ⇨首相といえども、直接官僚に指示命令を出せない。 また、与党との関係も重要。 党内対立を抑えるために、各派閥へ配慮した人事(派閥均衡、順送り人事) 大臣は、首相に任命されたのではなく、派閥のリーダのおかげで大臣になったと考える。 定期的な内閣改造で、大臣は単なるポストに過ぎず、適任者が大臣になるとは限らない。 >55年体制以降の首相の権限と補佐体制 政治・行政改革による首相の権限強化(派閥の影響力が低下)⇒首相の党内での権力の強化 -選挙制度改革 中選挙区制から小選挙区制への変更 →同一政党同士での対立がなくなる。 政党の執行部の権力が増大 -政治改革 政党助成金の導入により、政治活動費の一部が公費で賄えるように →派閥の存在意義が薄くなる。 >中央省庁改革と首相のリーダーシップ 橋本行革による内閣法の改正(4条2)→総理大臣の権限の明確化 首相が閣議の主宰者として、閣議で内閣の重要政策に関する基本的な方針を発議可能に #br ・首相の補佐体制の強化 内閣府の設置と内閣官房の機能充実 →官房副長官補、首相補佐官の増員 #br ・副大臣、大臣政務官の設置 各省内で大臣の補佐体制が強化→大臣のリーダーシップの強化 #br ・官邸主導体制の確立 内閣府、内閣官房等の官邸を中心とした政策の立案、総合調整体制が確立 →首相が各省庁に指示し、官僚が実行するという体制が定着 ⇒上からの指示による政策形成、トップダウン型へと変化 #endregion #region(条文) ''条文'' >日本国憲法 -第66条 「内閣は、法律の定めるところにより、その首長たる内閣総理大臣及びその他の国務大臣でこれを組織する。」 -第68条 1「内閣総理大臣は、国務大臣を任命する。但し、その過半数は、国会議員の中から選ばれなければならない。」 2「内閣総理大臣は、任意に国務大臣を罷免することができる。」 -第72条 「内閣総理大臣は、内閣を代表して議案を国会に提出し、一般国務及び外交関係について国会に報告し、並びに行政各部を指揮監督する。」 >内閣法 -第3条 「各大臣は、別に法律の定めるところにより、主任の大臣として、行政事務を分担管理する。」 -第4条2 「閣議は、内閣総理大臣がこれを、主宰する。 この場合において、内閣総理大臣は、内閣の重要政策に関する基本的な方針その他の案件を発議することができる。」 -第6条 「内閣総理大臣は、閣議にかけて決定した方針に基いて、行政各部を指揮監督する。」 #endregion ***第十一講目の内容 [#i111c71c] #region(議会制度) ''議会制度'' 議会とは、主権者である国民から委任を受けた議員が、 政策などの政治的な判断を必要とする事柄について、立法(注律を作る)という形で意思決定を行う場のこと。 |>|議会の機能|h |国家代表権|国民のなかに存在する様々な意見や利害を代表し調整する機能| |立法機能|一般的かつ抽象的な規範としての法律を制定する機能| |審議(争点明示)機能|公開の場で議論を行い、政治的課題や与野党の見解の相違を明らかにして争点を際立たせ、政策の選択肢を有権者に提示する機能| |行政府監視機能|政策立案過程を含む行政府の活動全般を監視する機能| |>|効率性と応答性|h |効率性|法律案をいかに効率よく審議し、法律を作っていけるか| |応答性|多数派だけでなく、少数派の意思をどれだけ尊重するか(正当性が高まる。)| ※効率性と応答性はトレード・オフの関係 >法律案の審議方式 -本会議中心主義(英国) 法律案の審議の中心が、全議員が集まる本会議で行われる方式 三読会制と呼ばれる方式をとり、第一読会で法案の趣旨説明を行い、第二読会では逐条審議、第三読会では法案の採決が行われる。 -委員会中心主義(日本,米国) 法律案の審議の中心が、少数の議員からなる委員会で行われる方式 法律案の審査だけでなく、委員会にも法律案の提出権があるなど委員会の権限が強い。 >二院制 上院と下院という2つの議院によって構成されている議会構造 |貴族院型|門地、身分、財産などを基礎として、世襲、互選又は任命によって上院議員を選任するもの(ただし、下院の優越を認めている。)| |連邦型|連邦を構成する各州または各民族を代表する議員によって構成されるもの| |参議院型|複雑で多様な国民の意見を反映させるため、下院と同様に国民によって直接又は間接に選挙された議員で構成されるもの| -二院制の意義 --民意の正確な反映 選挙制度の欠陥から、一院制の議会だけでは民意が正しく反映できないため、第二院に多様な民意を反映させる役割をもたせる。 選挙制度が異なる方が良い。 --慎重な審議 1つの問題について2度審議をすることでより慎重な審議が可能 --多数派の横暴の抑制 一方の院の極端な政策の変更、行き過ぎを抑制することが可能 --解散による政治的空白の防止 下院が解散した場合でも民主的国家運営が可能 --専門的知識の活用 専門的な問題に対応できるように専門的職業の人を議員として活用 |>|二院制の採用状況(IPU(列国議会同盟)加盟国 193ヶ国中の割合)|h |一院制(民意は一つと考える。)|114ヶ国(約59%)| |二院制(民意は複数と考える。)|79ヶ国(約40%)| >一院制と二院制の意思決定 一院制と二院制の意思決定の空間モデル(図)を考える。 新しい政策と現状(status quo)を点とし、議院にとって好ましいかどうかを円の中心からの距離で表す。 離れている程、議院にとって好ましくないとする。 -一院制の場合 新しい政策が現状(status quo)よりも円の中心に近い時、その法案は議会にとって現状よりも好ましいので、可決される。 -二院制の場合 新しい政策が現状(status quo)よりも円の中心に近かったとしても、もう一つの議院にとっては現状よりも好ましくないため、 法案が成立しないことが考えられる。⇨保守が選ばれやすい。 >機能による議会類型 米国人のポルスピー (Nelson. Polsby)による議会類型 議会の立法機能と審議 (争点明示) 機能に注目した分類(執政制度で分けただけか) |変換型議会|社会的な要求を法律に変えていく機能を果たす議会| |アリーナ型議会|議会での討論を通じて争点を明確にする機能を果たす議会| #endregion #region(日本の国会) ''日本の国会'' |>|権能|h |国会の権能|法律案の議決権(59条)| |~|内閣総理大臣の指名権(67条)| |~|予算の議決権(73条5号)などの財政監督権(83条)| |~|条約承認権(73条3号但書・61条)| |~|弾劾裁判所の設置権(64条)| |~|憲法改正の発議権(96条)| |~|内閣の報告を受ける権能(72条・91条)| |~|皇室財産授受の議決権(8条)| |議院(ハウス)の権能|会期前に逮捕された議員の釈放要求権(50条)| |~|議員の資格争訟の裁判権(55条)| |~|議長などの役員選任権(58条1項)| |~|議員の懲罰権(58条2項本文後段)| |~|国政調査権(62条)| |議員(メンバー)の権能|議案の発議権| |~|動議の提出権| |~|質問権| |~|質疑権| |~|表決権| |>|国会議員の待遇|h |歳費を受ける権利(49条)|「議員は一般職の国家公務員の最高の給与額(地域手当等の手当を除く)より少なくない歳費を受ける」(国会法35条)&br;月額129万4千円(「国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律」)| |不逮捕特権(50条)|会期中であれば所属する議院の許諾なしに逮捕されない。院外での現行犯逮捕は除く。&br;他の公的機関の職権乱用から議員を守るための仕組み。| |免責特権(51条)|議院における自由な言動を保障するため、演説、表決などに対する刑事事件や民事責任を院外で問われないこと| |>|法律案の種類|h |内閣提出法案|内閣が提出する法律案→省庁の官僚が原案を作成する。| |議員提出法案|国会議員が国会へ提出する法律案&br;衆議院議員が提出する衆議院議員提出法案と参議院議員が提出する参議院議員提出法案とにわかれる。&br;衆議院では20名以上、参議院では10名以上の賛成がないと提案することができない。さらに予算を伴う場合はそれぞれ50名、20名以上の賛成が必要となる(国会法56条)&br;衆議院には機関承認(会派や政党の執行部による承認)も必要| >国会の組織 |常任委員会|国会法によって国会に常設されている委員会、定例日(開催される日)が決まっている。| |特別委員会|各議院の議決によって設置される委員会、定例日(開催される日) は決まっていない。| -本会議、委員会の定例日 やろうとすれば毎日出来る ||衆議院|参議院| |委員会|水、金|火、木| |本会議|火、木、金の13時~|月、水、金の10時~| >議事録 国会での議論は議事録に記録されるが、本人が発言を撤回すると、その発言は議事録から消される。 >国会の種類 -例会 毎年1回1月に召集される定例の会期、開会日数は150日(延長は1回まで) -臨時会 内閣の決定、またはいずれかの議院の総議員の4分の1以上の要求があった場合に召集される会期 衆議院の任期満了による総選挙または参議院通常選挙が行われたのち、新議員の任期の始まる日から30日以内に召集される会期(延長は2回まで) -特別会 衆議院の解散による総選挙が実施された場合に、総選挙の日から30日以内に召集される会期(延長は2回まで) >国会審議と時間 |一事不再議の原則|会議で一度否決された議案は同じ会期中は原則として提出できない原則| |会期不継続の原則|国会の意思は会期ごとに独立しているという考え方に基づく原則| 会期末までに本会議で議決されなかった法律案は全て審議未了として廃案になる。 -牛歩戦術 議員が投票を行う際に、時間をかけて投票し、法案の成立を妨害する手段 ある法案の成立を防止したかったり、遅らせたい場合に、その委員会の委員長の解任決議案等を連発し、その都度牛歩を行って、時間を浪費させる。 投票が始まると、議場(本会議場)は閉鎖され、投票が終わるまでは議員は外に出ることが出来ない。 投票が始まって、0時までに終わらなければ投票が無効になる。 会期不継続の原則があるため、会期末までに法案が成立しなければ、次の会期に法案を再提出しなければならない。 →国会には時間の余裕があまりない。→可処分時間が少ない。 >国会無能論と国会機能論 ・国会無能論(立法府であることを重要視) 立法府であるはずの国会は立法機能を果たしておらず、内閣提出法案を承認しているだけの、ラバースタンプ(ゴム印)と同じである。 →国会は議会として機能していない。 #br ・国会機能論 内閣を支える与党は議会の多数派であるため、内閣提出法案は本来であれば成立率100%であるはずなのに、国会の成立率は80%前後の場合がある。 →野党が国会のヴィスコシティを高めていて、政府に抵抗する議会として国会が一定程度機能している証拠と評価 ※ヴィスコシティ(viscosity:粘着性)とは、議会がいかに政府提出の法案を成立させないかどうかを図る指標 アメリカは連邦制なので全て議員提出案(米国の会期は二年) >議会類型論と国会 ・変換型議会としての国会 議員立法が少ないため、自ら法律を作るという意味では機能しているとは言いがたい。 →内閣提出法案のうち、野党が成立を望まない法案を成立させないという点では機能しているといえるものの不十分 #br ・アリーナ型議会としての国会 外国の議会に比べて国会は法案の審議時間が短い。 →野党が政府・与党への抵抗策として、審議拒否など「審議を行わない」戦術を採ってきたため、十分な審議機能は果たしていない。 #br -立法府という言葉の誤解 議院内閣制の国では必ずしも議会が法律を作るわけではないため、立法機能だけで評価はできないが、国会は審議機能も十分に果たしているわけではない。 >参議院有用論と参議院不要論 -参議院有用輪 衆議院の優越があっても、与党が衆議院で3分の2以上の議席を確保することは難しいので 法案審議に関してはほぼ対等の権限を持っているといえ、法案の成否に参議院が大きな権力を持っている。 -参議院不要論 法案の審議過程で修正や否決をすることは稀であって、ほぼ衆議院と同じ議決をしているため、参議院は無意味であって不要 「第二院が第一院と一致するときは、無用であり、第一院に反対するならば、それは有害である」(シェイエス) > 両院協議会 衆議院と参議院の議決が異なった場合に、両院の意思を調整するための制度 |憲法上必ず開催しなくてはいけない場合(60条第2項、67条第2項)|予算案の議決、条約の承認、内閣総理大臣の指名で衆参両院の議決が異なった場合| |憲法上必ずしも開催しなくてよい場合(59条第3項)|法律案で衆参両院の議決が異なった場合| >> 両院協議会の構成と議決方法 衆参の代表者10名で構成され、出席議員の3分の2以上の多数で議決された場合、成案となる。 #endregion ***第十二講目の内容 [#xa5d6fbc] #region(政治制度とその帰結) ''政治制度とその帰結'' >政治制度と政治過程 制度を「社会におけるゲームのルール」と考えるならば、政治制度は「政治におけるゲームのルール」 →ルールに基づいて様々な政治過程が展開される。 #br これまでの授業では、各制度の特徴や、その帰結(制度がもたらす効果、結果)を検討 例:大統領制は権力の分立を招き、議院内閣制は権力の融合を促進する。 #br 今回は、制度の組み合わせがどのような帰結(政治過程)を導くのかを検討 政治過程(社会の多様な政治的要求が政党や国家機構を通じて政策として実現されていく一連の過程)には非公式制度(文化,慣習等)も影響。 >選挙制度と政党システム ・デュヴェルジェの法則 (Duverger's Law) ①「比例代表制は、多党制的で、強固で、自立的でかつ安定した政党システムを促進する。」 ②「二回投票による多数決制は、多党制的で、柔軟性があり、非自立的でかつ比較的安定した政党システムを促進する。」 ③「単純多数一回投票制は、主要な独立した政党間の権力の交代をもった二党制を助長することになる。」 →小選挙区は二党制になりやすく、比例代表制は多党制になりやすい |機械効果|最多得票を獲得した一人しか当選できないため、小政党は候補者を擁立しなくなる。| |心理効果|有権者は、自分の1票を死票にしたくないため、当選しそうな候補者に投票する。| >選挙制度と政党組織 ・集権的な政党組織 党首や政党のイメージ、人気に頼って議員が選挙に当選する場合、選挙後も政党の指示に従う必要がある。 →次の選挙で公認を得られない可能性があるため 執行部の決定した方針に議員が反対できる可能性は少ない。 →政党の政策方針は執行部の意向で決まる。 ⇒党執行部の権限が強い政党組織になる。 #br ・分権的な政党組織 イメージ、人気に頼らずに議員が選挙に当選する場合、選挙後になくとも選挙で当選できるため党首や政党の指示に従う必要がない。 →公認が得られ執行部の決定した方針に対して、議員が反対する可能性が高い→政党の政策方針に議員の考えが反映されやすくなる。 ⇒党執行部の権限が弱い政党組織になる。 >執政制度と選挙制度 ・議院内閣制と有権者の投票行動議院 内閣制:議席の過半数を獲得した政党の党首が首相になる。 有権者がある政党の候補者に投票する→議員になってほしい候補を選ぶ。=候補者の所属する政党の党首を首相に選ぶ。 政党、党首に対するイメージ、評価を基準に投票先を選ぶ傾向が高い。 選挙における政党、党首の影響は大きくなる可能性が高い。 →政党組織が集権的になる可能性がある。 #br ・大統領制と有権者の投票行動 議会の選挙と大統領選挙が別々に行われるため、有権者は議会選挙においては、政権選択という誘因が働かない。 →候補者個人に対する評価を基準に投票先を選ぶ傾向が高い。また、選挙における政党、党首の影響は小さくなる可能性が高い。 →政党組織が分権的になる可能性がある。 > 執政制度と政党組織 -議院内閣制と政党組織 --集権的な政党組織の場合→党執行部の権限が強い。 与党の党首である首相の考えがそのまま決定、実行される→首相は強いリーダーシップを発揮できる。 --分権的な政党組織の場合→党執行部の権限が弱い。 与党の党首である首相の考えがそのまま決定、実行されない可能性が高い。 →首相は強いリーダーシップを発揮しづらい。 -大統領制と政党組織 --一体性の高い政党組織の場合 大統領の支持勢力が多数派の場合、大統領のリーダーシップはより強固なものとなり、政策実施の効率性が非常に高いものとなる。 大統領の支持勢力が少数派の場合、大統領の実行したい政策が必ずしも実行されるとは限らず、大統領と議会が妥協する可能性は低い。 →政治が停滞する可能性が高い。 --一体性の低い政党組織の場合 大統領の支持勢力が少数派であっても、反対派を切り崩すことが可能なため、政策によって大統領は多数派の支持を確保することができる。 →政治の停滞を回避することができる。 >> 執政のリーダーシップの源泉 選挙での公認権、当選後の人事権、選挙資金などがどの程度党執行部によって管理されているのか 有権者がどの程度まで政党を基準とした投票を行っているのか...などなど >議会制度と選挙制度 -小選挙区制を採用する場合 選挙において国民は2つの選択肢から1つを選択することになる。 →選挙の段階で選択肢が決まる。 ⇒議会には多数派に支持された政策を実施することが期待される。(効率性が求められる。) -比例代表制を採用する場合 選挙の段階では、国民の考えの分布が示される。 ⇒議会において、合意の形成が期待される。(応答性が期待される。) >執政制度・議会制度・選挙制度の相互作用 |>|さまざまな政治制度|h |選挙制度|多数代表か比例代表か、いかなる政党システムか、どのような代表を選ぶのか| |執政制度|議院内閣制か大統領制か、行政権と立法権との関係、国民と執政の関係をどのようにするのか| |議会制度|アリーナ議会か変換議会か、議会にどのような役割を求めるのか| |政党制度|二党制か多党制か、集権的な組織か分権的な組織か| いかなる制度の組み合わせがどのような政治的帰結に結びつくのかを考える。 議会を中心にして、様々な政治制度の相互作用を考える。 →政治の中心を議会とするのか、政府を中心に強いリーダーシップを政治に求めるのか #hr #br ・変換議会 法律、政策を作ることが目的となるため、その時々の国民の意思を反映させることが求められる。 →応答性の追求 望ましい選挙制度:国民の多様な考えを反映しやすい比例代表制 →選挙の際に、選択肢の数が多い多党制が望ましい。 変換型議会では、選挙で示された民意にそって、議会で利益を調整し、政策を作り上げていく。 #br ・アリーナ議会 議会での審議を通し、政府が作成した法律案、政策案の実施を確実に行うことが求められる。 →効率性の追求 望ましい選挙制度:集権的な与党の下で、迅速に政策を決定できる多数派の形成が可能な小選挙区制 →選挙の段階で政策の方向性が決定される二党制が望ましい。 アリーナ議会では、選挙で選ばれた多数派の政策を効率よく実行していく。 ||変換議会|アリーナ議会|h |立法の主体|議会|政府| |議会の意味|応答性|実効性| |議会機能の中心|立法機能|審議機能&br;行政府監視機能| |政府との関係|対抗|従属| |(望ましい)選挙制度|比例代表制|多数代表制| |(望ましい)政党システム|多党制|二党制| |議会制度|権力行為である立法行為がどのように行われるのかを規定するルールの集合体| |選挙制度|権力を獲得する政治勢力を選出するためのルールの集合体| →選挙制度を通じて権力を獲得する政治勢力の権力行使のあり方を規定するのが、議会制度 >権力の集中か権力の分散か 議院内閣制に対する2つの見方 有権者にとって選挙の意義:政権を選択するのか、自分たちの代理人を選択するのか -権力の融合(多数派支配:majaritarian_control) 立法権と行政権を内閣の下で融合させ、内閣による立法を促進する。 →政策責任が明確になり、選挙における政権選択が可能になる。 内閣を支持する多数派が固定されるので、政権は安定 ⇔時々の多数派に支持される政策が効率的に実施されるが、少数派の意向は尊重されにくい。 ⇒政策の応答性は高いが、包括性は低く、政策の連続性が低い。 -権力の分散(比例的影響: proportional influence) 与野党が政権運営や政策形成に関与することが可能 →少数派も政策決定に関与できるが政策責任が不明確になる。 政策毎に内閣を支持する多数派が変わる可能性があるので、政権は不安定 ⇔その都度、多数派を形成する必要があるため、政策形成は非効率的だが、多様な利益が反映 ⇒政策の応答性は低いが、包括性が高く、政策の連続性が高い(現状維持的傾向が高い) #endregion ***第十三講目の内容 [#h35a9531] 政治家は当選回数で偉さが決まるという風潮がある。 #region(政治家と官僚) ''政治家と官僚'' >誰が政治家になるのか -政治家に必要な資質 M.ウェーバー『職業としての政治』(1919) |情熱|「事柄」(解くべき問題) に情熱をもって取り組むこと| |責任感|情熱に責任がともなうこと| |判断力|虚栄心を克服し、「事柄」に客観的に取り組むための冷静な判断力| -政治家になるためのキャリアパス 政治家リクルートメント →政治家を志望するものを探し、教育、訓練の機会を与え、立候補を支援すること ⇒主として政党が担う。 --イギリス(政党リスト登録・選挙区選択型) 政治家志願者は、党候補者リストに登録を義務付けられる。 政党の党員としての活動経験が重視される→前職、経歴は多様 --アメリカ(個人立候補・選挙民参加型) 選挙民が参加する予備選挙で選ばれた候補者が、選挙での候補者となる。 選挙区の予備選挙に立候補しなければならない。→落選しても良い専門職出身者が多い。 --日本(政治家個人主導型) 何らかの形で政治家経験がある人を政党として公認する。 政治家になるための道がほぼ固定→政治家になる人の背景、経歴がほとんど同じ。 > 候補者公募制 政党が選挙に向けて立候補者を広く一般から募集する制度 1992年に日本新党によって初めて採用、自民党・新進党が1995年、民主党が1999年に導入 -自民党が公募制を採用した背景 国会議員の世襲化が進み、官僚などの若い有望な人材の多くが民主党から立候補し、 都市部で有力な候補者を探すことが難しくなったため -民主党が公募制を導入した背景 候補者を供給するための支持組織が労働組合に限定されており、地方組織が脆弱であったため > 世襲議員 両親や祖父母が政治家であり、同じ選挙区から立候補して当選した議員 -世襲議員が多い理由 個人後援会(政治家の日常的な政治活動から選挙運動までを支援する団体)の存在 地方議会の議員や地域の有力者を通じて選挙の際に投票してもらえるよう、集票活動を行う。 →地元の業界団体や中小企業から政治資金を受け取る代わりに、国の補助金や公共事業費を地元に配分する利益誘導を行う。 ※2000年から2012年までに5回の衆議院総選挙では、非世襲候補の当選率は約33%。世襲候補の当選率は約78% -世襲議員への批判 何の苦労もなく育ったために、一般の国民の苦労は分からない。 世襲議員が多くなれば、世襲議員の意見や考えがより政治に反映されるようになり、非世襲議員の候補者が選挙に当選しづらくなり、不平等な状態になる。 >族議員 特定の政策に詳しい、特定分野の政策決定に影響力を与えることができる有力な議員 特定の業界団体、特定の省庁の利益を代弁する場合もある。 |>|族議員の類型|h |マスター(幹部)|族内部の意見をまとめたり、政策の方向付けを行うなど族議員を統括する議員&br;日常の政策決定だけでなく、包括的に特定の政策分野の決定に影響を与える。| |ソルジャー|族議員として部会に参加し、積極的に活動している議員| |モブ|ある政策分野に関心をもつ議員集団。何かが起きると集まる活動的な「群衆」を意味する。分け前を求める存在。| |ジェネラル|首相経験者や派閥の領袖など、党内の実力者| -族議員の政策決定方式 |番犬型|少数の議員が特定の政策領域に、常に関与しているような族議員の政策決定方式| |猟犬型|多くの議員が関心をもつテーマで、一挙に多数の議員が主張をはじめるような政策決定方式| > 組織としての官僚制 ウェーバー (Mesiber)(1922:「支配の社会学』) 官僚制は合法的支配の典型例 外部からの期待に応えて設定された目標を最大限に達成するという意味で、 合理性を最も高い水準で達成する組織形態 >> 官僚制の特徴 -人格的には自由であり、ただ即物的な官僚義務に服するのみである。(人格の自由) -明確な官職階層制の中にある。 -確な官職権限を持つ。 -契約によって、したがって(原理的には)自由な選抜による。 -専門資格にもとづいて任命される。(職務の専門的遂行) -貨幣形態での定額の俸給を報酬として受け取る。 -自己の官職を唯一のまたは主たる職業として扱う。(フルタイムの専念) -昇進を前途に期待する。 -完全に行政手段から分離されている。(役所と私生活の分離) -厳格で統一的な官職規律や統制に服している。 >官僚制への批判 R.マートン (Robert King Merton) の逆機能論 (1949:『社会理論と社会構造』) 官僚制の特徴がマイナス方面に機能してしまう弊害を指摘 本来期待される機能が、悪影響を出してしまう。 -例 明確な官職権限を持つ→セクショナリズム 縄張り意識 明確な官職階層制の中にある→権威的な上下関係 厳格で統一的な官職規律や統制に服している→法規万能主義 ルールは手段、ルールに服することが目的ではない。 >官僚とは誰か |>|キャリアとノンキャリア|h |キャリア|国家公務員Ⅰ種試験(現:総合職試験)採用者| |ノンキャリア|キャリア以外の試験での採用者| キャリアは省庁の幹部候補として、昇進の機会が優先的に与えられている。 #br ・キャリア 同期採用同時昇進の原則 40歳過ぎには例外なく課長になる。 それ以前も同期採用同時昇進で、課長以降、差がつく。 2年ごとにさまざまな部署に異動(ゼネラリスト(総合職)志向) ・ノンキャリア 30歳前半で係長にあるまでは同期採用同時昇進、その後は昇進競争が行われる。 入庁時に配属された部署の周辺を異動するのみ(スペシャリスト(専門職)志向) #br |>|キャリアとノンキャリアのキャリアパスの例|h |キャリア|22歳→26歳(係長)→32歳(課長補佐)→40歳(課長)→50歳(局長)→55歳(次官)| |ノンキャリア|18歳→32歲(係長)→44歳(課長補佐)| 副知事は知事が任命するので、ノンキャリアの人が任命されることもある。 キャリアは次官に成れなければ退職する。(総務省は別かも) > 誰が官僚になるのか -戦前日本の官僚制 1894年に文官任用高等試験が開始 帝国大学卒業生は語学と教養試験からなる予備試験の免除 本試験の科目:憲法、刑法、民法、行政法、経済学、国際法が必修。財政学、商法、刑事訴訟法、民事訴訟法から1科目選択 -公務員採用における東京大学と非東京大学(学閥支配か) →1992年、宮沢内閣が東大出身者の採用比率を5年後を目途に50%以下に抑える方針を打ち出す。 国家公務員採用における東大出身への偏重(東京大学の設立経緯も影響か)が問題視された。 ⇒ 1993年以降、東大出身者の採用比率はほぼ50%に 東大出身者が相対的に多く採用されているという状況に変化はないという批判も(残りの50%を他の大学の出身者が奪い合う。) > 資格任用と政治任用 米国では開放任用制が運用されている。 -資格任用制 試験で選抜する方法。終身雇用が前提。 空席のポストを内部からの昇進、異動によって充足させる。 長所:官僚の職務に対する献身を引き出しやすい 短所:社会から隔絶されたエリートを生み出す可能性 -政治任命制度 政治家である任命権者の裁量により専門的な政策能力や政治的忠誠心などに基づき任免する制度 能力のある人が任命されなかったり、問題が起きた時に十分な対応が出来なかったりする可能性がある。 >政治家と官僚の関係(政官関係論) |>|官僚の類型|h |国士型官僚|政治家は利益集団の利益のみに関心があり、官僚だけが国家の利益、公共の利益を考えている。&br;→国家を背負うのは官僚であり、政治家よりも官僚が上に位置し、政策は官僚が作るべき。| |調整型官僚|政治家と官僚は対等な存在であって、協力して社会の利害を調整するべき→政治家、利益集団のからの要望を官僚が調整する。| |吏員型官僚|必要最小限の仕事のみを行い、利益の調整や決定は政治家に任せるべき→責任回避のため、公共問題との積極的な関わりを行いたくない。| >政治主導 |>|政官関係における3つの原則|h |統制原則|政治家が官僚を指揮・統率し、政治家の命令には部下たる官僚は従わなければならないという原則| |分離の原理|党派的な対立を起こす政治家と政策実施の場面で中立性が求められる官僚との間には適切な分離、相互の独立が必要という原則| |協同原則|政治家と官僚は、それぞれの役割の違いを理解し、協力をしなければならないという原則| -政治主導とはなにか 政治家が何でもやるのが政治主導なのか→政治家個々人が官僚を指導するわけではない。 内閣として一体性をもって、相互の調整を行う。→首相のリーダーシップが重要 政策の立案、データ分析など→専門的能力をもつ官僚の役割 英国では一部の議員と会うことすら許されない。 日本社会の方向性、社会全体の利益調整→国民の代表である政治家の役割 > 官僚に求められるもの -イギリス 専門性と政治的中立性 政策は選挙の際に政党が示したマニフェストにそって行われる。 →政策決定は政治家が行い、公務員はその補佐 大臣以外の政治家とは原則接触しない。 →時の政権に対する奉仕者 -フランス 国立行政学院と呼ばれるエリート教育機関出身がほとんど グラン・コールに所属し、首相や各大臣の求めに応じてキャビネ(大臣官房)に出向 →党派性が求められる。 >日本における相反する2つのモデルと制度改革 公務員は国民全体の奉仕者 #br ・中央省庁再編に伴う内閣機能の強化策 ①副大臣、大臣政務官の設置 →政府内で活動する政治家の増員 ②内閣官房副長官補など内閣官房の職員の政治任用化 →首相のスタッフ増員によるリーダシップの強化 #br ①はイギリス型の政官関係モデル志向 ②はフランス型の政官関係モデル志向 #endregion ***第十四講目の内容 [#g26c876e] #region(有権者と利益集団) ''有権者と利益集団'' >権力を持つ人 政治意識=政治的な事柄に対する人々の心理的な態度や意見、選好 |>|政治意識の形成に与える要因|h |個人的な要因|パーソナリティや性格など| |社会的要因|年齢、職業、性別、社会的地位| 政治意識の指標→世論調査 ある時点における国民の政治意識。必ずしも完全には分からない。 >政治的無関心 現代社会において政治に対するさまざまな要求が満たされず、政治的無力感と不信感に陥り、政治への関心を失った人々 |>|H.D ラズウェル (Harold Dwight Lasswell) の類型|h |脱政治的態度|かつて政治に関与していたものの自己充足、満足に乏しく、政治に幻滅し政治関心が低くなり、政治に関心を示さなくなる。| |無政治的態度|政治以外の出来事に関心を奪われ、政治意知識や関心が低下し、政治と自己が無関係に感じる、または考えなくなる。| |反政治的態度|自らの固執する価値が、本質的に政治と衝突するという前提から、 政治への軽蔑など、政治そのものを否定する。| |>|D.リースマン (David Riesman) の類型 (1950)|h |伝統的無関心|政治に関係がないため、そもそも関心を持たない。&br;論語「知らしむべからず、由らしむべし」| |現代型無関心|政治についての知識や情報を比較的豊富に持っているにもかかわらず、それが政治行動に結びついていないような状態&br;麻生太郎「無関心である方が幸せ」| >無党派層 支持政党をもたない有権者。昔は悪く思われていた。 元々一割だったが今や半数 #br かつての(伝統的な)無党派層は伝統的無関心型の有権者だった。 -現代の無党派層 候補者や争点のあり方に敏感に反応し、候補者や争点次第で投票態度を変える可能性を秘めている。 |政治的無関心層|政治的関心が低く、投票に行かない有権者| |政党拒否層|政治への関心はあるものの、支持政党はもたない有権者| |脱政党層|かつては支持政党があったものの、1993年以降の政界再編の中で、支持政党を捨てた有権者| >利益集団(圧力団体) 利益集団とは自らの利益を擁護したり推進したりするために、議会や行政に圧力をかけるような集団 キー(Valdimer Orlando Key)による定義 「公共政策に影響を及ぼすために形成された私的な任意団体であって、自己の集団利益を促進するために政府に対して影響力を行使するが、 政党とは違って、直接公職を選挙で争おうとしたり、 政府運営の責任を引き受けようとはしない団体」 |>|利益集団の機能|h |利益の表出機能|社会に存在する様々な要求や紛争を政治過程のチャンネルにのせる。政治に取り上げてもらうようにする機能| |代表制の補完機能|政党が表出しない(特定の地域、特定の価値など制約を受けにくい)利益を扱い、代表性を補完する。| -政党との違い 候補者を擁立しないなど、選挙に介入しない。 主義や主張を公的に明らかにする責任や義務はない。 自己の特殊利益の追求を目的とする。 ※政党とは「国民の声を政策に転換する翻訳機」⇦包括的な政策・対立層との調整 >アメリカ社会と利益集団 米国の政党は分権的(自律的な政党と政策決定) 党議拘束が存在しないため、法律案への賛否は議員個々人が判断 →政策形成、決定過程においてさまざまな人々による働きかけが可能 -ロビイングとロビイスト --ロビイング (lobbying) 利益集団が政策決定に影響を与えようとする活動 議員個人だけでなく、(法が許す範囲で)関係するさまざまな方面に働きかける。 --ロビイスト (lobbyist) ロピイングを行う個人、集団。他国企業や外国勢力も含む。全米ライフル協会は特に強い。 ロビイストは必ず登録をしなければならない→連邦ロビイング法によって、規制されている。 汚職や腐敗に繋がることも。 例:弁護士、コンサルタント、元政治家、企業・団体の関係部門スタッフなどさまざまな経歴 >日本の利益集団 【日本の利益集団の特徴】 ・既存集団の丸抱え →特定の目的のために組織を結成するのではなく、すでにある何らかの組織を利益集団として動員 ・政党による系列化 (自民党の長期政権を背景) →経済団体は自民党と、労働組合は社会党系の政党と友好関係を築く。 ・行政を中心とした働きかけ →政治家を介する場合もあるが、省庁に直接働きかけが可能 #hr ・鉄の三角同盟 政治家・政党、官僚の相互関係を指す概念→三者の癒着などを指す否定的な意味で使用される。(天下り,献金) ・政党と官僚 官僚が実現したい政策→国会で可決されなければ、法律にならない。 官僚にとって政治家は、政策を実現させてくれる存在 与党の意向を踏まえた法律案、政策案の作成 政治家にとっての官僚は、自身の考えを具体的に政策にしてくれる存在 支持者から、陳情を受ける。→省庁(官僚)に対応してもらう。 ・官僚と利益集団 官僚は規制の緩和や、事業の許認可、行政指導など、利益集団に大きな影響力をもつ。 →利益集団は規制等が厳しくならないように官僚へ働きかけの必要 省庁とのつながりを求めて、官僚に天下りポストを用意 官僚は利益集団との接触で国民の中にある行政や政策へのニーズを把握 ・政党と利益集団 政治献金、固定票による支援 →自分たちに有利な政策を作ってもらう、政治家を通じた官僚への働きかけ 五十五年体制の時よりかは難しくなっている。 |>|>|>|鉄の三角同盟のイメージ(それぞれの提供と収受)|h |与\受|政界(政治家)|官界(官僚)|財界(企業)| |政界(政治家)|-|予算の確保|公共事業の配分| |官界(官僚)|政策のアドバイス|-|許認可| |財界(企業)|天下りの受入|政治資金の提供|-| >日本の利益集団の種類と特質 -セクター団体 メンバーの部分的・私的な利益の実現を目的として、働きかけを行う利益集団 経済的な要求が多い。 |分野による分類|説明|主な団体|h |経済団体|企業を超えて、経営者によって結成される団体|日本経済団体連合会(経団連)、経済同友会、日本商工会議所| |業界団体|業種ごとに結成される団体で、個別の業種の利益を守るために活動する団体|全国銀行協会、日本自動車工業会、日本建設業連合会| |労働団体|労働者の権利や利益を守るために活動する団体|日本労働組合総連合会(連合)、日本教職員組合(日教組)| |農業団体|農業、農家の発展・振興を目的として活動する団体|全国農業協同組合中央会(JA)、全国漁業協同組合連合会| |専門家団体|医師や弁護士といった専門能力をもつメンバーによって構成される団体&br;メンバーの利益や権利を守る以外に、専門知識に基づいて政治的な働きかけを行う団体|日本医師会、日本看護協会、日本弁護士連合会(日弁連)| -促進団体 主に公共の為、何らかの主義や理想を主張し、追求する団体 |分野による分類|説明|主な団体|h |消費者団体|消費者の利益を、権利を守るための活動を行う団体|全国消費者団体連絡会、主婦連合会| |環境団体|環境破壊の告発や広義、自然保護活動を行う団体|日本自然保護協会、公害・地球環境問題懇談会| #endregion ***第十五講目の内容 [#od1876ac] 当選確実報道は状況を見てメディアが勝手に出すもの。NHKは各都道府県に交局があり、強い。 #region(メディアと政治) ''メディアと政治'' >客觀的な事実と疑似意境 「我々は、自分たちがその中に暮らしているにもかかわらず、周囲の状況をいかに間接的にしか知らないかに気づく」(リップマン) ⇨マスメディアによって知らされる現実と、客観的な事実としての現実との乖離 マスメディアが作り上げる現実、情報の受け手にとって、現実のように思えるもの=「疑似環境」 #br 第一次大戦と大西洋上の孤島→「人々が知っていること」と「実際に起こったこと」との間の乖離の例え話 [註]戦争の知らせが届くまで時差があり、島にいる英仏人とドイツ人は仲良くしていたというリップマンの例え話のこと >実論と世論 世論とは、政治的・社会的な問題や出来事に関する人々の意見の集合体 |輿論(ヨロン)|世の中の正しい意見| |世論|そのときどきの人々の意見| >マスメディア効果研究の系譜 |第一期 20世紀初頭~1930年代末|マスコミ万能論、強力効果論| |第二期 1940~1960年初頭|限定効果論| |第三期 1960年代後半~|新効果論、強力効果論の見直し| -強力効果論 マスメディアは非常に強い影響力を持つ存在であって、どのような受け手に対しても、 直接的・即自的・画一的に効果を及ぼすと考える考え方 →賛成を反対に、反対を賛成に、といったような態度の改変効果がある。 例:火星人襲来のラジオドラマ(ドラマの中のニュースを聞いてパニックになる人が出た。)やナチスのプロパガンダ -限定効果論 マスメディアに本当に強力効果があるのか、に関する実証研究 社会的思想よりも弱いと判明。 >選択的接触 ラザーズフェルド『ピープルズ・チョイス』(原著:1944年) 1940年のアメリカ大統領選挙 (ルーズベルトVSミルキー)におけるエリー郡での調査分析(エリー調査) 共和→民主、民主→共和というような態度(行動)の改変効果は見られない。 補強(既存の投票意図の維持・再確認) 効果のみ確認 #br ・パネル調査 同一対象者に複数回、同じ調査を実施する調査方法 調査対象者の考えや態度の変化を時系列で調査できる。(いつ考えが変わったか分かる。) 対象者は何度も調査されるので拒否されることも多い。 ・選択的接触 情報の受け手は、自らの態度に近いものを積極的に受け入れる傾向がある。 例:自分の気になる見出しのページのみ開く。ニュースで自分の考えに近い記事しか読まない。 >コミュニケーション二段階の流れ 政治に関心を持たない有権者は、何を基準、手掛かりにして投票先を決めるのか 投票先を変えた人の理由は個人的な影響が大きかった。(周りの人からの影響) #br ◆オピニオン・リーダー 周囲の人に選挙に関して助言をしたり、助言を求められたような人 エリー調査では、自分の政治的見解を話して相手を説得した、政治上の問題で誰かから相談を受けたと1つ以上の回答した人をそれとして定義。 コミュニケーション二段階の流れのイメージ:マスメディア⇨オピニオンリーダー⇨オピニオンリーダーと接触のある人 #br 個人的な意思決定は、マスメディアよりもパーソナルな影響の方が強く働く。 -新効果論 限定効果論の見直し 第二期までの研究では、改変効果にのみ着目 →改変以外の影響、効果の見直し、検証 テレビの登場や、政治的無関心層の増大によるマスメディアをとりまく環境の変化 マスメディアは人々の認知機能に影響を与える→議題設定機能と沈黙の螺旋理論 >議題設定機能 マスメディアは「どのように考えるか」ではなく、「何について考えるか」について大きな影響を与える。 マスメディアが多く報道する問題が重要な問題であると人々は認識する。→マスメディアが問題にしたいことを問題にできる。 例:選挙の際に「何が争点であるのか」について影響を持つが、「その争点をどのように考えるのか」については影響を与えない。 |>|>|>|2005年衆議院総選挙(小泉内閣の郵政解散)の際の争点に関するアンケート|h ||1位|2位|3位|h |マスメディアの考える争点|年金|経済|郵政| |候補者の考える争点|郵政|イラク|経済| |有権者の考える争点|年金|経済|郵政| マスメディアの順位と有権者の順位の相関関係は、候補者と有権者よりも高い。 認知への影響(What to think about)であって態度への影響(How to think)ではないが、議題によっては態度に影響を与えることもある。 >沈黙の螺旋理論 ノエル・ノイマン『沈黙の螺旋理論』(原著第2版1993年) 「人間は他者から孤立することを避けたいという自然な欲求(孤立への恐怖)を持つとともに、 周囲を観察しコミュニティの意見動向を直感的に把握する能力も備えている。 それゆえ、あらゆる争点に関して、自分の立場が社会で少数派である、あるいは劣勢になりつつあると感じると、 少なくとも公の場での意見表明は控える (=沈黙を守る)ようになる」 #br 人間は社会的な存在であるため、社会の中での孤立を嫌う。 →世間の動向を確認して、孤立しないようにする。 ⇒自分の意見が多数派の場合は主張し、少数派の場合は沈黙する。 ただし、信念を持っている人は少数派と自覚していても主張するため、必ずしも沈黙するとは限らない。 社会における潜在的な同調への心理的圧力を表している。 >マスメディアの政治的公平性 電波という社会的資源を使っている。→政治的公平性が求められる。 米国ではマスメディアにも政治的自由が保障されている。 放送法 第四条 放送事業者は、国内放送及び内外放送(以下「国内放送等」という。)の放送番組の編集に当たつては、次の各号の定めるところによらなければならない。 一 公安及び善良な風俗を害しないこと。 二 政治的に公平であること。 三 報道は事実をまげないですること。 四 意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。 大統領になるべき人がなれないのは駄目という考えがアメリカにはある。→政治的な贔屓をした報道を多く行う。 アメリカ憲法修正第1条 「議会は、国教の樹立を支援する法律を立てることも、宗教の自由行使を禁じることもできない。 表現の自由、或いは報道の自由を制限することや、人々の平和的集会の権利、政府に苦情救済の為に請願する権利を制限することもできない」 →表現の自由はマスメディアにも適用される。テレビ放送は電波という希少資源を利用することから、国の免許制となっている。 →許可を受けた業者は、自らの利益追求だけではなく、幅広い公共の利害にも配慮することが求められる。 →違反すると免許取り消しの可能性 >マスメディア制度 -記者クラブ 日本独自の組織。海外の各社が批判。 公的機関や業界団体などの各組織の継続取材を目的とするために大手マスメディアが中心となって構成されている任意組織 国会、政党、首相官邸、各省庁、警察、裁判所、金融・証券など、様々な主要機関に設置されている。 例:内閣記者会(※百社以上参加。常勤は二百人以上。役所の中に部屋がある。)、総務省記者クラブ 記者会見などを開催するが、原則記者クラブに加盟している会社の記者しか出席ができない。 →閉鎖性の高い、日本独特の制度 懇談:カメラでの撮影やメモを取らずに話を聞く場オンレコ、オフレコがある。いわゆる「政府高官によると⋯」 |オンレコ|懇談で発言した内容を記事にしても問題にはならない。| |オフレコ|懇談で発言した内容は基本的に記事にしてはいけない。| >政治家とマスメディア -番記者 特定の役職(首相、官房長官、幹事長、政調会長など)、政治家に張り付いて取材する記者 より良い情報を得るためには政治家と個人的に親しくならなければならない。 →記者と政治家の癒着に繋がる可能性を秘めている。 ⇒取材対象との距離感の問題 例:田中金脈問題における、新聞と雑誌の対応の差⇦新聞社にとっては当たり前のことだった。 例:角福戦争→田中角栄が勝って福田赳夫付きの記者が左遷される。 >記者のキャリアパターン |記者から政治家へ|緒方竹虎、安倍晋太郎(安倍首相の父)、石原伸晃...などなど| |記者から政権の中枢へ|伊藤昌哉、楠田賞(秘書になった)| |記者でありながら、政治を動かす|渡邉恒雄(大野派の番記者根回しとかしていて、やっていることがほぼ政治家)| >政治家のマスメディア観 政治家はマスメディアをどのように考えているのか 佐藤栄作(安倍に抜かされるまで在任期間一位)「偏向的な新聞は嫌いだ。ボクは国民と直接話したいんだ」 →テレビに対する誤解と似ている。 #br 1960年アメリカ合衆国大統領選挙における討論会 ジョン・F・ケネディ VS リチャード・ニクソン アメリカ大統領選挙史上テレビ中継による初の大統領候補者討論会 テレビ中継とラジオ中継によって印象が異なった。 #br 小泉純一郎「いくつも話すと、最も不快な部分を拡大して報じられる。1つのことしか言わなければ、どのメディアも仕方なくそれを報じる」 ⇒政治家にとって今やマスメディアへの対応技術、扱い方は必須のものとなっている。 インターネット→有名人がオピニオンリーダーに #endregion }} #style(class=submenuheader){{ **後期 }} #style(class=submenu){{ |BGCOLOR(#555):COLOR(White):200|520|c |BGCOLOR(#fc2):COLOR(Black):授業形態|対面授業/遠隔授業| |日程/教室|火曜日 五限目/3505教室(三号館五階五番教室)| ***第一講目の内容 }} *コメント [#comment] #pcomment(,reply,20,)