<a href="https://nichidaibunrigojokai.swiki.jp/index.php?cmd=related&page=%E4%BA%BA%E9%A1%9E%E3%81%AE%E9%80%B2%E5%8C%96%28%E3%83%87%E3%82%A4%E3%83%93%E3%83%83%E3%83%89%E3%82%B9%E3%83%97%E3%83%AC%E3%82%A4%E3%82%B0%29">人類の進化(デイビッドスプレイグ)</a> をテンプレートにして作成
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人類の進化(デイビッドスプレイグ)
をテンプレートにして作成
開始行:
''■[[人類の進化]]''
#contents
|BGCOLOR(#555):COLOR(White):200|520|c
|BGCOLOR(#fc2):COLOR(Black):''分類''|''選択''|
|区分|総合教育科目|
|履修形態|完全抽選|
|履修条件|抽選に当たる。また、メールを送る。|
|単位数|2|
|講師|[[デイビッドスプレイグ]]|
|学位等|学士|
*概要 [#Gaiyou]
生物としての人間の特徴を理解するとともに、それに対する社...
#br
受講するにはCHIPSによる抽選に当たる必要がある。加えて、LM...
抽選に応募していなくても、希望する旨のメールを送ることで...
#br
試験100%
Canvas LMSによる中間試験2回(各成績の25%)、期末試験(成...
期末試験は試験期間に行う。(15回目の講義ではない。)
何らかの理由で中間試験を受けられない場合には、アンケート...
試験の翌日に Canvas上で公開されるショート・ペーパー課題に...
#br
教科書は、井原泰雄,梅﨑昌裕,米田穣の『人間の本質にせまる...
なくても問題なし。
#br
この科目は文理学部のDP及びCPの3、4、5に対応している。
*講師の印象 [#Inshou]
外人にあるまじき日本語の上手さ。ほぼ日本人。
*令和八年度(2026年度) [#h81d5434]
#style(class=submenuheader){{
**前期 [#zaf9b473]
}}
#style(class=submenu){{
|BGCOLOR(#555):COLOR(White):200|520|c
|BGCOLOR(#fc2):COLOR(Black):授業形態|対面授業|
|日程/教室|月曜日 四限目/3206教室(三号館二階六番教室)&br;...
&color(Red){定期試験予備⽇の14:40~15:40に期末試験};
***第一講目の内容 [#gb840899]
履修を希望する者はLMSでその旨のメールを送ること。
#hr
我々は何者で何処から来て何処へ行くのか?→人類学の誕生
***第二講目の内容 [#kc022bb9]
#region(思想)
''思想''
>''⾃然⼈類学の基本課題''
⼈類の⽣い⽴ち:我々はどこからきたのであろうか?
|~⽂化・哲学|⼈間はどのような存在なのか?|
|~|⼈間は⾃然を超越する存在なのか?|
|~|⼈間と他の動物の間には絶対的な断絶はあるのか?|
|~⾃然科学としてのヒトの研究|⽣物としてのヒトの特異性|
|~|ヒトの進化の過程|
|~|ヒトが進化した理由や原因|
|~|現代のヒトの⽣物学的な多様性の理解|
>''⾃然⼈類学の2⼤トピック''
⾃然⼈類学は⼈類の⽣物学的な基盤を主要な研究トピックとす...
''トピック1:ヒトの進化''
''トピック2:現代のヒトの⽣物学的な多様性''
#br
英語では、&color(Red){Human evolution and modern human bi...
>''⽂化的背景:創世神話 &color(Red){Origin myth};''
世界のほとんどの⺠族や宗教は創世の物語を持つ。
-現代の⼈類起源論
|~⾃然主義 &color(Red){Naturalistic};|奇跡や神々に頼らな...
|~科学的 &color(Red){Scientific};|現代の科学的な理論と⽅...
|>|現代の哲学の構造|h
|~Metaphysics 形⽽上学|philosophy of existence&br;世の中...
|~Ontology 存在論|philosophy of being and existence&br;物...
|~Epistemology &color(Red){認識論};|philosophy of knowled...
|~Empiricism &color(Red){経験主義};|knowing based on the ...
>''⾃然科学の Epistemology 認識論''
&color(Red){Empiricism 経験主義};:knowing based on the s...
単語としても⽇常的によく使われる:Empirical 形容詞
|~肯定的|Empirical science Empirical observation Empirica...
|~否定的|“That is not an empirical statement.”non-empiric...
> ''経験主義に基づくEmpiricalな研究とは''
・Observation 観察 が必要
・実際に⾒る、聞く、触る、嗅ぐ、味を感じる。
・測定機器を使う。:5感を超える観察能⼒を開発して活⽤す...
・出来れば情報を数値化する:数値のほうが正確で再現可能
・観察不能なものはそもそも研究の対象にしない。
>> 観察の主な⽅法論
+Experiment 実験:
・重要な要因や条件をコントロールした観察
・ターゲットしている要因を操作しながら、ほかの要因は固定...
+Fieldwork 現地調査:
・実世界の現場で現状を観察する。
・野性動植物の研究は多くの場合は野外調査
・化⽯調査はターゲットしている⽣物が⽣息していた地域にお...
・ヒトを対象とする研究は世界中の⼈々を訪ね歩いて協⼒をお...
>''科学の哲学:科学のプロセス''
研究とはどの様な⼿順で「科学的」になるのであろうか?
ただ⾝の回りを⾒ているだけでは「科学的」な観察とは⾒なさ...
「科学」の条件:主に2つの⽴場
|~&color(Red){帰納主義 Inductivism(Induction)};|観察が...
|~&color(Red){反証主義 Falsificationism(Falsification)}...
/////
||Inductivism 帰納主義|Falsificationism 反証主義|h
|~主な主張|・客観的に観察を重ねて現象を把握する。&br;・⾒...
|~問題点|・同じ観察を繰り返しても論理的には「証明」にはな...
>''科学的な主張の基準''
・仮説の反証可能性 &color(Red){Falsifiability};
・反証ができない主張は⾮科学的とみなす。
・検証する⼿段がない仮説も unfalsifiable とみなされること...
#br
反証可能な仮説を&color(Red){Testable hypothesis};という
-よくある表現
This is not a falsifiable statement.
Can this theory lead to testable hypotheses?
>''科学史の視点''
-反証主義への批判
--とても新しい⼤胆な仮説ならば理論の「確認」と認めてよい...
(例えばアインシュタインの相対性理論はニュートン⼒学では...
--科学者は理論と合わない現象が観察されたぐらいでは諦めな...
-科学⾰命論(提唱者:Thomas Kuhn)
--科学者は特定の⾃然観に基づく理論体系(&color(Red){パラ...
--科学の進歩はパラダイムの⼤転換(Paradigm shift)ととも...
--パラダイム転換は科学⾰命
教科書によく紹介される Paradigm Shift:天⽂学の天動説から...
>''科学哲学としてのポイント:&color(Red){⽅法依存性 Metho...
帰納主義では天動説と地動説の区別がつかない。(太陽が東に...
地動説は観察⼿段がないためになかなか検証が難しかった。
#br
「新しい観察⼿段の開発で仮説の検証が可能になった。」+「...
⽐較的精密な天体観測の結果を報告した Galileo ガリレオは⾃...
・科学論⽂には必ず「⽅法」を報告する部分が必要
>''⾃然⼈類学の Paradigm:進化論''
・19 世紀までに⾃然史(Natural History)の知⾒は多く集積...
・ダーウインの進化論のおかげで⽣物学は全般的に整理されて...
・⼈類の起源についての研究も進化論に基づく理論によって導...
>''⼈類学の特徴''
+&color(Red){Holistic ホーリスティック、Holism ホーリズム...
・部分の理解だけでは全体は理解できないという思想
・パーツの相互作⽤はシステム全体を⽀えると考える。
・Holistic な視点は研究の専⾨化やパーツ・部分の Analysis ...
・それぞれのパーツをしっかりと理解した上でシステムの全体...
・モデルは⾝体:⽣命を維持するためには臓器全てが機能しな...
・Holistic の反対は Reductionist 還元主義
+&color(Red){Comparative ⽐較};
・様々なスケールでの⽐較検証:哺乳動物とその他⽣物、霊⻑...
+&color(Red){Fieldwork フィールド調査、野外調査、現地調査};
・世界中の⼈々と交流しながら、地球上の様々な環境を調査す...
>''Reductionist 還元主義(Holistic の反対)''
Reductionist とは部分⼀つで全体が決まるという思想
定番の還元主義は「お⾦が全て」や「遺伝⼦で全てが決まる」
#endregion
***第三講目の内容 [#ka202dd6]
練習試験を行う。(成績評価には含まれない。)
#hr
#region(進化論と世界観)
''進化論と世界観''
進化論も一種の創世神話。しかし、科学的である。
>進化のある世界観
-ヒトは他の類⼈猿から分岐して進化してきた霊⻑類の⼀種
-⽂化と道具使⽤と社会的協⼒を⼤きく拡⼤させて、地球上のあ...
>進化のない世界観(中世ヨーロッパの場合)
中世ヨーロッパにとって「世の中の秩序」は固定されていた。
&color(Red){Scala naturae};(英語:Natural Scale)=&colo...
#br
中世ヨーロッの世界観:Ladder of Intellect(知性の階段)
+God「神」
+Angel「天使」
+Heaven「天国」
+Human「⼈間」
+Beast「獣」
+Plant「植物」
+Flame「炎」
+Stone「⽯」
-''進化のない世界観の特徴''
--⽣物種は固定されている。
---創世期に全ての種が創造される。
---それぞれ別々に創造される。
---種は変化しない。
---種は絶滅しない。
---新しい種はない。
--進化論のない世界観は⽇常の観察とはさほど⽭盾しない。
>進化論の前夜の時代
⽣物は変化するのではないかと薄々感じられていた。
・化⽯が発⾒される。(昔に⽣きていた⽣物が絶滅した痕跡、...
・家畜・作物の品種改良(⽣物は変化しうる。)
・地質学の発展により「地球は古い」と認識されるようになる...
・⾃然史の研究が進み、世界の⽣物多様性が認識されるように...
>進化論 &color(Red){Theory of Evolution};
⾃然淘汰説の提唱者
・Charles Darwin チャールズ・ダーウイン 1809‒1882
・Alfred Russel Wallace アルフレッド・ウオーレス 1823‒1913
#br
ダーウイン著:「種の起源」
>''進化のある世界観''
⽣物種は常に変化する。
・種(&color(Red){species};)は変化する。
・種分化(&color(Red){speciation};)によって新しい種が発...
・種は時に絶滅する(&color(Red){extinction};)。
・⽣命は地球上に⼀回だけ発⽣、現存する⽣命は全てその⼦孫
・全ての⽣命は系統的に繋がっている。
ただし、進化論は進化のみではない。
>進化論:⾃然淘汰説とは何か?
19世紀当時の哲学的問題:進化を認めたくても
-⽣物が変化する必然性が⾒えない。
-適応を説明できない。(適応は神様の知恵?)
>ダーウイン・ウオーレスの進化論は3つの要素の融合:①進化...
「⾃然淘汰 &color(Red){Natural Selection};による環境への...
⾃然淘汰説は徹底した結果主義:⽣物は⽣息地のその場その時...
>進化思想の寄り道:直線的進化
ゴールに向かって進む直線的進化 &color(Red){Linear evoluti...
19世紀半ばに流行った「単系社会進化論」(Unilinear Evolutio...
未開→野蛮→文明
魔術→宗教→科学
小集団→首長→国家
↓
部族→国家
↓
首長
↓
国家
#hr
--進化は「世の中の秩序」を反映する。
--進化は決まった段階を通過する。
--進化は決まった⽅向性やゴールがある(&color(Red){Teleolo...
--ゴールに向かって直線的に進む。
--「進歩」や「発展」や「向上」の思想と結びついていた。
--古い段階がまだそのまま世の中に残っている。
--進化の経緯をもって「世の中の秩序」を説明・正当化しよう...
>現代の進化思想:徹底した系統発⽣主義
現存種はみな同じ時間を進化しているので「より進化した種」...
全ての種は独⾃の新しい派⽣形質を獲得して進化してきた。
#br
-重要単語
系統 &color(Red){Lineage};
系統発⽣ &color(Red){Phylogenesis};
>現代の分類学:分岐学 &color(Red){Cladistics};
「枝わかれ」を客観的に⾒なす。「系統」を強調、「枝」に名...
分岐学的には恐竜はまだ生き残っている。(恐竜の子孫の鳥類が...
#br
-関連単語(覚えなくて良い)
Clado︓ギリシャ語の「枝」
Cladogram︓枝分かれ図
>''進化思想:⽤語の整理''
|表現|単語|和訳・解説|h
|今は使わない概念や表現|&color(Red){Teleology};|⽬的論、...
|~|Primitive‒Advanced|原始的、遅れている−進んでいる|
|~|Less evolved‒More evolved|進化していない−より進化した|
|~|Lower‒Higher|下等−⾼等|
|現在使う表現|&color(Red){Ancestral};‒&color(Red){Derived...
|~|Plesiomorphic‒Apomorphic|祖先形質−派⽣形質|
|要注意(特定の形質のことならば許される。)|Simple ‒ Comple...
|~|Teleonomy|⽣物個体はゴールを持ちうる(例えば繁殖成功)...
#endregion
***第四講目の内容 [#q36cf789]
#region(霊長類の進化)
''霊長類の進化''
比較(人と他の霊長類との比較)、フィールドワーク、全体像重...
>''⾃然⼈類学:⼈類進化論「ヒトとは何か?」''
ヒトは霊⻑類の「ヒト科」として認められている類⼈猿に分類...
ヒトはチンパンジーとの共通祖先から分岐して進化してきた類...
ヒトの系統を特徴づける初期の派⽣形質は⼆⾜歩⾏
その後、⽂化と道具使⽤と社会的協⼒を⼤きく拡⼤させて、地...
-霊⻑類の世界分布
主に熱帯⾬林に⽣息する哺乳動物
しかし熱帯⾬林に限らず、北は⽇本列島の積雪地帯、アフリカ...
|>|霊⻑類が進化したきっかけとなった⽣態|h
|~昔の仮説|霊⻑類は樹上で⽣活するように適応した哺乳動物と...
|~これに対する素朴な疑問|「ならばリスはなぜ霊⻑類ではない...
|~より厳密な仮説|樹上⽣活(&color(Red){arboreal};)、夜⾏...
>''霊⻑類の特徴:Primates''
|~祖先形質|⾃由に動かせる5本の指の残る⼿(哺乳類としては...
|~派⽣形質|拇指対抗性 &color(Red){Opposable thumb};&br;平...
|~その他、霊⻑類が派⽣させた形質|霊⻑類の⾊覚:1⾊型、2...
--Pri・mate
〘動〙(ヒトとサルを含む)霊⻑類の動物;〖〜s〗霊⻑⽬
語源:ラテン語 〜of the first rank 第⼀の〜 最⾼位の〜
>''⽣活史 &color(Red){Life History};:霊⻑類''
霊⻑類は同じ体サイズの哺乳類と⽐べて⽣活史がゆっくり
・成⻑速度が遅い
・寿命が⻑い。
・⼦供期、性成熟にたっするまでの期間が⻑い。
・成⻑してからの繁殖速度が遅い。
・妊娠期間が⻑い。
・1度の出産に1⼦
・⻑い期間をかけて育てる。
|>|>|>|>|霊⻑類 &color(Red){Primates};:主な系統|h
|目|亜目|下⽬|⼩⽬|上科|h
|霊⻑⽬|曲⿐亜⽬Strepsirrhini(原猿類 Prosimians)|キツネ...
|~|~|アイアイ下⽬(マダガスカル)|||
|~|~|ロリス下⽬(アジア・アフリカ)|||
|~|直⿐亜⽬Haplorhini|メガネザル下⽬|||
|~|~|真猿下⽬|広⿐⼩⽬Platyrrhini(中南⽶)||
|~|~|~|狭⿐⼩⽬Catarrhini(アジア・アフリカ)|オナガザル...
|~|~|~|~|ヒト上科(類⼈猿Ape)|
>''系統分類に使われる形質の例(本当はもっとたくさんある)''
+曲⿐類と直⿐類:嗅覚
|~曲⿐類(Strepsirrhini):&br; いわゆる原猿類(&color(Red)...
|~直⿐類(Haplorrhini):サルと類⼈猿|ヒトも含めて、哺乳動...
+広⿐類と狭⿐類:⻭並び
広⿐類は中南⽶のサル、狭⿐類はアジア・アフリカのサルと類...
||切⻭|⽝⻭|⼩⾅⻭|⼤⾅⻭|h
|~曲⿐類|2|1|3|3|
|~直⿐類|2|1|2|3|
⽤語:切⻭ &color(Red){Incisor};,⽝⻭ &color(Red){canine...
+真猿類と類⼈猿:移動⼿段
|~オナガザル上科:四⾜歩⾏|おもに枝の上または地上を歩く。...
|~ヒト上科(類⼈猿):腕渡り移動|&color(Red){Brachiation}...
>''霊⻑類の⾊覚''
霊⻑類の⾊覚は多様、1⾊型、2⾊型、3⾊型が混在する。
|~恒常的3⾊型|狭⿐⼩⽬|
|~多形⾊覚|広⿐⼩⽬の殆ど、キツネザルの⼀部|
|~2⾊型|メガネザル、キツネザルの⼀部|
|~1⾊型|ロリス、キツネザルの⼀部、ヨザル(夜⾏性?)|
L:long-wave
M:medium-wave
-注⽬点
--⽣態学的機能の仮説に注⽬
--2⾊型と3⾊型の利点・弱点
--ヒトは近縁種と⽐べて多様
-⽣態学的解釈
|~3⾊型|⾊が⾒えることは果実⾷・若葉⾊に有利(緑の背景か...
|~多形⾊覚|カモフラージュ、深さ、輪郭の検出に有利(昆⾍の...
広⿐⼩⽬の殆ど、キツネザルの⼀部は多形⾊覚
2⾊型と3⾊型が混在する広⿐⼩⽬:平衡選択?
恒常的3⾊型の狭⿐猿類の中でヒトだけが例外:男性の3〜8%...
|~昔の「進化的」分類|ヒトと⼤型類⼈猿は同列の「科」とされ...
|~現在の分岐学的(Cladistic)分類|枝分かれを反映する⼊れ...
|>|ヒトの系統分類:&color(Red){Taxonomy};|h
|~Order|Primates 霊⻑⽬|
|~Suborder|Haplorrhini 直⿐亜⽬|
|~Infraorder|Catarrhini 狭⿐⼩⽬|
|~Superfamily|Hominoidea ヒト上科|
|~Family|Hominidae ヒト科|
|~Subfamily|Homininae ヒト亜科|
|~Tribe|Hominini ヒト族|
|~Subtribe|Hominina ヒト亜族|
|~Genus|Homo ホモ属|
|~Species|sapiens ヒト種|
#endregion
***第五講目の内容 [#q67c1ab8]
#region(霊長類の社会)
''霊長類の社会''
ヒトも霊⻑類なので、「ヒトと霊⻑類の⽐較」という表現は厳...
英語では &color(Red){non-human primates}; や compare huma...
⽇本語では「⾮ヒト霊⻑類」や「他の霊⻑類」
>''なぜヒトと他の霊⻑類を⽐較するのか''
+⽣物としてのヒトを理解する:ヒトを相対化する。
--ヒトの特徴を解明して「ヒト」を定義するために他の霊⻑類...
+ヒト系統(Hominina 亜族)が進化した道筋の可能性を推測す...
--⾏動や社会は化⽯に保存されない。
--さまざまな環境に適応する霊⻑類の⽣態や社会を探求するこ...
--ヒトとチンパンジーとゴリラの共通祖先の⾏動・社会を推測...
|>|特に注⽬されていた霊⻑類|h
|~近縁種|チンパンジー、ボノボ、ゴリラ、オランウータン|
|~ヒトに似ていると思われた種|テナガザル(雄雌ペアで⽣活)|
|~乾燥地帯の草原(東アフリカのサバンナ)に適応している霊⻑...
|~研究者⾃⾝にとって⾝近な霊⻑類|⽇本⼈はニホンザル、中国...
> ''霊⻑類社会の研究''
Epistemology は Empirical observation が基本
・フィールド調査による野外観察
・⽐較⼼理学者による研究室での⾏動実験
>> Kappeler & van Schaik (2002)による社会システム論
+社会組織(&color(Red){social organization};):集団の⼤き...
+繁殖システム(&color(Red){mating system};)(配偶システ...
+社会構造:社会的インタラクションのパターン(&color(Red){s...
「社会交渉」、「社会的相互作⽤」とも。その結果として⽣じ...
>''研究者が具体的に何を⾒ているか''
+社会組織
集団の個体数を数える、集団の性年齢構成を記録する(雄雌・...
群れを追跡しながら遊動ルートを記録する(最近はGPSで記録)
|~データに基づく区分|単独(&color(Red){solitary};)|
|~|ペア(&color(Red){pair};)|
|~|単雄複雌群(&color(Red){one-male group};)|
|~|複雄複雌群(&color(Red){multi-male multi-female group}...
+繁殖システム:
雄と雌がどのような組み合わせで集団に所属して交尾するか記...
また、雄と雌がどのような組み合わせで交尾して⼦を残すかを...
+社会構造
個体識別(名前付け)した上で、誰と誰が何を⼀緒にしている...
集団内の社会関係を分析する(近接、グルーミング、攻撃、交...
--サルの⾏動観察:社会構造が⾒えてくる場⾯
⽑づくろい⾏動 グルーミング &color(Red){Grooming};
⼿で丁寧にシラミなどを取り除く:社会関係の重要な⽬安
>''集団の継承性の理論:⽣活史と社会関係を重視(伊⾕純⼀郎...
+集団を作らない種
単独⽣活:雄と雌双⽅が思春期に⺟親から離れ、集団を作らな...
[単独⽣活:オランウータン、ペア:テナガザル、ゴリラの単オ...
+世代毎に集団を再編成する種
|~ペア|世代毎に雄と雌が新たに親の近くに遊動域を作る(例外...
|~ゴリラの単雄複雌群|世代毎に雄と複数の雌が新たに集団を作...
+世代を超えて集団を継承する種
--⺟系集団 &color(Red){matrilineal};
雌は⽣まれた集団にとどまり、⺟⽅の⾎縁個体(⺟娘、姉妹、...
集団は⺟系で継承される(種によっては雌の順位は家系で決ま...
雄は⽣まれた群れを思春期に離れて他の群に加わる。
雄の頭数は種によって異なる(単雄複雌群、複雄複雌群)
・ニホンザル(Macaca fuscata)は複雄複雌群
・⼦殺しが観察されるハヌマンラングールは単雄複雌群
--⽗系集団 &color(Red){Patrilineal};
雄は⽣まれた集団にとどまり集団は雄に継承される。
雌は思春期に⽣まれた群れを離れて他の群に加わる。
ただし⽗⼦関係は不明なので厳密には patrilineal とはいえな...
・チンパンジー(Pan troglodytes)、ボノボ(Pan paniscus)
・クモザル(Spider monkey)
>''雄の⼦育て''
基本的に霊⻑類の雄の積極的な⼦育ては稀
#br
例外:マーモセット科 Callitrichidae
マーモセット、タマリン
南⽶に⽣息する⼩型の広⿐類
⻭で樹⽊を削って樹脂を⾷べる
雌⼀頭に雄が2頭の集団:多夫⼀妻の繁殖システム
雌は双⼦を産む。
乳幼児を雄が運搬(殆どの種では⺟親が⼦供を運ぶ)
>''⼈類進化論と霊⻑類学:狩猟仮説''
当初の⼈類進化シナリオ:&color(Red){Man the Hunter 仮説};
ヒト特有の形質はセットで進化したという仮説
これによりヒトの特異性(”Uniqueness of Man”)を説明しよう...
#br
ヒトは果樹がない草原で⽣きるために
狩猟をするようになり、⾁⾷となり、
狩猟の道具を⼿に持てるように⼆⾜歩⾏となり、
獲物を分配・交換するようになり
道具使⽤と狩猟とともに知性と社会性を発展させ、社会的協⼒...
>''他の霊⻑類種にはない、ヒト特有と考えられていた⾏動・活...
-狩猟をして⾁を⾷べ、⾷べ物を分配する。
-道具使⽤
-道具を使う知性(intelligence)
-⾷べ物の運搬
-直⽴⼆⾜歩⾏
-家族(family)・性的分(division of labor)
-ホームベース
-⽂化を持つ
-「意識」に基づいて⾏動する。
> ''霊⻑類学の功績:ヒト特有と思われていた⾏動を次々と他...
-道具使⽤ Tool use
-狩猟、⾁⾷、⾷物交換 &color(Red){Hunting and food sharin...
-⾃⼰認識 &color(Red){Self recognition};(鏡テスト)
-チンパンジーの⽂化:⾏動の地域差
>> チンパンジーの狩猟
・狩猟の対象種:アカコロブス、⼩型のレイヨウやイノシシの...
・狩猟の⽅法は主につかみ取り
・アカコロブスの場合は集団で追跡、結果的に包囲網ができ、...
・⾁の分配は保持者との社会関係によって分配される(中の良...
・⾁分配は基本的に消極的、もらうためのベッギング⾏動、「...
・それでも⾮常に価値は⾼い、「⾒返り」を期待する戦術的な...
>''共通祖先 &color(Red){Last Common Ancestor (LCA)};''
ヒトと他の類⼈猿の最後の共通祖先は推測可能か?:研究とと...
かつては「段階的進化」思想の名残で、ヒト祖先の⾏動・社会...
現在は系統発⽣理論が徹底しているので、共通祖先の⾏動・社...
実際にチンパンジー(2種)、ゴリラ、ヒトの⽣態・社会・⾏...
霊⻑類学は安易な「狩猟仮説 Man the Hunter Hypothesis」を...
>''共通祖先共通祖先 Last Common Ancestor (LCA)の推測''
・多様な⾷物品⽬
・道具使⽤
・ある程度の⾁⾷と狩猟
・ある程度の⾷物分配
・社会的学習能⼒
・⾼度な社会性(しかし社会構造は不明)
>''ヒトに特有と今でも考えられているもの''
・⼆⾜歩⾏で歩く。
・道具を使う狩猟
・脳が⼤きい。
・⾔語を持つ。
#endregion
***第六講目の内容 [#zc598e34]
''&color(Red){試験(端末を用意)};''
//科学的な仮説の条件を示す英語の用語は
//「パーティー」や「サブグループ」に集まったり離れたりを...
//人類起源
//雄による積極的な子育てが観察される霊長類の種類は
//人 上科
//人間の5感を使う観察と経験によって得られる知識を優先する...
//自然人類学の2大トピックは:
//親指を掌の前まで回す霊長類の能力は:
//ヒトの種名の正しい表記は
//「狩猟仮説」によるヒト系統の進化の説明が現在では否定さ...
//下の霊長類種のうち、父系の集団を作る種は:
//チンパンジーはよく道具を使うことが観察されているが、木...
//生物の種が絶滅するという意味の生物学的な用語は:
//広鼻類と狭鼻類の⻭並びのなかで異なる歯は:
//生物の種について進化のある世界観の時代には認められない...
//自然淘汰による進化の仮説の提唱者は:
//地上に生活するという意味で使われる英単語は:
//真猿下目が所属する上位分類群は:
//昔の「進化的」系統分類によると「ヒト科」は:
//哲学用語のEpistemologyは日本語では:
#hr
#region(霊長類の生活史)
''霊長類の生活史''
>''⽣活史の視点''
⽣物個体の全⽣涯をまとめで把握する視点
⾃然淘汰の選択単位は個体の⽣涯
社会科学ではライフ・コース(Life course(、ライフ・サイクル...
|>|CENTER:⽣活史を描く⽅法|h
|~形態的,⽣理的な測定値(&color(Red){anatomy};,&color(R...
|~⼈⼝学的変数(&color(Red){demography};)|出⽣,死亡など...
|~ライフステージ(&color(Red){life history stage};)|動物...
|~ライフイベント(&color(Red){life history event};)|発達...
>''種間⽐較の注意点''
霊⻑類の⽣活史は体重・体サイズの哺乳動物に⽐べて「ゆっく...
-成⻑速度が遅い
-⼦供期(juvenile)があり、性成熟(sexual maturity, puber...
-繁殖速度が遅い(出産間隔が⻑い)
-⼀度の出産に1⼦がほとんど、⼦育て期間が⻑い
-出⽣直後からある程度の運動能⼒があり、⾃らの⼒(握⼒)で...
(ヒトに⽐べて早成性、哺乳類の中にはより早成な種も多い)
|>|⾃然状態における雌のニホンザルの⽣活史|h
|体重|8~15kg|
|離乳|約1歳|
|初産年齢|4〜5歳|
|出産間隔|2年以上|
|寿命|最⼤約⼆⼗数歳まで⽣存|
>''⼦育て''
直接的な世話を担うのは⺟親
・雌による育児放棄は殆どない(飼育下では育児放棄が多いの...
・⽗性は不確実性が⾼いため、⽗親による⼦育ては進化しにく...
例外:マーモセット・タマリン、雌は双⼦を産み、雄が⼦供を...
例外:⺟親以外の雌による⼦守(おばさん⾏動 Aunting behavi...
-チャイルド仮説 &color(Red){Child Hypothesis};
幼児(child)は⾃分で歩く・⾷べることができない。
ヒトに特有の成⻑段階として提案されている。
⼦育て世代を⽀援する親世代:おばあちゃん仮説 Grandmother ...
ヒトは共同繁殖である。(今でも人特有と考えられている。)
ヒトは霊⻑類として対サイズが⼤きい⽅でありながら、出産間...
未熟で労⼒的・時間的に⾮常に⼿のかかる⼦供を、同時に複数...
理由:脳が⼤型化し、⾻盤が変形(⽣理的早産、⼆次的就巣性)
#endregion
***第七講目の内容 [#m3990d3e]
#region(人類起源論と化石発掘調査)
''人類起源論と化石発掘調査''
>''当初の⼈類進化シナリオ''
&color(Red){サバンナ仮説}; または &color(Red){Man the Hun...
アフリカの環境が乾燥化し、森林が縮⼩し、草原が広がり、
LCA(&color(Red){Last Common Ancestor}; 最終共通祖先)の...
⼈類に特徴的な形質はセットで進化したと考えられていた。
-狩猟に頼るようになり、⾁⾷となる。
-狩猟の道具を⼿に持てるように⼆⾜歩⾏となる。
-道具(武器)を持つことにより⽝⻭が縮⼩する。
-道具使⽤と狩猟とともに知性と社会性を発展させ脳が⼤きくな...
-獲物を分配・交換するようになり分配・交換のために男⼥ペア...
#br
化⽯が次々と発⾒されて、当初の⼈類進化シナリオは否定され...
-&color(Red){Hominin 系統};のサバンナへの進出は実際にあっ...
-⼈類の形質はセットではなく、それぞれの形質が数百万年にわ...
-最も早く出現した形質は⼆⾜歩⾏
ただし、樹上移動の形質を残しながら⼆⾜歩⾏を始めていたら...
>''⼈類進化研究の最も基礎的なデータ:化⽯ &color(Red){Fos...
⾃然⼈類学における古⼈類の研究は empirical なデータに基づ...
化⽯(主に⽯化した⽣物の⾻格と⻭)は遠い過去に遡る⽣物の...
研究の主役は解剖学のなかの⾻学
⾻や⻭の特徴を現⽣の霊⻑類や他の化⽯と⽐較して、化⽯標本...
>''化⽯情報''
種名:実は種名は最終的な判断、データではない。
化⽯の分析の結論として新しい種名を与えるか、あるいは既存...
|>|データとしての化⽯|h
|標本番号|これが⽣データの印、プロは標本番号で議論する。|
|発⾒場所|国、地域、発掘場所、地層|
|部位|⾝体の部位など|
|年代|地層や放射性物質(⽕⼭灰層に含まれる)から推定|
>放射性物質の放射壊変を使って年代推定
|⼈類進化の年代測定によく使われる放射性物質|半減期|h
|アルゴン-アルゴン法(&color(Red){Argon‒argon dating};) 40...
|カリウム-アルゴン法(&color(Red){Potassium-argon dating};...
|ウラン・鉛法|約45億年(地球の年齢)|
|炭素14法(考古学の手法)|約5730年|
|有名な標本番号|場所|h
|&color(Red){KNM-ER};|Kenya National Museum ‒ East Rudolf...
|KNM-WT|Kenya National Museum ‒ West Turkana|
|&color(Red){OH};|Olduvai Hominid タンザニアのオルドバイ...
|&color(Red){AL};|Afar Locality エチオピアのアファール地⽅|
化⽯調査はチーム調査
⾻格と⻭の分析だけではデータは⽚⼿落ち、化⽯研究は学際的...
|>|参加する学問|h
|解剖学||
|地質学|化⽯が発⾒された地層の分析|
|物理学|放射性物質による年代測定|
|⽣態学|古環境の復元と現在の環境との⽐較|
|考古学|⽯器をはじめ、⽣活の痕跡の分析|
|化⽯⽣成論|Taphonomy|
|博物館学|標本のカタログと保管|
|地理学|どこで発⾒されているのか|
|社会学|調査隊はどの国の誰なのか|
|歴史|発⾒と発表のドラマ、学会や思想の歴史|
-地質学者は⽕⼭灰層 Tuff の確定をする。
有名な⽕⼭灰層 Tuff:KBS Tuff
地質学の⼤スター:Kay Behrensmeyer
ケニア北部、トルカナ湖畔、Koobi Fora(年代:1.87×100万)
|>|有名な調査地域|特徴|h
|東アフリカ|&color(Red){⼤地溝帯 Great African Rift Valle...
|>|南アフリカ|⽯灰岩(Limestone)の採掘場などから出⼟&br;...
|>|有名調査地|特徴|h
|東アフリカ|タンザニア北部、オルドバイ渓⾕ Olduvai Gorge|...
|南アフリカ|>|南アフリカの調査地は主に⽯灰岩の洞窟|
|調査地名|標本記号|h
|Makapansgat|MLD|
|Kromdraai|KB, TM, KW|
|Sterkfontein|STS|
|Drimolen|DNH, DMQ|
|Swartkrans|SK, SM|
|Taung|Taung|
>''化⽯に与えられる種名''
「猿⼈、原⼈、旧⼈」は⽇本語
1990年ごろまではシンプルでLumperがsplittersに優勢な時代
-化⽯標本の殆どは⼆つの属に集約:
|~Australopithecus属|頑丈型(&color(Red){robust};)と華奢...
|~Homo属|1990年代からAustralopithecusより古い化⽯続々と発...
>''アウストラロピテクス属 Australopithecus''
元祖アフリカ化⽯標本 Taung 1
南アフリカの &color(Red){Taung};にある⽯灰岩(Limestone)...
1924年に化⽯が Witwatersand ⼤学の R. Dart 教授に届けられ...
箱⼀杯の多種雑多な化⽯の中から霊⻑類の頭⾻発⾒
Dart 教授は古⼈類の化⽯と直感
&color(Red){Australopithecus africanus};(アフリカの南の...
雑誌 Nature に 1925年論⽂発表
⼦供のチンパンジーに似ているため、当時、殆ど受け⼊れられ...
#br
特徴:⼤後頭孔(ラテン語:&color(Red){Foramen magnum};)が...
その後、多数の化⽯が発⾒され、古⼈類として学会に認められ...
>''化⽯のスーパースター:&color(Red){Lucy};''
|~標本番号|&color(Red){AL288-1};|
|~発⾒場所|エチオピア、アファール地⽅、アワッシュ川盆地&b...
|~発掘場所(地層)|ハダール Hadar Formation|
|~部位|全⾝⾻格、約40%|
|~年代|約320万年前|
|~地質時代|鮮新世 Pliocene|
|~発⾒年|1974|
|~渾名|&color(Red){ルーシー Lucy};|
|~種名|&color(Red){Australopithecus afarensis};|
|~調査隊|Donald Johansen(アメリカ)&br;Maurice Taieb(フ...
#br
|~⾝⻑|1.1 m|
|~体重|29 kg|
|~⼆⾜歩⾏を⽰す⾻格|⾻盤(Pelvis)&br;⼤腿⾻(Femur)&br...
発⾒当時は最古の⼆⾜歩⾏標本で最古のAustralopithecus
>> ''Lucy の仲間たちが残した⾜跡''
|~調査地|タンザニア、ライトリ Laetoli|
|~年代|3.7 ×100万|
⽕⼭灰に残された⾜跡にヒトの⾜跡が含まれていた。
A. afarensis の⾜跡ではないか、と推測されている。
#endregion
***第八講目の内容 [#c9ba06fa]
Lucyとチンパンジーと現代人の比較
#youtube(https://www.youtube.com/watch?v=xT8Np0gI1dI)
#hr
#region(人類の系統発生)
''人類の系統発生''
「猿⼈」「原⼈」「旧⼈」「新⼈」は⽇本語。⼀般的な表現と...
|>|学術⽤語として対応する英語表現|h
|~猿⼈|初期⼈類としてのAustralopithecus 属,Ardipithecus ...
|~原⼈|主にHomo erectus、北京原⼈は Peking Man、教科書で...
|~旧⼈|Archaic Homo sapiens|
|~新⼈|Anatomically modern Homo sapiens|
「Archaic Homo sapiens」と「Anatomically modern Homo sapi...
>''ヒト系統の進化:思想史''
初期の⼈類進化論は⼀直線の「進歩的」な進化を想定
|~現在の理解|ヒト系統も複雑な枝分かれを繰り返してきた。|
|~|複雑な分布拡⼤(アフリカ内・脱アフリカ)を繰り返していた...
|~|複数種が共存していた時期が⻑かった。|
-教科書によるヒト系統の派⽣形質
--直⽴⼆⾜歩⾏(脳の肥大化より先)
--縮⼩した⽝⻭
--拡⼤した脳
> ''1990年の考え''
属名はAustralopithecus とHomoのみ
化⽯標本がまだ少なかったし、Lumpers派分類学者の全盛期だっ...
⼈類進化論の本流は⼆段階の進化を提唱
LCA➔Australopithecus(華奢型 &color(Red){gracile};)➔Homo
頑丈型(&color(Red){robust};)Australopithecus は亜流
>> ''頑丈型Australopithecus (Paranthropus):A. robustus, ...
-⻭や顎が⼤きく発達
植物の根や地下茎を⾷べるように進化した?
--⾅⻭が巨⼤化
--⻭のエナメル質が厚い
--咀嚼筋が⼤きく発達
--&color(Red){Sagittal crest}; ⽮状隆起
#br
⼆つの画期的な転換期を想定
>''転換期 1:LCA➔Australopithecus''
直⽴⼆⾜歩⾏の進化(⽝⻭の縮⼩と&color(Red){knuckle-walki...
#br
頭⾻、⾻盤、膝関節、⾜の形体から分かる。
以下の特徴は AL-288-1標本(Lucy)にも⾒られる。
・⻑時間の直⽴姿勢
・⽚⾜⽴の時間が⻑く、全体重を⽚⾜で⽀える。
・前進する推進⼒
・着地のショックを吸収する⾜
|~頭⾻ &color(Red){Cranium};|⼤後頭孔の位置:前に位置、頭...
|~|頭が脊椎の上にバランスする。|
|~|顔は前を向く。|
|~⾻盤 &color(Red){Pelvis};|⾻盤の構成要素:腸⾻・仙⾻・...
|~|ヒトの⾻盤:腸⾻翼が横と前に広がった椀型⇨臓器を⽀える。|
|~|中殿筋(⾻盤側⾯の筋⾁で姿勢を⽀える。)|
|~膝関節 &color(Red){Knee joint};|左右のバランスを取りや...
|~|⼤腿⾻が内側に傾いている。|
|~|膝関節が⽔平に対し⼤腿⾻本体は傾いている。|
|~⾜ &color(Red){Foot};|⾜は硬いプラットフォーム:体重と...
|~|かかと着地→親指で蹴り出す。|
|~|親指対抗性(把握機能)を失う。|
|~|アーチ:ショック吸収、推進⼒のバネ|
-歩⾏周期
|>|歩⾏周期の構造|h
|遊脚期(swing phase)|歩いている時に足が地面から離れてい...
|⽴脚期(stand phase)|歩いている時に足が地面に付いている...
--⾻盤の3次元回転
--Foot内の体重移動
heel strikeから ball経由で toe offまで
足跡化石「Laetii」⋯3匹?の二足歩行生物
>''転換期 2:Australopithecus➔Homo''
⽯器使⽤と脳の拡⼤
何故、分かるのか。
-脳
オルドバイ渓⾕で⽯器発掘:オルドワン(&color(Red){Oldowan...
当初、頑丈型Australopithecusと出⼟し、Leakey夫妻困惑
(頑丈型Australopithecusは頭が小さい。)
後に脳が⼤きい標本(OH7)を発⾒
Homo habilis「器⽤なヒト」と命名
脳の容量:500ml以上
-石器
⽯器は意図的に製造される。(不自然な壊れ方をしている。)
⽯(&color(Red){core};)をもう⼀つの⽯(&color(Red){hammer};...
衝撃痕が特徴的、刃(&color(Red){cutting edge};)を作る。
遺跡に残る。また、⽯材が周囲の地層にない。
#br
1990年以降、Ardipithecus ramidusとH. habilisより古い⽯器...
> ''Ardipithecus ramidusの発⾒''
Australopithecusより古い。
#br
樹上⽣活の形質を残す(⾜の親指対抗性)。
環境は樹林→本格的な草原進出の前から⼆⾜歩⾏あり(⾻盤の形...
>> ''それまでの⼈類進化パラダイムの再評価''
⼆⾜歩⾏の起源がより古いのは歓迎
しかしサバンナ進出をヒト系統進化のきっかと考える⽴場は困惑
⼆⾜歩⾏のきっかけは不明?
>''Ardipithecusよりさらに古い化⽯''
||Sahelanthropus tchadensis|Orrorin tugenensis|h
|~年代|7〜8百万年前|6.1または5.8百万年前|
|~⼆⾜歩⾏|頭蓋⾻の⼤後頭孔が下⽅にある。|⼤腿⾻頸部の内...
>''H. habilisより古い⽯器の発⾒''
Homo 属の定義が曖昧になるかもしれない。
Australopithecus が⽯器を作っていた?未知のHomo 系統種?
>''⼆⾜歩⾏の説明理論''
従来はサバンナ進出が決定的に⼆⾜歩⾏を促したと考えられて...
Ardipithecusなどの発⾒により、樹林地において⼆⾜歩⾏が進...
#br
◆考えられる要因
・⽊の⾼い所の果実を⾷べる。
・威嚇(捕⾷者に対抗)
・物を運搬(道具?⾷べ物?幼児?)
・遠くを⾒る、草原で⾒晴らしがよい。
・⽇射への暴露⾯を⼩さくする。
・移動コストが低い。(長い距離を歩ける。)
・樹上⼆⾜歩⾏:前適⽤(&color(Red){preadapation};)(オラ...
>''⼈類進化シナリオの⽐較''
多くの形質は異なる時期に現れるので、セットとして進化した...
|~&color(Red){サバンナ仮説またはMan the Hunter仮説};&br;...
|~|狩猟の道具を⼿に持てるように⼆⾜歩⾏となる。|
|~|道具(武器)を持つことにより⽝⻭が縮⼩する。|
|~Lovejoyの⾷料運搬仮説|分配・交換のために男⼥ペア(⼀夫...
|~|⾷料運搬のために⼆⾜歩⾏となる。|
|~|雄間競争が緩和され、性差および⽝⻭が縮⼩(ペア型社会の...
>''化⽯種の定義は難しい''
1990年以降、化⽯がさらに多く発⾒され、標本数の増加ととも...
標本の違いには様々な変異軸があり得る。
|~個体差|化⽯標本は少数の個体のみ、個性丸出し|
|~成⻑段階|⼦供から⽼齢まで|
|~性差|雄雌の⼤きさが異なる。|
|~地域差|アフリカは広い。|
|~時間差(すなわち進化)|系統上の進化は連続的|
#endregion
***第九講目の内容 [#h6037095]
#region(ホモ・ハビリス以降)
''ホモ・ハビリス以降''
チンパンジーと分かれた後の話
>''Genus Homo ヒト属の進化''
多様なヒト系統が進化
出アフリカを果たして多様化しつつも、後続の出アフリカ個体...
種分化の途中で交代と吸収を繰り返す。
⼈類進化の時期は気候が⼤きく変動した。
|~鮮新世|寒冷化|
|~更新世(洪積世)|氷河時代入りを繰り返す。|
|~完新世|最終氷期後に気候がある程度温暖化・安定化⇨農耕|
>''ヒト属における進化の傾向''
-より華奢で平たい顔⾯、下顎と⻭の縮⼩
-体格が⼤きめ、脚が腕より⻑い。
-性差(男⼥差、性的⼆形、&color(Red){sexual dimorphism};...
-脳が⽐較的に⼤きくなり、知能が発達
-⽂化への依存が拡⼤、特に⽯器の使⽤などによって多様な環境...
|原人|年代|特徴|h
|Homo habilis|約231万年前 〜 165万年前まで|脳が拡⼤(約63...
|Homo erectus&br;アフリカの標本はH. ergasterともいう。|約...
|>|⽕の使⽤|h
|最古の痕跡(⾼熱による⼟・⽯の変化)|約150~170万年前|
|最古の炉|約70万年前|
>''⽣活史(Life history)年齢と成⻑速度の推定''
原⼈のスーパースター「KNM-WT 15000 “Nariokotome Boy”」
かなり骨が残っている化石→⽣活史が推定可能
|~⾻格|⾻端板(⾻の成⻑域)から思春期初期ながら⼤柄|
|~⻭冠の perikymata(成⻑線)|8~9歳|
|~成⻑速度|チンパンジーより遅く、現代⼈より早い、 独⾃の...
Australopithecus はチンパンジーに似た成⻑速度
|>|Homo erectus の⽯器分類|h
|~時期|前期旧⽯器時代(Lower Paleolithic)|
|~スタイル名|&color(Red){Acheulean};(フランスの地名に由...
|~⽯器種類|握斧(⼿斧、&color(Red){Hand axe};)|
Homo erectusはアジア発⾒の古⼈類
オランダ⼈医師 Eugene Dubois によって 1890 年代にインドネ...
⼈類はアジアで進化したという説を⽀持(当時の定説)
-特徴
--前後に⻑く低い脳頭蓋
--後頭髷 (Occipital bun)
--眼窩上隆起(&color(Red){Brow ridge};)
#br
>''ヒト属の系統発⽣:旧⼈''
1990年定説では、脳の容量が新⼈並みの旧⼈標本はHomo sapien...
最近は独⾃の種へ復帰:
H. heidelbergensis およびH. neanderthalensis
|旧人|特徴|h
|Homo heidelbergensis|H. neanderthalensis とH. sapiens の...
|Homo neanderthalensis|ドイツ・デュッセルドルフ近くのネア...
||Homo heidelbergensis|Homo neanderthalensis|h
|脳容量|1100‒1400 cc|1200‒1750 cc(H. sapiens 以上)|
|⽯器スタイル|Acheulean|Mousterian(テクニック:Levallois...
Homo neanderthalensisは⽯器時代(中期旧⽯器時代(Middle Pa...
気候が⼤きく変動する氷河期と重なる時期、寒冷地に適応する...
服装,死者の埋葬,構築物,装飾品の⽂化を持つ。
少⼈数で獣を追い込み、接近して槍で突くか槍を投げる狩猟⽅...
>''Homo sapiens(新⼈)''
解剖学的現代⼈:Anatomically modern
#br
H. sapiens 30万〜15万年前にアフリカで派⽣
10万年前以降に出アフリカ、5万年前以降にユーラシア全⼟・ア...
道中でH. neanderthalensis などの旧⼈と交雑したり交替した...
#br
⽯器時代:後期旧⽯器時代(Upper Paleolithic)、中期⽯器時...
狩猟⽅法:⼩型の尖頭器、⽯刃(&color(Red){blade};)、⽮尻...
>''否定されてきた理論''
-サバンナ仮説やハンター仮説のような総合セット理論
-種と形質を⼀致させる、段階進化思想の名残
-過去の⼈類は現代⼈になるために進化していたのではない(Wh...
|新しい発⾒によって否定された説|前提|論拠|h
|サバンナ進出によって&br;ヒト系統はチンパンジー系統から分...
|⽯器は⼀定の脳の⼤きさを有するHomo habilis に発明された...
|ヒト系統初めての出アフリカはH. erectus|出アフリカとH. er...
|道具技術、抽象的思考能⼒など、新⼈はより優秀|新⼈は旧⼈...
>''定説の再利⽤:サバンナ仮説の復活''
Australopithecus 属とHomo 属の分岐の説明として適⽤
乾燥化と本格的草原進出への適応の違いを指摘
Australopithecus 属(特に頑丈型)とHomo 属で異なる進化の...
|~Australopithecus 属|咀嚼機能の強化|
|~Homo 属|道具使⽤の強化|
>''⼈類進化思想の再整理''
◆従来の進化思想の盲点
共通祖先の化⽯を発⾒できる確率は低い。
どちらでもない存在である共通祖先を認識できるか?
形質の派⽣と種分化(&color(Red){speciation};)が⼀致する...
#br
-より明確に適⽤されつつある進化パラダイム
--分岐主義分類は枝を命名する。分かれ⽬は無名
--ヒト系統特有の形質は6〜7百万年前から徐々に派⽣
--種分化の主な原因は地理的隔離
--形質と種分化は同時並⾏して発⽣する別の流れ
--形質はそれぞれの時期における環境変化への適応
#endregion
***第十講目の内容 [#ycab5f36]
&color(Red){''試験(端末を用意)''};
#hr
#region(生態と生業)
''生態と生業''
紀元前2000年ごろ、地球上の約半分地域における⼈々の⽣業は...
>''⽣業システム(&color(Red){Subsistence system};)''
フィールド調査による観察:⼈類の⽣業活動は多様・多⾯的で...
#br
◆教科書的な分類
-狩猟採集⺠ &color(Red){Hunter- Gatherer};
-遊牧⺠ &color(Red){Pastoralism};
-農耕⺠ &color(Red){Agriculture};
>''狩猟採集⺠(Hunter- Gatherer)''
・ヒトは数百万年間、狩猟採集⽣活を営んできた。⇨ホーム・ベ...
・様々な動植物を認知し、名前をつけ、狩猟または採集する種...
・猟師 (多くの場合は男性)は狩猟具を製造して、獲物の動物を...
・採集活動(多くの場合は⼥性)は⾷⽤になる植物の種類と分...
#br
カラハリ・サン Kalahari San Peoples(!Kung San)は南部ア...
※!はクリックサウンド(吸着音)の発⾳記号
・毒⽮と罠で狩猟
・近現代では猟⽝や⾺も活⽤
・Mongongo nutsやKalahari melon(スイカ)Citrullus lanatu...
近年まで動物の狩猟と植物の採集のみで⽣活していた⼈々
#br
狩猟採集から得られた⾷べ物の栄養学的研究
⇨⾁より植物性の⾷べ物がより多くのカロリーを提供(すなわち...
#br
-世界の狩猟採集⺠
--Inuit のアザラシ猟
--Andaman 諸島の狩猟
--アフリカコンゴ盆地のピグミー
>''遊牧⺠・牧畜⺠(Pastoralists)''
⽣業を⽀えるために動物の遊動や⽣活史(繁殖など)を操作し...
様々な種類の動物が家畜化する。(⽜、やぎ、⽺、⾺、ラクダ...
⽣態学的効果:⼈間に⾷べられない植⽣(乾燥地の草原など)...
>農耕⺠(Farming)
⽣業を⽀えるために植物の⽣活史(繁殖など)を操作して栽培...
|~農耕の主な種類|焼畑農耕(Swidden-farming)|
|~|園耕(Horticulture)|
|~|農耕(Agriculture)|
農耕⺠は植物の⽣態、品種、⼟壌の性質を熟知し、作物の作付...
-代表的な栽培植物
--⻨・Wheat(Triticum spp.)
--モロコシ Sorghum(Sorghum bicolor)
--稗 Millet(Eleusinecoracana)
--トウモロコシ・Maize(Zea mays)
--⽶・Rice(Oryza spp.)
--⼤⾖・Soy bean (Glycinemax)
--カッサバ (manioc) (Manihot esculenta)
#endregion
#region(旧⼈の多様性)
''旧⼈の多様性''
>''ArchaicHomo sapiens の多様性''
旧⼈(&color(Red){archaic H. sapiens};)は多様であり、こ...
Homo 属系統に特徴的な形質は:
・⼀つの種に揃って出現していない。
・直線的に蓄積されたものでもない。
・様々な種(&color(Red){個体群 populations};)の間でモザ...
しかし、解剖学的現代⼈(&color(Red){anatomically modern ...
現代⼈がアフリカのどこが発祥の地なのか今こそ研究のフォー...
>''Homo ヒト属における進化の傾向''
-より華奢で平たい顔⾯
-下顎と⻭の縮⼩
-体格が⼤きめ、脚が腕より⻑い
-性差(&color(Red){男⼥差、性的⼆形、sexual dimorphism};...
-脳が⽐較的に⼤きくなり、知能が発達
-⽂化への依存が拡⼤、特に⽯器の使⽤などによって多様な環境...
約60万年以降の旧⼈・新⼈の系統発⽣は複雑
|~共存していた個体群|Homo sapiens|
|~|Homo heidelbergensis|
|~|Homo neanderthalensis|
|~|Homo naledi|
|~|Denisova ⼈|
|~|Homo erectus|
>''地球環境の気温変化 [Explorations Fig. 11.2]''
気候が⼤きく変動した時期に⼈類は進化した。
・寒冷化の後、氷河時代
・最終氷期後に気候がある程度温暖化・安定化
アフリカにおける⽣息可能地域の拡⼤:出アフリカ前の年代別
H. sapiens ⽣息可能地域をハビタット解析で推定→⽣息地が拡⼤
-ハビタット解析
生物(動物や植物など)が生活し利用する生息環境(ハビタッ...
環境要因と生物の分布データを組み合わせ、特定の環境がどれ...
> ''謎の旧⼈:Homo naledi''
南アフリカにて、洞窟探検家によって2013年に洞窟の奥深くに...
最寄りの⼊⼝から80メートル、複雑で狭い通路(最狭 25cm)を...
#br
⼩柄な⼥性研究者が奥まで⼊って調査
⾻⽚1550、18個体が発見。埋葬地?迷い込み?
なぜこれほどまで奥に⾏けたのかは謎、⽕を使ったか?
>> ''Homo naledi の形質''
古いH. erectus の形質と新しいH. sapiens に似た形質を合わ...
肩や指は樹上⽣活を⽰唆(Homo 属では特異)
|~脳の容量|500 cc(H. erectus よりも⼩さい)|
|~年代|33万5千000〜23万5千年前(H. sapiens と重なる。)|
>''K.Homo floresiensis:フローレス原⼈?''
2003年にインドネシアのフローレス島で発掘(Flores, バリ島...
激論の末、⼩型の⼈類化⽯と認められる。
|~⾝⻑|105cm、脳サイズはチンパンジーなみ、島嶼効果?|
|~年代|10万〜5万年前|
ジャワ原⼈(即ちHomo erectus)起源?
>''L.Homo luzonensis:ルゾン原⼈?''
2019年にフィリピンのルゾン島(Luzon)北部で発掘(⼿⾻、⻭...
Australopithecus と似ている部分あり?
年代は6万年前ごろ
>''中国東⽅部ハルビンに謎の旧⼈頭⾻発⾒''
1933年に満州の⼯事現場から発⾒されるが、発⾒者は隠してし...
その場所で再発⾒され、ハルビン地理科学博物館に届けられる...
形態学的分析から旧⼈の新種としてHomo longi “Dragon Man”と...
>''M.Denisovans: デニソワ⼈''
当初、遺伝⼦情報のみで同定された奇異な個体群
南シベリア・アルタイ⼭脈の洞窟から発掘された数本の⼿⾻と...
抽出されたDNAの分析より「ネアンデルタール⼈ではない!」と...
年代は数⼗万年前、ネアンデルタール⼈との分岐は約80万年...
その後、断⽚的な標本から中央アジアから東アジアに広く拡散...
ただし、まとまった標本がなく、未知の⼈類であったが、
近年、⻭垢から抽出したミトコンドリアのDNAからハルビン頭⾻...
#br
N. 環境変動と旧⼈・新⼈の拡散モデル:⻄はネアンデルタール...
#br
既知の旧⼈より古い super archaic ”ghost” hominins との交...
⇨“Ghost” Populations「幽霊個体群」
#endregion
***第十一講目の内容 [#t8d887d2]
#region(数値データ)
''数値データ''
ヒトの進化と現代のヒトの⽣物学的な多様性(Human evolution...
が⼈類⽣物学的な主要な研究トピックである。
#br
大航海時代(特にコロンブスの北米到達)によって世界中の人類...
陸路でアジアに行くことで、人がゆっくり変わっていくのを確...
船で途中の人々を見ることなく、いきなり異民族を見てしまっ...
現在はマルコポーロ的多様性観が主流
#br
-哺乳動物(&color(Red){Mammal};)
基礎的な⽣理:空気呼吸、あくびをする、⽔を飲む、⾷べ物を...
有性繁殖、妊娠、授乳
-霊⻑類(&color(Red){Primates};):
向かい合わせに親指を使える⼿、平たい⽖、前向きの⽬(両眼...
-ヒト(&color(Red){Human};):
・⼆⾜歩⾏
・⾔語と複雑な⽂化
・⾮常に⻑い成⻑期間
>''Nature-Culture Dichotomy:「⾃然」と「⽂化」の⼆分''
⼈類学の基礎的・哲学的課題「法、ヒトは⼈と違うのか?」
⼀⼈々々の⼈間は⽣物と⽂化の融合体
&color(Red){Biocultural Evolution};:ヒトは⽣物学的個体発...
>''⾃然⼈類学''
⾃然⼈類学はヒトの⽣物性と社会性を同時に対象とする学祭的...
研究の成果はヒトの形態的・⽣理的な形質に対する社会と⽣活...
|~私たちの⽣活の⽣物学的基礎|⽣物性 → 社会性(⾝体・⽣理...
|~⾝体・進化に対する社会的影響|⽣物性 ← 社会性(社会・⽂...
>''ヒトの⽣物学的変異の研究(⾃然⼈類学)''
-⾝体測定:Anthropometry
世界中の⼈々の形態・形質を調べる。
成⻑と健康の⽬安として研究であり、⼈類の多様性を測る⽅法...
こうした研究は家具作りや衣服作りに活かされている。
-統計的分類:遺伝情報などに基づいた統計解析によるサンプル...
|>|⽤語の整理|h
|>|変異(&color(Red){variation};)|
|>|変数(&color(Red){variable};)|
|>|多様性(&color(Red){diversity};)|
|>|集団(group, 個体群 &color(Red){population};)|
|>|形質(&color(Red){trait};)|
|>|測定直(&color(Red){measurement value};)|
|>|多形(&color(Red){polymorphism};)|
|>|遺伝⼦型(&color(Red){genotype};)|
|>|表現型(&color(Red){phenotype};)|
|分布(&color(Red){distribution};)|度数分布(&color(Red){...
|~|地理的分布(&color(Red){geographic distribution};)|
|>|数値データの種類|h
|~名義データ(nominal data)の数・割合|名前が付くもの(分...
|~順序尺度(ordinal scale)|順番、相対的な位置が確定して...
|~連続数値尺度(continuous quantitative scale)|連続する...
>''個体・個⼈ (Individual)''
⽣物学的多様性の基本単位は個体・個⼈の変異(&color(Red){I...
⇨データ収集は個体・個⼈のデータ
個体変異はその他の変異(集団間変異など)のもとになる、個...
⼈類学で数えたり測定するのは⼀⼈⼀⼈の⼈間
>> ''サンプル収集''
-サンプルは集団・個体群を代表する⼀部、全集団(全個体)の...
-サンプルする⽅法は⾮常に重要、調査が「科学的」かどうかは...
インターネットでサンプルを集めるのは避けた方が良い。
従来は電話でサンプルを集めるのも信頼性が低い。
-研究対象のサンプルは個体・個⼈によって構成される。
-個体数・⼈数
ある特性をもつ⼈間の⼈数(N)や割合(%)
-⼀⼈⼀⼈の⼈間の特性を計測した数値(例えば⾝⻑(cm)と体...
平均・分散・間隔など計算できる。(サンプル数は⼈数)
|~グループ分けの根拠|社会的・⽂化的に意味のある類型|
|~|サンプル取得の都合上に認められる集団(男女や老若)|
|~|地理的に意味のあるグループ(ただし、連続数値データの類...
|~|集団内 対 集団間の変異(集団内の変異は集団間の変異より...
>''正規分布''
⽣物学的変数の多くは正規分布する。
複数の相互に独⽴した要因によって決定される形質の特徴
平均値周りに分散が認められる。
類型化の基準(グループ分けの根拠)はない。
//第二標準偏差
>''⽣物学的変異(&color(Red){biological variation};)''
%%%ヒトの類型化は無理%%%
-量的・連続的であり、切れ⽬がない(&color(Red){Clinal var...
地形の傾斜のイメージ、実際に形質の分布を地図化すると地形...
-変数同⼠で変化は連動しない(Nonconcordance)。
-集団内の変異は集団間より⼤きい変数が多い。
>''⾃然⼈類学が「集団間」の変異にこだわる理由''
⾃然⼈類学の宿命:⼈種(&color(Red){race};)、⼈種主義(&...
社会全体の問題であると同時に⾃然⼈類学⾃⾝の問題
|~19世紀〜20世紀前半|「⼈種」の類型が⼀つの研究⽬的であっ...
|~20世紀後半|社会の変化と進化⽣物学の発展によりヒトの「類...
「⽣物学的な⼈種は存在しない」という結論になる。
ヒトの「類型化」は差別に繋がるどころか、それ自体が差別
>''変異軸(Axis of variation):変異が可能な⽅向''
それぞれスケールに注意。スケールによって意味が異なる。
|~空間軸|地理的変異|
|~|地域内変異|
|~時間軸|時間経過・歴史|
|~|個体発⽣・成⻑|
-その他、社会的が注⽬される要因
--ジェンダー
--社会層,職業
--⽂化
ヒトは短期的にも⻑期的にも柔軟に環境に適応する。(環境へ...
|~遺伝適応|適応においては集団における正の⾃然選択よる遺伝...
|~⽣理的適応|⼀個体の短期的あるいは中⻑期的な環境への適応...
>''進化の定義''
集団遺伝学と統合された進化論における「進化」の定義:遺伝...
|~遺伝⼦変化のメカニズム|⾃然淘汰による適応(&color(Red){...
|~|突然変異(&color(Red){mutation};)|
|~|遺伝⼦浮動(genetic drift、卵⼦と精⼦には各親の遺伝⼦...
|~|遺伝⼦流動(移動・移住、gene flow, migration)|
#br
⽣理学的適応:⼀個体の短期的あるいは中⻑期的な環境への適...
|>|⽣理学的適応|h
|慣れ|数時間で⽣じる環境への慣れ|
|順化|数週間や数ヶ⽉によって⽣じる暑さ・寒さなどへの適応|
|順応|気温や光、⾷料、ストレスなどさまざまな要因によって...
|発達基順応|発達を通して獲得する。|
#br
%%%発⽣学における発達の基本原理:表現型=遺伝⼦型+環境(...
#endregion
***第十二講目の内容 [#id6eba8a]
***第十三講目の内容 [#tbf4ea0a]
***第十四講目の内容 [#lf1608c0]
***第十五講目の内容 [#j4590450]
}}
*コメント [#comment]
#pcomment(,reply,20,)
終了行:
''■[[人類の進化]]''
#contents
|BGCOLOR(#555):COLOR(White):200|520|c
|BGCOLOR(#fc2):COLOR(Black):''分類''|''選択''|
|区分|総合教育科目|
|履修形態|完全抽選|
|履修条件|抽選に当たる。また、メールを送る。|
|単位数|2|
|講師|[[デイビッドスプレイグ]]|
|学位等|学士|
*概要 [#Gaiyou]
生物としての人間の特徴を理解するとともに、それに対する社...
#br
受講するにはCHIPSによる抽選に当たる必要がある。加えて、LM...
抽選に応募していなくても、希望する旨のメールを送ることで...
#br
試験100%
Canvas LMSによる中間試験2回(各成績の25%)、期末試験(成...
期末試験は試験期間に行う。(15回目の講義ではない。)
何らかの理由で中間試験を受けられない場合には、アンケート...
試験の翌日に Canvas上で公開されるショート・ペーパー課題に...
#br
教科書は、井原泰雄,梅﨑昌裕,米田穣の『人間の本質にせまる...
なくても問題なし。
#br
この科目は文理学部のDP及びCPの3、4、5に対応している。
*講師の印象 [#Inshou]
外人にあるまじき日本語の上手さ。ほぼ日本人。
*令和八年度(2026年度) [#h81d5434]
#style(class=submenuheader){{
**前期 [#zaf9b473]
}}
#style(class=submenu){{
|BGCOLOR(#555):COLOR(White):200|520|c
|BGCOLOR(#fc2):COLOR(Black):授業形態|対面授業|
|日程/教室|月曜日 四限目/3206教室(三号館二階六番教室)&br;...
&color(Red){定期試験予備⽇の14:40~15:40に期末試験};
***第一講目の内容 [#gb840899]
履修を希望する者はLMSでその旨のメールを送ること。
#hr
我々は何者で何処から来て何処へ行くのか?→人類学の誕生
***第二講目の内容 [#kc022bb9]
#region(思想)
''思想''
>''⾃然⼈類学の基本課題''
⼈類の⽣い⽴ち:我々はどこからきたのであろうか?
|~⽂化・哲学|⼈間はどのような存在なのか?|
|~|⼈間は⾃然を超越する存在なのか?|
|~|⼈間と他の動物の間には絶対的な断絶はあるのか?|
|~⾃然科学としてのヒトの研究|⽣物としてのヒトの特異性|
|~|ヒトの進化の過程|
|~|ヒトが進化した理由や原因|
|~|現代のヒトの⽣物学的な多様性の理解|
>''⾃然⼈類学の2⼤トピック''
⾃然⼈類学は⼈類の⽣物学的な基盤を主要な研究トピックとす...
''トピック1:ヒトの進化''
''トピック2:現代のヒトの⽣物学的な多様性''
#br
英語では、&color(Red){Human evolution and modern human bi...
>''⽂化的背景:創世神話 &color(Red){Origin myth};''
世界のほとんどの⺠族や宗教は創世の物語を持つ。
-現代の⼈類起源論
|~⾃然主義 &color(Red){Naturalistic};|奇跡や神々に頼らな...
|~科学的 &color(Red){Scientific};|現代の科学的な理論と⽅...
|>|現代の哲学の構造|h
|~Metaphysics 形⽽上学|philosophy of existence&br;世の中...
|~Ontology 存在論|philosophy of being and existence&br;物...
|~Epistemology &color(Red){認識論};|philosophy of knowled...
|~Empiricism &color(Red){経験主義};|knowing based on the ...
>''⾃然科学の Epistemology 認識論''
&color(Red){Empiricism 経験主義};:knowing based on the s...
単語としても⽇常的によく使われる:Empirical 形容詞
|~肯定的|Empirical science Empirical observation Empirica...
|~否定的|“That is not an empirical statement.”non-empiric...
> ''経験主義に基づくEmpiricalな研究とは''
・Observation 観察 が必要
・実際に⾒る、聞く、触る、嗅ぐ、味を感じる。
・測定機器を使う。:5感を超える観察能⼒を開発して活⽤す...
・出来れば情報を数値化する:数値のほうが正確で再現可能
・観察不能なものはそもそも研究の対象にしない。
>> 観察の主な⽅法論
+Experiment 実験:
・重要な要因や条件をコントロールした観察
・ターゲットしている要因を操作しながら、ほかの要因は固定...
+Fieldwork 現地調査:
・実世界の現場で現状を観察する。
・野性動植物の研究は多くの場合は野外調査
・化⽯調査はターゲットしている⽣物が⽣息していた地域にお...
・ヒトを対象とする研究は世界中の⼈々を訪ね歩いて協⼒をお...
>''科学の哲学:科学のプロセス''
研究とはどの様な⼿順で「科学的」になるのであろうか?
ただ⾝の回りを⾒ているだけでは「科学的」な観察とは⾒なさ...
「科学」の条件:主に2つの⽴場
|~&color(Red){帰納主義 Inductivism(Induction)};|観察が...
|~&color(Red){反証主義 Falsificationism(Falsification)}...
/////
||Inductivism 帰納主義|Falsificationism 反証主義|h
|~主な主張|・客観的に観察を重ねて現象を把握する。&br;・⾒...
|~問題点|・同じ観察を繰り返しても論理的には「証明」にはな...
>''科学的な主張の基準''
・仮説の反証可能性 &color(Red){Falsifiability};
・反証ができない主張は⾮科学的とみなす。
・検証する⼿段がない仮説も unfalsifiable とみなされること...
#br
反証可能な仮説を&color(Red){Testable hypothesis};という
-よくある表現
This is not a falsifiable statement.
Can this theory lead to testable hypotheses?
>''科学史の視点''
-反証主義への批判
--とても新しい⼤胆な仮説ならば理論の「確認」と認めてよい...
(例えばアインシュタインの相対性理論はニュートン⼒学では...
--科学者は理論と合わない現象が観察されたぐらいでは諦めな...
-科学⾰命論(提唱者:Thomas Kuhn)
--科学者は特定の⾃然観に基づく理論体系(&color(Red){パラ...
--科学の進歩はパラダイムの⼤転換(Paradigm shift)ととも...
--パラダイム転換は科学⾰命
教科書によく紹介される Paradigm Shift:天⽂学の天動説から...
>''科学哲学としてのポイント:&color(Red){⽅法依存性 Metho...
帰納主義では天動説と地動説の区別がつかない。(太陽が東に...
地動説は観察⼿段がないためになかなか検証が難しかった。
#br
「新しい観察⼿段の開発で仮説の検証が可能になった。」+「...
⽐較的精密な天体観測の結果を報告した Galileo ガリレオは⾃...
・科学論⽂には必ず「⽅法」を報告する部分が必要
>''⾃然⼈類学の Paradigm:進化論''
・19 世紀までに⾃然史(Natural History)の知⾒は多く集積...
・ダーウインの進化論のおかげで⽣物学は全般的に整理されて...
・⼈類の起源についての研究も進化論に基づく理論によって導...
>''⼈類学の特徴''
+&color(Red){Holistic ホーリスティック、Holism ホーリズム...
・部分の理解だけでは全体は理解できないという思想
・パーツの相互作⽤はシステム全体を⽀えると考える。
・Holistic な視点は研究の専⾨化やパーツ・部分の Analysis ...
・それぞれのパーツをしっかりと理解した上でシステムの全体...
・モデルは⾝体:⽣命を維持するためには臓器全てが機能しな...
・Holistic の反対は Reductionist 還元主義
+&color(Red){Comparative ⽐較};
・様々なスケールでの⽐較検証:哺乳動物とその他⽣物、霊⻑...
+&color(Red){Fieldwork フィールド調査、野外調査、現地調査};
・世界中の⼈々と交流しながら、地球上の様々な環境を調査す...
>''Reductionist 還元主義(Holistic の反対)''
Reductionist とは部分⼀つで全体が決まるという思想
定番の還元主義は「お⾦が全て」や「遺伝⼦で全てが決まる」
#endregion
***第三講目の内容 [#ka202dd6]
練習試験を行う。(成績評価には含まれない。)
#hr
#region(進化論と世界観)
''進化論と世界観''
進化論も一種の創世神話。しかし、科学的である。
>進化のある世界観
-ヒトは他の類⼈猿から分岐して進化してきた霊⻑類の⼀種
-⽂化と道具使⽤と社会的協⼒を⼤きく拡⼤させて、地球上のあ...
>進化のない世界観(中世ヨーロッパの場合)
中世ヨーロッパにとって「世の中の秩序」は固定されていた。
&color(Red){Scala naturae};(英語:Natural Scale)=&colo...
#br
中世ヨーロッの世界観:Ladder of Intellect(知性の階段)
+God「神」
+Angel「天使」
+Heaven「天国」
+Human「⼈間」
+Beast「獣」
+Plant「植物」
+Flame「炎」
+Stone「⽯」
-''進化のない世界観の特徴''
--⽣物種は固定されている。
---創世期に全ての種が創造される。
---それぞれ別々に創造される。
---種は変化しない。
---種は絶滅しない。
---新しい種はない。
--進化論のない世界観は⽇常の観察とはさほど⽭盾しない。
>進化論の前夜の時代
⽣物は変化するのではないかと薄々感じられていた。
・化⽯が発⾒される。(昔に⽣きていた⽣物が絶滅した痕跡、...
・家畜・作物の品種改良(⽣物は変化しうる。)
・地質学の発展により「地球は古い」と認識されるようになる...
・⾃然史の研究が進み、世界の⽣物多様性が認識されるように...
>進化論 &color(Red){Theory of Evolution};
⾃然淘汰説の提唱者
・Charles Darwin チャールズ・ダーウイン 1809‒1882
・Alfred Russel Wallace アルフレッド・ウオーレス 1823‒1913
#br
ダーウイン著:「種の起源」
>''進化のある世界観''
⽣物種は常に変化する。
・種(&color(Red){species};)は変化する。
・種分化(&color(Red){speciation};)によって新しい種が発...
・種は時に絶滅する(&color(Red){extinction};)。
・⽣命は地球上に⼀回だけ発⽣、現存する⽣命は全てその⼦孫
・全ての⽣命は系統的に繋がっている。
ただし、進化論は進化のみではない。
>進化論:⾃然淘汰説とは何か?
19世紀当時の哲学的問題:進化を認めたくても
-⽣物が変化する必然性が⾒えない。
-適応を説明できない。(適応は神様の知恵?)
>ダーウイン・ウオーレスの進化論は3つの要素の融合:①進化...
「⾃然淘汰 &color(Red){Natural Selection};による環境への...
⾃然淘汰説は徹底した結果主義:⽣物は⽣息地のその場その時...
>進化思想の寄り道:直線的進化
ゴールに向かって進む直線的進化 &color(Red){Linear evoluti...
19世紀半ばに流行った「単系社会進化論」(Unilinear Evolutio...
未開→野蛮→文明
魔術→宗教→科学
小集団→首長→国家
↓
部族→国家
↓
首長
↓
国家
#hr
--進化は「世の中の秩序」を反映する。
--進化は決まった段階を通過する。
--進化は決まった⽅向性やゴールがある(&color(Red){Teleolo...
--ゴールに向かって直線的に進む。
--「進歩」や「発展」や「向上」の思想と結びついていた。
--古い段階がまだそのまま世の中に残っている。
--進化の経緯をもって「世の中の秩序」を説明・正当化しよう...
>現代の進化思想:徹底した系統発⽣主義
現存種はみな同じ時間を進化しているので「より進化した種」...
全ての種は独⾃の新しい派⽣形質を獲得して進化してきた。
#br
-重要単語
系統 &color(Red){Lineage};
系統発⽣ &color(Red){Phylogenesis};
>現代の分類学:分岐学 &color(Red){Cladistics};
「枝わかれ」を客観的に⾒なす。「系統」を強調、「枝」に名...
分岐学的には恐竜はまだ生き残っている。(恐竜の子孫の鳥類が...
#br
-関連単語(覚えなくて良い)
Clado︓ギリシャ語の「枝」
Cladogram︓枝分かれ図
>''進化思想:⽤語の整理''
|表現|単語|和訳・解説|h
|今は使わない概念や表現|&color(Red){Teleology};|⽬的論、...
|~|Primitive‒Advanced|原始的、遅れている−進んでいる|
|~|Less evolved‒More evolved|進化していない−より進化した|
|~|Lower‒Higher|下等−⾼等|
|現在使う表現|&color(Red){Ancestral};‒&color(Red){Derived...
|~|Plesiomorphic‒Apomorphic|祖先形質−派⽣形質|
|要注意(特定の形質のことならば許される。)|Simple ‒ Comple...
|~|Teleonomy|⽣物個体はゴールを持ちうる(例えば繁殖成功)...
#endregion
***第四講目の内容 [#q36cf789]
#region(霊長類の進化)
''霊長類の進化''
比較(人と他の霊長類との比較)、フィールドワーク、全体像重...
>''⾃然⼈類学:⼈類進化論「ヒトとは何か?」''
ヒトは霊⻑類の「ヒト科」として認められている類⼈猿に分類...
ヒトはチンパンジーとの共通祖先から分岐して進化してきた類...
ヒトの系統を特徴づける初期の派⽣形質は⼆⾜歩⾏
その後、⽂化と道具使⽤と社会的協⼒を⼤きく拡⼤させて、地...
-霊⻑類の世界分布
主に熱帯⾬林に⽣息する哺乳動物
しかし熱帯⾬林に限らず、北は⽇本列島の積雪地帯、アフリカ...
|>|霊⻑類が進化したきっかけとなった⽣態|h
|~昔の仮説|霊⻑類は樹上で⽣活するように適応した哺乳動物と...
|~これに対する素朴な疑問|「ならばリスはなぜ霊⻑類ではない...
|~より厳密な仮説|樹上⽣活(&color(Red){arboreal};)、夜⾏...
>''霊⻑類の特徴:Primates''
|~祖先形質|⾃由に動かせる5本の指の残る⼿(哺乳類としては...
|~派⽣形質|拇指対抗性 &color(Red){Opposable thumb};&br;平...
|~その他、霊⻑類が派⽣させた形質|霊⻑類の⾊覚:1⾊型、2...
--Pri・mate
〘動〙(ヒトとサルを含む)霊⻑類の動物;〖〜s〗霊⻑⽬
語源:ラテン語 〜of the first rank 第⼀の〜 最⾼位の〜
>''⽣活史 &color(Red){Life History};:霊⻑類''
霊⻑類は同じ体サイズの哺乳類と⽐べて⽣活史がゆっくり
・成⻑速度が遅い
・寿命が⻑い。
・⼦供期、性成熟にたっするまでの期間が⻑い。
・成⻑してからの繁殖速度が遅い。
・妊娠期間が⻑い。
・1度の出産に1⼦
・⻑い期間をかけて育てる。
|>|>|>|>|霊⻑類 &color(Red){Primates};:主な系統|h
|目|亜目|下⽬|⼩⽬|上科|h
|霊⻑⽬|曲⿐亜⽬Strepsirrhini(原猿類 Prosimians)|キツネ...
|~|~|アイアイ下⽬(マダガスカル)|||
|~|~|ロリス下⽬(アジア・アフリカ)|||
|~|直⿐亜⽬Haplorhini|メガネザル下⽬|||
|~|~|真猿下⽬|広⿐⼩⽬Platyrrhini(中南⽶)||
|~|~|~|狭⿐⼩⽬Catarrhini(アジア・アフリカ)|オナガザル...
|~|~|~|~|ヒト上科(類⼈猿Ape)|
>''系統分類に使われる形質の例(本当はもっとたくさんある)''
+曲⿐類と直⿐類:嗅覚
|~曲⿐類(Strepsirrhini):&br; いわゆる原猿類(&color(Red)...
|~直⿐類(Haplorrhini):サルと類⼈猿|ヒトも含めて、哺乳動...
+広⿐類と狭⿐類:⻭並び
広⿐類は中南⽶のサル、狭⿐類はアジア・アフリカのサルと類...
||切⻭|⽝⻭|⼩⾅⻭|⼤⾅⻭|h
|~曲⿐類|2|1|3|3|
|~直⿐類|2|1|2|3|
⽤語:切⻭ &color(Red){Incisor};,⽝⻭ &color(Red){canine...
+真猿類と類⼈猿:移動⼿段
|~オナガザル上科:四⾜歩⾏|おもに枝の上または地上を歩く。...
|~ヒト上科(類⼈猿):腕渡り移動|&color(Red){Brachiation}...
>''霊⻑類の⾊覚''
霊⻑類の⾊覚は多様、1⾊型、2⾊型、3⾊型が混在する。
|~恒常的3⾊型|狭⿐⼩⽬|
|~多形⾊覚|広⿐⼩⽬の殆ど、キツネザルの⼀部|
|~2⾊型|メガネザル、キツネザルの⼀部|
|~1⾊型|ロリス、キツネザルの⼀部、ヨザル(夜⾏性?)|
L:long-wave
M:medium-wave
-注⽬点
--⽣態学的機能の仮説に注⽬
--2⾊型と3⾊型の利点・弱点
--ヒトは近縁種と⽐べて多様
-⽣態学的解釈
|~3⾊型|⾊が⾒えることは果実⾷・若葉⾊に有利(緑の背景か...
|~多形⾊覚|カモフラージュ、深さ、輪郭の検出に有利(昆⾍の...
広⿐⼩⽬の殆ど、キツネザルの⼀部は多形⾊覚
2⾊型と3⾊型が混在する広⿐⼩⽬:平衡選択?
恒常的3⾊型の狭⿐猿類の中でヒトだけが例外:男性の3〜8%...
|~昔の「進化的」分類|ヒトと⼤型類⼈猿は同列の「科」とされ...
|~現在の分岐学的(Cladistic)分類|枝分かれを反映する⼊れ...
|>|ヒトの系統分類:&color(Red){Taxonomy};|h
|~Order|Primates 霊⻑⽬|
|~Suborder|Haplorrhini 直⿐亜⽬|
|~Infraorder|Catarrhini 狭⿐⼩⽬|
|~Superfamily|Hominoidea ヒト上科|
|~Family|Hominidae ヒト科|
|~Subfamily|Homininae ヒト亜科|
|~Tribe|Hominini ヒト族|
|~Subtribe|Hominina ヒト亜族|
|~Genus|Homo ホモ属|
|~Species|sapiens ヒト種|
#endregion
***第五講目の内容 [#q67c1ab8]
#region(霊長類の社会)
''霊長類の社会''
ヒトも霊⻑類なので、「ヒトと霊⻑類の⽐較」という表現は厳...
英語では &color(Red){non-human primates}; や compare huma...
⽇本語では「⾮ヒト霊⻑類」や「他の霊⻑類」
>''なぜヒトと他の霊⻑類を⽐較するのか''
+⽣物としてのヒトを理解する:ヒトを相対化する。
--ヒトの特徴を解明して「ヒト」を定義するために他の霊⻑類...
+ヒト系統(Hominina 亜族)が進化した道筋の可能性を推測す...
--⾏動や社会は化⽯に保存されない。
--さまざまな環境に適応する霊⻑類の⽣態や社会を探求するこ...
--ヒトとチンパンジーとゴリラの共通祖先の⾏動・社会を推測...
|>|特に注⽬されていた霊⻑類|h
|~近縁種|チンパンジー、ボノボ、ゴリラ、オランウータン|
|~ヒトに似ていると思われた種|テナガザル(雄雌ペアで⽣活)|
|~乾燥地帯の草原(東アフリカのサバンナ)に適応している霊⻑...
|~研究者⾃⾝にとって⾝近な霊⻑類|⽇本⼈はニホンザル、中国...
> ''霊⻑類社会の研究''
Epistemology は Empirical observation が基本
・フィールド調査による野外観察
・⽐較⼼理学者による研究室での⾏動実験
>> Kappeler & van Schaik (2002)による社会システム論
+社会組織(&color(Red){social organization};):集団の⼤き...
+繁殖システム(&color(Red){mating system};)(配偶システ...
+社会構造:社会的インタラクションのパターン(&color(Red){s...
「社会交渉」、「社会的相互作⽤」とも。その結果として⽣じ...
>''研究者が具体的に何を⾒ているか''
+社会組織
集団の個体数を数える、集団の性年齢構成を記録する(雄雌・...
群れを追跡しながら遊動ルートを記録する(最近はGPSで記録)
|~データに基づく区分|単独(&color(Red){solitary};)|
|~|ペア(&color(Red){pair};)|
|~|単雄複雌群(&color(Red){one-male group};)|
|~|複雄複雌群(&color(Red){multi-male multi-female group}...
+繁殖システム:
雄と雌がどのような組み合わせで集団に所属して交尾するか記...
また、雄と雌がどのような組み合わせで交尾して⼦を残すかを...
+社会構造
個体識別(名前付け)した上で、誰と誰が何を⼀緒にしている...
集団内の社会関係を分析する(近接、グルーミング、攻撃、交...
--サルの⾏動観察:社会構造が⾒えてくる場⾯
⽑づくろい⾏動 グルーミング &color(Red){Grooming};
⼿で丁寧にシラミなどを取り除く:社会関係の重要な⽬安
>''集団の継承性の理論:⽣活史と社会関係を重視(伊⾕純⼀郎...
+集団を作らない種
単独⽣活:雄と雌双⽅が思春期に⺟親から離れ、集団を作らな...
[単独⽣活:オランウータン、ペア:テナガザル、ゴリラの単オ...
+世代毎に集団を再編成する種
|~ペア|世代毎に雄と雌が新たに親の近くに遊動域を作る(例外...
|~ゴリラの単雄複雌群|世代毎に雄と複数の雌が新たに集団を作...
+世代を超えて集団を継承する種
--⺟系集団 &color(Red){matrilineal};
雌は⽣まれた集団にとどまり、⺟⽅の⾎縁個体(⺟娘、姉妹、...
集団は⺟系で継承される(種によっては雌の順位は家系で決ま...
雄は⽣まれた群れを思春期に離れて他の群に加わる。
雄の頭数は種によって異なる(単雄複雌群、複雄複雌群)
・ニホンザル(Macaca fuscata)は複雄複雌群
・⼦殺しが観察されるハヌマンラングールは単雄複雌群
--⽗系集団 &color(Red){Patrilineal};
雄は⽣まれた集団にとどまり集団は雄に継承される。
雌は思春期に⽣まれた群れを離れて他の群に加わる。
ただし⽗⼦関係は不明なので厳密には patrilineal とはいえな...
・チンパンジー(Pan troglodytes)、ボノボ(Pan paniscus)
・クモザル(Spider monkey)
>''雄の⼦育て''
基本的に霊⻑類の雄の積極的な⼦育ては稀
#br
例外:マーモセット科 Callitrichidae
マーモセット、タマリン
南⽶に⽣息する⼩型の広⿐類
⻭で樹⽊を削って樹脂を⾷べる
雌⼀頭に雄が2頭の集団:多夫⼀妻の繁殖システム
雌は双⼦を産む。
乳幼児を雄が運搬(殆どの種では⺟親が⼦供を運ぶ)
>''⼈類進化論と霊⻑類学:狩猟仮説''
当初の⼈類進化シナリオ:&color(Red){Man the Hunter 仮説};
ヒト特有の形質はセットで進化したという仮説
これによりヒトの特異性(”Uniqueness of Man”)を説明しよう...
#br
ヒトは果樹がない草原で⽣きるために
狩猟をするようになり、⾁⾷となり、
狩猟の道具を⼿に持てるように⼆⾜歩⾏となり、
獲物を分配・交換するようになり
道具使⽤と狩猟とともに知性と社会性を発展させ、社会的協⼒...
>''他の霊⻑類種にはない、ヒト特有と考えられていた⾏動・活...
-狩猟をして⾁を⾷べ、⾷べ物を分配する。
-道具使⽤
-道具を使う知性(intelligence)
-⾷べ物の運搬
-直⽴⼆⾜歩⾏
-家族(family)・性的分(division of labor)
-ホームベース
-⽂化を持つ
-「意識」に基づいて⾏動する。
> ''霊⻑類学の功績:ヒト特有と思われていた⾏動を次々と他...
-道具使⽤ Tool use
-狩猟、⾁⾷、⾷物交換 &color(Red){Hunting and food sharin...
-⾃⼰認識 &color(Red){Self recognition};(鏡テスト)
-チンパンジーの⽂化:⾏動の地域差
>> チンパンジーの狩猟
・狩猟の対象種:アカコロブス、⼩型のレイヨウやイノシシの...
・狩猟の⽅法は主につかみ取り
・アカコロブスの場合は集団で追跡、結果的に包囲網ができ、...
・⾁の分配は保持者との社会関係によって分配される(中の良...
・⾁分配は基本的に消極的、もらうためのベッギング⾏動、「...
・それでも⾮常に価値は⾼い、「⾒返り」を期待する戦術的な...
>''共通祖先 &color(Red){Last Common Ancestor (LCA)};''
ヒトと他の類⼈猿の最後の共通祖先は推測可能か?:研究とと...
かつては「段階的進化」思想の名残で、ヒト祖先の⾏動・社会...
現在は系統発⽣理論が徹底しているので、共通祖先の⾏動・社...
実際にチンパンジー(2種)、ゴリラ、ヒトの⽣態・社会・⾏...
霊⻑類学は安易な「狩猟仮説 Man the Hunter Hypothesis」を...
>''共通祖先共通祖先 Last Common Ancestor (LCA)の推測''
・多様な⾷物品⽬
・道具使⽤
・ある程度の⾁⾷と狩猟
・ある程度の⾷物分配
・社会的学習能⼒
・⾼度な社会性(しかし社会構造は不明)
>''ヒトに特有と今でも考えられているもの''
・⼆⾜歩⾏で歩く。
・道具を使う狩猟
・脳が⼤きい。
・⾔語を持つ。
#endregion
***第六講目の内容 [#zc598e34]
''&color(Red){試験(端末を用意)};''
//科学的な仮説の条件を示す英語の用語は
//「パーティー」や「サブグループ」に集まったり離れたりを...
//人類起源
//雄による積極的な子育てが観察される霊長類の種類は
//人 上科
//人間の5感を使う観察と経験によって得られる知識を優先する...
//自然人類学の2大トピックは:
//親指を掌の前まで回す霊長類の能力は:
//ヒトの種名の正しい表記は
//「狩猟仮説」によるヒト系統の進化の説明が現在では否定さ...
//下の霊長類種のうち、父系の集団を作る種は:
//チンパンジーはよく道具を使うことが観察されているが、木...
//生物の種が絶滅するという意味の生物学的な用語は:
//広鼻類と狭鼻類の⻭並びのなかで異なる歯は:
//生物の種について進化のある世界観の時代には認められない...
//自然淘汰による進化の仮説の提唱者は:
//地上に生活するという意味で使われる英単語は:
//真猿下目が所属する上位分類群は:
//昔の「進化的」系統分類によると「ヒト科」は:
//哲学用語のEpistemologyは日本語では:
#hr
#region(霊長類の生活史)
''霊長類の生活史''
>''⽣活史の視点''
⽣物個体の全⽣涯をまとめで把握する視点
⾃然淘汰の選択単位は個体の⽣涯
社会科学ではライフ・コース(Life course(、ライフ・サイクル...
|>|CENTER:⽣活史を描く⽅法|h
|~形態的,⽣理的な測定値(&color(Red){anatomy};,&color(R...
|~⼈⼝学的変数(&color(Red){demography};)|出⽣,死亡など...
|~ライフステージ(&color(Red){life history stage};)|動物...
|~ライフイベント(&color(Red){life history event};)|発達...
>''種間⽐較の注意点''
霊⻑類の⽣活史は体重・体サイズの哺乳動物に⽐べて「ゆっく...
-成⻑速度が遅い
-⼦供期(juvenile)があり、性成熟(sexual maturity, puber...
-繁殖速度が遅い(出産間隔が⻑い)
-⼀度の出産に1⼦がほとんど、⼦育て期間が⻑い
-出⽣直後からある程度の運動能⼒があり、⾃らの⼒(握⼒)で...
(ヒトに⽐べて早成性、哺乳類の中にはより早成な種も多い)
|>|⾃然状態における雌のニホンザルの⽣活史|h
|体重|8~15kg|
|離乳|約1歳|
|初産年齢|4〜5歳|
|出産間隔|2年以上|
|寿命|最⼤約⼆⼗数歳まで⽣存|
>''⼦育て''
直接的な世話を担うのは⺟親
・雌による育児放棄は殆どない(飼育下では育児放棄が多いの...
・⽗性は不確実性が⾼いため、⽗親による⼦育ては進化しにく...
例外:マーモセット・タマリン、雌は双⼦を産み、雄が⼦供を...
例外:⺟親以外の雌による⼦守(おばさん⾏動 Aunting behavi...
-チャイルド仮説 &color(Red){Child Hypothesis};
幼児(child)は⾃分で歩く・⾷べることができない。
ヒトに特有の成⻑段階として提案されている。
⼦育て世代を⽀援する親世代:おばあちゃん仮説 Grandmother ...
ヒトは共同繁殖である。(今でも人特有と考えられている。)
ヒトは霊⻑類として対サイズが⼤きい⽅でありながら、出産間...
未熟で労⼒的・時間的に⾮常に⼿のかかる⼦供を、同時に複数...
理由:脳が⼤型化し、⾻盤が変形(⽣理的早産、⼆次的就巣性)
#endregion
***第七講目の内容 [#m3990d3e]
#region(人類起源論と化石発掘調査)
''人類起源論と化石発掘調査''
>''当初の⼈類進化シナリオ''
&color(Red){サバンナ仮説}; または &color(Red){Man the Hun...
アフリカの環境が乾燥化し、森林が縮⼩し、草原が広がり、
LCA(&color(Red){Last Common Ancestor}; 最終共通祖先)の...
⼈類に特徴的な形質はセットで進化したと考えられていた。
-狩猟に頼るようになり、⾁⾷となる。
-狩猟の道具を⼿に持てるように⼆⾜歩⾏となる。
-道具(武器)を持つことにより⽝⻭が縮⼩する。
-道具使⽤と狩猟とともに知性と社会性を発展させ脳が⼤きくな...
-獲物を分配・交換するようになり分配・交換のために男⼥ペア...
#br
化⽯が次々と発⾒されて、当初の⼈類進化シナリオは否定され...
-&color(Red){Hominin 系統};のサバンナへの進出は実際にあっ...
-⼈類の形質はセットではなく、それぞれの形質が数百万年にわ...
-最も早く出現した形質は⼆⾜歩⾏
ただし、樹上移動の形質を残しながら⼆⾜歩⾏を始めていたら...
>''⼈類進化研究の最も基礎的なデータ:化⽯ &color(Red){Fos...
⾃然⼈類学における古⼈類の研究は empirical なデータに基づ...
化⽯(主に⽯化した⽣物の⾻格と⻭)は遠い過去に遡る⽣物の...
研究の主役は解剖学のなかの⾻学
⾻や⻭の特徴を現⽣の霊⻑類や他の化⽯と⽐較して、化⽯標本...
>''化⽯情報''
種名:実は種名は最終的な判断、データではない。
化⽯の分析の結論として新しい種名を与えるか、あるいは既存...
|>|データとしての化⽯|h
|標本番号|これが⽣データの印、プロは標本番号で議論する。|
|発⾒場所|国、地域、発掘場所、地層|
|部位|⾝体の部位など|
|年代|地層や放射性物質(⽕⼭灰層に含まれる)から推定|
>放射性物質の放射壊変を使って年代推定
|⼈類進化の年代測定によく使われる放射性物質|半減期|h
|アルゴン-アルゴン法(&color(Red){Argon‒argon dating};) 40...
|カリウム-アルゴン法(&color(Red){Potassium-argon dating};...
|ウラン・鉛法|約45億年(地球の年齢)|
|炭素14法(考古学の手法)|約5730年|
|有名な標本番号|場所|h
|&color(Red){KNM-ER};|Kenya National Museum ‒ East Rudolf...
|KNM-WT|Kenya National Museum ‒ West Turkana|
|&color(Red){OH};|Olduvai Hominid タンザニアのオルドバイ...
|&color(Red){AL};|Afar Locality エチオピアのアファール地⽅|
化⽯調査はチーム調査
⾻格と⻭の分析だけではデータは⽚⼿落ち、化⽯研究は学際的...
|>|参加する学問|h
|解剖学||
|地質学|化⽯が発⾒された地層の分析|
|物理学|放射性物質による年代測定|
|⽣態学|古環境の復元と現在の環境との⽐較|
|考古学|⽯器をはじめ、⽣活の痕跡の分析|
|化⽯⽣成論|Taphonomy|
|博物館学|標本のカタログと保管|
|地理学|どこで発⾒されているのか|
|社会学|調査隊はどの国の誰なのか|
|歴史|発⾒と発表のドラマ、学会や思想の歴史|
-地質学者は⽕⼭灰層 Tuff の確定をする。
有名な⽕⼭灰層 Tuff:KBS Tuff
地質学の⼤スター:Kay Behrensmeyer
ケニア北部、トルカナ湖畔、Koobi Fora(年代:1.87×100万)
|>|有名な調査地域|特徴|h
|東アフリカ|&color(Red){⼤地溝帯 Great African Rift Valle...
|>|南アフリカ|⽯灰岩(Limestone)の採掘場などから出⼟&br;...
|>|有名調査地|特徴|h
|東アフリカ|タンザニア北部、オルドバイ渓⾕ Olduvai Gorge|...
|南アフリカ|>|南アフリカの調査地は主に⽯灰岩の洞窟|
|調査地名|標本記号|h
|Makapansgat|MLD|
|Kromdraai|KB, TM, KW|
|Sterkfontein|STS|
|Drimolen|DNH, DMQ|
|Swartkrans|SK, SM|
|Taung|Taung|
>''化⽯に与えられる種名''
「猿⼈、原⼈、旧⼈」は⽇本語
1990年ごろまではシンプルでLumperがsplittersに優勢な時代
-化⽯標本の殆どは⼆つの属に集約:
|~Australopithecus属|頑丈型(&color(Red){robust};)と華奢...
|~Homo属|1990年代からAustralopithecusより古い化⽯続々と発...
>''アウストラロピテクス属 Australopithecus''
元祖アフリカ化⽯標本 Taung 1
南アフリカの &color(Red){Taung};にある⽯灰岩(Limestone)...
1924年に化⽯が Witwatersand ⼤学の R. Dart 教授に届けられ...
箱⼀杯の多種雑多な化⽯の中から霊⻑類の頭⾻発⾒
Dart 教授は古⼈類の化⽯と直感
&color(Red){Australopithecus africanus};(アフリカの南の...
雑誌 Nature に 1925年論⽂発表
⼦供のチンパンジーに似ているため、当時、殆ど受け⼊れられ...
#br
特徴:⼤後頭孔(ラテン語:&color(Red){Foramen magnum};)が...
その後、多数の化⽯が発⾒され、古⼈類として学会に認められ...
>''化⽯のスーパースター:&color(Red){Lucy};''
|~標本番号|&color(Red){AL288-1};|
|~発⾒場所|エチオピア、アファール地⽅、アワッシュ川盆地&b...
|~発掘場所(地層)|ハダール Hadar Formation|
|~部位|全⾝⾻格、約40%|
|~年代|約320万年前|
|~地質時代|鮮新世 Pliocene|
|~発⾒年|1974|
|~渾名|&color(Red){ルーシー Lucy};|
|~種名|&color(Red){Australopithecus afarensis};|
|~調査隊|Donald Johansen(アメリカ)&br;Maurice Taieb(フ...
#br
|~⾝⻑|1.1 m|
|~体重|29 kg|
|~⼆⾜歩⾏を⽰す⾻格|⾻盤(Pelvis)&br;⼤腿⾻(Femur)&br...
発⾒当時は最古の⼆⾜歩⾏標本で最古のAustralopithecus
>> ''Lucy の仲間たちが残した⾜跡''
|~調査地|タンザニア、ライトリ Laetoli|
|~年代|3.7 ×100万|
⽕⼭灰に残された⾜跡にヒトの⾜跡が含まれていた。
A. afarensis の⾜跡ではないか、と推測されている。
#endregion
***第八講目の内容 [#c9ba06fa]
Lucyとチンパンジーと現代人の比較
#youtube(https://www.youtube.com/watch?v=xT8Np0gI1dI)
#hr
#region(人類の系統発生)
''人類の系統発生''
「猿⼈」「原⼈」「旧⼈」「新⼈」は⽇本語。⼀般的な表現と...
|>|学術⽤語として対応する英語表現|h
|~猿⼈|初期⼈類としてのAustralopithecus 属,Ardipithecus ...
|~原⼈|主にHomo erectus、北京原⼈は Peking Man、教科書で...
|~旧⼈|Archaic Homo sapiens|
|~新⼈|Anatomically modern Homo sapiens|
「Archaic Homo sapiens」と「Anatomically modern Homo sapi...
>''ヒト系統の進化:思想史''
初期の⼈類進化論は⼀直線の「進歩的」な進化を想定
|~現在の理解|ヒト系統も複雑な枝分かれを繰り返してきた。|
|~|複雑な分布拡⼤(アフリカ内・脱アフリカ)を繰り返していた...
|~|複数種が共存していた時期が⻑かった。|
-教科書によるヒト系統の派⽣形質
--直⽴⼆⾜歩⾏(脳の肥大化より先)
--縮⼩した⽝⻭
--拡⼤した脳
> ''1990年の考え''
属名はAustralopithecus とHomoのみ
化⽯標本がまだ少なかったし、Lumpers派分類学者の全盛期だっ...
⼈類進化論の本流は⼆段階の進化を提唱
LCA➔Australopithecus(華奢型 &color(Red){gracile};)➔Homo
頑丈型(&color(Red){robust};)Australopithecus は亜流
>> ''頑丈型Australopithecus (Paranthropus):A. robustus, ...
-⻭や顎が⼤きく発達
植物の根や地下茎を⾷べるように進化した?
--⾅⻭が巨⼤化
--⻭のエナメル質が厚い
--咀嚼筋が⼤きく発達
--&color(Red){Sagittal crest}; ⽮状隆起
#br
⼆つの画期的な転換期を想定
>''転換期 1:LCA➔Australopithecus''
直⽴⼆⾜歩⾏の進化(⽝⻭の縮⼩と&color(Red){knuckle-walki...
#br
頭⾻、⾻盤、膝関節、⾜の形体から分かる。
以下の特徴は AL-288-1標本(Lucy)にも⾒られる。
・⻑時間の直⽴姿勢
・⽚⾜⽴の時間が⻑く、全体重を⽚⾜で⽀える。
・前進する推進⼒
・着地のショックを吸収する⾜
|~頭⾻ &color(Red){Cranium};|⼤後頭孔の位置:前に位置、頭...
|~|頭が脊椎の上にバランスする。|
|~|顔は前を向く。|
|~⾻盤 &color(Red){Pelvis};|⾻盤の構成要素:腸⾻・仙⾻・...
|~|ヒトの⾻盤:腸⾻翼が横と前に広がった椀型⇨臓器を⽀える。|
|~|中殿筋(⾻盤側⾯の筋⾁で姿勢を⽀える。)|
|~膝関節 &color(Red){Knee joint};|左右のバランスを取りや...
|~|⼤腿⾻が内側に傾いている。|
|~|膝関節が⽔平に対し⼤腿⾻本体は傾いている。|
|~⾜ &color(Red){Foot};|⾜は硬いプラットフォーム:体重と...
|~|かかと着地→親指で蹴り出す。|
|~|親指対抗性(把握機能)を失う。|
|~|アーチ:ショック吸収、推進⼒のバネ|
-歩⾏周期
|>|歩⾏周期の構造|h
|遊脚期(swing phase)|歩いている時に足が地面から離れてい...
|⽴脚期(stand phase)|歩いている時に足が地面に付いている...
--⾻盤の3次元回転
--Foot内の体重移動
heel strikeから ball経由で toe offまで
足跡化石「Laetii」⋯3匹?の二足歩行生物
>''転換期 2:Australopithecus➔Homo''
⽯器使⽤と脳の拡⼤
何故、分かるのか。
-脳
オルドバイ渓⾕で⽯器発掘:オルドワン(&color(Red){Oldowan...
当初、頑丈型Australopithecusと出⼟し、Leakey夫妻困惑
(頑丈型Australopithecusは頭が小さい。)
後に脳が⼤きい標本(OH7)を発⾒
Homo habilis「器⽤なヒト」と命名
脳の容量:500ml以上
-石器
⽯器は意図的に製造される。(不自然な壊れ方をしている。)
⽯(&color(Red){core};)をもう⼀つの⽯(&color(Red){hammer};...
衝撃痕が特徴的、刃(&color(Red){cutting edge};)を作る。
遺跡に残る。また、⽯材が周囲の地層にない。
#br
1990年以降、Ardipithecus ramidusとH. habilisより古い⽯器...
> ''Ardipithecus ramidusの発⾒''
Australopithecusより古い。
#br
樹上⽣活の形質を残す(⾜の親指対抗性)。
環境は樹林→本格的な草原進出の前から⼆⾜歩⾏あり(⾻盤の形...
>> ''それまでの⼈類進化パラダイムの再評価''
⼆⾜歩⾏の起源がより古いのは歓迎
しかしサバンナ進出をヒト系統進化のきっかと考える⽴場は困惑
⼆⾜歩⾏のきっかけは不明?
>''Ardipithecusよりさらに古い化⽯''
||Sahelanthropus tchadensis|Orrorin tugenensis|h
|~年代|7〜8百万年前|6.1または5.8百万年前|
|~⼆⾜歩⾏|頭蓋⾻の⼤後頭孔が下⽅にある。|⼤腿⾻頸部の内...
>''H. habilisより古い⽯器の発⾒''
Homo 属の定義が曖昧になるかもしれない。
Australopithecus が⽯器を作っていた?未知のHomo 系統種?
>''⼆⾜歩⾏の説明理論''
従来はサバンナ進出が決定的に⼆⾜歩⾏を促したと考えられて...
Ardipithecusなどの発⾒により、樹林地において⼆⾜歩⾏が進...
#br
◆考えられる要因
・⽊の⾼い所の果実を⾷べる。
・威嚇(捕⾷者に対抗)
・物を運搬(道具?⾷べ物?幼児?)
・遠くを⾒る、草原で⾒晴らしがよい。
・⽇射への暴露⾯を⼩さくする。
・移動コストが低い。(長い距離を歩ける。)
・樹上⼆⾜歩⾏:前適⽤(&color(Red){preadapation};)(オラ...
>''⼈類進化シナリオの⽐較''
多くの形質は異なる時期に現れるので、セットとして進化した...
|~&color(Red){サバンナ仮説またはMan the Hunter仮説};&br;...
|~|狩猟の道具を⼿に持てるように⼆⾜歩⾏となる。|
|~|道具(武器)を持つことにより⽝⻭が縮⼩する。|
|~Lovejoyの⾷料運搬仮説|分配・交換のために男⼥ペア(⼀夫...
|~|⾷料運搬のために⼆⾜歩⾏となる。|
|~|雄間競争が緩和され、性差および⽝⻭が縮⼩(ペア型社会の...
>''化⽯種の定義は難しい''
1990年以降、化⽯がさらに多く発⾒され、標本数の増加ととも...
標本の違いには様々な変異軸があり得る。
|~個体差|化⽯標本は少数の個体のみ、個性丸出し|
|~成⻑段階|⼦供から⽼齢まで|
|~性差|雄雌の⼤きさが異なる。|
|~地域差|アフリカは広い。|
|~時間差(すなわち進化)|系統上の進化は連続的|
#endregion
***第九講目の内容 [#h6037095]
#region(ホモ・ハビリス以降)
''ホモ・ハビリス以降''
チンパンジーと分かれた後の話
>''Genus Homo ヒト属の進化''
多様なヒト系統が進化
出アフリカを果たして多様化しつつも、後続の出アフリカ個体...
種分化の途中で交代と吸収を繰り返す。
⼈類進化の時期は気候が⼤きく変動した。
|~鮮新世|寒冷化|
|~更新世(洪積世)|氷河時代入りを繰り返す。|
|~完新世|最終氷期後に気候がある程度温暖化・安定化⇨農耕|
>''ヒト属における進化の傾向''
-より華奢で平たい顔⾯、下顎と⻭の縮⼩
-体格が⼤きめ、脚が腕より⻑い。
-性差(男⼥差、性的⼆形、&color(Red){sexual dimorphism};...
-脳が⽐較的に⼤きくなり、知能が発達
-⽂化への依存が拡⼤、特に⽯器の使⽤などによって多様な環境...
|原人|年代|特徴|h
|Homo habilis|約231万年前 〜 165万年前まで|脳が拡⼤(約63...
|Homo erectus&br;アフリカの標本はH. ergasterともいう。|約...
|>|⽕の使⽤|h
|最古の痕跡(⾼熱による⼟・⽯の変化)|約150~170万年前|
|最古の炉|約70万年前|
>''⽣活史(Life history)年齢と成⻑速度の推定''
原⼈のスーパースター「KNM-WT 15000 “Nariokotome Boy”」
かなり骨が残っている化石→⽣活史が推定可能
|~⾻格|⾻端板(⾻の成⻑域)から思春期初期ながら⼤柄|
|~⻭冠の perikymata(成⻑線)|8~9歳|
|~成⻑速度|チンパンジーより遅く、現代⼈より早い、 独⾃の...
Australopithecus はチンパンジーに似た成⻑速度
|>|Homo erectus の⽯器分類|h
|~時期|前期旧⽯器時代(Lower Paleolithic)|
|~スタイル名|&color(Red){Acheulean};(フランスの地名に由...
|~⽯器種類|握斧(⼿斧、&color(Red){Hand axe};)|
Homo erectusはアジア発⾒の古⼈類
オランダ⼈医師 Eugene Dubois によって 1890 年代にインドネ...
⼈類はアジアで進化したという説を⽀持(当時の定説)
-特徴
--前後に⻑く低い脳頭蓋
--後頭髷 (Occipital bun)
--眼窩上隆起(&color(Red){Brow ridge};)
#br
>''ヒト属の系統発⽣:旧⼈''
1990年定説では、脳の容量が新⼈並みの旧⼈標本はHomo sapien...
最近は独⾃の種へ復帰:
H. heidelbergensis およびH. neanderthalensis
|旧人|特徴|h
|Homo heidelbergensis|H. neanderthalensis とH. sapiens の...
|Homo neanderthalensis|ドイツ・デュッセルドルフ近くのネア...
||Homo heidelbergensis|Homo neanderthalensis|h
|脳容量|1100‒1400 cc|1200‒1750 cc(H. sapiens 以上)|
|⽯器スタイル|Acheulean|Mousterian(テクニック:Levallois...
Homo neanderthalensisは⽯器時代(中期旧⽯器時代(Middle Pa...
気候が⼤きく変動する氷河期と重なる時期、寒冷地に適応する...
服装,死者の埋葬,構築物,装飾品の⽂化を持つ。
少⼈数で獣を追い込み、接近して槍で突くか槍を投げる狩猟⽅...
>''Homo sapiens(新⼈)''
解剖学的現代⼈:Anatomically modern
#br
H. sapiens 30万〜15万年前にアフリカで派⽣
10万年前以降に出アフリカ、5万年前以降にユーラシア全⼟・ア...
道中でH. neanderthalensis などの旧⼈と交雑したり交替した...
#br
⽯器時代:後期旧⽯器時代(Upper Paleolithic)、中期⽯器時...
狩猟⽅法:⼩型の尖頭器、⽯刃(&color(Red){blade};)、⽮尻...
>''否定されてきた理論''
-サバンナ仮説やハンター仮説のような総合セット理論
-種と形質を⼀致させる、段階進化思想の名残
-過去の⼈類は現代⼈になるために進化していたのではない(Wh...
|新しい発⾒によって否定された説|前提|論拠|h
|サバンナ進出によって&br;ヒト系統はチンパンジー系統から分...
|⽯器は⼀定の脳の⼤きさを有するHomo habilis に発明された...
|ヒト系統初めての出アフリカはH. erectus|出アフリカとH. er...
|道具技術、抽象的思考能⼒など、新⼈はより優秀|新⼈は旧⼈...
>''定説の再利⽤:サバンナ仮説の復活''
Australopithecus 属とHomo 属の分岐の説明として適⽤
乾燥化と本格的草原進出への適応の違いを指摘
Australopithecus 属(特に頑丈型)とHomo 属で異なる進化の...
|~Australopithecus 属|咀嚼機能の強化|
|~Homo 属|道具使⽤の強化|
>''⼈類進化思想の再整理''
◆従来の進化思想の盲点
共通祖先の化⽯を発⾒できる確率は低い。
どちらでもない存在である共通祖先を認識できるか?
形質の派⽣と種分化(&color(Red){speciation};)が⼀致する...
#br
-より明確に適⽤されつつある進化パラダイム
--分岐主義分類は枝を命名する。分かれ⽬は無名
--ヒト系統特有の形質は6〜7百万年前から徐々に派⽣
--種分化の主な原因は地理的隔離
--形質と種分化は同時並⾏して発⽣する別の流れ
--形質はそれぞれの時期における環境変化への適応
#endregion
***第十講目の内容 [#ycab5f36]
&color(Red){''試験(端末を用意)''};
#hr
#region(生態と生業)
''生態と生業''
紀元前2000年ごろ、地球上の約半分地域における⼈々の⽣業は...
>''⽣業システム(&color(Red){Subsistence system};)''
フィールド調査による観察:⼈類の⽣業活動は多様・多⾯的で...
#br
◆教科書的な分類
-狩猟採集⺠ &color(Red){Hunter- Gatherer};
-遊牧⺠ &color(Red){Pastoralism};
-農耕⺠ &color(Red){Agriculture};
>''狩猟採集⺠(Hunter- Gatherer)''
・ヒトは数百万年間、狩猟採集⽣活を営んできた。⇨ホーム・ベ...
・様々な動植物を認知し、名前をつけ、狩猟または採集する種...
・猟師 (多くの場合は男性)は狩猟具を製造して、獲物の動物を...
・採集活動(多くの場合は⼥性)は⾷⽤になる植物の種類と分...
#br
カラハリ・サン Kalahari San Peoples(!Kung San)は南部ア...
※!はクリックサウンド(吸着音)の発⾳記号
・毒⽮と罠で狩猟
・近現代では猟⽝や⾺も活⽤
・Mongongo nutsやKalahari melon(スイカ)Citrullus lanatu...
近年まで動物の狩猟と植物の採集のみで⽣活していた⼈々
#br
狩猟採集から得られた⾷べ物の栄養学的研究
⇨⾁より植物性の⾷べ物がより多くのカロリーを提供(すなわち...
#br
-世界の狩猟採集⺠
--Inuit のアザラシ猟
--Andaman 諸島の狩猟
--アフリカコンゴ盆地のピグミー
>''遊牧⺠・牧畜⺠(Pastoralists)''
⽣業を⽀えるために動物の遊動や⽣活史(繁殖など)を操作し...
様々な種類の動物が家畜化する。(⽜、やぎ、⽺、⾺、ラクダ...
⽣態学的効果:⼈間に⾷べられない植⽣(乾燥地の草原など)...
>農耕⺠(Farming)
⽣業を⽀えるために植物の⽣活史(繁殖など)を操作して栽培...
|~農耕の主な種類|焼畑農耕(Swidden-farming)|
|~|園耕(Horticulture)|
|~|農耕(Agriculture)|
農耕⺠は植物の⽣態、品種、⼟壌の性質を熟知し、作物の作付...
-代表的な栽培植物
--⻨・Wheat(Triticum spp.)
--モロコシ Sorghum(Sorghum bicolor)
--稗 Millet(Eleusinecoracana)
--トウモロコシ・Maize(Zea mays)
--⽶・Rice(Oryza spp.)
--⼤⾖・Soy bean (Glycinemax)
--カッサバ (manioc) (Manihot esculenta)
#endregion
#region(旧⼈の多様性)
''旧⼈の多様性''
>''ArchaicHomo sapiens の多様性''
旧⼈(&color(Red){archaic H. sapiens};)は多様であり、こ...
Homo 属系統に特徴的な形質は:
・⼀つの種に揃って出現していない。
・直線的に蓄積されたものでもない。
・様々な種(&color(Red){個体群 populations};)の間でモザ...
しかし、解剖学的現代⼈(&color(Red){anatomically modern ...
現代⼈がアフリカのどこが発祥の地なのか今こそ研究のフォー...
>''Homo ヒト属における進化の傾向''
-より華奢で平たい顔⾯
-下顎と⻭の縮⼩
-体格が⼤きめ、脚が腕より⻑い
-性差(&color(Red){男⼥差、性的⼆形、sexual dimorphism};...
-脳が⽐較的に⼤きくなり、知能が発達
-⽂化への依存が拡⼤、特に⽯器の使⽤などによって多様な環境...
約60万年以降の旧⼈・新⼈の系統発⽣は複雑
|~共存していた個体群|Homo sapiens|
|~|Homo heidelbergensis|
|~|Homo neanderthalensis|
|~|Homo naledi|
|~|Denisova ⼈|
|~|Homo erectus|
>''地球環境の気温変化 [Explorations Fig. 11.2]''
気候が⼤きく変動した時期に⼈類は進化した。
・寒冷化の後、氷河時代
・最終氷期後に気候がある程度温暖化・安定化
アフリカにおける⽣息可能地域の拡⼤:出アフリカ前の年代別
H. sapiens ⽣息可能地域をハビタット解析で推定→⽣息地が拡⼤
-ハビタット解析
生物(動物や植物など)が生活し利用する生息環境(ハビタッ...
環境要因と生物の分布データを組み合わせ、特定の環境がどれ...
> ''謎の旧⼈:Homo naledi''
南アフリカにて、洞窟探検家によって2013年に洞窟の奥深くに...
最寄りの⼊⼝から80メートル、複雑で狭い通路(最狭 25cm)を...
#br
⼩柄な⼥性研究者が奥まで⼊って調査
⾻⽚1550、18個体が発見。埋葬地?迷い込み?
なぜこれほどまで奥に⾏けたのかは謎、⽕を使ったか?
>> ''Homo naledi の形質''
古いH. erectus の形質と新しいH. sapiens に似た形質を合わ...
肩や指は樹上⽣活を⽰唆(Homo 属では特異)
|~脳の容量|500 cc(H. erectus よりも⼩さい)|
|~年代|33万5千000〜23万5千年前(H. sapiens と重なる。)|
>''K.Homo floresiensis:フローレス原⼈?''
2003年にインドネシアのフローレス島で発掘(Flores, バリ島...
激論の末、⼩型の⼈類化⽯と認められる。
|~⾝⻑|105cm、脳サイズはチンパンジーなみ、島嶼効果?|
|~年代|10万〜5万年前|
ジャワ原⼈(即ちHomo erectus)起源?
>''L.Homo luzonensis:ルゾン原⼈?''
2019年にフィリピンのルゾン島(Luzon)北部で発掘(⼿⾻、⻭...
Australopithecus と似ている部分あり?
年代は6万年前ごろ
>''中国東⽅部ハルビンに謎の旧⼈頭⾻発⾒''
1933年に満州の⼯事現場から発⾒されるが、発⾒者は隠してし...
その場所で再発⾒され、ハルビン地理科学博物館に届けられる...
形態学的分析から旧⼈の新種としてHomo longi “Dragon Man”と...
>''M.Denisovans: デニソワ⼈''
当初、遺伝⼦情報のみで同定された奇異な個体群
南シベリア・アルタイ⼭脈の洞窟から発掘された数本の⼿⾻と...
抽出されたDNAの分析より「ネアンデルタール⼈ではない!」と...
年代は数⼗万年前、ネアンデルタール⼈との分岐は約80万年...
その後、断⽚的な標本から中央アジアから東アジアに広く拡散...
ただし、まとまった標本がなく、未知の⼈類であったが、
近年、⻭垢から抽出したミトコンドリアのDNAからハルビン頭⾻...
#br
N. 環境変動と旧⼈・新⼈の拡散モデル:⻄はネアンデルタール...
#br
既知の旧⼈より古い super archaic ”ghost” hominins との交...
⇨“Ghost” Populations「幽霊個体群」
#endregion
***第十一講目の内容 [#t8d887d2]
#region(数値データ)
''数値データ''
ヒトの進化と現代のヒトの⽣物学的な多様性(Human evolution...
が⼈類⽣物学的な主要な研究トピックである。
#br
大航海時代(特にコロンブスの北米到達)によって世界中の人類...
陸路でアジアに行くことで、人がゆっくり変わっていくのを確...
船で途中の人々を見ることなく、いきなり異民族を見てしまっ...
現在はマルコポーロ的多様性観が主流
#br
-哺乳動物(&color(Red){Mammal};)
基礎的な⽣理:空気呼吸、あくびをする、⽔を飲む、⾷べ物を...
有性繁殖、妊娠、授乳
-霊⻑類(&color(Red){Primates};):
向かい合わせに親指を使える⼿、平たい⽖、前向きの⽬(両眼...
-ヒト(&color(Red){Human};):
・⼆⾜歩⾏
・⾔語と複雑な⽂化
・⾮常に⻑い成⻑期間
>''Nature-Culture Dichotomy:「⾃然」と「⽂化」の⼆分''
⼈類学の基礎的・哲学的課題「法、ヒトは⼈と違うのか?」
⼀⼈々々の⼈間は⽣物と⽂化の融合体
&color(Red){Biocultural Evolution};:ヒトは⽣物学的個体発...
>''⾃然⼈類学''
⾃然⼈類学はヒトの⽣物性と社会性を同時に対象とする学祭的...
研究の成果はヒトの形態的・⽣理的な形質に対する社会と⽣活...
|~私たちの⽣活の⽣物学的基礎|⽣物性 → 社会性(⾝体・⽣理...
|~⾝体・進化に対する社会的影響|⽣物性 ← 社会性(社会・⽂...
>''ヒトの⽣物学的変異の研究(⾃然⼈類学)''
-⾝体測定:Anthropometry
世界中の⼈々の形態・形質を調べる。
成⻑と健康の⽬安として研究であり、⼈類の多様性を測る⽅法...
こうした研究は家具作りや衣服作りに活かされている。
-統計的分類:遺伝情報などに基づいた統計解析によるサンプル...
|>|⽤語の整理|h
|>|変異(&color(Red){variation};)|
|>|変数(&color(Red){variable};)|
|>|多様性(&color(Red){diversity};)|
|>|集団(group, 個体群 &color(Red){population};)|
|>|形質(&color(Red){trait};)|
|>|測定直(&color(Red){measurement value};)|
|>|多形(&color(Red){polymorphism};)|
|>|遺伝⼦型(&color(Red){genotype};)|
|>|表現型(&color(Red){phenotype};)|
|分布(&color(Red){distribution};)|度数分布(&color(Red){...
|~|地理的分布(&color(Red){geographic distribution};)|
|>|数値データの種類|h
|~名義データ(nominal data)の数・割合|名前が付くもの(分...
|~順序尺度(ordinal scale)|順番、相対的な位置が確定して...
|~連続数値尺度(continuous quantitative scale)|連続する...
>''個体・個⼈ (Individual)''
⽣物学的多様性の基本単位は個体・個⼈の変異(&color(Red){I...
⇨データ収集は個体・個⼈のデータ
個体変異はその他の変異(集団間変異など)のもとになる、個...
⼈類学で数えたり測定するのは⼀⼈⼀⼈の⼈間
>> ''サンプル収集''
-サンプルは集団・個体群を代表する⼀部、全集団(全個体)の...
-サンプルする⽅法は⾮常に重要、調査が「科学的」かどうかは...
インターネットでサンプルを集めるのは避けた方が良い。
従来は電話でサンプルを集めるのも信頼性が低い。
-研究対象のサンプルは個体・個⼈によって構成される。
-個体数・⼈数
ある特性をもつ⼈間の⼈数(N)や割合(%)
-⼀⼈⼀⼈の⼈間の特性を計測した数値(例えば⾝⻑(cm)と体...
平均・分散・間隔など計算できる。(サンプル数は⼈数)
|~グループ分けの根拠|社会的・⽂化的に意味のある類型|
|~|サンプル取得の都合上に認められる集団(男女や老若)|
|~|地理的に意味のあるグループ(ただし、連続数値データの類...
|~|集団内 対 集団間の変異(集団内の変異は集団間の変異より...
>''正規分布''
⽣物学的変数の多くは正規分布する。
複数の相互に独⽴した要因によって決定される形質の特徴
平均値周りに分散が認められる。
類型化の基準(グループ分けの根拠)はない。
//第二標準偏差
>''⽣物学的変異(&color(Red){biological variation};)''
%%%ヒトの類型化は無理%%%
-量的・連続的であり、切れ⽬がない(&color(Red){Clinal var...
地形の傾斜のイメージ、実際に形質の分布を地図化すると地形...
-変数同⼠で変化は連動しない(Nonconcordance)。
-集団内の変異は集団間より⼤きい変数が多い。
>''⾃然⼈類学が「集団間」の変異にこだわる理由''
⾃然⼈類学の宿命:⼈種(&color(Red){race};)、⼈種主義(&...
社会全体の問題であると同時に⾃然⼈類学⾃⾝の問題
|~19世紀〜20世紀前半|「⼈種」の類型が⼀つの研究⽬的であっ...
|~20世紀後半|社会の変化と進化⽣物学の発展によりヒトの「類...
「⽣物学的な⼈種は存在しない」という結論になる。
ヒトの「類型化」は差別に繋がるどころか、それ自体が差別
>''変異軸(Axis of variation):変異が可能な⽅向''
それぞれスケールに注意。スケールによって意味が異なる。
|~空間軸|地理的変異|
|~|地域内変異|
|~時間軸|時間経過・歴史|
|~|個体発⽣・成⻑|
-その他、社会的が注⽬される要因
--ジェンダー
--社会層,職業
--⽂化
ヒトは短期的にも⻑期的にも柔軟に環境に適応する。(環境へ...
|~遺伝適応|適応においては集団における正の⾃然選択よる遺伝...
|~⽣理的適応|⼀個体の短期的あるいは中⻑期的な環境への適応...
>''進化の定義''
集団遺伝学と統合された進化論における「進化」の定義:遺伝...
|~遺伝⼦変化のメカニズム|⾃然淘汰による適応(&color(Red){...
|~|突然変異(&color(Red){mutation};)|
|~|遺伝⼦浮動(genetic drift、卵⼦と精⼦には各親の遺伝⼦...
|~|遺伝⼦流動(移動・移住、gene flow, migration)|
#br
⽣理学的適応:⼀個体の短期的あるいは中⻑期的な環境への適...
|>|⽣理学的適応|h
|慣れ|数時間で⽣じる環境への慣れ|
|順化|数週間や数ヶ⽉によって⽣じる暑さ・寒さなどへの適応|
|順応|気温や光、⾷料、ストレスなどさまざまな要因によって...
|発達基順応|発達を通して獲得する。|
#br
%%%発⽣学における発達の基本原理:表現型=遺伝⼦型+環境(...
#endregion
***第十二講目の内容 [#id6eba8a]
***第十三講目の内容 [#tbf4ea0a]
***第十四講目の内容 [#lf1608c0]
***第十五講目の内容 [#j4590450]
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