<a href="https://nichidaibunrigojokai.swiki.jp/index.php?cmd=related&page=%E8%BF%91%E4%B8%96%E6%96%87%E5%AD%A6%E8%AC%9B%E7%BE%A9%28%E9%96%80%E8%84%87%E5%A4%A7%29">近世文学講義(門脇大)</a> をテンプレートにして作成
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近世文学講義(門脇大)
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#include(日本文学史・日本文学講義項目,notitle)
#contents
|BGCOLOR(#555):COLOR(White):200|520|c
|BGCOLOR(#fc2):COLOR(Black):''分類''|''国文学科選択必修/...
|区分|[[国文学科]]科目|
|履修形態|一般(人数過多の場合は抽選)|
|履修条件|二年生以上|
|単位数|2|
|講師|[[門脇大]]|
|学位等|文理学部(学士(文学))|
*概要 [#Gaiyou]
明治時代に日本にやってきた小泉八雲(ラフガディオ・ハーン...
それらは口碑伝承として伝わるとともに、江戸怪談にルーツを...
異国から来た八雲の目を通して江戸怪談を読み直すことによっ...
#br
毎回、Canvas LMSで授業に関するあれこれを授業資料に沿って...
&color(Red){提出可能時間は30分であるので出し忘れに要注意...
また、期末試験がある。
#br
この科目は文理学部(学士(文学))のディプロマポリシーDP1...
*講師の印象 [#Inshou]
親しみやすい。
//時々、ギャグを挟む。
*令和七年度(2025年度) [#h81d5434]
後期のみ開講。授業内容は毎年変えるらしいので参考程度に。
//人工知能対策で期末試験への持ち込みは不可。ただし、第十...
#style(class=submenuheader){{
**後期 [#wd7538bd]
}}
#style(class=submenu){{
|BGCOLOR(#555):COLOR(White):200|520|c
|BGCOLOR(#fc2):COLOR(Black):授業形態|対面授業/遠隔授業|
|日程/教室|水曜日 四限目/412教室(四号館一階二番教室)|
***第一講目の内容 [#l17a1291]
#region(小泉八雲略年譜)
>''小泉八雲略年譜''
-%%%一八五〇年(嘉永三年)%%%
六月二十七日、ギリシャのイオニア諸島のひとつ、レフカス島...
パトリキオ・ラフガディオ・ハーンと名づけられた。
-%%%一八五四年(安政元年) 四歳%%%
父はクリミア戦争に出征。八月、弟ジェームズ生まれる。母は...
-%%%一八五七年(安政四年) 七歳%%%
父母離婚。
-%%%一八六六年(慶応二年) 十六歳%%%
ジャイアント・ストライドという遊戯中に左目を強打し、失明...
父がインド熱にかかり、スエズで死亡。
-%%%一八六七年(慶応三年) 十七歳%%%
十月、大叔母が破産したため、ウショー校を中退。
-%%%一八六九年(明治二年) 十九歳%%%
単身アメリカに渡り、職を転々とする。
-%%%一八七四年(明治七年) 二十四歳%%%
日刊新聞『シンシナティ・インクワイヤラー』紙の記者となる。
-%%%一八七五年(明治八年) 二十五歳%%%
黒人との混血女性、マルシア・フォリーとの同棲生活が原因で...
-%%%一八八四年(明治十七年) 三十四歳%%%
処女再話集『異文学遺聞』出版。ニューオーリンズ百年祭記念...
→日本に興味を持ったか。
-%%%一八八七年(明治二十年) 三十七歳%%%
第二再話集『中国怪異集』出版。西インド諸島のマルティニー...
-%%%一八九〇年(明治二十三年) 四十歳%%%
三月、バンクーバーから汽船で横浜に向かい、四月四日、横浜...
十二月、教頭西田千太郎の媒酌で、小泉セツと結婚。
-%%%一八九一年(明治二十四年) 四十一歳%%%
十一月、熊本の第五高等中学校に転任。
-%%%一八九二年(明治二十五年) 四十二歳%%%
アトランティック・マンスリーに『見知らぬ日本の面影』を連...
-%%%一八九三年(明治二十六年) 四十三歳%%%
十一月、長男の一雄が生まれる。
-%%%一八九四年(明治二十七年) 四十四歳%%%
ハーンの日本に関する最初の著書『知られぬ日本の面影』全二...
-%%%一八九五年(明治二十八年) 四十五歳%%%
二月、眼病のためクロニクル社を退社。九月、『東の国から』...
-%%%一八九六年(明治二十九年) 四十六歳%%%
二月、帰化が認められ&color(Red){小泉八雲};と改名。三月、...
-%%%一八九七年(明治三十年) 四十七歳%%%
二月、二男の巌生まれる。三月、松江以来、公私にわたり力と...
-%%%一九〇二年(明治三十五年) 五十二歳%%%
三月、西大久保の新居に移る。『日本お伽噺』を東京で出版。...
-%%%一九〇三年(明治三十六年)五十三歳%%%
一月、東京帝国大学文科学長井上哲次郎の名で、解雇通知を受...
九月、長女の寿々子生まれる。
→ハーンの後任はかの夏目漱石であり、漱石は小泉八雲の後は恐...
-%%%一九〇四年(明治三十七年) 五十四歳%%%
三月、早稲田大学文学部に出講する。四月、『怪談』を出版。...
#endregion
#hr
#region(小泉八雲の語り)
''小泉八雲の語り''
>''小泉八雲「神々の国の首都」(『知られぬ日本の面影』、一...
(抜粋)
'''松江の一日は、寝ている私の耳の下から、ゆっくりと大きく...
'''柔らかく、鈍い、何かを打ちつけるような大きな響きだ。'''
'''その間の規則正しさといい、包みこんだような音の深さとい...
'''その響きの伝わり方は、まるで心臓の鼓動を聴いているかの...
#br
→松江について、視覚ではなく聴覚で描写している。片目が見え...
>''小泉節子「思い出の記」(日本での初出は、一九一四年)&b...
(抜粋)
'''私が昔話をヘルンに致します時には、いつも始めにその話の...
'''それから委しく話せと申します。それから幾度となく話させ...
'''私が本を見ながら話しますと「本を見る、いけません。ただ...
'''自分の物にしてしまっていなければなりませんから、夢にま...
#br
→小泉八雲は口伝えを重要視していた。
#endregion
#region(小泉八雲と雪女)
''小泉八雲と雪女''
人を取り殺すといったストーリー性のある『雪女』は小泉八雲...
>''『小泉八雲事典』(恒文社、二〇〇〇年)、「雪女」の項(...
『怪談』所収。茂作 と巳之吉 という二人の樵 が、ある冬の晩...
#br
「雪女」をめぐる、もうひとつ興味深い問題は、その原話との...
>''小泉八雲『怪談』「序文」(明治三十七年<一九〇七>)[小...
「雪おんな」という奇談は、西多摩郡調布村のある百姓が、土...
>''ラフガディオ・ハーン「幽霊とお化け」(『知られぬ日本の...
(抜粋)
朝方、雪が激しく降っていたが、夜には空も冴え渡り、しー...
一歩進むたびに、凍り付いた雪が、足下でサクサクと心地好い...
「さあ、いかがなものでしょう」と金十郎が答えた。
「私が存じ上げない神様だって、たくさんいます。神様の名前...
「雪女って?」
「雪の中にいて、いろんな顔に変化する、真っ白けの女のこと...
昼間は、ぬーっと顔をつき出して、一人旅の者など をおどかし...
でも、時々、夜になると立ち上がり、立ち木よりも大きくなる...
そして、しばらくあたりを見回していたかと思うと、やがて吹...
「顔つきはどんなかね?」
「真っ白で、やたらに大きい顔をしてますが、とてもさびしそ...
(金十郎はここで「さびしそうな」という言葉を使っているが...
「今まで見たことあるのかい、金十郎」
「いや、まだございません。でも、親父ががきの時分に見たと...
なんでも雪の中を近所の遊び仲間の家に向かう途中、大きな白...
親父は怖くなって大声を上げて、逃げ帰って来たそうです。家...
それで、これは雪女の仕業だと合点したそうです」
「今でも、雪女をみかけるのかね」
「ええ、大寒と呼ばれる一年で一番寒い時分に、藪村にお参り...
#endregion
#hr
小泉八雲の語りの一つに母の幽霊が飴を買って赤子に食わせる...
そこに記された「愛は死よりも強し」という言葉はロマンスで...
***第二講目の内容 葬られた秘密① [#c238df2d]
小泉八雲は古典作品を再話した。古典の内容と何が異なってい...
>''小泉八雲(ラフガディオ・ハーン)「葬られた秘密」(『怪...
(要約)
昔、丹波国に稲村屋善助というお金持の商人が住んでいた。善...
娘は父が家族ぐるみでつきあっていた友人で長良屋という者と...
二人の間には男の子も一人生れた。だがお園は病気にかかり、...
お園の葬式をすませた日の夜、亡くなったはずのお園が衣裳や...
死人が自分の持物に執着するのは良くあることで、解決するに...
故に遺族はお園の衣裳道具を禅宗の菩提寺に納めた。しかし、...
お園の幽霊と対面した和尚は、幽霊の未練が抽出しに隠されて...
和尚は手紙を他の人に見せずに焼き捨てると約束して未練を晴...
>''古典との比較''
-吉文字屋市兵衛『新選百物語』(明和五年<一七六八>刊)巻...
--説教臭い。儒教的思想。
--一通の恋文ではなく、数十通の不義(密通)の手紙が見つかる。
--寺の宣伝の要素「大元和尚の宗弟の物語りぞと聞きおよぶ」→...
-根岸鎮衛『耳袋』(天明~文化<一七八一〜一八一八>写)巻...
--寺の宣伝の要素が強い。「祐天大僧正は、その徳いちじるき...
--「艶書おびただしくありし」
***第三講目の内容 葬られた秘密② [#l6d3ba03]
>''初代悟道軒圓玉「執念の恋文」&br;(『神戸新聞』昭和十年...
*湯本豪一編『昭和戦前期怪異妖怪記事資料集成』(国書刊行...
「佐藤と云ふ人から寄せた恋文があつた。これを主人に見せた...
>''『諸国百物語』(延宝五年<一六七七>刊)巻三の十九「艶...
(要約)
「婦人の翫ぶ水牛にて造れるはり形といふ具」(ディルド)が長...
川に流したら治まった。
>''堤邦彦「幽霊の遺念――僧侶必携マニュアル」(堤邦彦『女霊...
『新選百物語』と『耳嚢』所収話をとりあげて、後者を「累 ...
以下のように本話の背景を推測する。
文化十一年(一八一四)の編述とされる『耳嚢』の一話をもっ...
従来の典拠論的な見方からいえば、たしかに無理があるかもし...
一方、遺念のこもる品を処分する呪法が、近世の僧坊、例えば...
(中略)
堤邦彦氏は講師の師匠に当たる人らしい。
#br
こうした伝承は浮世草子→耳袋→八雲という風に伝播したと思わ...
***第四講目の内容 鳥取の布団の話① [#mb095361]
比較すると、話の変わり方が判る。
#region(テクストと考察)
''テクストと考察''
>''鳥取の布団の話&br;小泉八雲(ラフガディオ・ハーン)「日...
註釈:海外向けの出版だったので元々は外国語で書かれていた。
(要約)
鳥取の町に小さな宿屋が開業し、1人の旅商人男性が初めての客...
ところが、深夜ふとんの中から「あにさん寒かろう」「おまえ...
その訴えを主人は相手にしなかったが、その後も宿泊客がある...
ふとんを購入した古道具屋に宿屋主人が事情を訊くと次のよう...
#br
そのふとんは、鳥取の町はずれにある小さな貸屋の家主から古...
その貸屋には、貧しい夫婦と2人の幼い兄弟が住んでいたが、兄...
両親が遺した家財道具・着物を兄弟は売り払いながら何とか暮...
大寒の日、兄弟はふとんにくるまり「あにさん寒かろう」「お...
#br
やがて冷酷な家主がやってきて、家賃の代わりに最後のふとん...
兄弟は行くあてもなく、少しでも雪をしのごうと、追い出され...
神様は2人の体に新しい真っ白なふとんをかけておやりになった...
兄弟を哀れに思った宿屋主人は、ふとんを寺へ持参して、かわ...
>''「セツが八雲にアイデア 怪談「鳥取のふとんの話」市内講...
*「山陰中央新報デジタル」(https://www.sanin-chuo.co.jp/...
小泉八雲記念館(松江市奥谷町)の小泉凡館長が10日、鳥取...
雲の怪談「鳥取のふとんの話」のアイデアを提供したのは、八...
八雲が良き補佐役としてセツの才能を見いだした逸話だとした...
小泉館長は、八雲とセツの長男が「セツが伝えた」と語ってい...
別の記述で、セツのことを「ある女」と伏せていた例もあると...
>''根岸鎮衛『耳袋』(天明~文化<一七八一から一八一八>写...
(要約)
冬になったので夏の頃に質へ預けていた布団を出した。しかし...
大に驚て質屋へ向かい、このことを伝えたが、原因らしい事柄...
何が原因かと考えていると、ふと、修験者が手の内(乞食などに...
いい加減に対応したことを思い出した。
きっとそれが原因だろうから修験者がまた来たら施しをしよう...
そして、また来た時に施しといい加減に対応したことの詫びを...
>''大田南畝『半日閑話』(成立年未詳)巻十三「中野の訛言」...
(抜粋)
此頃の訛言に、中野の辺の者、夜着を求めてかつぎて臥したる...
「暑乎、寒乎」と問ふ。其人おそれて、「いそぎ旧主に返す」...
石の言しは『春秋伝』に見へたれど、夜着のものいふ例しを聞...
>''「須坂町の怪談」(『信濃毎日新聞』明治四一年<一九〇八...
(抜粋)
新年早々、薄気味の悪き怪談は、上高井郡 須坂町に於て喧し...
同町字春木町の某、過日、字新町の某質商より古蒲団を買入れ...
一夜某の妻おナニが其蒲団を用ひて眠に就きしに、草木も眠る...
其れは神経作用なるべし。今夜は吾れ試みんとて、同夜、其蒲...
不審に堪えず、翌日早々、此蒲団を破りて仔細に改めしに、...
にて包み、中は古 綿 のみにて、しかも親指を切断せる如きも...
且、古綿は悉く血汐に汚れ居るより、其驚き一方ならず。直に...
噂は巷より巷に伝はりて、至る所、寄ると触ると此怪談にて持...
#br
○須坂町の怪談(後報)
別項の如く、容易ならざる怪談の喧伝せらるゝを以て、直に同...
(以下省略)
「須坂町の怪談」は小泉八雲の後の作品(新聞)。文中に現れる...
最終的には同業者の嫉みによる噂ではないかと結論付けられた。
#endregion
***第五講目の内容 鳥取の布団の話② [#e17f1af9]
小泉八雲は廃仏毀釈などの運動に反感を持っていた。
#hr
典拠論は似た話(噂や口承)を沢山集めて比較する。
下記のテクストを比べると新聞と小泉八雲が同じ(あるいは似た...
新聞⇦(元ネタ)⇨小泉八雲
#region(テクストと考察)
''テクストと考察''
>''「不思議の布団」(『静岡民友新聞』大正五年<一九一六>...
富士郡吉原町横町、古着商佐野孫作方にて数日前売渡したる布...
此程、売主、孫作に返却し来たるより、同家では早速布団を解...
血の塊りが綿に染込んで居るので、喫驚仰天、附近の評判とな...
>''「夜々蒲団が物を言う「ぬくかろが〱」と 解いたら黒血の...
県下後月郡出部村(岡山県にあった郡)、七日、市井笠鉄道踏...
佐藤某方では、某所から古蒲団一枚を買入れ、主婦がその夜被 ...
「ヌクカロガ〱と」連りに蒲団が物言ふので、気味悪がり、隣...
青年達は、「文明の世の中にソンナ事があるものか」と冷笑し...
或る夜、該蒲団の中へもぐり込んで試みると、果して夜半にな...
また、主人が「馬鹿なことを言ふな」と小言たら〲その蒲団を...
亦ぞろ、夜中になると、「ヌクカロガ〱」と声がするので気味...
その蒲団は、普通古物としても五円位の相場であるのを一円五...
>''「怪談奇譚(十)兄えさん寒からうと物を言ふ蒲団 可憐な...
震災はいろいろの哀話を生んだが、この冬から春にかけて、虎...
■で云ふ丑三つの午前二時頃の真夜中になると、毎夜、「兄さん...
その労働者は哀れにも神経を病んで、最近黄泉の旅へ行つたと...
#br
布団は主なき後、乞食が拾つて行つたが、■■らず、「兄さん寒...
只今は、深川平久町の埋立地で、ぼろぼろになつて見る影もな...
薄気味悪いこの布団の由来を尋ねると、元は下谷万年町のとあ...
兄が十三、弟が十一の両人で、両親(註:「ふたおや」と読む)...
無情な高利貸に毎日毎夜脅され、下駄の鼻緒の縫ひ賃で僅に得...
済■に努め、喰ふや喰はずの日を送つてゐた中、弟は営養不良の...
兄はいたいけにも可憐な弟の看病の旁、鼻緒の手仕事に精出し...
到底生活の出来やう筈はなく、日に迫る貧苦と戦ひ、一方、且...
弟の顔を見ては生きてゐる心地はない。日を経るに伴れて、彼...
或日、例の如く恐ろしい顔付きで借金取りが来たが、何んと言...
■は一昨年の冬の出来事。両人は著る物もなく、押へられた布団...
その布団が、不思議にも震災で焼けず、労働者の手に渡つて今...
↑震災とは関東大震災のこと。前年の一九二三年九月一日に発生...
>''「奇談怪談(二十三)背中の蒲団が呼ぶ 甲府のだんだら坂...
(抜粋)
山梨県御代咲村に、壮者を凌ぐ元気さと正直で評判の茂助と呼...
御用きゝが渡世で、毎日雨でも風でも甲府市との間を往復して...
晩秋のある日、少し用達にひまどつたと思ふと、釣瓶落としに...
が、馴れた道だし、提灯も持たず、存外安く買込んだ古蒲団を...
(中略)
と、その途端に冷々とした風がスーッと全身を撫でゝ通りすぎ...
ギク!としたものゝ、立停つて反射的に振り返りました。が、...
あたりは真ッ暗です。「気のせゐかなあ」と思つて、また歩き...
「これや可怪しい!」。茂助爺は、きつとなつて振り返ると、...
が、何の反響もなく、暗は大声を吸ひ込んでしまふと、あとは...
すると、今度は直ぐ耳の■で、「待つて下さい……」。さすがの茂...
そして、何んだか背負つてゐる古蒲団の中から、ニユーッと女...
さうなると、もう一歩も前へ進むことが出来ず、思案にあまり...
#br
それからあとは夢中でしたが、古蒲団の包を放り出して逃げて...
すると、若い者等は、我れも我れもと大勢件の坂の上り口へ見...
怪しさうな気配もありませんで、爺さんも安心して件の包を持...
その包から、サラ〱と女の髪の毛が落ちたからです。
さあ大変――わい〱いひながら包を囲んで騒いでゐましたが、や...
と、どうでせう――古蒲団には一めんに血痕がついて居り、女の...
出所を調べますと、その蒲団は、甲府市の△△家のもので、夫が...
女の亡魂――。それは、いまから六年前にあつた事です。茂助爺...
>''「泣きフトン」(『先島朝日新聞』昭和十年<一九三五>三月...
春の夜に踊る怪談!!
竹富村字黒島東筋の西原美屋加夫婦は五歳になる長男があった...
去月のこと、例の布団をかけて夫婦就寝の中に於て、幼児の泣...
ソレヲ見た妻は……可愛相に発狂した。此の布団は那覇の質屋か...
#br
追記。
目下、当地で開演の俳優連が「泣キフトン」買入れの為、去る...
実物に対し、金拾五円と云ふ高値を唱へたりしが、持主は現地...
袋風荘 三月廿二日探知
>''静観房好阿『諸州奇事談』(寛延三年<一七五〇>刊)巻二...
今は昔、東武の去る人の奥に勤ける局 、ある時三つもの売とて...
地は紗綾にて、もやふは空色に蕣の花を縫たる古小袖の絵様 お...
買求て衣桁に懸置けるに。折ふし、傍輩の女中来りけるゆへ、
「かゝるもやうの小袖、古けれと、雛形にもなき絵様のおもし...
各ゑしやくして一間へ行、衣桁に近寄て見れば、かの小袖の両...
野辺の草葉を風の吹さそふことく、ひらり〱とうこきたるを、...
流石にあからさまにもいわれず、やう〱驚きたる胸をおししづ...
「扨〱、よき御小袖にて」と、そこ〱に挨拶して立去りしが、...
局は、かくともしらず、「此小袖、着てみん」と、衣桁より取...
我手より先に、氷りのごとくひやゝかなる白き手、袖口より出...
早速売たる町人をよひて、「あたひ返弁におよはず。此小袖、...
そも〱、此小袖は、ある武士の家にて、密通したる女の成敗せ...
其者の執心、日ころ愛せし小袖に残りとゝまりたるなりけり。...
かゝるけやけき妖怪こそ、希なれ。刑罰・横死の輩 、末期まて...
けがらはしき物におゐて、又此上やあるへきとて、彼家には、...
>''紅葉園主人『怪談旅硯』(寛政三年<一七九一>刊)巻五の...
(省略)
>''宮部みゆき『幻色江戸ごよみ』(初版は、一九九四年、新人...
-第五話「庄助の夜着」(概要)
(内容省略)
-第八話「小袖の手」(概要)
(内容省略)
#endregion
#hr
以下4つは国書刊行会が書籍にしたもの。つまり国益に適うと...
・「不思議の布団」
・「夜々蒲団が物を言う「ぬくかろが〱」と 解いたら黒血の...
・「怪談奇譚(十)兄えさん寒からうと物を言ふ蒲団 可憐な...
・「奇談怪談(二十三)背中の蒲団が呼ぶ 甲府のだんだら坂...
***第六講目の内容 策略① [#x1cdbf63]
気を逸らすことで祟りを避ける伝承。
>''小泉八雲(ラフガディオ・ハーン)「策略」(『怪談』明治...
(要約)
罪人(死刑囚)は殿様に「過ちを犯したのは大馬鹿であるが故で...
人間馬鹿に生れついたからといってそいつを死罪にするのは間...
必ず報いてやる(祟りを起こす)ぞ。」と言った。すると、殿様...
と尋ねて、罪人が肯うと、「首が刎ねられた後、あの飛石に噛...
そして罪人は刎ねられたが、首は転がって行くと見るや、突然...
それで、殿様以外の人々は酷く恐怖し、妄執を抱く亡霊の為の...
殿様は「彼奴の臨終の怨念は恐ろしいものであったが、私が彼...
彼奴はその挑発にのった。私は彼奴の気持ちを復讐からよそへ...
そしてその臨終の際の思いを果した。それ以外のことはもはや...
だからこの件に関してお前等がこれ以上くよくよ心配するには...
実際、死んだ男はそれ以上別になんの祟りもひきおこさなかっ...
>''酷似したもの''
・山崎美成(よししげ)『世事百談』(天保十四年<一八四三>...
・馬場文耕『皿屋舗辨疑録』(宝暦八年<一七五八>序・写)
山崎美成のものは殿様ではなく主人、馬場文耕のものは人切役...
また、馬場文耕のものは峰打ちをし、罪人の気が逸れた瞬間に...
#br
・馬場文耕『皿屋舗辨疑録』(宝暦八年<一七五八>序・写)...
・祐佐『太平百物語』(享保十七年<一七三二>)巻一の四「...
両方とも蛇が女に恋をして付き纏うのを退治する話。同じく気...
祐佐のものは蛇の執着が強くて何度も蘇り、困っていたところ...
***第七講目の内容 策略② [#t0a3d1c2]
>''『多聞院日記』(室町末~江戸初)巻四、天文八年七月の条''
(要約)
少女に蛇がずっとくっついている。殺しても何度も蘇る。
古禅僧が来て、少女に座敷を何遍も歩かした。蛇もその後ろに...
何回か往復した時に禅僧が蛇の尾を踏み、蛇は鎌首を上げて振...
その瞬間に禅僧はふっと摑んで剃刀で殺した。そして「もう蘇...
「臨終の一念は肝要なのだ。この蛇は死に際に瞋恚(怒り)に没...
>似た物語
-小山田与清『松屋筆記』(文化末年(-一八一八)頃~弘化二...
小山田与清(おやまだ ともきよ)は明治の国学者。
-真田増誉『明良洪範』(元禄年間<一六八八〜一七〇四>編か...
曹洞宗を開いた道元和尚を称える内容が含まれる。
-熊沢淡庵『武将感状記』(正徳六年<一七一六>刊)→天文〜...
軍記物である。道元和尚の活躍を載せる。
また、平仮名本『因果物語』(寛文年間<一六六一〜一六七三...
気を逸らして殺さなかったことで祟りが起こったことが描かれ...
***第八講目の内容 ろくろ首① [#a2cbb33f]
#region(テクスト)
''テクスト''
>''[[小泉八雲(ラフガディオ・ハーン)「ろくろ首」>https:/...
武士だった磯貝武連が出家して僧「囘龍(回龍)」となり、諸国...
深夜に目を覚ますと、その場にいた五人の体には胴体しかなく...
彼らが夜になると首を飛ばして獲物を探す「ろくろ首」だと悟...
ろくろ首たちが首を離して飛び回っている間に彼らの胴体を家...
首たちが戻ってきて胴体がないことに気づくと、回龍に襲い掛...
回龍はもと武士であり、勇敢かつ怪力で、手近な若木を引き抜...
四つの首は逃げ去ったが、主人である木こりの首だけは激しく...
回龍は、その首を何度も殴りつけたが、首は袖から離れず、や...
しかし、その歯は固く袖に食いついたままで、回龍の力をもっ...
#br
夜が明けると、隠した胴体と逃げ去った四つの首は忽然と姿を...
信州諏訪の町に入ると、「生首を袖につけた僧侶がいる」と噂...
役人たちは、その首を回龍が殺した人間の首だと考え、公然と...
回龍は微笑んでいるだけで何も答えなかったが、翌日役人の前...
その場にいた一人の老人が、それは珍しいろくろ首の仕業だと...
また、回龍が武士時代の名を明かすと、その名声を知る人々が...
#br
袖の首を元の小屋に戻し、他の身体と一緒に葬ろうと決めた回...
回龍がこの首はろくろ首だと説明すると、追いはぎは「それは...
その後、ろくろ首の首であると気づき、恐怖に駆られた追いは...
追いはぎは首を小屋の後ろの茂みに埋めて塚を築いた。これが...
>''十返舎一九『怪物輿論』(享和三年<一八〇三>刊)巻四の...
(抜粋なし)
#endregion
#hr
小泉八雲の「ろくろ首」と比較すると、小泉八雲のは風景の描...
(例:「美しい晩でした。空には一点の雲もなく、風もなく、...
#br
また、十返舎一九の内容を見てみると、武勇の称賛が主である...
小泉八雲は上記の要素を取り除いて不思議な話にまとめた。
十返舎一九は古い書物で表記方法も読み方も難解である。外人...
果たして、妻のセツは八雲の代わりに読めたのか。更に言えば...
#region(「ろくろ首」の種類)
''「ろくろ首」の種類''
ろくろ首は元々、首が離れて飛ぶ種類が主だったが、歌舞伎や...
これはぱっと見て首が離れる怪異だと判るようにする必要があ...
|飛頭型|頭が胴体から完全に分離した状態で、頭の部分が飛行...
|筋首型|筋のようなもので頭と胴体が繋がっているもの。|
|首長型|伸縮する首で頭と胴体が繋がっているもの。|
参照:横山泰子「近世文化における轆轤首の形状について」(...
#endregion
***第九講目の内容 ろくろ首② [#w8044242]
#region(テクストと考察)
''テクストと考察''
>''寺島良安『和漢三才図会』(正徳二年<一七一二>刊)巻十...
三才図会に云はく、大闍婆国の中、頭を飛ばす者有り。其の人...
其の俗に、祠る所、名づけて虫落と曰ふ。因りて、落民と号す。
漢の武帝の時、因■[忄+尸+辛]国、南方に使ひす。解形の民...
左の手は東海に飛び、右の手は西沢に飛ぶ。暮に至りて、頭、...
(以下省略)
→『斉諧俗談』(宝暦八年<一七五八>刊)巻三「飛頭蛮」は、...
>''「不思議の境(五十)悪剣「籠釣瓶の怪」(『東京毎日新聞...
*次号の末尾に、「悪剣籠釣瓶の怪」は、「轆轤首の怪」の誤...
九州菊池氏の臣に、磯貝平太衛在門武行と云ふ人がゐた。永享...
討死し果てた中に、武芸傑れた彼は、只一人生存つた。
そして、自ら髪を剃つて、怪龍入道と称し、日本全国を跨 に掛...
(以下省略)
>''「不思議の境(五十一)轆轤首の怪(二)」(『東京毎日新...
こりや、お化けの幻影か、さもなくば話にのみ聞いた轆轤首の...
&color(Red){捜神記};に、若し、頭のない轆轤首を見つけて、...
その頭は決して二度と首に密着かないし、その又頭が帰つて来...
三度まで床へ打つかつて、鈴のやうに転がりながら非常に憤ほ...
こりや轆轤首で、私に祟るぢやないか、それなら衲は捜神記の...
(以下省略)
>''「不思議の境(五十二)白洲で轆轤首の詮議」(『東京毎日...
(内容省略)
>''「不思議の境(五十三)轆轤首を五両に売る」(『東京毎日...
(内容省略)
↑『東京毎日新聞』のは小泉八雲の轆轤首を語り直したもの。
>''「涼台夜話 ろくろ首考」(『福島民報』昭和八年<一九三...
「信州にある伝記」
この話は、非常に興味があるが、余り長くなるので控えるか。
怪童といふ坊さんの話で、一家五人、揃ひも揃つてロクロ首の...
&color(Red){捜神記};に記されてゐるロクロ首の條に、首のな...
悲憤して、床に自らを打ちつけて苦悶し、遂に死ぬものだ、と...
怪童は、それを想ひ出して実行した所、五つのロクロが怒つて...
仕方なしに、このまゝ歩いて信州の諏訪まで来が、人殺しと間...
役人の長老が、一つの考証を述べる。
即ち、ロクロ首は唯の人殺しと違つて、切れ口がすべすべして...
局面一転して、彼は拝領ものまでして、又々旅に出る。
……◆……
今度は強盗に出合ふが、強盗氏が彼の勇胆に舌を巻いて、自分...
強盗氏は、諏訪の町へ来て、怪童の話を聞き、ロクロ首だとい...
恐ろしくなつて、元の山中の胴体の所へ持つて行つて、共に葬...
&color(Red){甲州の山奥の話であるといふが、伝説としては信...
→轆轤首に関する概説と、四話の轆轤首譚を掲載する。
「甲州の山奥の話であるといふが、伝説としては信州の方に広...
新たな伝承が創り出されたもの。
#endregion
***第十講目の内容 因果話① [#pb18678a]
これらは後妻打ちの変種だろうか?
#region(テクスト)
''テクスト''
>''小泉八雲「因果話」(『霊の日本』、明治三十二年<一八九...
(要約)
ある大名がの奥方が、死の床に伏していました。本人も死期を...
文政十年の秋口から、ずっと床についたままで、やがて文政十...
奥方は庭の桜木や春の喜びに思いをはせていました。子どもた...
愛しい妻に向かい、大名はを死後の供養をしっかりすることな...
奥方は、目を閉じたまま、蚊の鳴くような声で言いました。
「もったいないお言葉を頂戴し、まことにかたじけのうござい...
……おおせの通り、三年の長きにわたり病の床に伏しております...
……もはや迷うこともなく、死出の旅路へ立つばかりでございま...
この期に及んで、些事にとらわれてはならぬと存じますが、最...
わたくしは、あの娘を妹のようにいつくしんで参りました。で...
#br
お召しをうけた雪子は、命令通り、奥方の床の傍らにひざまず...
「ああ、雪子、よく来てくれました。……嬉しいこと……わたくし...
……雪子、わたくしはもう長くありません。
殿には、万端つつがなくお仕え申し上げるのですよ。わたくし...
……末長く、殿のご寵愛を得られるよう、お努めなさい。ええ、...
……くれぐれも、殿のことをお願いします。ほかのおなごにご寵...
…あなたにこれだけは言っておきたかったのです……分かりました...
雪子は、答えて言いました。
「貧しく卑しい出のわたくしが、殿のご正室になど、めっそう...
「お黙りなさい」
奥方はかすれ声で、雪子の言葉を制しました。
「&color(Red){うわべをつくろうばかりの話を、取り交わして...
&color(Red){お互い本心だけでお話をしましょう。わたくしが...
「……ああ、忘れるところだった。そなたにお願いがあったので...
おととし、大和の吉野山から運ばせたあの木が、今ちょうど満...
あの八重桜が花を付けたところを、是非とも見たいのです。も...
その前にどうしても、あの木を見ておきたいのです。
お願い、庭に連れていって。雪子、今すぐに――桜が見えるよう…...
#br
雪子が奥方を桜が見えるところに連れて行くために背負う時、
奥方は人間業とは思えぬほどの力をふりしぼって起き上がり、...
けれども、立ち上がるやいなや、やせ細った手を雪子の肩口か...
「ついにやった!
望み通り、桜の花を手に入れた。――庭の桜より、こなたの桜
(日本の詩文では、女性の身体的な美しさを桜に譬える。それ...
に心が残り、死ぬに死ねずにいたのだ。これでやっと望みがか...
奥方はこう叫ぶなり、目の前で腰をかがめている雪子の背に倒...
お付きの者たちが、直ちに雪子の肩から奥方の体を引き離し、...
ところが、不思議なことに、奥方の手が雪子の胸にくっついた...
#br
雪子の両の乳房にしっかりと食い込んでしまっており、無理に...
指が食い込んでいるためというより、手のひら全体が、乳房の...
#br
雪子の乳房から奥方の手をそぎ落とそうとするのは、危険きわ...
そこで診立てどおり、奥方の手首のところから切断されました。
それでも、ふたつの手は胸に張りついたまま、やがて黒ずみ、...
#br
雪子の胸に張り付いた奥方の双の手は、血が通わず、萎びたよ...
さらに夜ごと、決まって丑の刻になると、乳房をぎゅうぎゅう...
#br
雪子は髪を落とし、「脱雪」という法名に改めて、托鉢の尼に...
亡き奥方の戒名を記した位牌を作らせ、肌身離さず携えて、諸...
そして、来る日も来る日も、位牌の前で畏まり、亡者に許しを...
しかし、これほどの責苦をもって報いる悪因縁が、そう簡単に...
夜ごと丑の刻になると、両の手が、尼脱雪を苛み続け、十七年...
尼脱雪が最後にその話をしたのは、下野の国(現在の栃木県)...
一夜の宿を乞うたときのことだと伝えられております。それは...
そののち、尼脱雪の消息はふつりと途絶えてしまいました。
>''『百物語』(明治二十七年<一八九四>、扶桑堂刊)''
第十四席 松林伯円(二世松林伯円(一八三二―一九〇五)。講...
#br
諸君のお咄は実録にて、しかも面白い事計り。その中へ小生の...
これは全くの事実にて、いささかも小生が見て来たような虚で...
(以下省略)
#endregion
>''考察''
小泉八雲「因果話」の元ネタは『百物語』であろう。
「日本の詩文では、女性の身体的な美しさを桜に譬える。それ...
小泉八雲のでは「あまたいる側室」となっているが、『百物語...
#br
うわべをつくろうばかりの話を、取り交わしているときではな...
お互い本心だけでお話をしましょう。わたくしが死ねば、そな...
という部分は全て嘘だった。この後、雪子は遠慮するようなこ...
因みに、元ネタにはこの部分はない。
#br
『百物語』では、嫉妬は憚るべしという儒教的な説教が挿入さ...
***第十一講目の内容 因果話② [#o422268a]
#region(テクスト)
>''根岸鎮衛『耳囊』(天明~文化<一七八一~一八一八>写)...
文化巳の年(一八〇九年。)の春、&color(Red){親友の来りて...
(以下省略)
※つまり、友人の知り合いの話
>''片仮名本『因果物語』(寛文元年<一六六二>刊)&br;巻上...
(抜粋)
さて作兵衛、伏せりたる処を、彼の女房、来たりて首を締む。...
度々首をしめけるに依つて、様々に弔ひ祈りけれども叶はず。...
作兵衛、畏ぢ恐れて、此彼に宿を替えけるに、結句作兵衛より...
何ともせん方なく、作兵衛煩ひ付き終に死去する也。其の子、...
>''西村市郎右衛門(未達)『新御伽婢子』(天和三年<一六八...
(抜粋)
彼の亡者、りんがくびを引きぬき、たぶさをつかみ指し上げ、...
後々、此の子細を聞くに、亭主、此の召しつかひのりんに目を...
其の思ひに煩ひて、むなしく成りし罪障、なほ残りて、死後に...
#endregion
>''考察''
儒仏の教えでは、嫉妬は家の乱れに繋がり、やがて地域の乱れ...
#br
女の怨みは、男に向かず、女に向かいやすい。
片仮名本『因果物語』では「作兵衛に恨み有る」と言いつつ、...
また、片仮名本『因果物語』にはタクシー怪談の原型と見られ...
***第十二講目の内容 幽霊滝の伝説① [#mc7a2b19]
#region(テクスト)
''テクスト''
>''[[小泉八雲(ラフガディオ・ハーン)「幽霊滝の伝説」(『...
(要約)
明治の頃、鳥取県の黒坂に小さな麻取り場があった。ある冬の...
話に興が乗るに連れて肝試しをしようということになり、黒坂...
ところが誰も尻込みして名乗り出ようとしない。そこで賽銭箱...
するとお勝という気の強い女が肝試しに名乗り出た。
#br
お勝は赤児を半纏にくるんでおぶり、幽霊滝へと向かった。
冬の晴れて凍えるような夜空の下、山道を歩いて幽霊滝までや...
お勝が賽銭箱に手を伸ばすと「おい、お勝さん!」と咎めるよう...
お勝は恐怖に立ちすくみながらも賽銭箱を取ると、またしても...
#br
お勝は後も見ずに走り去り、暗い道を駆けに駆けて麻取り場ま...
お勝の勇気をたたえる声がわき上がった。ほっとしたお勝が赤...
>''平垣霜月「幽霊滝」(『文藝倶楽部』七巻十一号、博文館、...
出雲の隣国の伯耆に黒坂と云ふ町がある。此黒坂町は、我が住...
此町はづれに一條の滝が有る。此滝は、昔から幽霊が出ると言...
此滝の側に、滝大明神と云ふ社が有る。此滝大明神には、二歳...
#br
夫れには少々由来があることで、其を探ねると、明治の初頃(...
或冬の夜、寒いものだから、皆休息しようと云ふので、爐の周...
ところが、中の一人の女が云ふには、「今夜、あの幽霊滝へ行...
退屈まぎれに言ふと、皆の者が賛成した。他の者が言つた麻を...
大工の女房が、「それじや私しが行かう」と云つて、其年に二...
後に残つた者は、彼の女の欲よりは、むしろ其剛胆に驚いた。
#br
やがて、かの大工の女房は、町はづれの幽霊滝の上にある滝大...
其幽霊滝の中から、「ヲイ、おかッさん、いかッサン」と呼ん...
何程剛胆な女と雖も、少しは恐れた様子にて、一生懸命にサイ...
(以下省略)
※「おかッさん」とは他人の女房を指す方言。「奥様」の訛りか。
>''鳥取の口碑伝承「龍王滝の伝説 天狗の話」''
ある夜のこと、中菅村の女たちが麻取場に集まって、「お」を...
世間話に花が咲き、やがて話題がとぎれた頃、誰言うとはなし...
「あの滝山神社には天狗が住んでいて、子供の首を取ってしま...
もし行って来れば、「お」をみんな与えるのにな」と、ある女...
誰もが冗談半分のことと聞き流していたが、中菅村に嫁いだば...
「昼でも暗いあの参道を、若い女が一人で出掛けて来るって?」
この肝試しを言い出した女が、冗談まじりに言った。誰も若嫁...
だが、若嫁は二才になったばかりの赤児を背負うと、麻取場を...
(中略)
随身門の所まで帰って来た時のこと、いきなり頭の上から大き...
「何がおかしい」賽銭箱を取ったことを笑われたと思い、若嫁...
すると、天狗が「首の無い赤児を背負っておかしいわ」と答え...
#br
※「お」とは、アサの古名、またはアサ,カラムシの茎の周辺部...
>''『諸国百物語』(延宝五年<一六七七>刊)巻三の二十「賭...
(要約)
紀州のある里に、侍が五、六人集まって話していた。
ある者が「その里より半里ばかり行きて、山際に宮あり。宮の...
まま誰にてもあれ、此の川へ今宵行きて、死人の指を切り来た...
集まった侍の中に欲の深い臆病者がいて、「それがし参らん」...
しかし、臆病者なので結局、代わりに妻が行くことになった。
(以下省略)
>''「Bonさんのひとこと(「幽霊滝の伝説」の項)」)''
八雲は、一八九二年夏の隠岐旅行の帰路、日野町を通過してい...
『文藝倶楽部』第七巻十一号掲載の平垣霜月著「幽霊瀧」から...
原話と明らかに異なるのは、主人公に安本お勝という固有名詞...
原話では幽霊滝の中から「ヲイおかッさん」と呼ばれるのです...
いまでも出雲地方では「おかッつぁん」という言い方がその意...
わが子の首をもぎ取られたお勝の涙が池となり「お勝の池」と...
滝山神社は黒坂町菅地区の氏神で、県境の峠を越えた岡山県新...
「滝山に二歳の子を連れて行くと首をとられる」という伝承も...
#br
地元日野町では、二〇一五年にこの怪談を活かした種々の記念...
*小泉凡『小泉八雲の怪談づくし』(八雲会、二〇二一年)に...
#endregion
>''考察''
小泉八雲の曾孫であるBonさんの記事にもある通り、『文藝...
#br
小泉八雲の『幽霊滝』では、中菅が黒坂になり、滝山神社から...
「龍王滝の奥に奥院中滝と奥院仙人滝のふたつの滝があって、...
その天狗のことを小泉八雲は幽霊と解釈したようです」
郷土史家 森恵弘 氏 談
***第十三講目の内容 幽霊滝の伝説② [#b23e2b2d]
首を失った赤子。怪異の仕業らしい。でも本当にそうだろうか?
母親が我が子を殺した、としたらどうだろうか。八雲と八雲の...
#region(テクスト)
''テクスト''
>''『諸国百物語』(延宝五年<一六七七>刊)巻一の九「京東...
(要約)
片輪車という化け物が東洞院通を夜な夜な往来するので、日暮...
ある女が見たいと思い、店格子の内から通りを窺っていると、...
片輪車は人間みたいに「いかにそれなる女房、われを見んより...
引き裂かれた腿は三歳になる我が子のものであった。
女の身とて、あまりに物を見んとする故也。
#br
※片輪車とは器物の妖怪の一種。この話とは別に、「引く人もな...
>''『諸国百物語』(延宝五年<一六七七>刊)巻三の一「伊賀...
伊賀の国に里遠き山に堂あり。この堂に化け物ありて、七つ過...
若き侍四、五人よりあひて、「誰か此うちに、かの堂へ行きて...
そのなかに、歳三十二、三なる若者一人、すくと出て、「それ...
#br
(中略。題名の通り、座頭(僧形の盲人)に化けた天狗に騙されて...
#br
その時、かの若者も気を失ひて死に入りけるが、夜もやう〱明...
やがて、呼び活け、気つけを飲ませなどして、やう〱蘇り、さ...
件の腰の物、三腰ながら五、六町ほどかたはらの杉の木の枝に...
かの若者、あまりに武辺に高慢せしゆへに、天狗のなすわざに...
その後、かの若者も心うつけて、気違いのやうになりしと、そ...
#br
※「死ぬ」とは、ここでは気を失うこと。
>''「お勝の池」(岡山県阿哲郡神郷町下神代門前の千原美屋野...
*大島廣志「「雪おんな」伝承論」(大島廣志『民話――伝承の...
大昔のことで、いまの時代とは違い、藁仕事で収入を得ており...
ある晩のこと、一人の女が、「今晩の仕事がすんだら、誰か滝...
持って帰った人に、今晩のお金を全部あげることにしょうでは...
日南町(鳥取県)黒坂の滝さんは、山の中で大変淋しいところ...
ところが、お勝という女が、二歳になる子を連れていたが、「...
仲良しの人が止めるのも聞かず、子どもをおぶって谷川のほと...
谷の水音がなんともいえない淋しい神社にたどり着き、賽銭箱...
「お勝さん偉い、偉い」と大変ほめたそうだが、お勝さんの背...
「お勝さん、子どもの首がない、首がない」と騒ぎだした。お...
お勝は真っ青になって震えだし、なんとしたことだろうと泣き...
それからもお勝さんは泣くことが止まらず、泣いた涙で池がで...
涙でできたお勝の池と名が付いた。それから二歳子はお宮に連...
>''大島廣志「若者たちのこ・わ・い話――その五」''
*大島廣志『民話――伝承の現実』、三弥井書店、二〇〇七年。...
ある夏の夜、子どもたちはお寺に集まった。裏のお墓で肝だめ...
からだ。十人ほど集まると、一番上の子がいった。「みんな恐...
「恐い、恐い」「恐くない、恐くない」静まったお寺の中に子...
また、一番年上の子が言った。
「オレは、今日の朝、父さんから一万円をもらった。それを昼...
今から順番を決めて、肝だめしをやって、そのビンを持ってき...
子どもたちがくじを作っていると、一人の女がフラフラとやっ...
「さっきあそこであなたたちの話を聞いていたのだけれど、ど...
子どもたちはその女を見て、なんだかたいそう気の毒になり、...
くじ引きをした。すると一番はその女だった。女は少し微笑ん...
女が行こうとしたとき、一番年上の子が女にカマを渡した。..
「何かあるといけないから、持って行きな」
女は暗い暗いお墓の中をフラフラ歩いて行った。
蛙が薄気味悪く鳴いている。手に持っているろうそくの明かり...
しかし女は恐ろしさをこらえて歩いて行った。
しばらく行くと、一番奥の大きな石が見えてきた。女は石の前...
女は喜んでもどろうとした。そのとき女の首に冷たい人間の手...
「ギャー」
女は走った。走って走って苦しくなった。すると今度は髪の毛...
「ヒーッ」
女はまた走った。だがその手は髪の毛をしっかりつかんで離さ...
「ザクッ」
という音とともに手は離れた。
「帰ってきたぞー」
女は冷や汗でびっしょりになりながら息を切らせてもどってき...
「おばさん、大丈夫かい」
「ああ、ほら、とってきたよ。一万円もらっていいかい」
そのとき、一人が悲鳴をあげた。
「おばさん、背中がまっかだよ。まっかっかだよ」
女は落ちないように必死でしがみついていた自分の子をカマで...
>''稲川淳二「八王子の首なし地蔵 お地蔵さんの祟り」''
#youtube(https://www.youtube.com/watch?v=1iVV_P4qK-k)
#endregion
>''考察''
「お勝の池」(千原美屋野の談)の「二歳子はお宮に連れて行...
「涙でできたお勝の池と名が付いた」という部分(由来譚)は、...
#br
『諸国百物語』「伊賀の国にて天狗座頭にばけたる事」は高慢...
前回の講義に、幽霊滝とこの伝承が合わさったような話が出た。
#br
賭け事や肝試しの果てに怪異が現れるというテンプレート。
賭け事の結果として痛い目を見るのは大抵、女である。
『諸国百物語』「京東洞院、かたわ車の事」に「女の身とて、...
***第十四講目の内容 [#l7613d31]
振り返り
***第十五講目の内容 [#m2a0ec3d]
試験。紙媒体を持ち込み可能。学生証持参。
#br
-問
小泉八雲の下記作品(【対象作品】)の中から1話とりあげて、江...
とりあげた八雲作品の特徴や魅力に関する自身の考えを述べな...
(必ず江戸時代の文学作品は1話以上とりあげて、比較対象とす...
-対象作品
「葬られた秘密」・「鳥取の布団の話」・「策略」・「ろくろ...
比較対象とする資料の情報や性質の例:一夕散人『臥遊奇談』(...
以下の解答例を参照して、対象・特徴(魅力)を、【 】も記し...
-解答例
【対象】 水飴を買う女
【特徴(魅力)】
本話は、亡くなった母親が幽霊となって夜毎に水飴を買い求め...
本話の原拠は、中国・南宋時代の『夷堅志』所収の一話と考え...
原拠では、亡母が児に与える物が水餅ということになっている...
ここで着目しておきたいのは、日本における初出と考えられる...
}}
*コメント [#comment]
#pcomment(,reply,20,)
終了行:
#include(日本文学史・日本文学講義項目,notitle)
#contents
|BGCOLOR(#555):COLOR(White):200|520|c
|BGCOLOR(#fc2):COLOR(Black):''分類''|''国文学科選択必修/...
|区分|[[国文学科]]科目|
|履修形態|一般(人数過多の場合は抽選)|
|履修条件|二年生以上|
|単位数|2|
|講師|[[門脇大]]|
|学位等|文理学部(学士(文学))|
*概要 [#Gaiyou]
明治時代に日本にやってきた小泉八雲(ラフガディオ・ハーン...
それらは口碑伝承として伝わるとともに、江戸怪談にルーツを...
異国から来た八雲の目を通して江戸怪談を読み直すことによっ...
#br
毎回、Canvas LMSで授業に関するあれこれを授業資料に沿って...
&color(Red){提出可能時間は30分であるので出し忘れに要注意...
また、期末試験がある。
#br
この科目は文理学部(学士(文学))のディプロマポリシーDP1...
*講師の印象 [#Inshou]
親しみやすい。
//時々、ギャグを挟む。
*令和七年度(2025年度) [#h81d5434]
後期のみ開講。授業内容は毎年変えるらしいので参考程度に。
//人工知能対策で期末試験への持ち込みは不可。ただし、第十...
#style(class=submenuheader){{
**後期 [#wd7538bd]
}}
#style(class=submenu){{
|BGCOLOR(#555):COLOR(White):200|520|c
|BGCOLOR(#fc2):COLOR(Black):授業形態|対面授業/遠隔授業|
|日程/教室|水曜日 四限目/412教室(四号館一階二番教室)|
***第一講目の内容 [#l17a1291]
#region(小泉八雲略年譜)
>''小泉八雲略年譜''
-%%%一八五〇年(嘉永三年)%%%
六月二十七日、ギリシャのイオニア諸島のひとつ、レフカス島...
パトリキオ・ラフガディオ・ハーンと名づけられた。
-%%%一八五四年(安政元年) 四歳%%%
父はクリミア戦争に出征。八月、弟ジェームズ生まれる。母は...
-%%%一八五七年(安政四年) 七歳%%%
父母離婚。
-%%%一八六六年(慶応二年) 十六歳%%%
ジャイアント・ストライドという遊戯中に左目を強打し、失明...
父がインド熱にかかり、スエズで死亡。
-%%%一八六七年(慶応三年) 十七歳%%%
十月、大叔母が破産したため、ウショー校を中退。
-%%%一八六九年(明治二年) 十九歳%%%
単身アメリカに渡り、職を転々とする。
-%%%一八七四年(明治七年) 二十四歳%%%
日刊新聞『シンシナティ・インクワイヤラー』紙の記者となる。
-%%%一八七五年(明治八年) 二十五歳%%%
黒人との混血女性、マルシア・フォリーとの同棲生活が原因で...
-%%%一八八四年(明治十七年) 三十四歳%%%
処女再話集『異文学遺聞』出版。ニューオーリンズ百年祭記念...
→日本に興味を持ったか。
-%%%一八八七年(明治二十年) 三十七歳%%%
第二再話集『中国怪異集』出版。西インド諸島のマルティニー...
-%%%一八九〇年(明治二十三年) 四十歳%%%
三月、バンクーバーから汽船で横浜に向かい、四月四日、横浜...
十二月、教頭西田千太郎の媒酌で、小泉セツと結婚。
-%%%一八九一年(明治二十四年) 四十一歳%%%
十一月、熊本の第五高等中学校に転任。
-%%%一八九二年(明治二十五年) 四十二歳%%%
アトランティック・マンスリーに『見知らぬ日本の面影』を連...
-%%%一八九三年(明治二十六年) 四十三歳%%%
十一月、長男の一雄が生まれる。
-%%%一八九四年(明治二十七年) 四十四歳%%%
ハーンの日本に関する最初の著書『知られぬ日本の面影』全二...
-%%%一八九五年(明治二十八年) 四十五歳%%%
二月、眼病のためクロニクル社を退社。九月、『東の国から』...
-%%%一八九六年(明治二十九年) 四十六歳%%%
二月、帰化が認められ&color(Red){小泉八雲};と改名。三月、...
-%%%一八九七年(明治三十年) 四十七歳%%%
二月、二男の巌生まれる。三月、松江以来、公私にわたり力と...
-%%%一九〇二年(明治三十五年) 五十二歳%%%
三月、西大久保の新居に移る。『日本お伽噺』を東京で出版。...
-%%%一九〇三年(明治三十六年)五十三歳%%%
一月、東京帝国大学文科学長井上哲次郎の名で、解雇通知を受...
九月、長女の寿々子生まれる。
→ハーンの後任はかの夏目漱石であり、漱石は小泉八雲の後は恐...
-%%%一九〇四年(明治三十七年) 五十四歳%%%
三月、早稲田大学文学部に出講する。四月、『怪談』を出版。...
#endregion
#hr
#region(小泉八雲の語り)
''小泉八雲の語り''
>''小泉八雲「神々の国の首都」(『知られぬ日本の面影』、一...
(抜粋)
'''松江の一日は、寝ている私の耳の下から、ゆっくりと大きく...
'''柔らかく、鈍い、何かを打ちつけるような大きな響きだ。'''
'''その間の規則正しさといい、包みこんだような音の深さとい...
'''その響きの伝わり方は、まるで心臓の鼓動を聴いているかの...
#br
→松江について、視覚ではなく聴覚で描写している。片目が見え...
>''小泉節子「思い出の記」(日本での初出は、一九一四年)&b...
(抜粋)
'''私が昔話をヘルンに致します時には、いつも始めにその話の...
'''それから委しく話せと申します。それから幾度となく話させ...
'''私が本を見ながら話しますと「本を見る、いけません。ただ...
'''自分の物にしてしまっていなければなりませんから、夢にま...
#br
→小泉八雲は口伝えを重要視していた。
#endregion
#region(小泉八雲と雪女)
''小泉八雲と雪女''
人を取り殺すといったストーリー性のある『雪女』は小泉八雲...
>''『小泉八雲事典』(恒文社、二〇〇〇年)、「雪女」の項(...
『怪談』所収。茂作 と巳之吉 という二人の樵 が、ある冬の晩...
#br
「雪女」をめぐる、もうひとつ興味深い問題は、その原話との...
>''小泉八雲『怪談』「序文」(明治三十七年<一九〇七>)[小...
「雪おんな」という奇談は、西多摩郡調布村のある百姓が、土...
>''ラフガディオ・ハーン「幽霊とお化け」(『知られぬ日本の...
(抜粋)
朝方、雪が激しく降っていたが、夜には空も冴え渡り、しー...
一歩進むたびに、凍り付いた雪が、足下でサクサクと心地好い...
「さあ、いかがなものでしょう」と金十郎が答えた。
「私が存じ上げない神様だって、たくさんいます。神様の名前...
「雪女って?」
「雪の中にいて、いろんな顔に変化する、真っ白けの女のこと...
昼間は、ぬーっと顔をつき出して、一人旅の者など をおどかし...
でも、時々、夜になると立ち上がり、立ち木よりも大きくなる...
そして、しばらくあたりを見回していたかと思うと、やがて吹...
「顔つきはどんなかね?」
「真っ白で、やたらに大きい顔をしてますが、とてもさびしそ...
(金十郎はここで「さびしそうな」という言葉を使っているが...
「今まで見たことあるのかい、金十郎」
「いや、まだございません。でも、親父ががきの時分に見たと...
なんでも雪の中を近所の遊び仲間の家に向かう途中、大きな白...
親父は怖くなって大声を上げて、逃げ帰って来たそうです。家...
それで、これは雪女の仕業だと合点したそうです」
「今でも、雪女をみかけるのかね」
「ええ、大寒と呼ばれる一年で一番寒い時分に、藪村にお参り...
#endregion
#hr
小泉八雲の語りの一つに母の幽霊が飴を買って赤子に食わせる...
そこに記された「愛は死よりも強し」という言葉はロマンスで...
***第二講目の内容 葬られた秘密① [#c238df2d]
小泉八雲は古典作品を再話した。古典の内容と何が異なってい...
>''小泉八雲(ラフガディオ・ハーン)「葬られた秘密」(『怪...
(要約)
昔、丹波国に稲村屋善助というお金持の商人が住んでいた。善...
娘は父が家族ぐるみでつきあっていた友人で長良屋という者と...
二人の間には男の子も一人生れた。だがお園は病気にかかり、...
お園の葬式をすませた日の夜、亡くなったはずのお園が衣裳や...
死人が自分の持物に執着するのは良くあることで、解決するに...
故に遺族はお園の衣裳道具を禅宗の菩提寺に納めた。しかし、...
お園の幽霊と対面した和尚は、幽霊の未練が抽出しに隠されて...
和尚は手紙を他の人に見せずに焼き捨てると約束して未練を晴...
>''古典との比較''
-吉文字屋市兵衛『新選百物語』(明和五年<一七六八>刊)巻...
--説教臭い。儒教的思想。
--一通の恋文ではなく、数十通の不義(密通)の手紙が見つかる。
--寺の宣伝の要素「大元和尚の宗弟の物語りぞと聞きおよぶ」→...
-根岸鎮衛『耳袋』(天明~文化<一七八一〜一八一八>写)巻...
--寺の宣伝の要素が強い。「祐天大僧正は、その徳いちじるき...
--「艶書おびただしくありし」
***第三講目の内容 葬られた秘密② [#l6d3ba03]
>''初代悟道軒圓玉「執念の恋文」&br;(『神戸新聞』昭和十年...
*湯本豪一編『昭和戦前期怪異妖怪記事資料集成』(国書刊行...
「佐藤と云ふ人から寄せた恋文があつた。これを主人に見せた...
>''『諸国百物語』(延宝五年<一六七七>刊)巻三の十九「艶...
(要約)
「婦人の翫ぶ水牛にて造れるはり形といふ具」(ディルド)が長...
川に流したら治まった。
>''堤邦彦「幽霊の遺念――僧侶必携マニュアル」(堤邦彦『女霊...
『新選百物語』と『耳嚢』所収話をとりあげて、後者を「累 ...
以下のように本話の背景を推測する。
文化十一年(一八一四)の編述とされる『耳嚢』の一話をもっ...
従来の典拠論的な見方からいえば、たしかに無理があるかもし...
一方、遺念のこもる品を処分する呪法が、近世の僧坊、例えば...
(中略)
堤邦彦氏は講師の師匠に当たる人らしい。
#br
こうした伝承は浮世草子→耳袋→八雲という風に伝播したと思わ...
***第四講目の内容 鳥取の布団の話① [#mb095361]
比較すると、話の変わり方が判る。
#region(テクストと考察)
''テクストと考察''
>''鳥取の布団の話&br;小泉八雲(ラフガディオ・ハーン)「日...
註釈:海外向けの出版だったので元々は外国語で書かれていた。
(要約)
鳥取の町に小さな宿屋が開業し、1人の旅商人男性が初めての客...
ところが、深夜ふとんの中から「あにさん寒かろう」「おまえ...
その訴えを主人は相手にしなかったが、その後も宿泊客がある...
ふとんを購入した古道具屋に宿屋主人が事情を訊くと次のよう...
#br
そのふとんは、鳥取の町はずれにある小さな貸屋の家主から古...
その貸屋には、貧しい夫婦と2人の幼い兄弟が住んでいたが、兄...
両親が遺した家財道具・着物を兄弟は売り払いながら何とか暮...
大寒の日、兄弟はふとんにくるまり「あにさん寒かろう」「お...
#br
やがて冷酷な家主がやってきて、家賃の代わりに最後のふとん...
兄弟は行くあてもなく、少しでも雪をしのごうと、追い出され...
神様は2人の体に新しい真っ白なふとんをかけておやりになった...
兄弟を哀れに思った宿屋主人は、ふとんを寺へ持参して、かわ...
>''「セツが八雲にアイデア 怪談「鳥取のふとんの話」市内講...
*「山陰中央新報デジタル」(https://www.sanin-chuo.co.jp/...
小泉八雲記念館(松江市奥谷町)の小泉凡館長が10日、鳥取...
雲の怪談「鳥取のふとんの話」のアイデアを提供したのは、八...
八雲が良き補佐役としてセツの才能を見いだした逸話だとした...
小泉館長は、八雲とセツの長男が「セツが伝えた」と語ってい...
別の記述で、セツのことを「ある女」と伏せていた例もあると...
>''根岸鎮衛『耳袋』(天明~文化<一七八一から一八一八>写...
(要約)
冬になったので夏の頃に質へ預けていた布団を出した。しかし...
大に驚て質屋へ向かい、このことを伝えたが、原因らしい事柄...
何が原因かと考えていると、ふと、修験者が手の内(乞食などに...
いい加減に対応したことを思い出した。
きっとそれが原因だろうから修験者がまた来たら施しをしよう...
そして、また来た時に施しといい加減に対応したことの詫びを...
>''大田南畝『半日閑話』(成立年未詳)巻十三「中野の訛言」...
(抜粋)
此頃の訛言に、中野の辺の者、夜着を求めてかつぎて臥したる...
「暑乎、寒乎」と問ふ。其人おそれて、「いそぎ旧主に返す」...
石の言しは『春秋伝』に見へたれど、夜着のものいふ例しを聞...
>''「須坂町の怪談」(『信濃毎日新聞』明治四一年<一九〇八...
(抜粋)
新年早々、薄気味の悪き怪談は、上高井郡 須坂町に於て喧し...
同町字春木町の某、過日、字新町の某質商より古蒲団を買入れ...
一夜某の妻おナニが其蒲団を用ひて眠に就きしに、草木も眠る...
其れは神経作用なるべし。今夜は吾れ試みんとて、同夜、其蒲...
不審に堪えず、翌日早々、此蒲団を破りて仔細に改めしに、...
にて包み、中は古 綿 のみにて、しかも親指を切断せる如きも...
且、古綿は悉く血汐に汚れ居るより、其驚き一方ならず。直に...
噂は巷より巷に伝はりて、至る所、寄ると触ると此怪談にて持...
#br
○須坂町の怪談(後報)
別項の如く、容易ならざる怪談の喧伝せらるゝを以て、直に同...
(以下省略)
「須坂町の怪談」は小泉八雲の後の作品(新聞)。文中に現れる...
最終的には同業者の嫉みによる噂ではないかと結論付けられた。
#endregion
***第五講目の内容 鳥取の布団の話② [#e17f1af9]
小泉八雲は廃仏毀釈などの運動に反感を持っていた。
#hr
典拠論は似た話(噂や口承)を沢山集めて比較する。
下記のテクストを比べると新聞と小泉八雲が同じ(あるいは似た...
新聞⇦(元ネタ)⇨小泉八雲
#region(テクストと考察)
''テクストと考察''
>''「不思議の布団」(『静岡民友新聞』大正五年<一九一六>...
富士郡吉原町横町、古着商佐野孫作方にて数日前売渡したる布...
此程、売主、孫作に返却し来たるより、同家では早速布団を解...
血の塊りが綿に染込んで居るので、喫驚仰天、附近の評判とな...
>''「夜々蒲団が物を言う「ぬくかろが〱」と 解いたら黒血の...
県下後月郡出部村(岡山県にあった郡)、七日、市井笠鉄道踏...
佐藤某方では、某所から古蒲団一枚を買入れ、主婦がその夜被 ...
「ヌクカロガ〱と」連りに蒲団が物言ふので、気味悪がり、隣...
青年達は、「文明の世の中にソンナ事があるものか」と冷笑し...
或る夜、該蒲団の中へもぐり込んで試みると、果して夜半にな...
また、主人が「馬鹿なことを言ふな」と小言たら〲その蒲団を...
亦ぞろ、夜中になると、「ヌクカロガ〱」と声がするので気味...
その蒲団は、普通古物としても五円位の相場であるのを一円五...
>''「怪談奇譚(十)兄えさん寒からうと物を言ふ蒲団 可憐な...
震災はいろいろの哀話を生んだが、この冬から春にかけて、虎...
■で云ふ丑三つの午前二時頃の真夜中になると、毎夜、「兄さん...
その労働者は哀れにも神経を病んで、最近黄泉の旅へ行つたと...
#br
布団は主なき後、乞食が拾つて行つたが、■■らず、「兄さん寒...
只今は、深川平久町の埋立地で、ぼろぼろになつて見る影もな...
薄気味悪いこの布団の由来を尋ねると、元は下谷万年町のとあ...
兄が十三、弟が十一の両人で、両親(註:「ふたおや」と読む)...
無情な高利貸に毎日毎夜脅され、下駄の鼻緒の縫ひ賃で僅に得...
済■に努め、喰ふや喰はずの日を送つてゐた中、弟は営養不良の...
兄はいたいけにも可憐な弟の看病の旁、鼻緒の手仕事に精出し...
到底生活の出来やう筈はなく、日に迫る貧苦と戦ひ、一方、且...
弟の顔を見ては生きてゐる心地はない。日を経るに伴れて、彼...
或日、例の如く恐ろしい顔付きで借金取りが来たが、何んと言...
■は一昨年の冬の出来事。両人は著る物もなく、押へられた布団...
その布団が、不思議にも震災で焼けず、労働者の手に渡つて今...
↑震災とは関東大震災のこと。前年の一九二三年九月一日に発生...
>''「奇談怪談(二十三)背中の蒲団が呼ぶ 甲府のだんだら坂...
(抜粋)
山梨県御代咲村に、壮者を凌ぐ元気さと正直で評判の茂助と呼...
御用きゝが渡世で、毎日雨でも風でも甲府市との間を往復して...
晩秋のある日、少し用達にひまどつたと思ふと、釣瓶落としに...
が、馴れた道だし、提灯も持たず、存外安く買込んだ古蒲団を...
(中略)
と、その途端に冷々とした風がスーッと全身を撫でゝ通りすぎ...
ギク!としたものゝ、立停つて反射的に振り返りました。が、...
あたりは真ッ暗です。「気のせゐかなあ」と思つて、また歩き...
「これや可怪しい!」。茂助爺は、きつとなつて振り返ると、...
が、何の反響もなく、暗は大声を吸ひ込んでしまふと、あとは...
すると、今度は直ぐ耳の■で、「待つて下さい……」。さすがの茂...
そして、何んだか背負つてゐる古蒲団の中から、ニユーッと女...
さうなると、もう一歩も前へ進むことが出来ず、思案にあまり...
#br
それからあとは夢中でしたが、古蒲団の包を放り出して逃げて...
すると、若い者等は、我れも我れもと大勢件の坂の上り口へ見...
怪しさうな気配もありませんで、爺さんも安心して件の包を持...
その包から、サラ〱と女の髪の毛が落ちたからです。
さあ大変――わい〱いひながら包を囲んで騒いでゐましたが、や...
と、どうでせう――古蒲団には一めんに血痕がついて居り、女の...
出所を調べますと、その蒲団は、甲府市の△△家のもので、夫が...
女の亡魂――。それは、いまから六年前にあつた事です。茂助爺...
>''「泣きフトン」(『先島朝日新聞』昭和十年<一九三五>三月...
春の夜に踊る怪談!!
竹富村字黒島東筋の西原美屋加夫婦は五歳になる長男があった...
去月のこと、例の布団をかけて夫婦就寝の中に於て、幼児の泣...
ソレヲ見た妻は……可愛相に発狂した。此の布団は那覇の質屋か...
#br
追記。
目下、当地で開演の俳優連が「泣キフトン」買入れの為、去る...
実物に対し、金拾五円と云ふ高値を唱へたりしが、持主は現地...
袋風荘 三月廿二日探知
>''静観房好阿『諸州奇事談』(寛延三年<一七五〇>刊)巻二...
今は昔、東武の去る人の奥に勤ける局 、ある時三つもの売とて...
地は紗綾にて、もやふは空色に蕣の花を縫たる古小袖の絵様 お...
買求て衣桁に懸置けるに。折ふし、傍輩の女中来りけるゆへ、
「かゝるもやうの小袖、古けれと、雛形にもなき絵様のおもし...
各ゑしやくして一間へ行、衣桁に近寄て見れば、かの小袖の両...
野辺の草葉を風の吹さそふことく、ひらり〱とうこきたるを、...
流石にあからさまにもいわれず、やう〱驚きたる胸をおししづ...
「扨〱、よき御小袖にて」と、そこ〱に挨拶して立去りしが、...
局は、かくともしらず、「此小袖、着てみん」と、衣桁より取...
我手より先に、氷りのごとくひやゝかなる白き手、袖口より出...
早速売たる町人をよひて、「あたひ返弁におよはず。此小袖、...
そも〱、此小袖は、ある武士の家にて、密通したる女の成敗せ...
其者の執心、日ころ愛せし小袖に残りとゝまりたるなりけり。...
かゝるけやけき妖怪こそ、希なれ。刑罰・横死の輩 、末期まて...
けがらはしき物におゐて、又此上やあるへきとて、彼家には、...
>''紅葉園主人『怪談旅硯』(寛政三年<一七九一>刊)巻五の...
(省略)
>''宮部みゆき『幻色江戸ごよみ』(初版は、一九九四年、新人...
-第五話「庄助の夜着」(概要)
(内容省略)
-第八話「小袖の手」(概要)
(内容省略)
#endregion
#hr
以下4つは国書刊行会が書籍にしたもの。つまり国益に適うと...
・「不思議の布団」
・「夜々蒲団が物を言う「ぬくかろが〱」と 解いたら黒血の...
・「怪談奇譚(十)兄えさん寒からうと物を言ふ蒲団 可憐な...
・「奇談怪談(二十三)背中の蒲団が呼ぶ 甲府のだんだら坂...
***第六講目の内容 策略① [#x1cdbf63]
気を逸らすことで祟りを避ける伝承。
>''小泉八雲(ラフガディオ・ハーン)「策略」(『怪談』明治...
(要約)
罪人(死刑囚)は殿様に「過ちを犯したのは大馬鹿であるが故で...
人間馬鹿に生れついたからといってそいつを死罪にするのは間...
必ず報いてやる(祟りを起こす)ぞ。」と言った。すると、殿様...
と尋ねて、罪人が肯うと、「首が刎ねられた後、あの飛石に噛...
そして罪人は刎ねられたが、首は転がって行くと見るや、突然...
それで、殿様以外の人々は酷く恐怖し、妄執を抱く亡霊の為の...
殿様は「彼奴の臨終の怨念は恐ろしいものであったが、私が彼...
彼奴はその挑発にのった。私は彼奴の気持ちを復讐からよそへ...
そしてその臨終の際の思いを果した。それ以外のことはもはや...
だからこの件に関してお前等がこれ以上くよくよ心配するには...
実際、死んだ男はそれ以上別になんの祟りもひきおこさなかっ...
>''酷似したもの''
・山崎美成(よししげ)『世事百談』(天保十四年<一八四三>...
・馬場文耕『皿屋舗辨疑録』(宝暦八年<一七五八>序・写)
山崎美成のものは殿様ではなく主人、馬場文耕のものは人切役...
また、馬場文耕のものは峰打ちをし、罪人の気が逸れた瞬間に...
#br
・馬場文耕『皿屋舗辨疑録』(宝暦八年<一七五八>序・写)...
・祐佐『太平百物語』(享保十七年<一七三二>)巻一の四「...
両方とも蛇が女に恋をして付き纏うのを退治する話。同じく気...
祐佐のものは蛇の執着が強くて何度も蘇り、困っていたところ...
***第七講目の内容 策略② [#t0a3d1c2]
>''『多聞院日記』(室町末~江戸初)巻四、天文八年七月の条''
(要約)
少女に蛇がずっとくっついている。殺しても何度も蘇る。
古禅僧が来て、少女に座敷を何遍も歩かした。蛇もその後ろに...
何回か往復した時に禅僧が蛇の尾を踏み、蛇は鎌首を上げて振...
その瞬間に禅僧はふっと摑んで剃刀で殺した。そして「もう蘇...
「臨終の一念は肝要なのだ。この蛇は死に際に瞋恚(怒り)に没...
>似た物語
-小山田与清『松屋筆記』(文化末年(-一八一八)頃~弘化二...
小山田与清(おやまだ ともきよ)は明治の国学者。
-真田増誉『明良洪範』(元禄年間<一六八八〜一七〇四>編か...
曹洞宗を開いた道元和尚を称える内容が含まれる。
-熊沢淡庵『武将感状記』(正徳六年<一七一六>刊)→天文〜...
軍記物である。道元和尚の活躍を載せる。
また、平仮名本『因果物語』(寛文年間<一六六一〜一六七三...
気を逸らして殺さなかったことで祟りが起こったことが描かれ...
***第八講目の内容 ろくろ首① [#a2cbb33f]
#region(テクスト)
''テクスト''
>''[[小泉八雲(ラフガディオ・ハーン)「ろくろ首」>https:/...
武士だった磯貝武連が出家して僧「囘龍(回龍)」となり、諸国...
深夜に目を覚ますと、その場にいた五人の体には胴体しかなく...
彼らが夜になると首を飛ばして獲物を探す「ろくろ首」だと悟...
ろくろ首たちが首を離して飛び回っている間に彼らの胴体を家...
首たちが戻ってきて胴体がないことに気づくと、回龍に襲い掛...
回龍はもと武士であり、勇敢かつ怪力で、手近な若木を引き抜...
四つの首は逃げ去ったが、主人である木こりの首だけは激しく...
回龍は、その首を何度も殴りつけたが、首は袖から離れず、や...
しかし、その歯は固く袖に食いついたままで、回龍の力をもっ...
#br
夜が明けると、隠した胴体と逃げ去った四つの首は忽然と姿を...
信州諏訪の町に入ると、「生首を袖につけた僧侶がいる」と噂...
役人たちは、その首を回龍が殺した人間の首だと考え、公然と...
回龍は微笑んでいるだけで何も答えなかったが、翌日役人の前...
その場にいた一人の老人が、それは珍しいろくろ首の仕業だと...
また、回龍が武士時代の名を明かすと、その名声を知る人々が...
#br
袖の首を元の小屋に戻し、他の身体と一緒に葬ろうと決めた回...
回龍がこの首はろくろ首だと説明すると、追いはぎは「それは...
その後、ろくろ首の首であると気づき、恐怖に駆られた追いは...
追いはぎは首を小屋の後ろの茂みに埋めて塚を築いた。これが...
>''十返舎一九『怪物輿論』(享和三年<一八〇三>刊)巻四の...
(抜粋なし)
#endregion
#hr
小泉八雲の「ろくろ首」と比較すると、小泉八雲のは風景の描...
(例:「美しい晩でした。空には一点の雲もなく、風もなく、...
#br
また、十返舎一九の内容を見てみると、武勇の称賛が主である...
小泉八雲は上記の要素を取り除いて不思議な話にまとめた。
十返舎一九は古い書物で表記方法も読み方も難解である。外人...
果たして、妻のセツは八雲の代わりに読めたのか。更に言えば...
#region(「ろくろ首」の種類)
''「ろくろ首」の種類''
ろくろ首は元々、首が離れて飛ぶ種類が主だったが、歌舞伎や...
これはぱっと見て首が離れる怪異だと判るようにする必要があ...
|飛頭型|頭が胴体から完全に分離した状態で、頭の部分が飛行...
|筋首型|筋のようなもので頭と胴体が繋がっているもの。|
|首長型|伸縮する首で頭と胴体が繋がっているもの。|
参照:横山泰子「近世文化における轆轤首の形状について」(...
#endregion
***第九講目の内容 ろくろ首② [#w8044242]
#region(テクストと考察)
''テクストと考察''
>''寺島良安『和漢三才図会』(正徳二年<一七一二>刊)巻十...
三才図会に云はく、大闍婆国の中、頭を飛ばす者有り。其の人...
其の俗に、祠る所、名づけて虫落と曰ふ。因りて、落民と号す。
漢の武帝の時、因■[忄+尸+辛]国、南方に使ひす。解形の民...
左の手は東海に飛び、右の手は西沢に飛ぶ。暮に至りて、頭、...
(以下省略)
→『斉諧俗談』(宝暦八年<一七五八>刊)巻三「飛頭蛮」は、...
>''「不思議の境(五十)悪剣「籠釣瓶の怪」(『東京毎日新聞...
*次号の末尾に、「悪剣籠釣瓶の怪」は、「轆轤首の怪」の誤...
九州菊池氏の臣に、磯貝平太衛在門武行と云ふ人がゐた。永享...
討死し果てた中に、武芸傑れた彼は、只一人生存つた。
そして、自ら髪を剃つて、怪龍入道と称し、日本全国を跨 に掛...
(以下省略)
>''「不思議の境(五十一)轆轤首の怪(二)」(『東京毎日新...
こりや、お化けの幻影か、さもなくば話にのみ聞いた轆轤首の...
&color(Red){捜神記};に、若し、頭のない轆轤首を見つけて、...
その頭は決して二度と首に密着かないし、その又頭が帰つて来...
三度まで床へ打つかつて、鈴のやうに転がりながら非常に憤ほ...
こりや轆轤首で、私に祟るぢやないか、それなら衲は捜神記の...
(以下省略)
>''「不思議の境(五十二)白洲で轆轤首の詮議」(『東京毎日...
(内容省略)
>''「不思議の境(五十三)轆轤首を五両に売る」(『東京毎日...
(内容省略)
↑『東京毎日新聞』のは小泉八雲の轆轤首を語り直したもの。
>''「涼台夜話 ろくろ首考」(『福島民報』昭和八年<一九三...
「信州にある伝記」
この話は、非常に興味があるが、余り長くなるので控えるか。
怪童といふ坊さんの話で、一家五人、揃ひも揃つてロクロ首の...
&color(Red){捜神記};に記されてゐるロクロ首の條に、首のな...
悲憤して、床に自らを打ちつけて苦悶し、遂に死ぬものだ、と...
怪童は、それを想ひ出して実行した所、五つのロクロが怒つて...
仕方なしに、このまゝ歩いて信州の諏訪まで来が、人殺しと間...
役人の長老が、一つの考証を述べる。
即ち、ロクロ首は唯の人殺しと違つて、切れ口がすべすべして...
局面一転して、彼は拝領ものまでして、又々旅に出る。
……◆……
今度は強盗に出合ふが、強盗氏が彼の勇胆に舌を巻いて、自分...
強盗氏は、諏訪の町へ来て、怪童の話を聞き、ロクロ首だとい...
恐ろしくなつて、元の山中の胴体の所へ持つて行つて、共に葬...
&color(Red){甲州の山奥の話であるといふが、伝説としては信...
→轆轤首に関する概説と、四話の轆轤首譚を掲載する。
「甲州の山奥の話であるといふが、伝説としては信州の方に広...
新たな伝承が創り出されたもの。
#endregion
***第十講目の内容 因果話① [#pb18678a]
これらは後妻打ちの変種だろうか?
#region(テクスト)
''テクスト''
>''小泉八雲「因果話」(『霊の日本』、明治三十二年<一八九...
(要約)
ある大名がの奥方が、死の床に伏していました。本人も死期を...
文政十年の秋口から、ずっと床についたままで、やがて文政十...
奥方は庭の桜木や春の喜びに思いをはせていました。子どもた...
愛しい妻に向かい、大名はを死後の供養をしっかりすることな...
奥方は、目を閉じたまま、蚊の鳴くような声で言いました。
「もったいないお言葉を頂戴し、まことにかたじけのうござい...
……おおせの通り、三年の長きにわたり病の床に伏しております...
……もはや迷うこともなく、死出の旅路へ立つばかりでございま...
この期に及んで、些事にとらわれてはならぬと存じますが、最...
わたくしは、あの娘を妹のようにいつくしんで参りました。で...
#br
お召しをうけた雪子は、命令通り、奥方の床の傍らにひざまず...
「ああ、雪子、よく来てくれました。……嬉しいこと……わたくし...
……雪子、わたくしはもう長くありません。
殿には、万端つつがなくお仕え申し上げるのですよ。わたくし...
……末長く、殿のご寵愛を得られるよう、お努めなさい。ええ、...
……くれぐれも、殿のことをお願いします。ほかのおなごにご寵...
…あなたにこれだけは言っておきたかったのです……分かりました...
雪子は、答えて言いました。
「貧しく卑しい出のわたくしが、殿のご正室になど、めっそう...
「お黙りなさい」
奥方はかすれ声で、雪子の言葉を制しました。
「&color(Red){うわべをつくろうばかりの話を、取り交わして...
&color(Red){お互い本心だけでお話をしましょう。わたくしが...
「……ああ、忘れるところだった。そなたにお願いがあったので...
おととし、大和の吉野山から運ばせたあの木が、今ちょうど満...
あの八重桜が花を付けたところを、是非とも見たいのです。も...
その前にどうしても、あの木を見ておきたいのです。
お願い、庭に連れていって。雪子、今すぐに――桜が見えるよう…...
#br
雪子が奥方を桜が見えるところに連れて行くために背負う時、
奥方は人間業とは思えぬほどの力をふりしぼって起き上がり、...
けれども、立ち上がるやいなや、やせ細った手を雪子の肩口か...
「ついにやった!
望み通り、桜の花を手に入れた。――庭の桜より、こなたの桜
(日本の詩文では、女性の身体的な美しさを桜に譬える。それ...
に心が残り、死ぬに死ねずにいたのだ。これでやっと望みがか...
奥方はこう叫ぶなり、目の前で腰をかがめている雪子の背に倒...
お付きの者たちが、直ちに雪子の肩から奥方の体を引き離し、...
ところが、不思議なことに、奥方の手が雪子の胸にくっついた...
#br
雪子の両の乳房にしっかりと食い込んでしまっており、無理に...
指が食い込んでいるためというより、手のひら全体が、乳房の...
#br
雪子の乳房から奥方の手をそぎ落とそうとするのは、危険きわ...
そこで診立てどおり、奥方の手首のところから切断されました。
それでも、ふたつの手は胸に張りついたまま、やがて黒ずみ、...
#br
雪子の胸に張り付いた奥方の双の手は、血が通わず、萎びたよ...
さらに夜ごと、決まって丑の刻になると、乳房をぎゅうぎゅう...
#br
雪子は髪を落とし、「脱雪」という法名に改めて、托鉢の尼に...
亡き奥方の戒名を記した位牌を作らせ、肌身離さず携えて、諸...
そして、来る日も来る日も、位牌の前で畏まり、亡者に許しを...
しかし、これほどの責苦をもって報いる悪因縁が、そう簡単に...
夜ごと丑の刻になると、両の手が、尼脱雪を苛み続け、十七年...
尼脱雪が最後にその話をしたのは、下野の国(現在の栃木県)...
一夜の宿を乞うたときのことだと伝えられております。それは...
そののち、尼脱雪の消息はふつりと途絶えてしまいました。
>''『百物語』(明治二十七年<一八九四>、扶桑堂刊)''
第十四席 松林伯円(二世松林伯円(一八三二―一九〇五)。講...
#br
諸君のお咄は実録にて、しかも面白い事計り。その中へ小生の...
これは全くの事実にて、いささかも小生が見て来たような虚で...
(以下省略)
#endregion
>''考察''
小泉八雲「因果話」の元ネタは『百物語』であろう。
「日本の詩文では、女性の身体的な美しさを桜に譬える。それ...
小泉八雲のでは「あまたいる側室」となっているが、『百物語...
#br
うわべをつくろうばかりの話を、取り交わしているときではな...
お互い本心だけでお話をしましょう。わたくしが死ねば、そな...
という部分は全て嘘だった。この後、雪子は遠慮するようなこ...
因みに、元ネタにはこの部分はない。
#br
『百物語』では、嫉妬は憚るべしという儒教的な説教が挿入さ...
***第十一講目の内容 因果話② [#o422268a]
#region(テクスト)
>''根岸鎮衛『耳囊』(天明~文化<一七八一~一八一八>写)...
文化巳の年(一八〇九年。)の春、&color(Red){親友の来りて...
(以下省略)
※つまり、友人の知り合いの話
>''片仮名本『因果物語』(寛文元年<一六六二>刊)&br;巻上...
(抜粋)
さて作兵衛、伏せりたる処を、彼の女房、来たりて首を締む。...
度々首をしめけるに依つて、様々に弔ひ祈りけれども叶はず。...
作兵衛、畏ぢ恐れて、此彼に宿を替えけるに、結句作兵衛より...
何ともせん方なく、作兵衛煩ひ付き終に死去する也。其の子、...
>''西村市郎右衛門(未達)『新御伽婢子』(天和三年<一六八...
(抜粋)
彼の亡者、りんがくびを引きぬき、たぶさをつかみ指し上げ、...
後々、此の子細を聞くに、亭主、此の召しつかひのりんに目を...
其の思ひに煩ひて、むなしく成りし罪障、なほ残りて、死後に...
#endregion
>''考察''
儒仏の教えでは、嫉妬は家の乱れに繋がり、やがて地域の乱れ...
#br
女の怨みは、男に向かず、女に向かいやすい。
片仮名本『因果物語』では「作兵衛に恨み有る」と言いつつ、...
また、片仮名本『因果物語』にはタクシー怪談の原型と見られ...
***第十二講目の内容 幽霊滝の伝説① [#mc7a2b19]
#region(テクスト)
''テクスト''
>''[[小泉八雲(ラフガディオ・ハーン)「幽霊滝の伝説」(『...
(要約)
明治の頃、鳥取県の黒坂に小さな麻取り場があった。ある冬の...
話に興が乗るに連れて肝試しをしようということになり、黒坂...
ところが誰も尻込みして名乗り出ようとしない。そこで賽銭箱...
するとお勝という気の強い女が肝試しに名乗り出た。
#br
お勝は赤児を半纏にくるんでおぶり、幽霊滝へと向かった。
冬の晴れて凍えるような夜空の下、山道を歩いて幽霊滝までや...
お勝が賽銭箱に手を伸ばすと「おい、お勝さん!」と咎めるよう...
お勝は恐怖に立ちすくみながらも賽銭箱を取ると、またしても...
#br
お勝は後も見ずに走り去り、暗い道を駆けに駆けて麻取り場ま...
お勝の勇気をたたえる声がわき上がった。ほっとしたお勝が赤...
>''平垣霜月「幽霊滝」(『文藝倶楽部』七巻十一号、博文館、...
出雲の隣国の伯耆に黒坂と云ふ町がある。此黒坂町は、我が住...
此町はづれに一條の滝が有る。此滝は、昔から幽霊が出ると言...
此滝の側に、滝大明神と云ふ社が有る。此滝大明神には、二歳...
#br
夫れには少々由来があることで、其を探ねると、明治の初頃(...
或冬の夜、寒いものだから、皆休息しようと云ふので、爐の周...
ところが、中の一人の女が云ふには、「今夜、あの幽霊滝へ行...
退屈まぎれに言ふと、皆の者が賛成した。他の者が言つた麻を...
大工の女房が、「それじや私しが行かう」と云つて、其年に二...
後に残つた者は、彼の女の欲よりは、むしろ其剛胆に驚いた。
#br
やがて、かの大工の女房は、町はづれの幽霊滝の上にある滝大...
其幽霊滝の中から、「ヲイ、おかッさん、いかッサン」と呼ん...
何程剛胆な女と雖も、少しは恐れた様子にて、一生懸命にサイ...
(以下省略)
※「おかッさん」とは他人の女房を指す方言。「奥様」の訛りか。
>''鳥取の口碑伝承「龍王滝の伝説 天狗の話」''
ある夜のこと、中菅村の女たちが麻取場に集まって、「お」を...
世間話に花が咲き、やがて話題がとぎれた頃、誰言うとはなし...
「あの滝山神社には天狗が住んでいて、子供の首を取ってしま...
もし行って来れば、「お」をみんな与えるのにな」と、ある女...
誰もが冗談半分のことと聞き流していたが、中菅村に嫁いだば...
「昼でも暗いあの参道を、若い女が一人で出掛けて来るって?」
この肝試しを言い出した女が、冗談まじりに言った。誰も若嫁...
だが、若嫁は二才になったばかりの赤児を背負うと、麻取場を...
(中略)
随身門の所まで帰って来た時のこと、いきなり頭の上から大き...
「何がおかしい」賽銭箱を取ったことを笑われたと思い、若嫁...
すると、天狗が「首の無い赤児を背負っておかしいわ」と答え...
#br
※「お」とは、アサの古名、またはアサ,カラムシの茎の周辺部...
>''『諸国百物語』(延宝五年<一六七七>刊)巻三の二十「賭...
(要約)
紀州のある里に、侍が五、六人集まって話していた。
ある者が「その里より半里ばかり行きて、山際に宮あり。宮の...
まま誰にてもあれ、此の川へ今宵行きて、死人の指を切り来た...
集まった侍の中に欲の深い臆病者がいて、「それがし参らん」...
しかし、臆病者なので結局、代わりに妻が行くことになった。
(以下省略)
>''「Bonさんのひとこと(「幽霊滝の伝説」の項)」)''
八雲は、一八九二年夏の隠岐旅行の帰路、日野町を通過してい...
『文藝倶楽部』第七巻十一号掲載の平垣霜月著「幽霊瀧」から...
原話と明らかに異なるのは、主人公に安本お勝という固有名詞...
原話では幽霊滝の中から「ヲイおかッさん」と呼ばれるのです...
いまでも出雲地方では「おかッつぁん」という言い方がその意...
わが子の首をもぎ取られたお勝の涙が池となり「お勝の池」と...
滝山神社は黒坂町菅地区の氏神で、県境の峠を越えた岡山県新...
「滝山に二歳の子を連れて行くと首をとられる」という伝承も...
#br
地元日野町では、二〇一五年にこの怪談を活かした種々の記念...
*小泉凡『小泉八雲の怪談づくし』(八雲会、二〇二一年)に...
#endregion
>''考察''
小泉八雲の曾孫であるBonさんの記事にもある通り、『文藝...
#br
小泉八雲の『幽霊滝』では、中菅が黒坂になり、滝山神社から...
「龍王滝の奥に奥院中滝と奥院仙人滝のふたつの滝があって、...
その天狗のことを小泉八雲は幽霊と解釈したようです」
郷土史家 森恵弘 氏 談
***第十三講目の内容 幽霊滝の伝説② [#b23e2b2d]
首を失った赤子。怪異の仕業らしい。でも本当にそうだろうか?
母親が我が子を殺した、としたらどうだろうか。八雲と八雲の...
#region(テクスト)
''テクスト''
>''『諸国百物語』(延宝五年<一六七七>刊)巻一の九「京東...
(要約)
片輪車という化け物が東洞院通を夜な夜な往来するので、日暮...
ある女が見たいと思い、店格子の内から通りを窺っていると、...
片輪車は人間みたいに「いかにそれなる女房、われを見んより...
引き裂かれた腿は三歳になる我が子のものであった。
女の身とて、あまりに物を見んとする故也。
#br
※片輪車とは器物の妖怪の一種。この話とは別に、「引く人もな...
>''『諸国百物語』(延宝五年<一六七七>刊)巻三の一「伊賀...
伊賀の国に里遠き山に堂あり。この堂に化け物ありて、七つ過...
若き侍四、五人よりあひて、「誰か此うちに、かの堂へ行きて...
そのなかに、歳三十二、三なる若者一人、すくと出て、「それ...
#br
(中略。題名の通り、座頭(僧形の盲人)に化けた天狗に騙されて...
#br
その時、かの若者も気を失ひて死に入りけるが、夜もやう〱明...
やがて、呼び活け、気つけを飲ませなどして、やう〱蘇り、さ...
件の腰の物、三腰ながら五、六町ほどかたはらの杉の木の枝に...
かの若者、あまりに武辺に高慢せしゆへに、天狗のなすわざに...
その後、かの若者も心うつけて、気違いのやうになりしと、そ...
#br
※「死ぬ」とは、ここでは気を失うこと。
>''「お勝の池」(岡山県阿哲郡神郷町下神代門前の千原美屋野...
*大島廣志「「雪おんな」伝承論」(大島廣志『民話――伝承の...
大昔のことで、いまの時代とは違い、藁仕事で収入を得ており...
ある晩のこと、一人の女が、「今晩の仕事がすんだら、誰か滝...
持って帰った人に、今晩のお金を全部あげることにしょうでは...
日南町(鳥取県)黒坂の滝さんは、山の中で大変淋しいところ...
ところが、お勝という女が、二歳になる子を連れていたが、「...
仲良しの人が止めるのも聞かず、子どもをおぶって谷川のほと...
谷の水音がなんともいえない淋しい神社にたどり着き、賽銭箱...
「お勝さん偉い、偉い」と大変ほめたそうだが、お勝さんの背...
「お勝さん、子どもの首がない、首がない」と騒ぎだした。お...
お勝は真っ青になって震えだし、なんとしたことだろうと泣き...
それからもお勝さんは泣くことが止まらず、泣いた涙で池がで...
涙でできたお勝の池と名が付いた。それから二歳子はお宮に連...
>''大島廣志「若者たちのこ・わ・い話――その五」''
*大島廣志『民話――伝承の現実』、三弥井書店、二〇〇七年。...
ある夏の夜、子どもたちはお寺に集まった。裏のお墓で肝だめ...
からだ。十人ほど集まると、一番上の子がいった。「みんな恐...
「恐い、恐い」「恐くない、恐くない」静まったお寺の中に子...
また、一番年上の子が言った。
「オレは、今日の朝、父さんから一万円をもらった。それを昼...
今から順番を決めて、肝だめしをやって、そのビンを持ってき...
子どもたちがくじを作っていると、一人の女がフラフラとやっ...
「さっきあそこであなたたちの話を聞いていたのだけれど、ど...
子どもたちはその女を見て、なんだかたいそう気の毒になり、...
くじ引きをした。すると一番はその女だった。女は少し微笑ん...
女が行こうとしたとき、一番年上の子が女にカマを渡した。..
「何かあるといけないから、持って行きな」
女は暗い暗いお墓の中をフラフラ歩いて行った。
蛙が薄気味悪く鳴いている。手に持っているろうそくの明かり...
しかし女は恐ろしさをこらえて歩いて行った。
しばらく行くと、一番奥の大きな石が見えてきた。女は石の前...
女は喜んでもどろうとした。そのとき女の首に冷たい人間の手...
「ギャー」
女は走った。走って走って苦しくなった。すると今度は髪の毛...
「ヒーッ」
女はまた走った。だがその手は髪の毛をしっかりつかんで離さ...
「ザクッ」
という音とともに手は離れた。
「帰ってきたぞー」
女は冷や汗でびっしょりになりながら息を切らせてもどってき...
「おばさん、大丈夫かい」
「ああ、ほら、とってきたよ。一万円もらっていいかい」
そのとき、一人が悲鳴をあげた。
「おばさん、背中がまっかだよ。まっかっかだよ」
女は落ちないように必死でしがみついていた自分の子をカマで...
>''稲川淳二「八王子の首なし地蔵 お地蔵さんの祟り」''
#youtube(https://www.youtube.com/watch?v=1iVV_P4qK-k)
#endregion
>''考察''
「お勝の池」(千原美屋野の談)の「二歳子はお宮に連れて行...
「涙でできたお勝の池と名が付いた」という部分(由来譚)は、...
#br
『諸国百物語』「伊賀の国にて天狗座頭にばけたる事」は高慢...
前回の講義に、幽霊滝とこの伝承が合わさったような話が出た。
#br
賭け事や肝試しの果てに怪異が現れるというテンプレート。
賭け事の結果として痛い目を見るのは大抵、女である。
『諸国百物語』「京東洞院、かたわ車の事」に「女の身とて、...
***第十四講目の内容 [#l7613d31]
振り返り
***第十五講目の内容 [#m2a0ec3d]
試験。紙媒体を持ち込み可能。学生証持参。
#br
-問
小泉八雲の下記作品(【対象作品】)の中から1話とりあげて、江...
とりあげた八雲作品の特徴や魅力に関する自身の考えを述べな...
(必ず江戸時代の文学作品は1話以上とりあげて、比較対象とす...
-対象作品
「葬られた秘密」・「鳥取の布団の話」・「策略」・「ろくろ...
比較対象とする資料の情報や性質の例:一夕散人『臥遊奇談』(...
以下の解答例を参照して、対象・特徴(魅力)を、【 】も記し...
-解答例
【対象】 水飴を買う女
【特徴(魅力)】
本話は、亡くなった母親が幽霊となって夜毎に水飴を買い求め...
本話の原拠は、中国・南宋時代の『夷堅志』所収の一話と考え...
原拠では、亡母が児に与える物が水餅ということになっている...
ここで着目しておきたいのは、日本における初出と考えられる...
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